ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。第三部 第四部

濃子

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東堂の恋わずらい編

第5話 はい!ボク、アウトー!☆

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「ーー僕生理がはじまる前に妊娠したみたいだよ」
「へぇー。ちゃんとそういう現象も起きるんだ」
 ラルジュナがお茶を飲みながら視線を上に向ける。



 振る舞われているのは不思議な味だがクセになる、蛇羊神様特製のお茶だ。それもそのはず、蛇羊神様が脱皮した抜け殻を干して作ったものだからだ。
 聞いたときは皆、アレクセイ以外は吹き出したが、それでもまた飲みたくなる味なのだ。兵馬などお土産にもらって帰った。


『ここ、古代は受胎神殿でもあったからのぅ』
「うそ、凄い場所だねー」
『わし、こうみえても創造系の神よ』
 創造系ってーー。

「創造竜の女神様に近いんですか?」
『惑星の創造には関わっておるな』
 ひゃー、と兵馬の目が丸くなる。
「じゃあ、あれ教えて欲しいなー」
『なんじゃ?』
原初大爆発ビッグバンー」
『おまえさんには、星の海ステッラエ・マレのほうがあっとる』
「何それー、教えてー☆」
『態度がな』
「先生。お願いいたします」
 


 ゆっくり過ごしすぎて、日が暮れる。
「すみません。長居しちゃって」
『ーー泊まればいいのにのぅーー』
「また、すぐに来ますから!」
『これからは暑い。海水浴ができるなぁ』
「あぶぅー」
「ここの海岸なんか危ないだけでしょー」
 どこで泳がせる気だ。

『ヒョウマとユーリだけで来るんだぞ』

 二度と来るか、とラルジュナは思ったそうだ。
 














 しかし、予想以上に育児は過酷である。イチャイチャする間なんかない。

 最近は、アスラーンが預かると言うときには遠慮なく預けて仕事を片付けたり、愛の行為に励んでいたりしたのだがーー。


 そうだ、分身しちゃえばいいんだー。




 ラルジュナは良い案が浮かんだと大喜びだ。分身に子守りをお願いして、本体は愛の行為に没頭できる。アレクセイにも教えてあげようーー。


「ヒョウマーー」
 ベッドの上で粘着質な愛撫を続けていると、寝室のドアが開いた。すぐにラルジュナは反応したが、見ると自分の分身だ。ユーリが寝たのだろうかーー。


『ーーねえ、ボクもヒョウマが抱きたい』

「分身なんだから、ボクと同じ感覚を共有してるはずだ」
『足りない。混ぜてーー』

 ナカを旦那様の屹立で愛され、脳内が蕩けている兵馬は、分身の言ってる意味がわからないのだろう。ラルジュナに身体を預け、ぼんやりしたまま首を傾げた。

 そりゃあこんなにカワイイんじゃ、分身もそうなるかーー、ボクだもんねーー。

「消すよ」
 分身もあまり離れていると自我が芽生えるのかーー。
『挿れたいーー』
 攻撃してきそうな分身の目だ。

 厄介だなーー。

 力ずくが通用する相手ではない、何といっても自分だからーー。

「やだよ。自分でも寝取られた気分になる」
『ならーー』

 考えが一致した(当たり前)。

「う~ん。ヒョウマ」
「は、はい……」
「1回だけ、いい?」



「は、はい?」
 何を?
「あっ、いいの?意外ーー」
「だから、何を!?」
『前と後ろ、どっちがいい?』
「どっちもしたい」
『わかった。途中で交代しようーー』

「えっ?えっと?」
 兵馬の後ろにラルジュナの分身が腰をおろした。
「魔法で補助はするからね」
 内心ウキウキしながらラルジュナは兵馬の腰を少し浮かせる。
「ーーちょっ、ちょっと!まさかぁぁぁ!!!」
「ゆっくり挿れてね」
『わかっている』
 魔法でナカを拡張する。広げられる感覚に、兵馬から悲鳴があがった。その姿を見て分身が高揚した顔で熱棒を挿れていく。押し広げられる圧迫感の異常さに、兵馬が首を振る。

「わかってない!!!なんでぇぇぇぇぇぇぇーー!あんっ!いやぁぁぁ~~~~~~~~~!!!やだぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!!」

 狭い孔に熱棒がふたつ突き刺さる。
「うわぁ~、ヤバいね」
『力を抜いて』
 ラルジュナは気持ちよさに口元をニヤつかせた。だが、兵馬の姿に罪悪感は感じてしまう。

「いやぁぁぁ~~~~~~~!!!」
 力なんか抜けるわけがないのに。前と後ろから身体を押さえられ動くこともできない。

「ヒョウマーー、キスしよう」 
 涙でぐしゃぐしゃになった兵馬の顔を優しく撫でる。ほんの少しだけ落ち着いた兵馬が、ラルジュナの首にきつく腕をまわしてキスをねだった。

「ーーはや、く、ーー終わっ、てーー」

 汗か冷や汗かーー、赤いのか青いのかーー。
 顔色が可哀想なことになってきたが、可愛さも桁違いだ。


「はんっ!うぅ、うんっ!あんっ~~~~~!あっ、あっ、あっ、あっ、あんっ~~~~~!」
 眉根をきつく寄せ、強い快楽に狂う兵馬が、息も絶え絶えに喘ぎ続ける。
『カワイイーー』
「うん。すごくいいーー」
 自我が崩壊したような乱れた感じ方に、ラルジュナは魅入った。兵馬は目の焦点が合わず、口を開けたまま大きく身体を震わせている。

「あああっ~~~~~、~~もう~~~、イッ、イッ、イッ、イッ~~~~!!!」
「イキっぱなしなんだねー」
 こちらも余裕はないが、こんな可愛い痴態がおがめる機会なんて何度もない。できるだけ長く見ていたいーー。ナカの収縮が激しくなり、ラルジュナのモノをきつく締めあげてきた。

「ーーふっ、ーはぁーー」

 知らずもれた声に、一瞬兵馬の動きがとまる。


 視点の合わない目に喜びが滲んだ。

 嬉しそうに笑みに変わるその顔が、あまりにも蠱惑的すぎてーー。


 ーーはい!ボク、アウトーーーー!!! 
 
 兵馬のナカを、ふたりのラルジュナは熱く突いた。あまりの気持ち良さに妻を気づかう余裕もない。
「うっ!あっ!あっ!あっ~!あっ~~!あんっ!あっ~~~~~~ん!」
 絶頂を極めすべてを出し切る。肩に乗せていた兵馬の頭が重くなった。完全に意識が飛んでいるのに、ナカはビクビクと動いている。その尾を引く激しい余韻がたまらなく、下半身にクる。

「はあー、よかったぁ~♡」
 これっきりと思うと残念で仕方がないがーー。
 
 やりきった行為に満足したのか、分身が消えた。


 兵馬が起きたときのために、アレクセイから教えられた土下座の練習をしておこう。

 ラルジュナは兵馬の唇を舌で舐めた。
 

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