上 下
75 / 165
琉生斗と兵馬編

第72話 嫉妬にくるう ★

しおりを挟む
 
 ※今回の話には暴力的な描写がありますので、苦手な方はご注意ください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ーーふふっ、ルートっておもしろいねー」
「おかしいの間違いでしょ?」
 アレクセイの離宮での話をしながら、ラルジュナが兵馬の頬をさらりと撫でた。そのまま唇を奪うと、キスを交わしつつ兵馬の服を脱がせていく。

「んっ、ん……」
「ーーヒョウマの唇は柔らかいねー」
 
 誰と比べてるんだかーー。

 そういう発言は喜ぶべきか、言わないでと頼むべきか、兵馬にはわからない。

「元気だったらよかったよ。僕の事でメンタルが弱くなるのは問題だけどねー」

「ーー何が原因だったのー?」
 髪の毛をすくラルジュナの手がひんやりとして気持ちがいい。

「ーー結局、嫉妬かな……」
「嫉妬ー?」

 ルートには永遠を誓うひとがいるーー。

 それは生涯揺るぐことのない関係だろうーー。


「…………」
 兵馬はラルジュナに抱きついた。彼が真綿で包むように優しく抱きしめてくれる。

「何がうらやましいのー?」

 手で身体を触れられるのが気持ちいいのだが、感じてくるのが恥ずかしくて下を向く。


「ーーだって、ルートはずっと殿下といられるんだから……」
 
「……………」

「だから、あんな事が言えるんだーー」
 兵馬は眉根を寄せた。








「ーーふうんー、そうなんだー」
 ラルジュナがつぶやきをもらした。

 あれ?声が低くなったーー。

 兵馬は顔をあげようとしたが、いきなりうつ伏せになるように押さえ込まれた。


「え?」

 なんで?

 尋ねようと口を開くが、この後の行為により口からは悲鳴がでることになるーー。

「ーーった!い、いっぅ!や、いたぁいぃーーー!!!」

 それは、兵馬にとっては突然すぎた。後孔に指を突っ込まれ痛みに叫ぶ。

「ーーっうー!っーーー!!!」

 涙が滲む。

 動くともっと痛いかもしれないーー。
 
 兵馬は身動きせずに、じっと痛みに耐えた。

 指はすぐに二本、三本となり、配慮もなく兵馬のナカを犯していく。

 されるがままの兵馬の身体を激痛が走る。彼のモノが強引に入ってきた。

「~ぅふっ!」

 激しく腰を動かされ、兵馬は驚きのあまり思考が飛んだ。

「ーー痛いー?」

 尋ねるラルジュナの声が冷たい。

 肩は押さえつけられ、腰は奥へ、奥へと突かれ続ける。
 兵馬は苦しさに号泣した。ひりひりするなんてかわいい痛さじゃない。皮膚をえぐられるような責め苦に、呼吸がうまくできなくなっていく。

 なんでー?

 なんでー?

「ひぃー、ひゅー、ひぃぃー、ひゅぅーー」

 息が吸えない。

 考えられないーー。

 いまは苦しさから逃げたい。

 こんなときに限って意識が落ちない。

「ーーダメー。逃さないーー」

「な、なに、いってんの~~~~!」
 喉はカラカラだったが、乾いた声で叫んだ。

「ーーヒョウマ、アレクセイのこと好きなんでしょー?」
 ぼたぼた、と汗が背中にかかる。兵馬は温かい汗に頭が少し冷静になった。

「だ、誰が!ち、違うよ!!!」

「ーーウソは言わなくていいよー」

「ち、ちがうってぇ!ぼっ、ぼくぅはぁ!き、きぃいてよぉぉぉ!!!っあん!」

 ひどい目にあっているのに、身体がイク。
 兵馬は痙攣しながら快感の波を味わった。身体を無理やり快楽に突き落とされ、幾度となく繰り返される強い刺激。

 後ろの彼は動きをとめない。むしろ激しさが増していく。理性を失ったような行動に、身体の熱だけが人らしさを残していた。

 快感のさらに奥があるなんてーー。

 奥が突き刺さるように痛い。内壁が破れてはいないだろうか。そんな心配もできないほど、荒々しい抽挿に脳が焼ける。

「~~っも、~~うっ~~~ーー」

 あまりにも痛いのに、あまりにも気持ちがいい。弾け飛ぶような感覚を味わい、口からはだらしなく唾液がこぼれていく。

 兵馬はその理性のない獣のような行為に、不思議な愉悦ゆえつを覚えた。

 このひとがここまでになる何かが自分にはあるのだと、本能が感じとったのかもしれないーー。









 激情という名がつきそうな性行為が終わると、ラルジュナが無言で治癒をかける。


「ーーーーなんで?僕は殿下の事なんか好きじゃないよ……」
 
 兵馬は俯いたまま話した。

「ーールートがうらやましいんでしょ?ヒョウマもつらいね」

 ーーあっ!


 ーー違うーー。

「ごめん!ジュナ、僕が悪い!」
 兵馬は慌てて起き上がる。

「いたぁ!」
 後ろの激痛に顔がゆがむ。足がガクガクとして動きそうにない。

「謝らないよ」

「いいよ、僕が悪いんだしーー。ルートに嫉妬してるのは、殿下は関係なくて、違う事だから!」
「何?」

「あ~、う~、その~、ほんとに僕は、殿下なんか好きじゃないから!」

 なんか、に力を込める。

「アレクセイといられるルートがうらやましいんでしょ?」

「意味が違うんだ!」

「理由を言って」
 冷たい目に、兵馬は顔を曇らせた。








「えっとーー、引く話だよー。それでも聞きたい?」

 兵馬は悩んだ。

 正直に言うべきか、何とかごまかそうかーー。

「教えて」

 凍るような話し方に、迷いながら口を開く。






「あー、そのー、僕ね……。ーー子供が産めるかもしれないんだ……」

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

伯爵家のいらない息子は、黒竜様の花嫁になる

ハルアキ
BL
伯爵家で虐げられていた青年と、洞窟で暮らす守護竜の異類婚姻譚。

王は約束の香りを娶る 〜偽りのアルファが俺の運命の番だった件〜

東院さち
BL
オメガであるレフィは母が亡くなった後、フロレシア国の王である義父の命令で神殿に住むことになった。可愛がってくれた義兄エルネストと引き離されて寂しく思いながらも、『迎えに行く』と言ってくれたエルネストの言葉を信じて待っていた。 義父が亡くなったと報されて、その後でやってきた遣いはエルネストの迎えでなく、レフィと亡くなった母を憎む侯爵の手先だった。怪我を負わされ視力を失ったレフィはオークションにかけられる。 オークションで売られてしまったのか、連れてこられた場所でレフィはアルファであるローレルの番にさせられてしまった。身体はアルファであるローレルを受け入れても心は千々に乱れる。そんなレフィにローレルは優しく愛を注ぎ続けるが……。

【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。 溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。 みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。 囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。 サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。 真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。 ☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正 ⭐残酷表現あります。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

処理中です...