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スズの指輪編

第48話 戦闘中に恋バナをする2人

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 地下60階にもなると戦闘が忙しく、会話をする間がなくなる。
聖人の矢セイントアローー!」
 町子の魔法が冴え、ラルジュナが見事に前衛を引き受けている。


 そして、琉生斗と兵馬は地面を掘っていた。


「ーー何でしてないんだ?」
「ーー聞かないでよ!ルートだって、そんな早くしてないでしょ!」

「いやいや、あれはちょっと可哀想だぞ。おまえすごい大事にされてんじゃん」

 ラルジュナの好感度があがった琉生斗である。

「だ、だって……。あっ、イエローダイヤ」

「おっ、すげぇ。何だよ?」


「か、か、か、カッコ良すぎてーー」

 兵馬が顔を抑えて下を向く。

「ほーん。おっ!レッドダイヤだよ!ピンクはないかぁ?貴重な宝石がゴロゴロでる。さすがは魔王の宝物庫と言われるダンジョンだ」

 魔王が戦利品をその辺に置いた為に、あちこちからお宝がでてくるらしい。


 二人はその後も懸命に地面を掘る。

「じゃあ、いつすんだよ」
「えっー!そ、そんなんどうやって決めるの?」
「うーん。向こうがよそに行きかけるタイミングだな」

「ーー殿下、行ってはないよ」
「いや、あれも浮気と言えば浮気だ」

 琉生斗の心はミジンコより小さいときもある。

「ーー嫌とかじゃないんだよ」

「いいじゃねえか。続くときは何やっても続くし、終わるときは何やっても終わる。それが恋愛関係だ」

 昔、ベルガモットが言っていた言葉を使ってみる。

「うん……」
「だが、結婚は違うぞ。法に守られるからな」

「そうだね……」
「結婚する気があるなら話さなきゃならない話がある」
「ん?何?」

「ーーまたな」


炎熱地獄エクストリー厶ヒートーヘル~!」
「ーーマチコちゃんー、熱いよー」

 炎の威力にラルジュナが驚いている。

「おっ、大魔導師にビビってんぜ」
「ビビってないよ!」
「庇うねー」

 琉生斗は皮肉げに口元をつり上げた。

 

「ノーマルのドラゴンがきたよー」
「わあ~!すごい~!」

 黒いドラゴンがあらわれ、すぐに炎を吐いた。

「あっつ~い~!結界壊れそう~!」

 町子は楽しそうだ。
 ラルジュナは魔法剣を氷にする。

「斬るけど、どうするー?」
「潰しちゃう~」
「了解ー」

 ラルジュナが風のような疾さで駆け、ドラゴンを真っ二つに斬った。

神の息吹ゴッドブレス~!」

 風圧によりドラゴンの身体は塵になる。空気の振動は琉生斗達にも襲いかかりーー。

 目の前の見えない壁にぶつかった。

「あれ?おまえ結界張ったの?」
「ーージュナだよ……」
「あら、愛されてるのね」
 
 見た目軽薄そうなのになーー、琉生斗は親友の彼氏を値踏みするのはやめにした。

「慣れてるだけかもしれないけどなぁ」

 琉生斗の言葉に兵馬が俯いた。

「ーーそれでもいいよ。何番目でも何十番目でも……」

「兵馬ーー。三桁や四桁の可能性もーー」

「ルートのばかぁぁぁぁぁ!!!」








「マチコちゃんー。人喰い巨馬の群れだよー」

 勢いよく炎をまとった巨馬の大群が駆けてくる。

「うわぁ~!強そう~!」
「ボクは剣に集中するねー」
「援護いきま~す~!」
「了解ー」

 敵の中に突っ込みながら、軽やかに足止めをする。脚を斬られた巨馬が炎を噴くも、ラルジュナの剣圧で消し去られ、怒りに巨体を震わせた。

 巨馬の身体がボコボコと不気味な音を立てーー。

深淵なる氷結ディープフリージング~」

 町子から魔法が放たれると、ダンジョンが凍りついた。

「ふふっ、自爆するのがわかったー?」
「わかりました~!」

 町子は粉砕クラッシュの魔法を使って、巨馬達を葬った。


「仲いいな」
「ーーそうだね」
「妬けるか?」
「魔法が使えることにね」

 そら、おれもだわーー。




「おい!ピンクダイヤだ!はじめて見た!」
「ルートでもはじめてなんだ」
「ピンク、ブルー、グリーンはさすがにない。町子!オッケーだぞ!」


 ラルジュナがルーペを出して確認する。
「1カラットの、パープルに近いけどファンシーピンクでいい感じだねー」

「よしっ、これで向こうも納得すんだろ」

 ラルジュナが、ふふっ、と笑った。

「ルートは仲間が大好きなんだねー」

「当たり前だ。巻き込んだからには、老後まで心配しねえとな」

「老後の事はいいよ。君は自分の心配をしないと」
 琉生斗は手を振った。
「それは言うな。相方が面倒くさくなる」

 町子が吹きだした。


 何の話ー?とラルジュナが兵馬に尋ねる。


 その距離の近い二人に、琉生斗は目を細めた。
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