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アジャハン国の王太子とラッキースケベについて。編
第82話 東堂は懐かしむ
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のどかな景色の中、その巨大な施設はあった。高台から何台もすべり台が見える。
プールも、子供用から大人用、流れるプール、波のプールなど、たくさんあった。
東堂は向こうの世界を思い出す。
小さい頃から海やプールを好んだ自分のために、夏になると父親が必ず連れて行ってくれた。
夏休み、学童保育が嫌でギャーギャーー言ってたときも、土日は泳ぎにいける、ってがんばったよなー。いま思うと土日の度に連れてくなんて、親父も大変だったよな。
杉田のおじさんもいたから、親父にしてみればデートかーー(※杉田のおじさんの事は第一部、魔法騎士大演習の最後にでてくるぜ。第二部の聖女の禁域にもな!)。
そう思うと、父親もなかなか純愛なひとだ。
聞く機会は永遠に失われたが、杉田のおじさんの事をどう思っていたのかは聞きたかった。
なぜ、おじさんの妻を奪う事にしたのかーー。
「すげえ広い。みんな、迷子になるなよ!」
「はあい」
「わあ!すべり台だぁ!」
「今日は警備を増やしている。トードォも安心して遊びなさい」
「やったあ!」
アスラーンの予想通りアレクセイは来なかった。
「ふふっ。あいつに勝ったのははじめてかもな」
これで面倒な視線を気にせずに、トードォと遊ぶ事ができるなーー。
ちなみに、施設内の職員もしっかりグルである。
さらにーー。
「アスラーン様!」
「来たか、マルテス達」
昨日、竜の背に乗り、見事なアクロバットを披露した竜騎士達があらわれた。
「あっ、竜騎士の皆さん」
「私達、子供が大好きなんで、子守りしますからね!」
「どんどん遊んでください!」
「えー、なんかすみません」
東堂は嬉しそうに頭を下げた。
「ひゃっほぉ!」
東堂は巨大すべり台を滑っていく。スピードがどんどんでて、水しぶきがはじける。
「超おもろー!」
トンネルに入った。
長いトンネルをくぐりながら、首を傾げた。
「あれ?ゆっくりになったーー」
スピードが落ちていく。
「トードォ!」
「わあ!」
後ろからアスラーンが東堂にぶつかった。
「すみません!」
「どうしたんだ?」
しっかりと東堂の肩をつかんでアスラーンが尋ねる。ゆっくりだったスピードは、突然速くなっていき。
「ひゃあー!」
しっかりとくっついたまま、二人はプールに落ちた。
「大丈夫っすか!アス太子!」
「ああ、問題ない」
東堂の胸をつかみながらアスラーンが答えた。
「ーーえと……」
髪の毛を払いながら、東堂は困惑した表情を浮かべる。
「ああ、すまない」
アスラーンが手を離そうとしてーー。
「もしかして、泳ぐの苦手なんすか?」
目を丸くしてアスラーンが下を向いた。
「ーー実は恥ずかしくて言えないのだが、そうなのだ」
「俺でよかったら教えますよ!」
「そんな、トードォの遊ぶ邪魔はできない」
「いやいや、すぐに泳げるようになりますよ!」
ちゃっかりアスラーンは、東堂の手を握りながら泳ぎを教えてもらいだした。
竜騎士達が顔を見合わせて頷き合う。
「どのタイミングで、キスにいく?」
イスラが尋ねる。
「まだ早い」
「そうだね」
サヘラとタルティンが眉を寄せた。
「確実にいけるタイミングを計るぞ」
マルテスの指示に皆が頷いた。
「イエス、リーダー!」
「上手いですよ!アス太子!」
「そうか?トードォに言われると自信がつくなぁ」
すでに自然にボディタッチをしている。ラッキースケベどころではない。
触ってみてますます思う。
身体の硬さも好みだとーー。きっとどれだけやっても頑丈で壊れないだろう。
「トードォ。子供達が流れるプールにいるぞ」
「あっ!行きたいっす!」
「行こう」
「大丈夫っすか?」
「手をつないでいてくれ」
「しゃーなしですよ」
さわやかな笑顔に、アスラーンの胸がときめいた。
プールも、子供用から大人用、流れるプール、波のプールなど、たくさんあった。
東堂は向こうの世界を思い出す。
小さい頃から海やプールを好んだ自分のために、夏になると父親が必ず連れて行ってくれた。
夏休み、学童保育が嫌でギャーギャーー言ってたときも、土日は泳ぎにいける、ってがんばったよなー。いま思うと土日の度に連れてくなんて、親父も大変だったよな。
杉田のおじさんもいたから、親父にしてみればデートかーー(※杉田のおじさんの事は第一部、魔法騎士大演習の最後にでてくるぜ。第二部の聖女の禁域にもな!)。
そう思うと、父親もなかなか純愛なひとだ。
聞く機会は永遠に失われたが、杉田のおじさんの事をどう思っていたのかは聞きたかった。
なぜ、おじさんの妻を奪う事にしたのかーー。
「すげえ広い。みんな、迷子になるなよ!」
「はあい」
「わあ!すべり台だぁ!」
「今日は警備を増やしている。トードォも安心して遊びなさい」
「やったあ!」
アスラーンの予想通りアレクセイは来なかった。
「ふふっ。あいつに勝ったのははじめてかもな」
これで面倒な視線を気にせずに、トードォと遊ぶ事ができるなーー。
ちなみに、施設内の職員もしっかりグルである。
さらにーー。
「アスラーン様!」
「来たか、マルテス達」
昨日、竜の背に乗り、見事なアクロバットを披露した竜騎士達があらわれた。
「あっ、竜騎士の皆さん」
「私達、子供が大好きなんで、子守りしますからね!」
「どんどん遊んでください!」
「えー、なんかすみません」
東堂は嬉しそうに頭を下げた。
「ひゃっほぉ!」
東堂は巨大すべり台を滑っていく。スピードがどんどんでて、水しぶきがはじける。
「超おもろー!」
トンネルに入った。
長いトンネルをくぐりながら、首を傾げた。
「あれ?ゆっくりになったーー」
スピードが落ちていく。
「トードォ!」
「わあ!」
後ろからアスラーンが東堂にぶつかった。
「すみません!」
「どうしたんだ?」
しっかりと東堂の肩をつかんでアスラーンが尋ねる。ゆっくりだったスピードは、突然速くなっていき。
「ひゃあー!」
しっかりとくっついたまま、二人はプールに落ちた。
「大丈夫っすか!アス太子!」
「ああ、問題ない」
東堂の胸をつかみながらアスラーンが答えた。
「ーーえと……」
髪の毛を払いながら、東堂は困惑した表情を浮かべる。
「ああ、すまない」
アスラーンが手を離そうとしてーー。
「もしかして、泳ぐの苦手なんすか?」
目を丸くしてアスラーンが下を向いた。
「ーー実は恥ずかしくて言えないのだが、そうなのだ」
「俺でよかったら教えますよ!」
「そんな、トードォの遊ぶ邪魔はできない」
「いやいや、すぐに泳げるようになりますよ!」
ちゃっかりアスラーンは、東堂の手を握りながら泳ぎを教えてもらいだした。
竜騎士達が顔を見合わせて頷き合う。
「どのタイミングで、キスにいく?」
イスラが尋ねる。
「まだ早い」
「そうだね」
サヘラとタルティンが眉を寄せた。
「確実にいけるタイミングを計るぞ」
マルテスの指示に皆が頷いた。
「イエス、リーダー!」
「上手いですよ!アス太子!」
「そうか?トードォに言われると自信がつくなぁ」
すでに自然にボディタッチをしている。ラッキースケベどころではない。
触ってみてますます思う。
身体の硬さも好みだとーー。きっとどれだけやっても頑丈で壊れないだろう。
「トードォ。子供達が流れるプールにいるぞ」
「あっ!行きたいっす!」
「行こう」
「大丈夫っすか?」
「手をつないでいてくれ」
「しゃーなしですよ」
さわやかな笑顔に、アスラーンの胸がときめいた。
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