ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。第三部 第四部

濃子

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その日にむけて編

第133話 東堂、戦いの前 ★

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 ちすっ!東堂です。

 突然ですが、アス太子と身体の関係になりました。



 何でだよーー!



 って昔の俺なら言う。絶対に言う。

 けど、歳をとるとたいがいの事に寛容になるっていうのかなーー、まあ、いっぺんぐらいそういう時期があってもいい、っていうやつな。



「くっ!ふっ!ふっ!!」
 はい、ルートや兵馬みたいに、あんあん言わないってーー、あくまでスポーツみたいなもんよ。

「ああんっ!うんっ!」
 あれ?喘いでるぞ、おかしいなーー。そんなつもりはないんだけど、上手いんだよ、このひとー。やりまくってるぜ、絶対に。

 そりゃそうか。
 面はいいし、金持ちだし、アレがデカい上に、絶倫ときた。モテる要素しかないってやつだわ。
 そんなのと、なんで俺がって思うだろ?





「ーーあんま、焦らすなよーー」
 苛立ちながら東堂が言うと、アスラーンは面白そうに笑い声をあげた。

「魔力器官の成長が目的ではないのか?」
 雄の象徴を重ねて擦りながら、大大国の王太子は揶揄するように言葉を発する。
「気持ちいいことは、大歓迎っす~」
「そうか、そうか、これが欲しいんだな」
 言葉責めも大好きとは、若いのにおっさんだ。

「どこが気持ちいいんだ?」
 威厳もクソもない姿に東堂は吹きだした。自分の尻の孔を見せるように足をあげる。
「バッチこ~い」
「ーーもう少し色っぽく誘え」
 
 そういう関係でもないのにーー。
 
 東堂は後孔にばかでかいモノを差され、仰け反った。
「ーー引き締まり過ぎだな」
「ケツ締めないと、剣が振れないんで」
 うんっ、と声がもれる。
 
「はあー、いい……」
 アスラーンがうっとりとため息をついた。東堂はひっくり返って彼に跨り、腰を揺する。
「動かしますよ」
「ああーー」
 
 ガシガシと音が聞こえそうなぐらい、激しく腰を振る。激しさより、さらに激しく、ふたりは行為に励んだ。


「い、イクッ!」
「まだ、我慢っす!カタくて最高っすよーー!」

 にやりと笑うアスラーンに好感はあるものの、それは恋愛感情ではない、と東堂は思う。

 何度も言って申し訳ないが、はじまりは魔力器官の成長だ。

 東堂はアスラーンに、
「トードォの魔力器官は成長途中で止まっている、成長を再開させるには、魔力の強い相手に自分にあった魔力を注いでもらえばいい。私ならできるぞーー」
 と言われキスをされた。

 そのときに、少し魔力を注がれただけでいつもより身体が違っていたので、詳しく話を聞きに行く事にした。方法はひとに話せる内容ではなかったが、自分は何としても強い魔法が使いたい。





「ーーなあ、兵馬。おまえどう思う?」
 なぜかみんなこいつに相談するよな、と東堂は兵馬に尋ねてみた。

「ーーそうなんだ。嘘はついてなさそうだね。でも、東堂が少しでも嫌ならやめたほうがいいよ」
 まともな意見を返される。

「ーーけど、魔力器官の成長を促すなんて、できるヤツが他にいない、って町子がいうぜ」

「必要だと思うんなら、僕はとめないけどーー、アス王太子のこと好きにならない?」
 兵馬の言葉に笑って返す。


「やったら好きになる、って中坊かよ!」
「身体の相性はばかにできないよ」

 悟りを開いた僧侶のように兵馬が目を細めた。

「すっごいイイ~~!もうヤダ最高~~!奥まで気持ちイイ~~~~!ーー何てヤツ、すぐに見つかるわけねえだろ」
「ーーそうなの……?」

 不思議そうな顔で兵馬が首を傾げる。

「おまえら相性いいんだな。ラルさん喜ぶからいまのヤツ言ってみろ」
「えっ!言わないよー」 
 兵馬は照れたように笑い、取り合わなかった。







 その後、東堂はアスラーンの元に通いだした。彼のセックスは強引であそこの孔をめちゃくちゃにされたが、魔力器官は少しずつ成長してるような気がする。
 粘膜がちぎれていないか心配した後孔の器官も、だんだん痛みに慣れてきた。


 身体の頑丈さには自信があるからなーー。


 向こうもそれがわかっていて、どんな無茶もするのだろう。どうせ、魔力器官が成長するまでだ、と東堂は思っていた。
 











「東堂!」
「おっ、兵馬。どうよ、ちょっと成長しただろ?」
 兵馬が心臓のあたりをじっと見る。

「ーーほんとだ。前より魔力量が増えてるよね」

 ーーおまえもそうだろ……。ラルさん黙ってんのか?

「なんだか兵馬、ごきげんだな」
「ええ?そうかなーー?」
「ーーなんだろ、愛された者の余裕っつうのか、きれいになったよな」

 お世辞でもなく思った事を口にすると、兵馬が吹きだした。

「東堂でもごまをするんだ。僕に頼み事でもあるの?お金ぐらいしか力になれないけど」
「言うことがヤバいヤツだなーー」
 金なんかいらねえよ。

「旅行、また行きたいな。6人でさ」
 東堂は目を細めた。
「そうだね。結局、ルートが途中で帰ったしね」
 懐かしそうに兵馬が笑った。
「おまえら、ずっと一緒だったのにな」
「うん。でも、大学は希望が違ってたからーー。別れが少し早くなっただけだよ」
 屈託なく笑う兵馬を見て、東堂も笑った。

「じゃあ、またね」
「ああ!たまにはのろけ話しろよ!」
 ふふふっ、とおかしそうに兵馬が手を振る。

 姿を確認することもなく、東堂は歩きだした。






 まさか、その数十分後に、彼がいなくなるなんて思っても見なかったーー。

 最後の笑顔がいつまでも脳裏に映しだされる。



 なんで、あいつがーー。 




 何もできない日々が続いた。
 異世界に来て毎日の訓練の中で、自分やひとの死について考える機会は多くあった。

 だが、そこにあいつは含まれていなかった。


 なのに、死は平等だった。


 例外はなく、兵馬は亡くなったーー。






 書類上、そう処理された。


 これにはアレクセイが怒りを見せ、父親に抗議した。しかし、書類の手続きをしなければ、兵馬のサインなしに動かせないものがあるから、とアダマスは説得したらしい。

 東堂は逃げるようにアジャハン国へ行き、アスラーンを求めた。

 彼に抱かれているときだけ、兵馬の死を忘れることができた。
「ーーもっとひどく……」
 泣きながら懇願する。

 ボロ雑巾のようになってもいい、気絶するぐらいひどく抱いて欲しい、と何度もすがった。

「そうかーー」
 その日はアスラーンが分身の魔法を使い、東堂を挟むようにふたりが立った。

 ふたりは東堂の足をつかんで、前からと後ろから2本の屹立を後孔に突っ込んだ。入り口が裂けるのも気にせずに、肉を割りみっちりと孔を支配していく。

「~~~~~~~!!!」
 涙がでた。
 頭を振って痛みを逃がす。

 凶悪な熱望が東堂のナカで暴れだす。
「ーーもっと、奥まで突いてやろう」
「いい声で泣けーー」 
 ふたりのアスラーンから激しく攻められ、東堂は気を失うぐらいの快感をその身に受けた。
 身体が真っ二つに裂けたのでは、と思うぐらいの痛みが、なぜか快楽になる。イキっぱなしになり、精神がもたず、わけがわからないことを口走ってしまう。

「ぁあ~~~!イイ~~~~~~!!!ヤバい!ヤバいぃぃぃ~~~~~~~~~!!!」

 軽々と東堂の足をもち、ふたりはタイミングを合わせて突き続けた。脳内が焼ける。

 死ぬかもしれない、けど、それがいいーー。東堂は痛みと快楽でしか自分を保てなかった。




 友達がいなくなった現実が、怖くて仕方ない。目が覚めたら、あれは嘘だった、と彼がでてくることを何度も願った。

 現実は変わらなかった。






 そして、気づく。

 負けたからだ。
 自分の準備が足りなかったからだめだったのだ。負けたらなくなるのは当然の事だ。


 だが、ハオルをそのままにしていてはいけないーー。敵わなくても無駄死にでもいい、あいつの敵を取りたい。

 それを生きる原動力にして、東堂は立ちあがった。






「ーーすみません、アス太子」
 情事の後に服を着ながら東堂は言った。

「何がだ?」
「無茶させました。俺はもう大丈夫っす」
 アスラーンが心配そうに目を細めた。
「ーーおかげで、魔力が強くなった気がします」
「そうか?まだまだーー」

「もう、来ません」
「トードォ?」
「お世話になりました」
 頭を下げ東堂は寝室を出た。

「なぜだ?まだ、魔力器官はーー」

「忙しいのに、俺に付き合ってくれて感謝しかないです」
「トードォ、私は!」
「俺は死ぬ覚悟ができましたーー」

 目を見開いてアスラーンが東堂を見る。

「じゃっ、絶対にハオルを倒しましょう!」
「トードォ!私は君を愛している!」
「はあっ?何言ってんですか?」
 珍獣を見る目で東堂はアスラーンを見た。

「正式に、交際を申し込む」
 真剣な眼差しが自分に刺さる。
「…………」


 ーーこのひと、付き合いたい人間に、あそこまでするの?かなり引くわ~。



 東堂は静かに首を振った。
「アス太子じゃ、俺の生きる意味にはならないっす」
「トードォ……」

 いつでもそうだ。
 去り際は素っ気なく、他人行儀なぐらいがいい。変に期待をもたせるのは残酷な話だから。



「ーー絶対にあいつだけは、許さねぇーー」
 狙うなら、俺を狙えばよかったのに。

 東堂は握った拳をそのままに歩きだした。

「トードォ!」

 呼びかけには振り向かず、拳を高くあげた。こぼれた涙は見せないのが、別れのルールだ。


 ーー結構、いや、かなり好きだったのかもな……。


 決戦は近づく。

「絶対に、敵はとるからなーー」
 死んでもいいから、血がでるほど握りしめた拳をあいつにぶつけてやりたい。
 

 そのためには何も残さないほうがいいーー。

 


 あんたへの想いも、断ち切っておくよ……。




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