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その日にむけて編
第133話 東堂、戦いの前 ★
しおりを挟むちすっ!東堂です。
突然ですが、アス太子と身体の関係になりました。
何でだよーー!
って昔の俺なら言う。絶対に言う。
けど、歳をとるとたいがいの事に寛容になるっていうのかなーー、まあ、いっぺんぐらいそういう時期があってもいい、っていうやつな。
「くっ!ふっ!ふっ!!」
はい、ルートや兵馬みたいに、あんあん言わないってーー、あくまでスポーツみたいなもんよ。
「ああんっ!うんっ!」
あれ?喘いでるぞ、おかしいなーー。そんなつもりはないんだけど、上手いんだよ、このひとー。やりまくってるぜ、絶対に。
そりゃそうか。
面はいいし、金持ちだし、アレがデカい上に、絶倫ときた。モテる要素しかないってやつだわ。
そんなのと、なんで俺がって思うだろ?
「ーーあんま、焦らすなよーー」
苛立ちながら東堂が言うと、アスラーンは面白そうに笑い声をあげた。
「魔力器官の成長が目的ではないのか?」
雄の象徴を重ねて擦りながら、大大国の王太子は揶揄するように言葉を発する。
「気持ちいいことは、大歓迎っす~」
「そうか、そうか、これが欲しいんだな」
言葉責めも大好きとは、若いのにおっさんだ。
「どこが気持ちいいんだ?」
威厳もクソもない姿に東堂は吹きだした。自分の尻の孔を見せるように足をあげる。
「バッチこ~い」
「ーーもう少し色っぽく誘え」
そういう関係でもないのにーー。
東堂は後孔にばかでかいモノを差され、仰け反った。
「ーー引き締まり過ぎだな」
「ケツ締めないと、剣が振れないんで」
うんっ、と声がもれる。
「はあー、いい……」
アスラーンがうっとりとため息をついた。東堂はひっくり返って彼に跨り、腰を揺する。
「動かしますよ」
「ああーー」
ガシガシと音が聞こえそうなぐらい、激しく腰を振る。激しさより、さらに激しく、ふたりは行為に励んだ。
「い、イクッ!」
「まだ、我慢っす!カタくて最高っすよーー!」
にやりと笑うアスラーンに好感はあるものの、それは恋愛感情ではない、と東堂は思う。
何度も言って申し訳ないが、はじまりは魔力器官の成長だ。
東堂はアスラーンに、
「トードォの魔力器官は成長途中で止まっている、成長を再開させるには、魔力の強い相手に自分にあった魔力を注いでもらえばいい。私ならできるぞーー」
と言われキスをされた。
そのときに、少し魔力を注がれただけでいつもより身体が違っていたので、詳しく話を聞きに行く事にした。方法はひとに話せる内容ではなかったが、自分は何としても強い魔法が使いたい。
「ーーなあ、兵馬。おまえどう思う?」
なぜかみんなこいつに相談するよな、と東堂は兵馬に尋ねてみた。
「ーーそうなんだ。嘘はついてなさそうだね。でも、東堂が少しでも嫌ならやめたほうがいいよ」
まともな意見を返される。
「ーーけど、魔力器官の成長を促すなんて、できるヤツが他にいない、って町子がいうぜ」
「必要だと思うんなら、僕はとめないけどーー、アス王太子のこと好きにならない?」
兵馬の言葉に笑って返す。
「やったら好きになる、って中坊かよ!」
「身体の相性はばかにできないよ」
悟りを開いた僧侶のように兵馬が目を細めた。
「すっごいイイ~~!もうヤダ最高~~!奥まで気持ちイイ~~~~!ーー何てヤツ、すぐに見つかるわけねえだろ」
「ーーそうなの……?」
不思議そうな顔で兵馬が首を傾げる。
「おまえら相性いいんだな。ラルさん喜ぶからいまのヤツ言ってみろ」
「えっ!言わないよー」
兵馬は照れたように笑い、取り合わなかった。
その後、東堂はアスラーンの元に通いだした。彼のセックスは強引であそこの孔をめちゃくちゃにされたが、魔力器官は少しずつ成長してるような気がする。
粘膜がちぎれていないか心配した後孔の器官も、だんだん痛みに慣れてきた。
身体の頑丈さには自信があるからなーー。
向こうもそれがわかっていて、どんな無茶もするのだろう。どうせ、魔力器官が成長するまでだ、と東堂は思っていた。
「東堂!」
「おっ、兵馬。どうよ、ちょっと成長しただろ?」
兵馬が心臓のあたりをじっと見る。
「ーーほんとだ。前より魔力量が増えてるよね」
ーーおまえもそうだろ……。ラルさん黙ってんのか?
「なんだか兵馬、ごきげんだな」
「ええ?そうかなーー?」
「ーーなんだろ、愛された者の余裕っつうのか、きれいになったよな」
お世辞でもなく思った事を口にすると、兵馬が吹きだした。
「東堂でもごまをするんだ。僕に頼み事でもあるの?お金ぐらいしか力になれないけど」
「言うことがヤバいヤツだなーー」
金なんかいらねえよ。
「旅行、また行きたいな。6人でさ」
東堂は目を細めた。
「そうだね。結局、ルートが途中で帰ったしね」
懐かしそうに兵馬が笑った。
「おまえら、ずっと一緒だったのにな」
「うん。でも、大学は希望が違ってたからーー。別れが少し早くなっただけだよ」
屈託なく笑う兵馬を見て、東堂も笑った。
「じゃあ、またね」
「ああ!たまにはのろけ話しろよ!」
ふふふっ、とおかしそうに兵馬が手を振る。
姿を確認することもなく、東堂は歩きだした。
まさか、その数十分後に、彼がいなくなるなんて思っても見なかったーー。
最後の笑顔がいつまでも脳裏に映しだされる。
なんで、あいつがーー。
何もできない日々が続いた。
異世界に来て毎日の訓練の中で、自分やひとの死について考える機会は多くあった。
だが、そこにあいつは含まれていなかった。
なのに、死は平等だった。
例外はなく、兵馬は亡くなったーー。
書類上、そう処理された。
これにはアレクセイが怒りを見せ、父親に抗議した。しかし、書類の手続きをしなければ、兵馬のサインなしに動かせないものがあるから、とアダマスは説得したらしい。
東堂は逃げるようにアジャハン国へ行き、アスラーンを求めた。
彼に抱かれているときだけ、兵馬の死を忘れることができた。
「ーーもっとひどく……」
泣きながら懇願する。
ボロ雑巾のようになってもいい、気絶するぐらいひどく抱いて欲しい、と何度もすがった。
「そうかーー」
その日はアスラーンが分身の魔法を使い、東堂を挟むようにふたりが立った。
ふたりは東堂の足をつかんで、前からと後ろから2本の屹立を後孔に突っ込んだ。入り口が裂けるのも気にせずに、肉を割りみっちりと孔を支配していく。
「~~~~~~~!!!」
涙がでた。
頭を振って痛みを逃がす。
凶悪な熱望が東堂のナカで暴れだす。
「ーーもっと、奥まで突いてやろう」
「いい声で泣けーー」
ふたりのアスラーンから激しく攻められ、東堂は気を失うぐらいの快感をその身に受けた。
身体が真っ二つに裂けたのでは、と思うぐらいの痛みが、なぜか快楽になる。イキっぱなしになり、精神がもたず、わけがわからないことを口走ってしまう。
「ぁあ~~~!イイ~~~~~~!!!ヤバい!ヤバいぃぃぃ~~~~~~~~~!!!」
軽々と東堂の足をもち、ふたりはタイミングを合わせて突き続けた。脳内が焼ける。
死ぬかもしれない、けど、それがいいーー。東堂は痛みと快楽でしか自分を保てなかった。
友達がいなくなった現実が、怖くて仕方ない。目が覚めたら、あれは嘘だった、と彼がでてくることを何度も願った。
現実は変わらなかった。
そして、気づく。
負けたからだ。
自分の準備が足りなかったからだめだったのだ。負けたらなくなるのは当然の事だ。
だが、ハオルをそのままにしていてはいけないーー。敵わなくても無駄死にでもいい、あいつの敵を取りたい。
それを生きる原動力にして、東堂は立ちあがった。
「ーーすみません、アス太子」
情事の後に服を着ながら東堂は言った。
「何がだ?」
「無茶させました。俺はもう大丈夫っす」
アスラーンが心配そうに目を細めた。
「ーーおかげで、魔力が強くなった気がします」
「そうか?まだまだーー」
「もう、来ません」
「トードォ?」
「お世話になりました」
頭を下げ東堂は寝室を出た。
「なぜだ?まだ、魔力器官はーー」
「忙しいのに、俺に付き合ってくれて感謝しかないです」
「トードォ、私は!」
「俺は死ぬ覚悟ができましたーー」
目を見開いてアスラーンが東堂を見る。
「じゃっ、絶対にハオルを倒しましょう!」
「トードォ!私は君を愛している!」
「はあっ?何言ってんですか?」
珍獣を見る目で東堂はアスラーンを見た。
「正式に、交際を申し込む」
真剣な眼差しが自分に刺さる。
「…………」
ーーこのひと、付き合いたい人間に、あそこまでするの?かなり引くわ~。
東堂は静かに首を振った。
「アス太子じゃ、俺の生きる意味にはならないっす」
「トードォ……」
いつでもそうだ。
去り際は素っ気なく、他人行儀なぐらいがいい。変に期待をもたせるのは残酷な話だから。
「ーー絶対にあいつだけは、許さねぇーー」
狙うなら、俺を狙えばよかったのに。
東堂は握った拳をそのままに歩きだした。
「トードォ!」
呼びかけには振り向かず、拳を高くあげた。こぼれた涙は見せないのが、別れのルールだ。
ーー結構、いや、かなり好きだったのかもな……。
決戦は近づく。
「絶対に、敵はとるからなーー」
死んでもいいから、血がでるほど握りしめた拳をあいつにぶつけてやりたい。
そのためには何も残さないほうがいいーー。
あんたへの想いも、断ち切っておくよ……。
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