162 / 235
僕らがいた国編
第152話 王太子アスラーンの矜持 ★
しおりを挟む「負傷者の確認を急げ!」
「はい!」
アスラーンは陣頭に立って指揮をだし続けた。アダマスやクリステイルが大魔法を使って倒れたからだ。
「ーー損な役回りだ」
「アスラーン王太子!悪魔の城の破片が落ちてきます!」
「動ける者で片付けろ!王都の結界の張り直しは!?」
「急いでます~~~!」
ハオルによってまたもや壊された王都の結界。ティンも悔しさがにじむような表情を隠しもしない。
魔法騎士に混じり、東堂が脇腹を押さえながら負傷者の救護にまわろうとしていた。
「トードォ!」
それをめざとく見つけてアスラーンは駆け寄る。
「傷を見せてみろ!」
「ーー平気っすよ」
「トードォ!」
「敵はとったつもりですーー、だから俺はどうなってもーー」
「来い!」
「ちょっとーー!」
アスラーンに引きずられるように、東堂はひと目につかない建物の裏に連れて行かれた。
「アス太子!」
騎士服を脱がせアスラーンが傷を確認する。
脇腹は毒のせいで、どす黒くただれていた。傷にアスラーンは唇を近づけ、舌で舐めはじめる。
「!」
這うように舐められ、東堂は身体を震わせる。
「ちょっ!」
「ーー治療だ。黙っていろ」
舌が丁寧に傷を舐めていき、どす黒い色が肌色に戻っていく。
「ーーっふ!」
身体の力が抜ける。
東堂は壁にもたれたまま、その場にへたり込んでしまった。
「毒は抜けたかーー。おいおい、治療だと言ったはずだが?」
下半身の膨らみを遠慮なくつかまれ、東堂は呻いた。
「や、やっ!」
逃げようと腰を揺する。
「ーー戦の後だ。興奮しているだろう……」
彼はズボンをずらし、モノを生でつかんで激しく動かしてきた。
「あっ!ちょっ!まっ!」
ひとが来たらどうしようーー。大大国の王太子に抜いてもらってるなんて。
「うっ!」
彼の手に白い液をだす。
かあっ、と赤くなった東堂をからかうように笑い、アスラーンは引き締まった尻をなで、後孔に指を差し白濁液をぬり込んでいく。
「ダメっす!!!」
強く拒絶するのに、後孔がはしゃぐように彼の指を受け入れる。まるで、待ってました!と言わんばかりだ。
「あんっ!」
マジかよー、どこで盛んだよ!!!
とめられない自分も悪いがーー。たまってたんだからしょうがない。
東堂はナカに入ってきた雄の象徴を、自ら腰を動かし奥までねじ込んだ。
「うわっ、めっちゃいいーー」
「そうか……」
パンッ、パンッ、と肉がぶつかる音がする。まわりがどうとか、もはやどうでもいい。いま、東堂は全身を走る快楽のみで頭がいっぱいだ。
「あー、また、イキそー」
「かわいい奴だな……」
エロい声で囁かれ、耳がピクピクと動く。
「背中が痛いっす」
「我慢しろーー」
壁にあたる部分が擦れて痛い。
騒がしいまわりにまぎれて、ふたりは行為を続け、絶頂を求めた。
「ーーまだ、カタイ……」
鉄の棒かと思うぐらい、カタくて太い。
「ーーああ。おさまるまで相手をしろーー」
ひどい王太子さんだーー。
けど、……。
「気持ちイイーー」
はぁ、と喘ぐとアスラーンが笑った。腰の動きがますます激しくなる。
ーーこのひとも戦の後で興奮してんだな。無理もないか、総括なんて気をはるポジションでずっと指示だしてんだ。ーー俺なら絶対に無理だぜ。
きっと負ければ全責任を負うつもりだったはずだ。
生き方がカッコいいーー。
純粋にすごいと、東堂は思った。
「ラルジュナさんっ!!!」
捜索隊に参加していた美花は、西国境付近に倒れていたラルジュナを見つけた。
「ファウラ様!ラルジュナさんが!!!」
「ひどい怪我です。運びましょう!」
「はい!」
転移魔法で救護室に運ぶと、教皇ミハエルがすぐに駆けつける。
「ーー貴方のおかげで、国が救われましたーー」
教皇や、神官達が治癒聖魔法をかける。聖なる光がラルジュナを包み込んで傷を治していく。
「ーーラルジュナ様!」
知らせを受けたジュドーが、救護室を転がるように走ってきた。ラルジュナの側に跪いて主の様子をうかがう。
「……」
「大丈夫ですか!?」
瞼を動かしたラルジュナに、ジュドーは話しかけた。
「……………」
小さく何かを話し、ラルジュナは力つきたのか眠りに入る。耳を近づけたジュドーが、目を大きく開いた。
「あっ、、、」
「しばらくは起きないでしょう」
ミハエルがため息をついた。
「ーー聖女様とアレクセイ殿下はどこにいらっしゃるのかーー」
「ミハエルさん!」
「なんです?」
「ラルジュナ様が、向こうの世界にいると!」
「なんと!」
ミハエルの眉があがる。
「ミハナ!アスラーン王太子と連絡をーー。アレクセイ殿下から通信がないか聞いてきてください!」
「わかりましたぁ!」
美花は走りだした。
「フストンさぁん!」
美花はいろんなひとに尋ねながら、ようやく目当ての人物に近いひとを捜すことができた。
「ーーはい!ああ、ミハナさん!」
「アスラーン様は!」
「あー、呼んできますので、ちょっと待っていてください」
フストンが、頬をかきながら歩きだした。なんだか隠し事がありそうな様子に、美花は目をぱちくりとさせる。
64
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます
八神紫音
BL
「嫌ですわ、こんななよなよした男が夫になるなんて。お父様、わたくしこの男とは婚約破棄致しますわ」
ハプソン男爵家の養子である僕、ルカは、エトワール伯爵家のアンネリーゼお嬢様から婚約破棄を言い渡される。更に自分の屋敷に戻った僕に待っていたのは、ハプソン家からの追放だった。
でも、何もかもから捨てられてしまったと言う事は、自由になったと言うこと。僕、解放されたんだ!
一旦かつて育った孤児院に戻ってゆっくり考える事にするのだけれど、その孤児院で王太子殿下から僕の本当の出生を聞かされて、ドSなS級冒険者を護衛に付けて、僕は城下町を旅立った。
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?

結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる