111 / 236
魔法騎士大演習とそれぞれの思惑編(長編)
第101話 素直になる ♡
しおりを挟む
「待てよ!ほんとに、おまえは!」
「ルート、愛している」
「おれも愛してるよ。変態なところも含めて」
あまりに変態すぎて、どうしたらいいのかわからないときもあるがーー。
琉生斗はアレクセイに抱きついた。
見つめ合ってキスをかわす。
「ルート……」
幸せそうな目の色に琉生斗も幸せを感じる。
「大好き」
「ああ、私もだーー」
ふたりは抱きしめ合いながらキスを重ねた。
「ーーラルジュナ様も物好きよねー」
「あの眼鏡の何がいいのかしら?」
「お金にしか興味がないんでしょ?ーー」
はなれたところから女性の話し声が聞こえてきた。琉生斗は眉をしかめて声の方向を見る。
メイド服を着た女性達が、眠そうな顔を隠そうともせずに歩いてきた。
「いじめてください、って顔してるわよね?」
「次、来たら後ろからコーヒーかけちゃう?」
「いいわね、それ!」
「ーーあんたら、何いってんだ!」
琉生斗は女性達の前に立った。
いきなりの出来事に女性達が悲鳴をあげる。
「大国のメイドにしては、教育がなってないな」
アレクセイの言葉に、みるみる顔が青ざめていく。
「も、申し訳ありません……」
「ただの世間話です!」
「お許しください」
「帰れ。アスラーンには私から説明しておく」
冷たい声にメイド達の腰がぬける。
「あっ……」
「そんなーー」
その場にへたり込み、何も言えなくなった。
「超!ムカつく!兵馬とおまえらだったら、兵馬のほうが美人だろうが!」
容姿に自信があったメイド達は、え?、という顔をしたが、琉生斗は自信満々に言い放った。
「なあ、アレク」
「ーーそうかもな」
アレクセイにとって、琉生斗以外の容姿はどうでもいい。
「あいつの良さがわからないなんて、あんたらは不幸だな。行こう、アレク」
「ああ」
「あー、むしゃくしゃする!」
「ルート」
「兵馬はあんなの相手にしないからな、ガツンと返せばいいのに」
「そうだな」
「ーーちょっと寝たい」
「休息所を用意してくれている」
「ーー防音だろうな」
琉生斗の視線にアレクセイは微笑んだ。
「もちろんだ」
アスラーンが仮眠に消え、テントの中には居眠り中のアンダーソニーと、兵馬達だけになった。
「デスビーストノーマル、強いね」
「こんなの作るなんてー、マチコちゃんは天才だよー」
「うん。町子、こっちに来てからほんと楽しそうにしてる」
千里眼鏡を見ながら普通に会話をしているが、ラルジュナが兵馬の手を撫でている。兵馬はラルジュナの肩にもたれているし、ふたりに距離感がない。
「ーーほしいなー」
「デスビースト?」
何に使うのだろう?
「ヒョウマの事だよ」
見つめ合ってキスをかわす。
「ーー演習中はだめだよ」
「えー!アレクセイ達だって、今頃がんばってるよー」
「それは、そうだけど……」
「あっちはよくてボクらはダメなんだー」
そういう問題ではないが。
「バッカイアの魔法騎士も参加するはずだったんでしょ?」
「うーん。でてもうちの魔法騎士じゃ、ロードリンゲンには勝てないし、アジャハンに通用するかも微妙だしー、アスラーンがドベになりたくなかっただけだよー」
「そんなに負けたくないんだね」
「絶対的王太子だからねー。あいつの地位を脅かす奴もいないしー」
「奥の手を使わないで欲しいけど……」
「ボクもそう思ってるよー、どんだけ勝ちたいんだかー」
髪の毛をすきながらラルジュナが言った。洗いたい、とつぶやく。
「負けず嫌いは悪いことじゃないけどね。向こうでも一流のアスリートなんかは、みんな負けず嫌いっていうしーー」
ラルジュナの目が細められる。
「ーーヒョウマ。アスラーンの事、好きー?」
「えっ?」
「ロードリンゲンをでて、すぐに頼ったでしょー?」
「殿下に連れて行かれたから。まわりにはいないタイプだけど、付き合いやすいよ」
「好きー?」
「人間的には好きだよ」
「ふうんー」
ラルジュナが兵馬の頭をポンポンと叩いた。
「妬けるねー。また、襲っちゃおうかなーー」
軽い口調の脅しに、兵馬は笑う。
「ーー僕、ジュナ以外のひとと恋はしないよ」
「……」
「事情が変わってあなたが国に帰るなら、ついてくから」
「ヒョウマーー」
「いらないって言われたら、バッカイアの経済、めちゃくちゃにしてやるからね」
にまにましていうと、ラルジュナが眉を寄せた。
「ーー怖いなー」
「ふふっ」
唇を求め、ラルジュナが兵馬を抱きしめる。深い口づけをかわし彼が熱いため息をついた。
「もう、だめ。抱きたい……」
彼の唇が耳に口づけをして、優しく首すじを舐める。兵馬も彼の背中に手をまわして、ギュッと力を込めた。
「ーーいい匂い……」
思わずつぶやいてしまう。
自分が気にするからと、前より香水を控えてくれている。その分、ラルジュナの匂いがはっきりと感じられ、兵馬はうれしい。
ーー大好き、ジュナ……。
野外でなんて、誰が見ているかわからないのにキスしちゃってるよ、僕ーー。アンダーソニーさん寝たフリじゃないよねーー。
ほんとに誰もいないよね?千里眼鏡はあっちからは見えないよね?
千里眼鏡ーー。
!?
「ーーあっ、ちょっと!ジュナ、これどういうこと!?」
兵馬はその光景に唖然となったーー。
「ルート、愛している」
「おれも愛してるよ。変態なところも含めて」
あまりに変態すぎて、どうしたらいいのかわからないときもあるがーー。
琉生斗はアレクセイに抱きついた。
見つめ合ってキスをかわす。
「ルート……」
幸せそうな目の色に琉生斗も幸せを感じる。
「大好き」
「ああ、私もだーー」
ふたりは抱きしめ合いながらキスを重ねた。
「ーーラルジュナ様も物好きよねー」
「あの眼鏡の何がいいのかしら?」
「お金にしか興味がないんでしょ?ーー」
はなれたところから女性の話し声が聞こえてきた。琉生斗は眉をしかめて声の方向を見る。
メイド服を着た女性達が、眠そうな顔を隠そうともせずに歩いてきた。
「いじめてください、って顔してるわよね?」
「次、来たら後ろからコーヒーかけちゃう?」
「いいわね、それ!」
「ーーあんたら、何いってんだ!」
琉生斗は女性達の前に立った。
いきなりの出来事に女性達が悲鳴をあげる。
「大国のメイドにしては、教育がなってないな」
アレクセイの言葉に、みるみる顔が青ざめていく。
「も、申し訳ありません……」
「ただの世間話です!」
「お許しください」
「帰れ。アスラーンには私から説明しておく」
冷たい声にメイド達の腰がぬける。
「あっ……」
「そんなーー」
その場にへたり込み、何も言えなくなった。
「超!ムカつく!兵馬とおまえらだったら、兵馬のほうが美人だろうが!」
容姿に自信があったメイド達は、え?、という顔をしたが、琉生斗は自信満々に言い放った。
「なあ、アレク」
「ーーそうかもな」
アレクセイにとって、琉生斗以外の容姿はどうでもいい。
「あいつの良さがわからないなんて、あんたらは不幸だな。行こう、アレク」
「ああ」
「あー、むしゃくしゃする!」
「ルート」
「兵馬はあんなの相手にしないからな、ガツンと返せばいいのに」
「そうだな」
「ーーちょっと寝たい」
「休息所を用意してくれている」
「ーー防音だろうな」
琉生斗の視線にアレクセイは微笑んだ。
「もちろんだ」
アスラーンが仮眠に消え、テントの中には居眠り中のアンダーソニーと、兵馬達だけになった。
「デスビーストノーマル、強いね」
「こんなの作るなんてー、マチコちゃんは天才だよー」
「うん。町子、こっちに来てからほんと楽しそうにしてる」
千里眼鏡を見ながら普通に会話をしているが、ラルジュナが兵馬の手を撫でている。兵馬はラルジュナの肩にもたれているし、ふたりに距離感がない。
「ーーほしいなー」
「デスビースト?」
何に使うのだろう?
「ヒョウマの事だよ」
見つめ合ってキスをかわす。
「ーー演習中はだめだよ」
「えー!アレクセイ達だって、今頃がんばってるよー」
「それは、そうだけど……」
「あっちはよくてボクらはダメなんだー」
そういう問題ではないが。
「バッカイアの魔法騎士も参加するはずだったんでしょ?」
「うーん。でてもうちの魔法騎士じゃ、ロードリンゲンには勝てないし、アジャハンに通用するかも微妙だしー、アスラーンがドベになりたくなかっただけだよー」
「そんなに負けたくないんだね」
「絶対的王太子だからねー。あいつの地位を脅かす奴もいないしー」
「奥の手を使わないで欲しいけど……」
「ボクもそう思ってるよー、どんだけ勝ちたいんだかー」
髪の毛をすきながらラルジュナが言った。洗いたい、とつぶやく。
「負けず嫌いは悪いことじゃないけどね。向こうでも一流のアスリートなんかは、みんな負けず嫌いっていうしーー」
ラルジュナの目が細められる。
「ーーヒョウマ。アスラーンの事、好きー?」
「えっ?」
「ロードリンゲンをでて、すぐに頼ったでしょー?」
「殿下に連れて行かれたから。まわりにはいないタイプだけど、付き合いやすいよ」
「好きー?」
「人間的には好きだよ」
「ふうんー」
ラルジュナが兵馬の頭をポンポンと叩いた。
「妬けるねー。また、襲っちゃおうかなーー」
軽い口調の脅しに、兵馬は笑う。
「ーー僕、ジュナ以外のひとと恋はしないよ」
「……」
「事情が変わってあなたが国に帰るなら、ついてくから」
「ヒョウマーー」
「いらないって言われたら、バッカイアの経済、めちゃくちゃにしてやるからね」
にまにましていうと、ラルジュナが眉を寄せた。
「ーー怖いなー」
「ふふっ」
唇を求め、ラルジュナが兵馬を抱きしめる。深い口づけをかわし彼が熱いため息をついた。
「もう、だめ。抱きたい……」
彼の唇が耳に口づけをして、優しく首すじを舐める。兵馬も彼の背中に手をまわして、ギュッと力を込めた。
「ーーいい匂い……」
思わずつぶやいてしまう。
自分が気にするからと、前より香水を控えてくれている。その分、ラルジュナの匂いがはっきりと感じられ、兵馬はうれしい。
ーー大好き、ジュナ……。
野外でなんて、誰が見ているかわからないのにキスしちゃってるよ、僕ーー。アンダーソニーさん寝たフリじゃないよねーー。
ほんとに誰もいないよね?千里眼鏡はあっちからは見えないよね?
千里眼鏡ーー。
!?
「ーーあっ、ちょっと!ジュナ、これどういうこと!?」
兵馬はその光景に唖然となったーー。
43
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます
八神紫音
BL
「嫌ですわ、こんななよなよした男が夫になるなんて。お父様、わたくしこの男とは婚約破棄致しますわ」
ハプソン男爵家の養子である僕、ルカは、エトワール伯爵家のアンネリーゼお嬢様から婚約破棄を言い渡される。更に自分の屋敷に戻った僕に待っていたのは、ハプソン家からの追放だった。
でも、何もかもから捨てられてしまったと言う事は、自由になったと言うこと。僕、解放されたんだ!
一旦かつて育った孤児院に戻ってゆっくり考える事にするのだけれど、その孤児院で王太子殿下から僕の本当の出生を聞かされて、ドSなS級冒険者を護衛に付けて、僕は城下町を旅立った。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる