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僕らがいた国編
第152話 王太子アスラーンの矜持 ★
しおりを挟む「負傷者の確認を急げ!」
「はい!」
アスラーンは陣頭に立って指揮をだし続けた。アダマスやクリステイルが大魔法を使って倒れたからだ。
「ーー損な役回りだ」
「アスラーン王太子!悪魔の城の破片が落ちてきます!」
「動ける者で片付けろ!王都の結界の張り直しは!?」
「急いでます~~~!」
ハオルによってまたもや壊された王都の結界。ティンも悔しさがにじむような表情を隠しもしない。
魔法騎士に混じり、東堂が脇腹を押さえながら負傷者の救護にまわろうとしていた。
「トードォ!」
それをめざとく見つけてアスラーンは駆け寄る。
「傷を見せてみろ!」
「ーー平気っすよ」
「トードォ!」
「敵はとったつもりですーー、だから俺はどうなってもーー」
「来い!」
「ちょっとーー!」
アスラーンに引きずられるように、東堂はひと目につかない建物の裏に連れて行かれた。
「アス太子!」
騎士服を脱がせアスラーンが傷を確認する。
脇腹は毒のせいで、どす黒くただれていた。傷にアスラーンは唇を近づけ、舌で舐めはじめる。
「!」
這うように舐められ、東堂は身体を震わせる。
「ちょっ!」
「ーー治療だ。黙っていろ」
舌が丁寧に傷を舐めていき、どす黒い色が肌色に戻っていく。
「ーーっふ!」
身体の力が抜ける。
東堂は壁にもたれたまま、その場にへたり込んでしまった。
「毒は抜けたかーー。おいおい、治療だと言ったはずだが?」
下半身の膨らみを遠慮なくつかまれ、東堂は呻いた。
「や、やっ!」
逃げようと腰を揺する。
「ーー戦の後だ。興奮しているだろう……」
彼はズボンをずらし、モノを生でつかんで激しく動かしてきた。
「あっ!ちょっ!まっ!」
ひとが来たらどうしようーー。大大国の王太子に抜いてもらってるなんて。
「うっ!」
彼の手に白い液をだす。
かあっ、と赤くなった東堂をからかうように笑い、アスラーンは引き締まった尻をなで、後孔に指を差し白濁液をぬり込んでいく。
「ダメっす!!!」
強く拒絶するのに、後孔がはしゃぐように彼の指を受け入れる。まるで、待ってました!と言わんばかりだ。
「あんっ!」
マジかよー、どこで盛んだよ!!!
とめられない自分も悪いがーー。たまってたんだからしょうがない。
東堂はナカに入ってきた雄の象徴を、自ら腰を動かし奥までねじ込んだ。
「うわっ、めっちゃいいーー」
「そうか……」
パンッ、パンッ、と肉がぶつかる音がする。まわりがどうとか、もはやどうでもいい。いま、東堂は全身を走る快楽のみで頭がいっぱいだ。
「あー、また、イキそー」
「かわいい奴だな……」
エロい声で囁かれ、耳がピクピクと動く。
「背中が痛いっす」
「我慢しろーー」
壁にあたる部分が擦れて痛い。
騒がしいまわりにまぎれて、ふたりは行為を続け、絶頂を求めた。
「ーーまだ、カタイ……」
鉄の棒かと思うぐらい、カタくて太い。
「ーーああ。おさまるまで相手をしろーー」
ひどい王太子さんだーー。
けど、……。
「気持ちイイーー」
はぁ、と喘ぐとアスラーンが笑った。腰の動きがますます激しくなる。
ーーこのひとも戦の後で興奮してんだな。無理もないか、総括なんて気をはるポジションでずっと指示だしてんだ。ーー俺なら絶対に無理だぜ。
きっと負ければ全責任を負うつもりだったはずだ。
生き方がカッコいいーー。
純粋にすごいと、東堂は思った。
「ラルジュナさんっ!!!」
捜索隊に参加していた美花は、西国境付近に倒れていたラルジュナを見つけた。
「ファウラ様!ラルジュナさんが!!!」
「ひどい怪我です。運びましょう!」
「はい!」
転移魔法で救護室に運ぶと、教皇ミハエルがすぐに駆けつける。
「ーー貴方のおかげで、国が救われましたーー」
教皇や、神官達が治癒聖魔法をかける。聖なる光がラルジュナを包み込んで傷を治していく。
「ーーラルジュナ様!」
知らせを受けたジュドーが、救護室を転がるように走ってきた。ラルジュナの側に跪いて主の様子をうかがう。
「……」
「大丈夫ですか!?」
瞼を動かしたラルジュナに、ジュドーは話しかけた。
「……………」
小さく何かを話し、ラルジュナは力つきたのか眠りに入る。耳を近づけたジュドーが、目を大きく開いた。
「あっ、、、」
「しばらくは起きないでしょう」
ミハエルがため息をついた。
「ーー聖女様とアレクセイ殿下はどこにいらっしゃるのかーー」
「ミハエルさん!」
「なんです?」
「ラルジュナ様が、向こうの世界にいると!」
「なんと!」
ミハエルの眉があがる。
「ミハナ!アスラーン王太子と連絡をーー。アレクセイ殿下から通信がないか聞いてきてください!」
「わかりましたぁ!」
美花は走りだした。
「フストンさぁん!」
美花はいろんなひとに尋ねながら、ようやく目当ての人物に近いひとを捜すことができた。
「ーーはい!ああ、ミハナさん!」
「アスラーン様は!」
「あー、呼んできますので、ちょっと待っていてください」
フストンが、頬をかきながら歩きだした。なんだか隠し事がありそうな様子に、美花は目をぱちくりとさせる。
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