ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。第三部 第四部

濃子

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アジャハン国の王太子とラッキースケベについて。編

第83話 効果は抜群だった!

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 ーーその頃、兵馬は布団に包まり呆然としていた。

 何が起こったのか、よくわからないーー。

 気絶した後、揺すられて目を覚ますとーー、
「あっ、起きたー。よかったー」
 と笑顔のラルジュナが自分を抱きしめていた。


 だが、次の言葉に兵馬は驚愕する事となる。

「ヒョウマー、次は後ろからねー」

 ちょっとまて。

 心配してくれてたんじゃなくて、まさかやるために起こしたのか?

 しかも、座って後ろからーー。背面座位というやつだ。
「い、いやだよーー」
「なんでー?」
「だ、だって、ち、ち、ち、」
「乳首いじられるのいやー?」

 はっきり言うな。

「し、しつこいんだもん……」
「しつこくしないよー」

 嘘だ。目が嘘だと言っている。

「ヒョウマー。カワイイー」

 そう言われると、言う事を聞くしかないーー。


 そのまま身体を好きにされ、気絶したら起こされ、また行為がはじまりーー。

 何回分したのか、何日分なのかーー。一体いまは何時なのか、考えるのが恐ろしい。しかも、彼の気配がない。

 完全にやり捨てではないだろうか。

 それにしても、身体の中に残るものが拭いても拭いても動く度にでてくる。洗いに行きたいのだが腰が動かない。傷はついていないが、ひどくだるい。

「あー、恥ずかしい……」

 言いながらも兵馬はにやけた。自分から彼の匂いしかしないのは、赤面する事だが同時に嬉しくて仕方がない事でもある。


「はあー、書類書かなくちゃ……」

 よっこいしょ、と身を起こす。

「ーールート、大丈夫だったかな……」
 あっちのほうがやばい状態かもしれない。

 兵馬は気合で起きあがり、こういうときの為に買っておいた腰ベルトを装着する。
「行かなくちゃ……」
  
 何だかんだいっても琉生斗が大好きな兵馬だ。











「あー、やっぱり……」
 部屋に入るとベッドの上で琉生斗が伸びていた。
 服は替えられているから、アレクセイが身体は拭いたのだろう。

 完全に意識がない。

「ーーパンツひとつで、すごい効果だね」

 仕入れてロードリンゲンでも売ってみようかなーー。自国に革命をもたらしそうな考えをいだきながら、ペチペチと琉生斗を叩く。


「ちょっと、ルート!大丈夫!お腹空いてない?」

 アレクセイの気配は感じられない。

「ーーーーーーーーーーーふっ、ーーーーもう、無理だってーーーー」

「はいはい。大丈夫だよ。ポルチーニ茸のリゾット食べる?」

「!」
 琉生斗が目を開けた。


「兵馬ぁ!」

「大丈夫?君、聖女なのに、まあただれちゃってー。これにこりたら、うまい話にホイホイ乗らないでね」

「うん。ーーほんとぉ~に懲りた」
 琉生斗がげんなりした。


「ホットタオル作ろうか?」
「ほんとか!マジ神!」

 兵馬は洗面所でタオルを濡らして、手に持つ。魔法で熱をタオルに与えていく。

「よし、このぐらいかな……」
 イメージするだけでこんな事ができるようになるとはーー。
 魔法って不思議だ。

 腰の違和感を見せないように自然に歩き、ホットタオルを琉生斗に渡す。

「ありがとう!ーー。は~~、落ちつく~」

 アレクセイならアロマオイルも入れるだろうな、と考えながら琉生斗の世話を焼く。
 
「ずっと寝てたの?」
「寝たの朝だもん」

「ーーすごいね、二人とも」
「ああ、おれは意識ないよ。相方が好き放題してただけだ」

「ーーそれでいいんだ」
「つきあってられないよ」

 大きく伸びをして、琉生斗が起きあがる。

「殿下もわりと自分勝手だね」
「相方も、王子だからな。ああいうとこは親父似だよな」

 兵馬は吹きだした。

「無理なときは断らないと」
「ーーうん」
「断ったからって捨てられないよ。逆に捨ててやりなよ」

 自分の言葉に、琉生斗は眉を下げた。

「頭ではわかるんだけど……」

「慣らしといた方がいいと思うよ」

「ん?なんで?」

「妊娠中は無理な時期が多いって聞くし」
「あー、書いてあったなー。神竜なら大丈夫なんじゃないかぁ」

「君の身体が無理なんだよ。若いんだから無理して作らなくても、殿下の性欲が落ちついてからつくったら?」

「そんな簡単に言うなよ~。子供は授かりものだから、避妊はしないって言うしさ」
 
 ふぅー、と長く息を吐きながら、兵馬はクローゼットを開けて琉生斗の服を見る。

「あ~、プール行きたかったな~」
「昼から行く?」
「あっ、マジ?行きたい!」
 
 じゃあ、動きやすい服にしてーー。水着も持ってきているし。

 兵馬は準備をしながらアレクセイを呼んだ。

「殿下ぁ!」

 琉生斗が食事をするので、隣りの部屋で荷物をつめていると、黒い騎士服の美青年が空中からあらわれた。
 アレクセイにしては遅い気がするがーー。

「ーー何だ?」

「ルートがプール行くって?殿下は?」

 尋ねるが、アレクセイからの返事がない。
 何かを考えるように黙っている。

「ーー行かないなら二人で行くよ」

 時間もないので兵馬は相手にしなかった。

「ーールートを頼む」

「え?」

 珍しい事があるものだ。アレクセイが琉生斗と行動を別にするとはーー。

「ーールートといると……」
「はい?」


「ーー襲うかもしれない」
「いつもの事ですね。普段もそうなのに、なんで今日はだめなの?」



「ーーあんな美しいルートを見てしまったら……」
 アレクセイが顔を伏せた。

 兵馬は目を細める。


 この人、コスプレにも弱そうだなーー。と、いうよりはいつもと違うルートを見せれば一発アウトなのだろう。


「殿下ーー。遅れてきた発情期は仕方ないけど、もう少し気づかってあげないと、いつか本当に捨てられるんじゃない?」

 アレクセイの目が大きく見開かれた。


「距離があるから、転移魔法はお願い。後、迎えにきてね」
 テキパキと指示をする。

 琉生斗がキスをねだると、何かに耐えながらアレクセイはそれに応じた。


 アレクセイの魔法で、兵馬と琉生斗はプールに転移した。

 琉生斗がつぶやいた。
「何だろうーー。変なヤツ」

 不思議そうな顔に、兵馬は苦笑した。

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