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スズの指輪編
第47話 琉生斗、感心する。
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「魔法陣で降りていくのね」
「そうー。最短で降りてもいいしー、フロアをすべて探索してもいいけどー、記憶魔法陣は、0がつくフロアにしかないからー。調子に乗ると神殿行きだねー」
「全滅だったらどうすんの?」
「他の隊が助けてくれるかー、非常灯を付ければ地下50階までは警備隊がやってくるよー。後は自己責任ー」
「地下50階まで来てくれるの~?」
「ヘッソ島周辺には、竜殺しが多くいるからねー」
「そうなの~。すごい~!」
杖を振り町子がデコボコの地面を直す。
「掘ったら埋めないとコケちゃうわ~」
「マナーが悪い人もいるからねー」
散策もせずにどんどん地下に降り、50階を過ぎた頃、琉生斗が言った。
「あっ、なんかいるぞ」
「ドラゴンクラスが来るのかしら~」
町子がワクワクした表情で、杖を構えている。
「思うんだけどさ、浄化で魔物は倒せないのか?」
「ふふっー、贅沢な魔物の倒し方だねー」
ラルジュナが笑う。
「できるよー。結界でとめようかー?」
「遠慮しとくよ。ここ、神力の回復遅いから」
「そうだねー」
ラルジュナの手が光り長剣があらわれた。
「えっ!」
兵馬が声をあげた。
ダンジョンを埋め尽くすような巨大な大蛇が、音もなく目の前に出現する。
大きな口に牙が光りーー。
「はいー」
二、三度剣を振り、ラルジュナは兵馬に笑顔を見せた。
瞬間、大蛇が斬れた。
「ーーほえー、すごいなぁ」
琉生斗は感心した。
大蛇は細切れにされ、空圧で吹っ飛ぶ。
「天使の炎~」
町子が肉を焼き切る。
「あっ、なんか残ったよ」
町子が頷いて、落ちたものを見る。
「ダイヤかな~」
「イエローダイヤだねー。ボクはブルーが欲しいなー」
残念そうにラルジュナが言った。
「強いんだね」
琉生斗が言うとラルジュナは笑ったまま答えた。
「ボクに惚れちゃダメだよー」
「ああ、ない」
「ふふっー、ボクもないよー。ルート、綺麗だけど好みじゃないしー」
「ーーなんでおれが振られた事になるんだ」
気に食わないなーー、と琉生斗は頭をかいた。
「ルートは、元から同性オッケーなのー?」
「いやいや全然。最初はどうやって断ろうかと思ってたんだ」
「え!そうなの?」
なぜか兵馬が驚いた。
「おまえ、おれが男とできると思ってたのか?」
「けど、すぐに好きになってたでしょ?」
琉生斗は動きがとまった。
「ーーそうなのよ、奥さん。あれは顔が良すぎたのよ」
ふざけた琉生斗に町子は笑った。
「たしかに、美花ちゃんもスパダリでうらやましいって言ってたわ~」
「今じゃ変態呼ばわりだけどね」
ラルジュナが兵馬の前に出て剣を振る。
「あっ……」
剣には大きな蜘蛛が刺さっていて糸を吐いていた。
「ヒョウマー。この蜘蛛の糸切れないよー」
ラルジュナの言葉を聞いて、兵馬は糸を触る。
「ほんとだー。何これ?」
「軍服にも使われる、ストレングスタランチュラの糸だよー。高強度でねー」
「へぇ」
感心しながら、兵馬は糸を巻く。
「無駄がないな、あいつ」
「何でも活用しそうよね~」
「顔が好みだったのー?」
ラルジュナが続きを尋ねた。
「それもある。まあ、一番は……」
一番はーー、何だっけ?
琉生斗は首を捻る。
「決め手は何だったんだろうな」
「えっー。ルートー、よくわからなくて結婚したのー?」
「明確な理由があったのかなかったのか、はたまた押し負けたのか」
琉生斗は考える。
「ルート君~、下に降りるわよ~」
「ああ」
「ーーけどさぁ。実際の話、生命の危険があるところに行って、二人でがんばるわけよ。生命がかかると恋なんてすぐにはじまるんじゃないか?葛城もそうだが、町子や花蓮に東堂、兵馬おまえだっておれのポジションなら結婚してるって」
「それは一理あるね」
兵馬が頷いた。
「けど。その場合、問題は殿下だよ」
「うん?」
「向こうは君に一目惚れしてるんだよね?」
兵馬にじっと見られて、琉生斗は視線を横にする。
「東堂ならまだしも、他のヤツなら、まあいいかってなるんじゃないか?」
気恥ずかしさを隠すためか、ぶっきらぼうに答えた。
「ならないわね~」
「おまえらは、何でそう確信があるんだ?」
琉生斗は呆れながら鼻をかく。
「この前、こんなん考えたんだよーーー」
琉生斗は前に想像した、聖女ハルカと護衛のアレクセイ、アレクセイに想いを寄せる魔法騎士ルートの話をした。
「ーーちょっと面白い~!」
町子は大受けだ。
「なんか、東堂が可哀想だねー」
「何に当てはめたと思ってんだ」
「え?」
「あれよね~。聖女がミントちゃん。護衛がラルジュナさん。魔法騎士が兵馬君なのよね~」
ちなみに、兵馬達にはアレクセイの忘却魔法は効いていない。魔法を発動した場にいた場合、強い魔力を持つ者ならかかりにくいのだ。
「ーー何それ……」
兵馬は苦笑いだ。
「まあ、純愛だなんだ言っても、やっぱり大半は正妻の味方だという結果になるよな」
「心証はそうだよね」
「けど、演劇なんかの話じゃ、三角関係や不倫がウケる」
「だね。お芝居だからいいんじゃない?」
「現実にはご遠慮なんだよなー。おまえなんか結婚はどうすんだ?」
「えっ?」
兵馬は意表をつかれたような顔をした。
「法的にはどうなんの?」
琉生斗がラルジュナに尋ねる。
「アジャハンの国籍を取ろうかなー」
「あっ、完全にバッカイアを抜けるんだ。後々大丈夫なのか?」
「元々、パパの遺産は放棄してるからねー。ボクの資産については、ボクに何かあったら各施設に振り分けるようにしてるしー。隠し資産はアジャハン国に預けてるしねー」
へぇー、しっかりしてるんだな。
琉生斗は感心したように兵馬を見た。
「良い旦那さんだな」
お金にしっかりしているのは好感がもてる。
「そうでしょー」
「でも、あんまり進んでないよな」
琉生斗は意地悪く二人を見た。
兵馬の顔色が変わり、ラルジュナの笑顔が少し引きつった。
「ルート君~、マナー違反よ~」
町子に怒られ、琉生斗はにこにこした。
「うん。悪い悪い、気にしないでくれ」
「そうー。最短で降りてもいいしー、フロアをすべて探索してもいいけどー、記憶魔法陣は、0がつくフロアにしかないからー。調子に乗ると神殿行きだねー」
「全滅だったらどうすんの?」
「他の隊が助けてくれるかー、非常灯を付ければ地下50階までは警備隊がやってくるよー。後は自己責任ー」
「地下50階まで来てくれるの~?」
「ヘッソ島周辺には、竜殺しが多くいるからねー」
「そうなの~。すごい~!」
杖を振り町子がデコボコの地面を直す。
「掘ったら埋めないとコケちゃうわ~」
「マナーが悪い人もいるからねー」
散策もせずにどんどん地下に降り、50階を過ぎた頃、琉生斗が言った。
「あっ、なんかいるぞ」
「ドラゴンクラスが来るのかしら~」
町子がワクワクした表情で、杖を構えている。
「思うんだけどさ、浄化で魔物は倒せないのか?」
「ふふっー、贅沢な魔物の倒し方だねー」
ラルジュナが笑う。
「できるよー。結界でとめようかー?」
「遠慮しとくよ。ここ、神力の回復遅いから」
「そうだねー」
ラルジュナの手が光り長剣があらわれた。
「えっ!」
兵馬が声をあげた。
ダンジョンを埋め尽くすような巨大な大蛇が、音もなく目の前に出現する。
大きな口に牙が光りーー。
「はいー」
二、三度剣を振り、ラルジュナは兵馬に笑顔を見せた。
瞬間、大蛇が斬れた。
「ーーほえー、すごいなぁ」
琉生斗は感心した。
大蛇は細切れにされ、空圧で吹っ飛ぶ。
「天使の炎~」
町子が肉を焼き切る。
「あっ、なんか残ったよ」
町子が頷いて、落ちたものを見る。
「ダイヤかな~」
「イエローダイヤだねー。ボクはブルーが欲しいなー」
残念そうにラルジュナが言った。
「強いんだね」
琉生斗が言うとラルジュナは笑ったまま答えた。
「ボクに惚れちゃダメだよー」
「ああ、ない」
「ふふっー、ボクもないよー。ルート、綺麗だけど好みじゃないしー」
「ーーなんでおれが振られた事になるんだ」
気に食わないなーー、と琉生斗は頭をかいた。
「ルートは、元から同性オッケーなのー?」
「いやいや全然。最初はどうやって断ろうかと思ってたんだ」
「え!そうなの?」
なぜか兵馬が驚いた。
「おまえ、おれが男とできると思ってたのか?」
「けど、すぐに好きになってたでしょ?」
琉生斗は動きがとまった。
「ーーそうなのよ、奥さん。あれは顔が良すぎたのよ」
ふざけた琉生斗に町子は笑った。
「たしかに、美花ちゃんもスパダリでうらやましいって言ってたわ~」
「今じゃ変態呼ばわりだけどね」
ラルジュナが兵馬の前に出て剣を振る。
「あっ……」
剣には大きな蜘蛛が刺さっていて糸を吐いていた。
「ヒョウマー。この蜘蛛の糸切れないよー」
ラルジュナの言葉を聞いて、兵馬は糸を触る。
「ほんとだー。何これ?」
「軍服にも使われる、ストレングスタランチュラの糸だよー。高強度でねー」
「へぇ」
感心しながら、兵馬は糸を巻く。
「無駄がないな、あいつ」
「何でも活用しそうよね~」
「顔が好みだったのー?」
ラルジュナが続きを尋ねた。
「それもある。まあ、一番は……」
一番はーー、何だっけ?
琉生斗は首を捻る。
「決め手は何だったんだろうな」
「えっー。ルートー、よくわからなくて結婚したのー?」
「明確な理由があったのかなかったのか、はたまた押し負けたのか」
琉生斗は考える。
「ルート君~、下に降りるわよ~」
「ああ」
「ーーけどさぁ。実際の話、生命の危険があるところに行って、二人でがんばるわけよ。生命がかかると恋なんてすぐにはじまるんじゃないか?葛城もそうだが、町子や花蓮に東堂、兵馬おまえだっておれのポジションなら結婚してるって」
「それは一理あるね」
兵馬が頷いた。
「けど。その場合、問題は殿下だよ」
「うん?」
「向こうは君に一目惚れしてるんだよね?」
兵馬にじっと見られて、琉生斗は視線を横にする。
「東堂ならまだしも、他のヤツなら、まあいいかってなるんじゃないか?」
気恥ずかしさを隠すためか、ぶっきらぼうに答えた。
「ならないわね~」
「おまえらは、何でそう確信があるんだ?」
琉生斗は呆れながら鼻をかく。
「この前、こんなん考えたんだよーーー」
琉生斗は前に想像した、聖女ハルカと護衛のアレクセイ、アレクセイに想いを寄せる魔法騎士ルートの話をした。
「ーーちょっと面白い~!」
町子は大受けだ。
「なんか、東堂が可哀想だねー」
「何に当てはめたと思ってんだ」
「え?」
「あれよね~。聖女がミントちゃん。護衛がラルジュナさん。魔法騎士が兵馬君なのよね~」
ちなみに、兵馬達にはアレクセイの忘却魔法は効いていない。魔法を発動した場にいた場合、強い魔力を持つ者ならかかりにくいのだ。
「ーー何それ……」
兵馬は苦笑いだ。
「まあ、純愛だなんだ言っても、やっぱり大半は正妻の味方だという結果になるよな」
「心証はそうだよね」
「けど、演劇なんかの話じゃ、三角関係や不倫がウケる」
「だね。お芝居だからいいんじゃない?」
「現実にはご遠慮なんだよなー。おまえなんか結婚はどうすんだ?」
「えっ?」
兵馬は意表をつかれたような顔をした。
「法的にはどうなんの?」
琉生斗がラルジュナに尋ねる。
「アジャハンの国籍を取ろうかなー」
「あっ、完全にバッカイアを抜けるんだ。後々大丈夫なのか?」
「元々、パパの遺産は放棄してるからねー。ボクの資産については、ボクに何かあったら各施設に振り分けるようにしてるしー。隠し資産はアジャハン国に預けてるしねー」
へぇー、しっかりしてるんだな。
琉生斗は感心したように兵馬を見た。
「良い旦那さんだな」
お金にしっかりしているのは好感がもてる。
「そうでしょー」
「でも、あんまり進んでないよな」
琉生斗は意地悪く二人を見た。
兵馬の顔色が変わり、ラルジュナの笑顔が少し引きつった。
「ルート君~、マナー違反よ~」
町子に怒られ、琉生斗はにこにこした。
「うん。悪い悪い、気にしないでくれ」
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