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アジャハン国の王太子とラッキースケベについて。編
第83話 効果は抜群だった!
しおりを挟むーーその頃、兵馬は布団に包まり呆然としていた。
何が起こったのか、よくわからないーー。
気絶した後、揺すられて目を覚ますとーー、
「あっ、起きたー。よかったー」
と笑顔のラルジュナが自分を抱きしめていた。
だが、次の言葉に兵馬は驚愕する事となる。
「ヒョウマー、次は後ろからねー」
ちょっとまて。
心配してくれてたんじゃなくて、まさかやるために起こしたのか?
しかも、座って後ろからーー。背面座位というやつだ。
「い、いやだよーー」
「なんでー?」
「だ、だって、ち、ち、ち、」
「乳首いじられるのいやー?」
はっきり言うな。
「し、しつこいんだもん……」
「しつこくしないよー」
嘘だ。目が嘘だと言っている。
「ヒョウマー。カワイイー」
そう言われると、言う事を聞くしかないーー。
そのまま身体を好きにされ、気絶したら起こされ、また行為がはじまりーー。
何回分したのか、何日分なのかーー。一体いまは何時なのか、考えるのが恐ろしい。しかも、彼の気配がない。
完全にやり捨てではないだろうか。
それにしても、身体の中に残るものが拭いても拭いても動く度にでてくる。洗いに行きたいのだが腰が動かない。傷はついていないが、ひどくだるい。
「あー、恥ずかしい……」
言いながらも兵馬はにやけた。自分から彼の匂いしかしないのは、赤面する事だが同時に嬉しくて仕方がない事でもある。
「はあー、書類書かなくちゃ……」
よっこいしょ、と身を起こす。
「ーールート、大丈夫だったかな……」
あっちのほうがやばい状態かもしれない。
兵馬は気合で起きあがり、こういうときの為に買っておいた腰ベルトを装着する。
「行かなくちゃ……」
何だかんだいっても琉生斗が大好きな兵馬だ。
「あー、やっぱり……」
部屋に入るとベッドの上で琉生斗が伸びていた。
服は替えられているから、アレクセイが身体は拭いたのだろう。
完全に意識がない。
「ーーパンツひとつで、すごい効果だね」
仕入れてロードリンゲンでも売ってみようかなーー。自国に革命をもたらしそうな考えをいだきながら、ペチペチと琉生斗を叩く。
「ちょっと、ルート!大丈夫!お腹空いてない?」
アレクセイの気配は感じられない。
「ーーーーーーーーーーーふっ、ーーーーもう、無理だってーーーー」
「はいはい。大丈夫だよ。ポルチーニ茸のリゾット食べる?」
「!」
琉生斗が目を開けた。
「兵馬ぁ!」
「大丈夫?君、聖女なのに、まあただれちゃってー。これにこりたら、うまい話にホイホイ乗らないでね」
「うん。ーーほんとぉ~に懲りた」
琉生斗がげんなりした。
「ホットタオル作ろうか?」
「ほんとか!マジ神!」
兵馬は洗面所でタオルを濡らして、手に持つ。魔法で熱をタオルに与えていく。
「よし、このぐらいかな……」
イメージするだけでこんな事ができるようになるとはーー。
魔法って不思議だ。
腰の違和感を見せないように自然に歩き、ホットタオルを琉生斗に渡す。
「ありがとう!ーー。は~~、落ちつく~」
アレクセイならアロマオイルも入れるだろうな、と考えながら琉生斗の世話を焼く。
「ずっと寝てたの?」
「寝たの朝だもん」
「ーーすごいね、二人とも」
「ああ、おれは意識ないよ。相方が好き放題してただけだ」
「ーーそれでいいんだ」
「つきあってられないよ」
大きく伸びをして、琉生斗が起きあがる。
「殿下もわりと自分勝手だね」
「相方も、王子だからな。ああいうとこは親父似だよな」
兵馬は吹きだした。
「無理なときは断らないと」
「ーーうん」
「断ったからって捨てられないよ。逆に捨ててやりなよ」
自分の言葉に、琉生斗は眉を下げた。
「頭ではわかるんだけど……」
「慣らしといた方がいいと思うよ」
「ん?なんで?」
「妊娠中は無理な時期が多いって聞くし」
「あー、書いてあったなー。神竜なら大丈夫なんじゃないかぁ」
「君の身体が無理なんだよ。若いんだから無理して作らなくても、殿下の性欲が落ちついてからつくったら?」
「そんな簡単に言うなよ~。子供は授かりものだから、避妊はしないって言うしさ」
ふぅー、と長く息を吐きながら、兵馬はクローゼットを開けて琉生斗の服を見る。
「あ~、プール行きたかったな~」
「昼から行く?」
「あっ、マジ?行きたい!」
じゃあ、動きやすい服にしてーー。水着も持ってきているし。
兵馬は準備をしながらアレクセイを呼んだ。
「殿下ぁ!」
琉生斗が食事をするので、隣りの部屋で荷物をつめていると、黒い騎士服の美青年が空中からあらわれた。
アレクセイにしては遅い気がするがーー。
「ーー何だ?」
「ルートがプール行くって?殿下は?」
尋ねるが、アレクセイからの返事がない。
何かを考えるように黙っている。
「ーー行かないなら二人で行くよ」
時間もないので兵馬は相手にしなかった。
「ーールートを頼む」
「え?」
珍しい事があるものだ。アレクセイが琉生斗と行動を別にするとはーー。
「ーールートといると……」
「はい?」
「ーー襲うかもしれない」
「いつもの事ですね。普段もそうなのに、なんで今日はだめなの?」
「ーーあんな美しいルートを見てしまったら……」
アレクセイが顔を伏せた。
兵馬は目を細める。
この人、コスプレにも弱そうだなーー。と、いうよりはいつもと違うルートを見せれば一発アウトなのだろう。
「殿下ーー。遅れてきた発情期は仕方ないけど、もう少し気づかってあげないと、いつか本当に捨てられるんじゃない?」
アレクセイの目が大きく見開かれた。
「距離があるから、転移魔法はお願い。後、迎えにきてね」
テキパキと指示をする。
琉生斗がキスをねだると、何かに耐えながらアレクセイはそれに応じた。
アレクセイの魔法で、兵馬と琉生斗はプールに転移した。
琉生斗がつぶやいた。
「何だろうーー。変なヤツ」
不思議そうな顔に、兵馬は苦笑した。
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