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東堂の恋わずらい編
第3話 ラルジュナは我慢できない ☆
しおりを挟む「ーーいいじゃん。もっとラブラブしたってー」
涙ぐむラルジュナにアレクセイは頷いた。
「ヒョウマは頭が固い」
「悪口言うな!」
「すまない」
友のやつあたりもアレクセイは気にしない。
「キミなんか一週間平気でこもるんでしょ?」
「ああ。一生でも平気だ」
偉そうにふんぞり返る話ではない。
「うらやましいー!」
「ヒョウマでは無理だろ」
アレクセイもなかなか言う。
「腹上死は確実だな。だから言っただろう、新生児とは大変な生き物だ。性欲ならよそで処理してこればいいではないか」
最低な発言しかしない友を睨みながらラルジュナが噛みついた。
「バカ太子!ヒョウマとしたいんだよ!だいたいね、ボクの子を1日中面倒見てるんだよ!それで、よそでって、どんなクズなんだよ!」
至極まともな意見を言うラルジュナにアスラーンが鼻で笑う。
「ーー我々の父親はそういう分類に入るな」
「ああ」
アレクセイも深く頷いた。
「あー!パパもだぁ!!!」
頭を抱えたラルジュナにアスラーンが視線をやる。
「ーー幸せそうで何よりだ」
ラルジュナが目をくるりと動かす。
「ふふっ、ほんとだよねー」
にこにこ顔のラルジュナに安堵する思いだ。兵馬なしでは生きていられないまでの精神に陥っていたのだから、アスラーンも気が気ではなかっただろう。
「そうだー、アスラーン。今度リルハンパパとトードォと食事するんだってー?」
「ああ。聞いたのか」
「ヒョウマが言ってたんだよー。何する気なのー?」
「もちろん、正式に父に紹介するのだ」
「向こうはそれでいいってー?」
「断らないのだから、いいという事だ」
無茶苦茶だ。
「外堀から埋めるのも可哀想だよー」
噂を流してるのもキミの部下でしょー?
「本当に嫌なら来ないだろう」
先の戦の影響かロードリンゲンの兵士達は、アスラーンに心酔している者が多い。東堂を連れてこいと言えば、どんな手段を使ってでも連れてくるだろう。
「トードォもアスラーンで処理してるだけなんじゃないのー?」
「ひどい事をいうな。へなちょこ廃太子が」
「どっちがひどいんだかー」
「アスラーン」
「なんだアリョーシャ」
「正式に紹介とは?」
「婚約するのだ」
アレクセイは目を見張った。
「ーー婚約を発表した場合どうなる?」
「ああ。ロードリンゲンからはでてもらい。后教育に力を入れてもらう」
無理だろーー。
アレクセイとラルジュナは互いの顔を見た。ラルジュナが静かに首を振る。
「話にならないよ。このバカ太子は」
「トードォには大隊長になる夢がある。それに専念させたいし、竜殺しになるのは女神様のご示唆だ」
「おや、意見が分かれたな。誰のおかげで自国が救われたのか、アリョーシャ。おまえの父親はよく理解しているのだがーー」
「善意もすぐ取引材料にする。だいたい聖女がやられたら一番困るのは魔蝕が多いキミの国でしょー?それをまあ恩着せがましいったらありゃしないー」
「ーーそうそう。先進国にも関わらず、一切何もしなかった国もあったな。おまけに非常時に結婚式とは、恥知らずな国と言われても仕方がない!」
「ふたりとも、兵が来る」
王太子の大声に慌てたのか、私室の前が慌ただしい。
「うるさい!この他人事男!もうヒョウマはルートのところに行かさないからね!」
「それは困る」
「ボクがイヤと言えばヒョウマはどうするのかな?」
彼の行動に口がだせる人間ですが。
「ふん。自分に火の粉が飛ばんと真剣に考えん。おまえはやはり聖女の国の王子様だな」
「…………」
ふたりから睨まれ、返す言葉もなくアレクセイは黙った。
「じゃあ!もう、来ないからね!」
「ふんっ!食事会は明後日だぞ」
返事もしないままラルジュナは去る。ドアを開けると、さっと近衛兵達が道をあけた。
「おたくの王太子様も大概だね」
フストンが笑う。
「あれでもラルジュナ様の次にまともなので、いまは大陸一の王太子ですよ」
「それもそうか」
ひどい世界だ。
各国ろくなのがいない。
「ヒョウマ!ただいまー!ヒョウマ!」
ラルジュナが屋敷に帰ると兵馬の出迎えがなく、感知魔法を使うと浴室にいる気配がした。
「あっ!」
慌てて浴室に走ると脱衣場で兵馬がユーリに服を着せていた。全裸でだ。
「あっ、おかえりーー」
「ヒョウマ!ボクがやるから!髪の毛洗ってきた?」
「まだだけど、いい?」
「いいよー」
兵馬を風呂に行かせ、ラルジュナがユーリの世話をする。
「あう、あう」
ユーリは目がはっきり見えてきて、表情も豊かになってきた。ベビーベッドに寝かせていても、いつの間にか頭を柵にガンガンうつぐらい上にあがっている。
「カワイイねー」
たまらずスリスリしてしまう。
ーーママはボクのこと自分で育てたかったのかなーー。
ふと思ってしまう。
「ーーそうだ」
ラルジュナは分身の魔法を使った。
分身にユーリを預け、本体は服を脱いで浴室に入る。
「ヒョウマ!背中洗った?」
「え?ユーリ寝たの?」
「ううん。分身にまかせちゃったー☆」
泡がついた身体に密着し、スポンジを奪う。
「洗ってあげる♡」
「ーーいいよ。もう流すしーー」
さっさか流しながら兵馬が言う。
「じゃあ、洗ってー♡」
「う、うん」
「はい、このボディソープねー♡」
「…………」
視線を下に向けた兵馬にラルジュナは微笑む。
「ふふふっ。すっごいヌルヌルだよー♡」
液体を出しながらごきげんな旦那様だ。
「う、うんーー」
恥ずかしそうに兵馬が液体を身体にたっぷりと塗り、ラルジュナの身体に身を寄せた。自分の首に腕をまわすとゆっくりと身体を上下に動かす。
「っうんーー!」
乳首をつまむとビクンッと身を震わせて、こちらを睨む。
「あ、洗うんでしょ?」
「もちろん、触るよ」
そのまま腰をつかんで動かすと兵馬の喘ぎがとまらなくなってきた。
「あっ、んっ、あっ、あっ、あっ、ん~ぅ~~~~~~!」
ヌメリが最高に気持ちがいい。ラルジュナのモノが勢いよくそそり勃つ。
あんっ、と兵馬が甘い嬌声をあげた。後孔に指を入れたからだ。
「まだ、柔らかいねー。もう挿れちゃうよ」
朝もしたし、と囁くと真っ赤な顔で頷く。
「後ろを向いて」
兵馬が壁に手をつき、お尻を出す。
「ヒョウマ、愛してるよ」
「ぼ、僕だって……」
「知ってる」
獲物を仕留めるように、ラルジュナは屹立を孔のナカにねじ込む。
「ふっ!」
「ーー動かすよ……」
ラルジュナの手が腰と腹に触れる。
「あっ、ジュナーー」
腹にある手をはずそうとしてくるが、はずす気はない。前から押さえ後ろからモノを突き上げればーー、
「あんっ!あんっ!あんっ!あんっっーー!!!あぁー!」
兵馬が尻を突き出し激しくよがる。
「いいよーー、ヒョウマーー、何回でもイこうね♡」
「あぁー!待ってぇ~!あんっーーー!!!」
強引な突きに兵馬の身体が喜び、小刻みに腰が揺れる。
「最高ーー♡」
我を忘れたようにラルジュナは腰を動かした。自分の全部で兵馬を愛してあげたい、でも自分の好きにもしたい。
「ふっ、はあんっ!はぁんっ!うんっ、あぁ、やぁ~~~~~~~!」
快感を逃がそうと頭を振る。兵馬の足が震えてくるのを感じ、ラルジュナは彼の腰を支えながら最奥を突いた。
「ああんっ!っうん!~~~ジュナぁ~~だめぇ~~!!!」
吐精した自分か恥ずかしいのか兵馬が俯く。いつものことなのでラルジュナは気にしない。それよりももっと抱きたい、頭の中はそれしかなかった。
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