ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。第三部 第四部

濃子

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僕らがいた国編

第152話 王太子アスラーンの矜持 ★

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「負傷者の確認を急げ!」
「はい!」
 アスラーンは陣頭に立って指揮をだし続けた。アダマスやクリステイルが大魔法を使って倒れたからだ。

「ーー損な役回りだ」
「アスラーン王太子!悪魔の城の破片が落ちてきます!」
「動ける者で片付けろ!王都の結界の張り直しは!?」

「急いでます~~~!」
 ハオルによってまたもや壊された王都の結界。ティンも悔しさがにじむような表情を隠しもしない。



 魔法騎士に混じり、東堂が脇腹を押さえながら負傷者の救護にまわろうとしていた。
「トードォ!」
 それをめざとく見つけてアスラーンは駆け寄る。
「傷を見せてみろ!」
「ーー平気っすよ」
「トードォ!」


「敵はとったつもりですーー、だから俺はどうなってもーー」
「来い!」
「ちょっとーー!」
 アスラーンに引きずられるように、東堂はひと目につかない建物の裏に連れて行かれた。

「アス太子!」
 騎士服を脱がせアスラーンが傷を確認する。
 脇腹は毒のせいで、どす黒くただれていた。傷にアスラーンは唇を近づけ、舌で舐めはじめる。

「!」
 這うように舐められ、東堂は身体を震わせる。
「ちょっ!」
「ーー治療だ。黙っていろ」
 舌が丁寧に傷を舐めていき、どす黒い色が肌色に戻っていく。

「ーーっふ!」
 身体の力が抜ける。
 東堂は壁にもたれたまま、その場にへたり込んでしまった。
「毒は抜けたかーー。おいおい、治療だと言ったはずだが?」
 下半身の膨らみを遠慮なくつかまれ、東堂は呻いた。
「や、やっ!」
 逃げようと腰を揺する。

「ーー戦の後だ。興奮しているだろう……」
 彼はズボンをずらし、モノを生でつかんで激しく動かしてきた。
「あっ!ちょっ!まっ!」
 ひとが来たらどうしようーー。大大国の王太子に抜いてもらってるなんて。

「うっ!」
 彼の手に白い液をだす。
 かあっ、と赤くなった東堂をからかうように笑い、アスラーンは引き締まった尻をなで、後孔に指を差し白濁液をぬり込んでいく。

「ダメっす!!!」
 強く拒絶するのに、後孔がはしゃぐように彼の指を受け入れる。まるで、待ってました!と言わんばかりだ。
「あんっ!」
 マジかよー、どこで盛んだよ!!!

 とめられない自分も悪いがーー。たまってたんだからしょうがない。

 東堂はナカに入ってきた雄の象徴を、自ら腰を動かし奥までねじ込んだ。
「うわっ、めっちゃいいーー」
「そうか……」

 パンッ、パンッ、と肉がぶつかる音がする。まわりがどうとか、もはやどうでもいい。いま、東堂は全身を走る快楽のみで頭がいっぱいだ。

「あー、また、イキそー」
「かわいい奴だな……」
 エロい声で囁かれ、耳がピクピクと動く。

「背中が痛いっす」
「我慢しろーー」
 壁にあたる部分が擦れて痛い。

 騒がしいまわりにまぎれて、ふたりは行為を続け、絶頂を求めた。
「ーーまだ、カタイ……」
 鉄の棒かと思うぐらい、カタくて太い。

「ーーああ。おさまるまで相手をしろーー」

 ひどい王太子さんだーー。

 けど、……。

「気持ちイイーー」
 はぁ、と喘ぐとアスラーンが笑った。腰の動きがますます激しくなる。



 ーーこのひとも戦の後で興奮してんだな。無理もないか、総括なんて気をはるポジションでずっと指示だしてんだ。ーー俺なら絶対に無理だぜ。


 きっと負ければ全責任を負うつもりだったはずだ。


 生き方がカッコいいーー。


 純粋にすごいと、東堂は思った。 

 













「ラルジュナさんっ!!!」
 捜索隊に参加していた美花は、西国境付近に倒れていたラルジュナを見つけた。

「ファウラ様!ラルジュナさんが!!!」
「ひどい怪我です。運びましょう!」
「はい!」



 転移魔法で救護室に運ぶと、教皇ミハエルがすぐに駆けつける。
「ーー貴方のおかげで、国が救われましたーー」
 教皇や、神官達が治癒聖魔法をかける。聖なる光がラルジュナを包み込んで傷を治していく。

「ーーラルジュナ様!」
 知らせを受けたジュドーが、救護室を転がるように走ってきた。ラルジュナの側に跪いて主の様子をうかがう。

「……」

「大丈夫ですか!?」
 瞼を動かしたラルジュナに、ジュドーは話しかけた。

「……………」
 小さく何かを話し、ラルジュナは力つきたのか眠りに入る。耳を近づけたジュドーが、目を大きく開いた。

「あっ、、、」

「しばらくは起きないでしょう」
 ミハエルがため息をついた。

「ーー聖女様とアレクセイ殿下はどこにいらっしゃるのかーー」
 
「ミハエルさん!」
「なんです?」
「ラルジュナ様が、向こうの世界にいると!」
 

「なんと!」
 ミハエルの眉があがる。

「ミハナ!アスラーン王太子と連絡をーー。アレクセイ殿下から通信がないか聞いてきてください!」
「わかりましたぁ!」
 美花は走りだした。














 
「フストンさぁん!」
 美花はいろんなひとに尋ねながら、ようやく目当ての人物に近いひとを捜すことができた。

「ーーはい!ああ、ミハナさん!」
「アスラーン様は!」

「あー、呼んできますので、ちょっと待っていてください」
 フストンが、頬をかきながら歩きだした。なんだか隠し事がありそうな様子に、美花は目をぱちくりとさせる。


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