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王太子日和編
第61話 クリステイルはパニックを起こす!
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「兵馬はいいヤツだーー」
琉生斗は涙を流しながら友を讃えているが、早く死んでもいいと言われた旦那様はたまったものではない。
「ルート。あれはひどい発言だな」
「七十、八十になったときの話だよ」
おまえだってその頃には、おれの事なんかその辺の漬物石だと思ってるよーー。
「あいつに限ってこんな話がでるとはなー。優等生タイプなのに」
校則もすべて守りそうな、ちょっと面倒くさいヤツだけど。
「すぐに解決したらいいな」
「ああ」
琉生斗はアレクセイにキスをした。
「身体はつらくないか?」
「大丈夫……、抱いてほしい……」
ルート…、と妻の身体に覆いかぶさる。
「愛している」
耳元で囁かれ琉生斗は頷く。
「おれも」
アレクセイの唇が首すじにキスをしていく。手は優しく下におりていき、撫でるように腰を触る。
「アレクーー。かんざしありがとなーー」
「いや、よく似合っていた」
「おれは、もらってばっかりだなー」
琉生斗の言葉をアレクセイが否定する。
「違う……」
「うん?」
「私がもらっている」
「ーー何を?」
琉生斗は目を瞬いた。
「生きる意味だ」
強く言われ、琉生斗は動きをとめた。
そうだ、それは先代に言われた事だーー。
「ーーうん。おれもアレクのために生きてるんだ。一緒に、生き抜こうな」
「ーールート」
魔蝕が続けばつらいけど、アレクのためならおれはもっと踏ん張れるーー。
「強く抱いて……」
自分の生命より大切なひとーー。
「な、何と言いました?」
パニックを起こすクリステイルに、兵馬は根気よく説明する。
「だから、バッコロ町のマーロウさんが、妹さんが王太子にお尻をさわられた、って言ってるの」
「私なわけないでしょ!」
「そこは置いといて、真実をあきらかにしに行くって言ってんでしょ?」
「私じゃありません!」
「なら、さっさと誤解を解かなきゃ!それとも、町娘が被害にあったって何とも思わないの?」
「ーーそうは言ってませんが……」
「ヒョウマ殿、その娘をこちらに連れてきては?」
険しい顔の近衛兵ヒョードルが、兵馬を威嚇するように言葉を放つ。
「ふーん。王太子はアウェイでは戦えないと?」
「ーー不敬ですよ」
「その言葉、好きだね。僕はどっちでもいいけど、被害者を表舞台に引っ張り出して晒し者にするだなんて、王太子の性格からしてあり得ないと思うんだけどーー。これは事実を隠蔽しようとしているのかな?」
「違います!なぜ、信じてくれないのですか?」
「向こうもそう思ってるからだよ。ヒョードルさん、同窓会中、誰の隣に座り、誰と話したかがない。この歓談中と書かれた部分だって時間が抜けてるので説得力に欠けます。制作者は誰です?」
記録帳をめくって兵馬が質問する。
「ーー私です」
ヒョードルが下を向いた。
「平時じゃないときは細かく書くのが鉄則でしょ?食べたものも、トイレも書かれてない。これじゃ、本当に王太子がこの時間、ここにいたのかもあやしいぐらいだ」
「すみません……」
「いや、こんな事に巻き込まれるなんて予測してませんからーー」
「結婚前は、こんな事が出やすいんだよ。もう少ししっかりしたら?君はこの娘さんの事は知ってるね?」
「はいーー。そこが同窓会の会場でしたから」
「手を出そうと思えば出せるね」
「だから、してません!」
「そんな事言ってんじゃないよ!」
兵馬は記録帳を机に叩きつけた。
「君ね!自分がやった、やってないとかじゃないんだよ!こういう悪事を働く奴が君の同期にいる、そこが問題なんだよ!」
「あっ……」
「心あたりは?」
「いえーー、みんな良い友です」
「少なからず、ひとりはそうじゃない。消去法でもいいから考えなよ。君が真剣に考えないなら僕は動かない。ほんとにもう、花蓮の前で生卵をぶつけられたらよかったんだ。花蓮なら笑ってくれるよ」
クリステイルは俯いた。
整列する近衛兵達は、緊張で身動きすらしない。
「これからマーロウさんの家に行くけど、どうするの?」
「…………」
「兵馬!いるか!」
張りつめた空気を破るように、ドアが勢いよく開いた。
「東堂」
「あっ、王太子、ちーす!」
「それは挨拶じゃないね」
「これ、頼まれてたヤツ。変化魔導具関係は紛失も貸し出しもないってさ」
「ごめん。大変だったよね?」
「大丈夫、大丈夫。室長と、変な室長も手伝ってくれた」
「魔科学研究室室長ね」
さて。
「君に化けた線は薄いねー」
兵馬は指を眉間にあてた。
「現場検証といきますか」
「ああ、俺も行くぜ」
「いけるの?」
「ああ。殿下が俺のこと、今日は私用で借りる、って言ってくれた。必要なら、他の騎士も使えって」
「さすがだね。ーーヒョードルさん、その日の参加者名簿はない?」
「あっ、」
「ーー王太子……」
睨む兵馬に怯えながら、クリステイルが頭を捻る。
「えっと……。幹事は、タイリーという者なのですがーー」
兵馬は少し考えるように目を動かした。
「農国ナルディア大公の甥?」
「あっ、そうです!」
「ーーそうか。自国だけじゃないのか。バッコロは学問でトップクラスの学院だしねーー。他に王太子はいない?」
「え?ああ、ミッドガル国のロイドと、ラメルジャック国のピークがいます」
「ーー昨日、挨拶に来てたよね?」
「はい。学友の代表で来てもらいました。ヒョウマ殿、まさか彼らのどちらかがーー」
「マーロウさんは王太子って言ったけど、妹さんからどの国の王太子とは聞いてないからね」
「ロイドもピークも良い友です。皆のリーダー的な存在で」
「そこで知ってるひとの肩はもたない。大事なのは被害者がいる事なんだよ」
「ーーはい。すみません……」
「君は王太子だ。もっと公平に、それこそ俯瞰で物事を見ないと。東堂、町子にタイリーさんを迎えに行くように言って、僕の名前を出せば来てくれるから。後、名簿を忘れずにお願いして」
「よしきた!」
東堂が急いで出て行く。
「ヒョウマ殿、まさかー」
「現場検証って言ったよね?王太子も来なよ」
兵馬の言葉にヒョードルは口を挟んだ。
「いくらヒョウマ殿でも、無礼がすぎると……」
「ーー花蓮にちくるか、殿下に殴られるか、好きな方を選びなよ」
どちらにも救済はない。
「行きます!無実を証明いたします!」
クリステイルは張り切りだした。
「ヒョードルさん。あなたは王太子に、厄介な国民の言葉は無視しろと教育してきたの?」
兵馬に見据えられ、ヒョードルはたじろいだ。自分はこの小さい少年の何を怖がる必要があるのかーー。
「ーーバックが強いとそのような意見も言えるのですね」
上司の言葉に近衛兵達が目を剥いた。
兵馬は軽く眉をあげる。
「おかげさまで。それが、弱者がこの国で発言できる唯一の手段ですのでね」
あちゃー、返り討ちだーー、近衛兵達が目を閉じた。
琉生斗は涙を流しながら友を讃えているが、早く死んでもいいと言われた旦那様はたまったものではない。
「ルート。あれはひどい発言だな」
「七十、八十になったときの話だよ」
おまえだってその頃には、おれの事なんかその辺の漬物石だと思ってるよーー。
「あいつに限ってこんな話がでるとはなー。優等生タイプなのに」
校則もすべて守りそうな、ちょっと面倒くさいヤツだけど。
「すぐに解決したらいいな」
「ああ」
琉生斗はアレクセイにキスをした。
「身体はつらくないか?」
「大丈夫……、抱いてほしい……」
ルート…、と妻の身体に覆いかぶさる。
「愛している」
耳元で囁かれ琉生斗は頷く。
「おれも」
アレクセイの唇が首すじにキスをしていく。手は優しく下におりていき、撫でるように腰を触る。
「アレクーー。かんざしありがとなーー」
「いや、よく似合っていた」
「おれは、もらってばっかりだなー」
琉生斗の言葉をアレクセイが否定する。
「違う……」
「うん?」
「私がもらっている」
「ーー何を?」
琉生斗は目を瞬いた。
「生きる意味だ」
強く言われ、琉生斗は動きをとめた。
そうだ、それは先代に言われた事だーー。
「ーーうん。おれもアレクのために生きてるんだ。一緒に、生き抜こうな」
「ーールート」
魔蝕が続けばつらいけど、アレクのためならおれはもっと踏ん張れるーー。
「強く抱いて……」
自分の生命より大切なひとーー。
「な、何と言いました?」
パニックを起こすクリステイルに、兵馬は根気よく説明する。
「だから、バッコロ町のマーロウさんが、妹さんが王太子にお尻をさわられた、って言ってるの」
「私なわけないでしょ!」
「そこは置いといて、真実をあきらかにしに行くって言ってんでしょ?」
「私じゃありません!」
「なら、さっさと誤解を解かなきゃ!それとも、町娘が被害にあったって何とも思わないの?」
「ーーそうは言ってませんが……」
「ヒョウマ殿、その娘をこちらに連れてきては?」
険しい顔の近衛兵ヒョードルが、兵馬を威嚇するように言葉を放つ。
「ふーん。王太子はアウェイでは戦えないと?」
「ーー不敬ですよ」
「その言葉、好きだね。僕はどっちでもいいけど、被害者を表舞台に引っ張り出して晒し者にするだなんて、王太子の性格からしてあり得ないと思うんだけどーー。これは事実を隠蔽しようとしているのかな?」
「違います!なぜ、信じてくれないのですか?」
「向こうもそう思ってるからだよ。ヒョードルさん、同窓会中、誰の隣に座り、誰と話したかがない。この歓談中と書かれた部分だって時間が抜けてるので説得力に欠けます。制作者は誰です?」
記録帳をめくって兵馬が質問する。
「ーー私です」
ヒョードルが下を向いた。
「平時じゃないときは細かく書くのが鉄則でしょ?食べたものも、トイレも書かれてない。これじゃ、本当に王太子がこの時間、ここにいたのかもあやしいぐらいだ」
「すみません……」
「いや、こんな事に巻き込まれるなんて予測してませんからーー」
「結婚前は、こんな事が出やすいんだよ。もう少ししっかりしたら?君はこの娘さんの事は知ってるね?」
「はいーー。そこが同窓会の会場でしたから」
「手を出そうと思えば出せるね」
「だから、してません!」
「そんな事言ってんじゃないよ!」
兵馬は記録帳を机に叩きつけた。
「君ね!自分がやった、やってないとかじゃないんだよ!こういう悪事を働く奴が君の同期にいる、そこが問題なんだよ!」
「あっ……」
「心あたりは?」
「いえーー、みんな良い友です」
「少なからず、ひとりはそうじゃない。消去法でもいいから考えなよ。君が真剣に考えないなら僕は動かない。ほんとにもう、花蓮の前で生卵をぶつけられたらよかったんだ。花蓮なら笑ってくれるよ」
クリステイルは俯いた。
整列する近衛兵達は、緊張で身動きすらしない。
「これからマーロウさんの家に行くけど、どうするの?」
「…………」
「兵馬!いるか!」
張りつめた空気を破るように、ドアが勢いよく開いた。
「東堂」
「あっ、王太子、ちーす!」
「それは挨拶じゃないね」
「これ、頼まれてたヤツ。変化魔導具関係は紛失も貸し出しもないってさ」
「ごめん。大変だったよね?」
「大丈夫、大丈夫。室長と、変な室長も手伝ってくれた」
「魔科学研究室室長ね」
さて。
「君に化けた線は薄いねー」
兵馬は指を眉間にあてた。
「現場検証といきますか」
「ああ、俺も行くぜ」
「いけるの?」
「ああ。殿下が俺のこと、今日は私用で借りる、って言ってくれた。必要なら、他の騎士も使えって」
「さすがだね。ーーヒョードルさん、その日の参加者名簿はない?」
「あっ、」
「ーー王太子……」
睨む兵馬に怯えながら、クリステイルが頭を捻る。
「えっと……。幹事は、タイリーという者なのですがーー」
兵馬は少し考えるように目を動かした。
「農国ナルディア大公の甥?」
「あっ、そうです!」
「ーーそうか。自国だけじゃないのか。バッコロは学問でトップクラスの学院だしねーー。他に王太子はいない?」
「え?ああ、ミッドガル国のロイドと、ラメルジャック国のピークがいます」
「ーー昨日、挨拶に来てたよね?」
「はい。学友の代表で来てもらいました。ヒョウマ殿、まさか彼らのどちらかがーー」
「マーロウさんは王太子って言ったけど、妹さんからどの国の王太子とは聞いてないからね」
「ロイドもピークも良い友です。皆のリーダー的な存在で」
「そこで知ってるひとの肩はもたない。大事なのは被害者がいる事なんだよ」
「ーーはい。すみません……」
「君は王太子だ。もっと公平に、それこそ俯瞰で物事を見ないと。東堂、町子にタイリーさんを迎えに行くように言って、僕の名前を出せば来てくれるから。後、名簿を忘れずにお願いして」
「よしきた!」
東堂が急いで出て行く。
「ヒョウマ殿、まさかー」
「現場検証って言ったよね?王太子も来なよ」
兵馬の言葉にヒョードルは口を挟んだ。
「いくらヒョウマ殿でも、無礼がすぎると……」
「ーー花蓮にちくるか、殿下に殴られるか、好きな方を選びなよ」
どちらにも救済はない。
「行きます!無実を証明いたします!」
クリステイルは張り切りだした。
「ヒョードルさん。あなたは王太子に、厄介な国民の言葉は無視しろと教育してきたの?」
兵馬に見据えられ、ヒョードルはたじろいだ。自分はこの小さい少年の何を怖がる必要があるのかーー。
「ーーバックが強いとそのような意見も言えるのですね」
上司の言葉に近衛兵達が目を剥いた。
兵馬は軽く眉をあげる。
「おかげさまで。それが、弱者がこの国で発言できる唯一の手段ですのでね」
あちゃー、返り討ちだーー、近衛兵達が目を閉じた。
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