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日常編6
第39話 ウェディングフォト 2
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「おやおや、聖女様。ずいぶんと淑女らしくなられましたな」
「そうですわね。ミハエルお義父様」
琉生斗が優雅に微笑むと、ミハエルは眉根を寄せた。イワンやドミトリー達も、感極まったような顔をする。
「じ、じいちゃんーー」
そんな感動されたら、いつもの軽い気分ではいられないーー。
「ああー、カレンもこんな風に行ってしまうのかー」
「教皇様!」
「悲しいです!」
泣き崩れる司祭コンビを、忌々しい目で琉生斗は睨んだ。
後で琉生斗が写真を見たところ、神殿では自分の顔はすべて真顔だった。
「うわぁー!すごい!!海をライトアップしたんだ!」
満天の星空の下、暗い波が青く光っている。
「どう?いいでしょ?」
「きゃあ!ライトアップ素敵!」
美花が叫ぶ。
あたしもここで撮りたいわーー、美花が目を輝かせている。
「ファウラ、合うかな?」
「糸目の優男だからね。どうなのかな?」
あんた達、うっさいわよ!
「ーー葛城」
「何よ」
琉生斗が照れくさそうに美花の名を呼んだ。
「ありがとなーー」
琉生斗はアレクセイの腕を強く握った。
「やって良かったでしょ?」
美花が鼻高々で、琉生斗を見返す。
「ーーああ」
「嬉しいな!アレク!」
いろんな人が自分達の事を祝って、喜んでくれるなんてーー。
「ルートーー」
アレクセイは琉生斗を抱きあげた。首にしがみついて琉生斗はキスをする。愛のこもったキスを返され、二人はしばらく唇を重ねたまま動かなかった。
シルビア岬から花火があがり、近くで見ていた人達から大歓声があがる。
「あの二人って、あのときの、よね?」
「えー、聖女様と王子様だったんだー」
「結構屋台で見かけるわよー。パイナップル好きみたい」
オランジーの女性達が話をする。
「いいなー。あたしも結婚したいなー」
「あの浮気者と?」
「ううん。今度アジャハンのお見合いツアーに参加するの」
「えー!」
「何それ!あたしも行きたい!」
「あのねー、申込みがねーー」
「ーーあの写真を、お見合いツアーの広告にしようかな」
「ーーあんたって、もうー」
ぶれない弟に、美花は頭を抱えた。
「ルート」
アレクセイは琉生斗の目をじっと見た。
「うん?」
今日はもう、カッコよすぎてアウトだなー、と琉生斗はうっとり蕩けている。
「ーー愛している。今までも、これからもー。永遠に私はルートといたい」
優しく、愛に溢れた声で言われ、琉生斗の瞳からは自然に涙がこぼれた。
「アレクー……」
「ルートーー」
「うん!死んでも一緒にいようなー!」
お互いを深く抱きしめ、撮影は終わる。
大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!
琉生斗は叫んだ。
「ーーはい、皆さんお疲れ様でした。本当にありがとうございます。現像よろしくお願い致します!」
兵馬の言葉に、琉生斗とアレクセイも写真家達に頭を下げた。
「楽しかったです」
「過去1の被写体でしたよ」
彼らも大仕事を終えて、ほっとした顔をしている。
「オランジー大公の屋敷で、関係者は打ち上げしますんで。参加は自由です!」
兵馬の言葉に写真家達が笑顔になった。
「おまえのその細かい配慮はすごいよなー」
「アメとムチは大事だよ」
「考え方はひどいけどーー」
琉生斗は頭の花飾りを取った。
「もう、頭洗いたいー」
髪の毛をしっかり固めるなど、はじめての事なので違和感しかなかったが、かかずに耐えた。
「そうだろうね。殿下ー。いい部屋予約してるよ。ドレスは明日から展示するんで、汚さないように」
美花が吹きだした。
「礼を言う」
アレクセイの目が、今日一番輝いている。
「ばかかぁー!何、いい雰囲気台無しにしてくれてんだぁぁぁぁぁぁぁ!」
琉生斗はアレクセイを叩いた。
「ふむ。ウェディングドレスエッチかーー」
「結婚式場でたまに聞くやつだねー」
アスラーンとラルジュナの会話を聞き、琉生斗は目を剥いた。
「うそだぁぁぁーー!みんな、おれをだましてるんだぁ!!最低だぁぁぁ!!!」
「ーー最後はほんとにみんな悪ノリでさー」
琉生斗は疲れた顔でミハエルに話をする。
「よかったですね。お疲れのようですが、満足した顔をなさっている」
「夜も励んだご様子で」
「汚したドレスもちゃんと復元したんですね」
司祭コンビの汚いものを見るような目は相変わらずだ。
「ーーやかましいわ。アレクへおれをプレゼントしちゃったから、もう凄かったんだから~。至るところにキスしてもらっちゃって、幸せいっぱいだわん~」
言われっぱなしも腹が立つので、琉生斗も言い返した。
イワンとドミトリーの吐きげをもよおすような顔を尻目に、琉生斗はミハエルに頭を下げた。
「じいちゃんも協力してくれてありがとうございます」
「いえいえ。写真を飾るのが楽しみですーー。では今後の予定を話しますよ」
「うん。何?」
「これから、しばらくの間は各神殿をまわります」
「え?これから?」
首を傾げた琉生斗をそのままに、ミハエルはイワンに指示を出した。
イワンが部屋から出て行く。
「失礼します!」
イワンの他、司教のクラリス、神官のカロリンやアニエスが台座を引きずりあらわれた。
「ーーまさか……」
台座の上には箱が置いてある。
「聖女関係だよな」
聖女のアイテムは普通のひとにはすごく重いのだ。
「おやおや、二度目なのでわかりますか」
ミハエルは目を細めた。
「えっ、新しい武器みたいな?」
「箱を開けてくださいーー」
琉生斗は嬉しそうな顔で箱を開けたーー。
笑顔が固まる。
「お、おじいさまー。何ですかこれは?」
目をぱちくりしながら琉生斗はそれを取り出した。
「うわぁ!」
「すごい!」
「この目で見られるなんてぇ!」
神官達が泣き崩れた。
ミハエルも感慨深げに琉生斗の持つその法衣を凝視している。
「わかりませんかーー?」
琉生斗はその、純白の法衣を手に取りしばらく眺めていた。
肩幅にしろ、身幅にしろ、自分より小さい法衣だ。
「ーー綺麗だな」
生地がほんのり光って見える。刺繍が見たこともない模様だ。
「綺麗な法衣だーー。先代の?」
琉生斗は確信をもって尋ねた。
「いいえ」
「あれ?違った?」
このオーラは、聖女の気だけどなーー。
「聖女様のですーー」
ミハエルの言葉に琉生斗は目を見張った。
「まさかー」
琉生斗の表情に、ミハエルは優しく微笑んだ。
「聖女衣良女様から、聖女錫様迄がご着用なされた、聖女の婚礼衣装です」
「そうですわね。ミハエルお義父様」
琉生斗が優雅に微笑むと、ミハエルは眉根を寄せた。イワンやドミトリー達も、感極まったような顔をする。
「じ、じいちゃんーー」
そんな感動されたら、いつもの軽い気分ではいられないーー。
「ああー、カレンもこんな風に行ってしまうのかー」
「教皇様!」
「悲しいです!」
泣き崩れる司祭コンビを、忌々しい目で琉生斗は睨んだ。
後で琉生斗が写真を見たところ、神殿では自分の顔はすべて真顔だった。
「うわぁー!すごい!!海をライトアップしたんだ!」
満天の星空の下、暗い波が青く光っている。
「どう?いいでしょ?」
「きゃあ!ライトアップ素敵!」
美花が叫ぶ。
あたしもここで撮りたいわーー、美花が目を輝かせている。
「ファウラ、合うかな?」
「糸目の優男だからね。どうなのかな?」
あんた達、うっさいわよ!
「ーー葛城」
「何よ」
琉生斗が照れくさそうに美花の名を呼んだ。
「ありがとなーー」
琉生斗はアレクセイの腕を強く握った。
「やって良かったでしょ?」
美花が鼻高々で、琉生斗を見返す。
「ーーああ」
「嬉しいな!アレク!」
いろんな人が自分達の事を祝って、喜んでくれるなんてーー。
「ルートーー」
アレクセイは琉生斗を抱きあげた。首にしがみついて琉生斗はキスをする。愛のこもったキスを返され、二人はしばらく唇を重ねたまま動かなかった。
シルビア岬から花火があがり、近くで見ていた人達から大歓声があがる。
「あの二人って、あのときの、よね?」
「えー、聖女様と王子様だったんだー」
「結構屋台で見かけるわよー。パイナップル好きみたい」
オランジーの女性達が話をする。
「いいなー。あたしも結婚したいなー」
「あの浮気者と?」
「ううん。今度アジャハンのお見合いツアーに参加するの」
「えー!」
「何それ!あたしも行きたい!」
「あのねー、申込みがねーー」
「ーーあの写真を、お見合いツアーの広告にしようかな」
「ーーあんたって、もうー」
ぶれない弟に、美花は頭を抱えた。
「ルート」
アレクセイは琉生斗の目をじっと見た。
「うん?」
今日はもう、カッコよすぎてアウトだなー、と琉生斗はうっとり蕩けている。
「ーー愛している。今までも、これからもー。永遠に私はルートといたい」
優しく、愛に溢れた声で言われ、琉生斗の瞳からは自然に涙がこぼれた。
「アレクー……」
「ルートーー」
「うん!死んでも一緒にいようなー!」
お互いを深く抱きしめ、撮影は終わる。
大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!
琉生斗は叫んだ。
「ーーはい、皆さんお疲れ様でした。本当にありがとうございます。現像よろしくお願い致します!」
兵馬の言葉に、琉生斗とアレクセイも写真家達に頭を下げた。
「楽しかったです」
「過去1の被写体でしたよ」
彼らも大仕事を終えて、ほっとした顔をしている。
「オランジー大公の屋敷で、関係者は打ち上げしますんで。参加は自由です!」
兵馬の言葉に写真家達が笑顔になった。
「おまえのその細かい配慮はすごいよなー」
「アメとムチは大事だよ」
「考え方はひどいけどーー」
琉生斗は頭の花飾りを取った。
「もう、頭洗いたいー」
髪の毛をしっかり固めるなど、はじめての事なので違和感しかなかったが、かかずに耐えた。
「そうだろうね。殿下ー。いい部屋予約してるよ。ドレスは明日から展示するんで、汚さないように」
美花が吹きだした。
「礼を言う」
アレクセイの目が、今日一番輝いている。
「ばかかぁー!何、いい雰囲気台無しにしてくれてんだぁぁぁぁぁぁぁ!」
琉生斗はアレクセイを叩いた。
「ふむ。ウェディングドレスエッチかーー」
「結婚式場でたまに聞くやつだねー」
アスラーンとラルジュナの会話を聞き、琉生斗は目を剥いた。
「うそだぁぁぁーー!みんな、おれをだましてるんだぁ!!最低だぁぁぁ!!!」
「ーー最後はほんとにみんな悪ノリでさー」
琉生斗は疲れた顔でミハエルに話をする。
「よかったですね。お疲れのようですが、満足した顔をなさっている」
「夜も励んだご様子で」
「汚したドレスもちゃんと復元したんですね」
司祭コンビの汚いものを見るような目は相変わらずだ。
「ーーやかましいわ。アレクへおれをプレゼントしちゃったから、もう凄かったんだから~。至るところにキスしてもらっちゃって、幸せいっぱいだわん~」
言われっぱなしも腹が立つので、琉生斗も言い返した。
イワンとドミトリーの吐きげをもよおすような顔を尻目に、琉生斗はミハエルに頭を下げた。
「じいちゃんも協力してくれてありがとうございます」
「いえいえ。写真を飾るのが楽しみですーー。では今後の予定を話しますよ」
「うん。何?」
「これから、しばらくの間は各神殿をまわります」
「え?これから?」
首を傾げた琉生斗をそのままに、ミハエルはイワンに指示を出した。
イワンが部屋から出て行く。
「失礼します!」
イワンの他、司教のクラリス、神官のカロリンやアニエスが台座を引きずりあらわれた。
「ーーまさか……」
台座の上には箱が置いてある。
「聖女関係だよな」
聖女のアイテムは普通のひとにはすごく重いのだ。
「おやおや、二度目なのでわかりますか」
ミハエルは目を細めた。
「えっ、新しい武器みたいな?」
「箱を開けてくださいーー」
琉生斗は嬉しそうな顔で箱を開けたーー。
笑顔が固まる。
「お、おじいさまー。何ですかこれは?」
目をぱちくりしながら琉生斗はそれを取り出した。
「うわぁ!」
「すごい!」
「この目で見られるなんてぇ!」
神官達が泣き崩れた。
ミハエルも感慨深げに琉生斗の持つその法衣を凝視している。
「わかりませんかーー?」
琉生斗はその、純白の法衣を手に取りしばらく眺めていた。
肩幅にしろ、身幅にしろ、自分より小さい法衣だ。
「ーー綺麗だな」
生地がほんのり光って見える。刺繍が見たこともない模様だ。
「綺麗な法衣だーー。先代の?」
琉生斗は確信をもって尋ねた。
「いいえ」
「あれ?違った?」
このオーラは、聖女の気だけどなーー。
「聖女様のですーー」
ミハエルの言葉に琉生斗は目を見張った。
「まさかー」
琉生斗の表情に、ミハエルは優しく微笑んだ。
「聖女衣良女様から、聖女錫様迄がご着用なされた、聖女の婚礼衣装です」
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