ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。第三部 第四部

濃子

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スズの指輪編

第51話 スズの指輪 最終話 ☆

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 琉生斗とアレクセイが消えると、カリーナ達は呆然とした顔で、お互いを見た。


 チロバ厶も、信じられない、という顔だ。

「あ、アレクセイ殿下は、聖女様を、寵愛なさっているみたいですね……」

「当たり前ですわー。寵愛で、溺愛で、狂愛なんですわよ」
 ルッタマイヤがうっとりしている。


「あ、ただの変態ですよ~」
「お騒がせしてすみません。失礼しました。僕らはこの辺でーー」


 劇団キャットラビットの劇団員達は、皆呆然と兵馬達を見送ったが、チロバ厶は突然手を叩いた。


「狂気的な愛の話、誰か書けないか?」
「あ、おもしろいかもねー」

 皆が賛同した。



 彼らは劇団員、どんなことでも芸の肥やしになるのだろうー。














「ーーねえねえ、ジュナ。殿下と何してたの?」

 町子と別れた後、兵馬達はアジャハン国に戻った。

 二人は寄りそうようにソファに腰を下ろす。

「うんー。王太子が婚約者にネックレスを贈りたいから、デザインやってたのー。アレクセイもルートに作るってついでにねー」

「ルート、ネックレスは聖女の証があるでしょ」

 じゃらじゃらは好きじゃないよ。

「ふふっ、ルートはネックレスじゃないよー。また出来上がりをお楽しみにー」

 ラルジュナは兵馬にキスをした。

「ジュナも忙しいひとだね」
「ジュエリーデザイナーは、趣味でやってるだけだからねー」
 きらきらと光り、ラルジュナの姿が変わる。

 奇抜な金の眼鏡をした、神経質そうな青年の姿だ。

「ーー前と違うけど。ステラプルケリマ先生」
「キャラが定まらないんだよねー」

「だいたい、ステラプルケリマなんだから、バッカイア国の人はわかってるんだよね?」

「ボクの名前なんか、知ってる国民のほうが少ないよー」
 ふふふっ、とラルジュナが笑う。

「ラルジュナ・ステラプルケリマ・ユリアムド・アルジュナル・キャロライン・バッカイア」

「すごいねヒョウマー!一度で覚えるなんて、さすがはボクのお嫁さんだー☆」

 頬を擦り寄せられるが、眼鏡があたる。ラルジュナは変化の魔法を解いた。

「両親の名前と、神様の名前が入るんだね」
「うん。普通はパパからなんだけどねー。パパのこだわりでママが先になったのー」


 ーー後悔、してないのかな……。

 少し俯いた兵馬の顎を向け、ラルジュナはキスをした。眼鏡を外し、深いキスに誘う。


「ーーねえ。いいー?」
 キスの合間にラルジュナは尋ねる。


「ーーまだ……」


「嫌ならやめるからー、ねえー?」
 甘えるように言うと、兵馬が赤くなってラルジュナの目を見た。

「……ほんと?」
「うんー。約束するよー」

 ぼんやりと自分を見る目に、ラルジュナはにっこりと微笑んだ。


 フットインザドアが成功するかしないかーー、いや、みっともなくてもいいから、真剣に頼み倒してみようーー。














 広がるのは夜の暗い海。
 ほのかに光るのはクラゲかホタルイカかーー。

 景色を堪能する間もなく、二人は互いにキスを贈り合う。

「ルート……、私を置いて行っては、駄目だろうー」

 わかっているな?

 琉生斗がキスの深さにくらくらしながら頷いた。



「アレクー……」

 琉生斗を四つん這いにして、アレクセイの指が秘部をいじりだす。動きのやらしさに、琉生斗が頭を下げる。

 後孔がひくひくと鳴きだす。すぐに男根を挿れることができる状態だ。


「やん、もういいからぁー。アレクのちょうだいー」 


「欲しい?」
 少し笑って、アレクセイは問う。

「ーーうん」
 琉生斗が潤んだ瞳でアレクセイを見つめた。

「ずっと、つながってたいーー」

 琉生斗の甘えるような声に、アレクセイの理性はどこかへ旅立っていったー。


 ほんの少し残った理性は、どうせまた誰かの入れ知恵なんだろうと、わかってはいたのだがーー。



 挿れたモノで琉生斗の感じる部分を攻める。

「あんっ!あっ、あっ、あっ!」


 嬌声にアレクセイのモノが質量を増していく。荒い息をはきながら、妻の締め付けをじっくりと味わう。

「ルートー、愛しているー」
 耳やうなじを舌でねぶり、手で愛らしい乳首をいじれば、琉生斗の喘ぎは悲鳴のようになる。

「あぁっ~!あぁぁ~~!ーーぅふっ!!」

「ーーかわいいーー」

 体位を変えて自分の上に跨らせる。そのあまりにも扇情的な姿に、アレクセイの息があがっていく。

「美しいな……」

「何、言ってんだよ……。なあ、あそこ誰か泳いでないかー?」

 琉生斗は外が気になった。景色はいいのだが、海からは丸見えだ。アレクセイの希望で灯りはつけられたままなので、暗い所からなら室内はよく見えるだろう。

「私が君の姿を他にさらすわけがないーー」
 手を押さえられ、琉生斗は腰を固定される。

「あっ……」
 琉生斗の目に、この先を期待する色が浮かぶ。

「ルート……。さあ、どこまで耐えられるかな?」
「ーーそれはおまえもだろ」

 挑発するようなきつい眼差し。ゾクゾクする感覚が身体を走る。

 ふふっ、とアレクセイは楽しそうに笑った。


 














「町子ー」
 翌日、琉生斗は神殿帰りに魔導師室に寄った。

「はあい~。ルート君、昨日はお疲れさま~。どうだった~?」

「文字どおり、壊れるほど愛されたぜ」
 琉生斗は引きつりながら言う。

「やだも~、変態~」
 しっしっしっ、と町子に手で払われる。

「で、ティンさんどうだった?」

 尋ねた琉生斗に、町子がにやけてみせた。

「なんだよ、その顔ー」

「保留だって~。わたしが、二十歳になっても気持ちがそのままなら考えます、だって~」

「ほーん」

 町子は誕生日が十一月だ。それぐらい町子なら大丈夫な気がする。


 琉生斗は手を出した。
 
 町子とハイタッチをする。
 


 その右手には、スズの指輪がつけられていた。



 

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