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アジャハン国の王太子とラッキースケベについて。編
番外編 ブラジャー革命 2
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サンプルは手に入れた。
兵馬はそれをサイズ、cm、生地、質感を細かくデータにしていく。町子がすべてのサイズの数値を覚えていてくれたので、大変助かった。
「えー、適当にあわせてたし~」
姉など、ざっくりしすぎている。
パターンはひけるだろうが、やはり縫製はプロにお願いするよりない。材料にもこだわりたいーー。
問題がひとつある。
近頃、兵馬が神聖ロードリンゲン国で何かをしようとすると、貴族達の横やりがひどいのだ。
他の国ではそういったことがないため、ハーベスター公爵が貴族達に、邪魔をしろ、とでも言っているのだろうか。
ハーベスター公爵家の資産を抜くのは、他国でなら簡単な話だが、このままでは自国では難しい。安定した収入は鉄道からだが、それでも追いつけるかわからない。
アジャハンと並行してロードリンゲンにも線路の敷設したいのだがーー。
必ず土地の権利で揉める。
アレクセイの名前で行っている、言わば国鉄だ。
なのに、渋られる。
しばらくは、ロードリンゲンは後まわしにして、国民の反応を見るしかない。
アジャハンに行けば、鉄道以外の事で王太子から頼まれる事が多いしーー。兵馬としては、もっとロードリンゲンの事業に食い込んでいきたいのだが、貴族達の嫌がらせがあるしーー。
だが、これならば、ご婦人方の支持が得られるはず。この誰もが放置しているブラジャー業界に革命をもたらせばーー、と兵馬は考えたわけだ。
セクシーパンツの方はベルガモットから、是非売ってください、と頼まれた。
あの後、トルイストがしばらく出勤できなかったらしく、効果は抜群のようだ。
アジャハンのセクシーランジェリー店でも、スケスケのキャミソールはたくさんあったが、現代のブラジャーはなかった。東堂が言うには、娼婦もスケスケのキャミソールらしい(なんで知ってんの?)。
軽くて、きつくなくて、しっかり支えてくれる、魔法のブラジャー。
肌に直接触れるものだから、生地もオーガニックコットンを使ってーー。
「何してるのー?」
その声に、自分には同居人がいることを思い出す。
「あっ。なんでもないよ」
ブラジャー片手になんでもないわけないだろう。
「ヒョウマのー?」
笑いながら尋ねられる。
「何でなの」
兵馬は頬を膨らませた。
「すごい、しっかりした縫製だねー?向こうのー?」
ブラジャーを手に取り、ラルジュナがじっくりと観察する。
ーーこのひとなら、これにおさまる本物の胸を知ってるんだろうな。
考えるとモヤモヤする。
「そう。姉さんに作れないか聞かれてね。僕じゃ無理だなー」
「パーツが多いー」
「多い?」
「そうだねー。ここのカップは表布と裏布とレースを挟んで縫うんだろうけど、こののびのびした生地はミシンじゃズレるよー」
「のひのびした生地。そうか、ストレッチがきいてるんだ」
「ああー。こういう生地なんだー。動きやすそうー」
誰のことを考えているんだろうねーー。
「ジュナのシャツも動きやすいよね」
「身体に合わせて手縫いで作ってるからねー。下着なんか、手縫いに自信がある職人がちゃんと作らないと、違和感がでるよー」
「そうだよねー」
姉さんー。こりゃ、僕には無理だー!
「う~ん。こういうの、うちの姉が好きだから聞いてみるー?」
ラルジュナに聞かれ、兵馬は首を縦に振った。
「いいの?」
「うんー。来いってうるさいからー」
「ちなみに、どのお姉様?」
「パッシャー国、王太子妃のリリアム姉さんー」
バッカイア国とも隣接している、農国ナルディアの下にある国だ。
「ーーもう少し位の低い方いないの?」
兵馬の言葉にラルジュナが吹きだした。
「来来国に行った三女のメリアム姉さんは、貴妃だよー」
「それでも四夫人じゃない」
「メリアム姉さんが里帰りすると、皇帝が付いてきて面倒くさかったなー」
「それって、奥さんからしたら名誉なんでしょ?」
「寵愛が深いってやつー?こっちからしたら手間が増えるだけだけどねー。パパより偉そうにしてたしー」
「う~ん」
兵馬は考え込んだ。
来来国ではコルセットはないはずだ。なら、乳当てなはずーー。
「お風呂入ろうー」
「ーーうん」
甘えるように言われたが、兵馬はぼんやりと返事をした。
「ーーあのパンツ履いてくれるー?」
「ーーうん……、ーーうん?」
「やったー!もう、早くしようー♡」
「ちょっと待って!間違えたぁーーー!」
「言い訳は聞きませんー」
泣いてすがる兵馬をすっぱりと拒絶して、ラルジュナが用意をし始めた。
ーー僕のばかぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!
兵馬はそれをサイズ、cm、生地、質感を細かくデータにしていく。町子がすべてのサイズの数値を覚えていてくれたので、大変助かった。
「えー、適当にあわせてたし~」
姉など、ざっくりしすぎている。
パターンはひけるだろうが、やはり縫製はプロにお願いするよりない。材料にもこだわりたいーー。
問題がひとつある。
近頃、兵馬が神聖ロードリンゲン国で何かをしようとすると、貴族達の横やりがひどいのだ。
他の国ではそういったことがないため、ハーベスター公爵が貴族達に、邪魔をしろ、とでも言っているのだろうか。
ハーベスター公爵家の資産を抜くのは、他国でなら簡単な話だが、このままでは自国では難しい。安定した収入は鉄道からだが、それでも追いつけるかわからない。
アジャハンと並行してロードリンゲンにも線路の敷設したいのだがーー。
必ず土地の権利で揉める。
アレクセイの名前で行っている、言わば国鉄だ。
なのに、渋られる。
しばらくは、ロードリンゲンは後まわしにして、国民の反応を見るしかない。
アジャハンに行けば、鉄道以外の事で王太子から頼まれる事が多いしーー。兵馬としては、もっとロードリンゲンの事業に食い込んでいきたいのだが、貴族達の嫌がらせがあるしーー。
だが、これならば、ご婦人方の支持が得られるはず。この誰もが放置しているブラジャー業界に革命をもたらせばーー、と兵馬は考えたわけだ。
セクシーパンツの方はベルガモットから、是非売ってください、と頼まれた。
あの後、トルイストがしばらく出勤できなかったらしく、効果は抜群のようだ。
アジャハンのセクシーランジェリー店でも、スケスケのキャミソールはたくさんあったが、現代のブラジャーはなかった。東堂が言うには、娼婦もスケスケのキャミソールらしい(なんで知ってんの?)。
軽くて、きつくなくて、しっかり支えてくれる、魔法のブラジャー。
肌に直接触れるものだから、生地もオーガニックコットンを使ってーー。
「何してるのー?」
その声に、自分には同居人がいることを思い出す。
「あっ。なんでもないよ」
ブラジャー片手になんでもないわけないだろう。
「ヒョウマのー?」
笑いながら尋ねられる。
「何でなの」
兵馬は頬を膨らませた。
「すごい、しっかりした縫製だねー?向こうのー?」
ブラジャーを手に取り、ラルジュナがじっくりと観察する。
ーーこのひとなら、これにおさまる本物の胸を知ってるんだろうな。
考えるとモヤモヤする。
「そう。姉さんに作れないか聞かれてね。僕じゃ無理だなー」
「パーツが多いー」
「多い?」
「そうだねー。ここのカップは表布と裏布とレースを挟んで縫うんだろうけど、こののびのびした生地はミシンじゃズレるよー」
「のひのびした生地。そうか、ストレッチがきいてるんだ」
「ああー。こういう生地なんだー。動きやすそうー」
誰のことを考えているんだろうねーー。
「ジュナのシャツも動きやすいよね」
「身体に合わせて手縫いで作ってるからねー。下着なんか、手縫いに自信がある職人がちゃんと作らないと、違和感がでるよー」
「そうだよねー」
姉さんー。こりゃ、僕には無理だー!
「う~ん。こういうの、うちの姉が好きだから聞いてみるー?」
ラルジュナに聞かれ、兵馬は首を縦に振った。
「いいの?」
「うんー。来いってうるさいからー」
「ちなみに、どのお姉様?」
「パッシャー国、王太子妃のリリアム姉さんー」
バッカイア国とも隣接している、農国ナルディアの下にある国だ。
「ーーもう少し位の低い方いないの?」
兵馬の言葉にラルジュナが吹きだした。
「来来国に行った三女のメリアム姉さんは、貴妃だよー」
「それでも四夫人じゃない」
「メリアム姉さんが里帰りすると、皇帝が付いてきて面倒くさかったなー」
「それって、奥さんからしたら名誉なんでしょ?」
「寵愛が深いってやつー?こっちからしたら手間が増えるだけだけどねー。パパより偉そうにしてたしー」
「う~ん」
兵馬は考え込んだ。
来来国ではコルセットはないはずだ。なら、乳当てなはずーー。
「お風呂入ろうー」
「ーーうん」
甘えるように言われたが、兵馬はぼんやりと返事をした。
「ーーあのパンツ履いてくれるー?」
「ーーうん……、ーーうん?」
「やったー!もう、早くしようー♡」
「ちょっと待って!間違えたぁーーー!」
「言い訳は聞きませんー」
泣いてすがる兵馬をすっぱりと拒絶して、ラルジュナが用意をし始めた。
ーー僕のばかぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!
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