ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。(第一部、第二部、第三部)

濃子

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琉生斗と兵馬編

第72話 嫉妬にくるう ★

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※今回の話には暴力的な描写がありますので、苦手な方はご注意ください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ーーふふっ、ルートっておもしろいねー」
「おかしいの間違いでしょ?」
 アレクセイの離宮での話をしながら、ラルジュナが兵馬の頬をさらりと撫でた。そのまま唇を奪うと、キスを交わしつつ兵馬の服を脱がせていく。

「んっ、ん……」
「ーーヒョウマの唇は柔らかいねー」
 
 誰と比べてるんだかーー。

 そういう発言は喜ぶべきか、言わないでと頼むべきか、兵馬にはわからない。

「元気だったらよかったよ。僕の事でメンタルが弱くなるのは問題だけどねー」

「ーー何が原因だったのー?」
 髪の毛をすくラルジュナの手がひんやりとして気持ちがいい。

「ーー結局、嫉妬かな……」
「嫉妬ー?」

 ルートには永遠を誓うひとがいるーー。

 それは生涯揺るぐことのない関係だろうーー。


「…………」
 兵馬はラルジュナに抱きついた。彼が真綿で包むように優しく抱きしめてくれる。

「何がうらやましいのー?」

 手で身体を触れられるのが気持ちいいのだが、感じてくるのが恥ずかしくて下を向く。


「ーーだって、ルートはずっと殿下といられるんだから……」
 
「……………」

「だから、あんな事が言えるんだーー」
 兵馬は眉根を寄せた。








「ーーふうんー、そうなんだー」
 ラルジュナがつぶやきをもらした。

 あれ?声が低くなったーー。

 兵馬は顔をあげようとしたが、いきなりうつ伏せになるように押さえ込まれた。


「え?」

 なんで?

 尋ねようと口を開くが、この後の行為により口からは悲鳴がでることになるーー。

「ーーった!い、いっぅ!や、いたぁいぃーーー!!!」

 それは、兵馬にとっては突然すぎた。後孔に指を突っ込まれ痛みに叫ぶ。

「ーーっうー!っーーー!!!」

 涙が滲む。

 動くともっと痛いかもしれないーー。
 
 兵馬は身動きせずに、じっと痛みに耐えた。

 指はすぐに二本、三本となり、配慮もなく兵馬のナカを犯していく。

 されるがままの兵馬の身体を激痛が走る。彼のモノが強引に入ってきた。

「~ぅふっ!」

 激しく腰を動かされ、兵馬は驚きのあまり思考が飛んだ。

「ーー痛いー?」

 尋ねるラルジュナの声が冷たい。

 肩は押さえつけられ、腰は奥へ、奥へと突かれ続ける。
 兵馬は苦しさに号泣した。ひりひりするなんてかわいい痛さじゃない。皮膚をえぐられるような責め苦に、呼吸がうまくできなくなっていく。

 なんでー?

 なんでー?

「ひぃー、ひゅー、ひぃぃー、ひゅぅーー」

 息が吸えない。

 考えられないーー。

 いまは苦しさから逃げたい。

 こんなときに限って意識が落ちない。

「ーーダメー。逃さないーー」

「な、なに、いってんの~~~~!」
 喉はカラカラだったが、乾いた声で叫んだ。

「ーーヒョウマ、アレクセイのこと好きなんでしょー?」
 ぼたぼた、と汗が背中にかかる。兵馬は温かい汗に頭が少し冷静になった。

「だ、誰が!ち、違うよ!!!」

「ーーウソは言わなくていいよー」

「ち、ちがうってぇ!ぼっ、ぼくぅはぁ!き、きぃいてよぉぉぉ!!!っあん!」

 ひどい目にあっているのに、身体がイク。
 兵馬は痙攣しながら快感の波を味わった。身体を無理やり快楽に突き落とされ、幾度となく繰り返される強い刺激。

 後ろの彼は動きをとめない。むしろ激しさが増していく。理性を失ったような行動に、身体の熱だけが人らしさを残していた。

 快感のさらに奥があるなんてーー。

 奥が突き刺さるように痛い。内壁が破れてはいないだろうか。そんな心配もできないほど、荒々しい抽挿に脳が焼ける。

「~~っも、~~うっ~~~ーー」

 あまりにも痛いのに、あまりにも気持ちがいい。弾け飛ぶような感覚を味わい、口からはだらしなく唾液がこぼれていく。

 兵馬はその理性のない獣のような行為に、不思議な愉悦ゆえつを覚えた。

 このひとがここまでになる何かが自分にはあるのだと、本能が感じとったのかもしれないーー。









 激情という名がつきそうな性行為が終わると、ラルジュナが無言で治癒をかける。


「ーーーーなんで?僕は殿下の事なんか好きじゃないよ……」
 
 兵馬は俯いたまま話した。

「ーールートがうらやましいんでしょ?ヒョウマもつらいね」

 ーーあっ!


 ーー違うーー。

「ごめん!ジュナ、僕が悪い!」
 兵馬は慌てて起き上がる。

「いたぁ!」
 後ろの激痛に顔がゆがむ。足がガクガクとして動きそうにない。

「謝らないよ」

「いいよ、僕が悪いんだしーー。ルートに嫉妬してるのは、殿下は関係なくて、違う事だから!」
「何?」

「あ~、う~、その~、ほんとに僕は、殿下なんか好きじゃないから!」

 なんか、に力を込める。

「アレクセイといられるルートがうらやましいんでしょ?」

「意味が違うんだ!」

「理由を言って」
 冷たい目に、兵馬は顔を曇らせた。








「えっとーー、引く話だよー。それでも聞きたい?」

 兵馬は悩んだ。

 正直に言うべきか、何とかごまかそうかーー。

「教えて」

 凍るような話し方に、迷いながら口を開く。






「あー、そのー、僕ね……。ーー子供が産めるかもしれないんだ……」

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