217 / 410
海水浴に行きましょう。編
第7話 海水浴に行きました。1☆
しおりを挟む
ーーあったまきたー!
海水浴から帰った後、足腰が立たない琉生斗は、アレクセイに身体を洗ってもらい、ベッドに横たえてもらったのだがーー。
その間、琉生斗は終始むすっとしていた。しかし、旦那様にはその攻撃は効かなかったらしい。
ベッドの中でシルクブランケットでガードしているにもかかわらず、それをはいでキスしてくるのだからー。
「嫌だ」
きっぱりと断るも、アレクセイは不思議そうな顔をした。
「キスは話が別だ。これは儀式のようなものだ」
「ふんだ。今日は何を言われてもいやだ!」
と、勢いよくそっぽ向いた。
「ーーそうか……」
アレクセイは寂しげな声色で、布団の中に入った。その声を聞いて、琉生斗は慌てた。
「いや、だけども、き、キスはしなきゃなー、そうだよなー。うん」
「いいのか?」
下手に出られると、どうしていいかわからない。
「う、うん。キスして……」
アレクセイの深い海の藍色の瞳が潤むのを見て、琉生斗は断ることに罪悪感にも似た気持ちを抱いてしまった。
「ルート…」
見惚れるほど形の良い唇が、琉生斗の唇と重なり、つながりはじめるー。
「あっ……」
喘いでしまったのは自分だ。アレクセイのキスが優しく、気持ちよすぎてーー。
「信じらんねー」
琉生斗はボヤく。
何やってんだ自分。
イケメンほどスカした顔して絶倫て、町子が言ってたのは本当なのかー。
力強い日が差し込んでくる。
「昼に近いなーー」
布団から起きあがる。腰がだるすぎて仕方がない。ただ、孔の中のお掃除はすまされている。本当に色々腹ただしい。
「ーールート、起きたか?」
気配に気づいたのか、涼しい顔のアレクセイが、琉生斗の着替えを持って寝室に入ってきた。
「あぁ」
キスをされる。そのまま押し倒される。
「違う!違う!何なんだよ!」
必死に押し返すが、怖いぐらいびくともしない。おれいちお男なんで、わりと力はあるんだけどー。
「わかっている」
優しく髪の毛を撫でられる。
本当にアレクは、このテンションでいつまでいく気なんだろーー。自分が二十歳過ぎたら落ち着くかなー。
急に落ち着かれても悲しいのだが、ここまで愛されるのもどうかと思う。
「愛している」
「おれも愛しているよ」
力では勝てないので、押してダメなら引いてみろ、とキスに応じる……。
「ーーだから、もう何でこうなんだよ!」
完全に琉生斗はキレた。
「すんなり入ってしまったから……」
「そりゃ、昨日からフルスロットルだからな!」
もう、一緒にいるのが駄目なんだ。いまの時期、幸いにも魔蝕が少ない。
もう、家出してやる!
琉生斗は荷物をまとめ、とりあえず、というか、やはりここに行った。
「じいちゃん、もう今日は匿ってよ~」
メソメソと鳴き真似をし、教皇ミハエルを泣き落とそうとする。
「絶対に泊まるんだから!追い出されてもテント張るんだからーー」
「はいはい、落ちついて。そんなにただれきってるのに何が不満なんです?」
「ただれきってることがだ!」
ほぉ、とミハエルは目を丸くした。
「ようやく心を入れ替えて、真っ当な聖女になる決意をなされたわけですな」
「ーーおれは真っ当な聖女じゃなかったのか」
ミハエルの言葉に、琉生斗は脱力した。
「そうですねー。来年にはカレンがいなくなりますしねー」
ミハエルは涙ぐんだ。後ろで控えていたイワンとドミトリーは声をあげて泣き出した。
「ほ、本当に寂しいことですーー……」
ミハエルはイワンから受け取ったハンカチで涙を拭う。イワンとドミトリーはお互いを励ましあっている。
何だこりゃーー?
「じいちゃん、おれにはそんな態度とらないのに」
琉生斗がぶーたれると、ミハエルは咳払いした。
「結婚を決めたのは聖女様ですよ。私はなんと言いましたか?」
「ーー不貞を働かず夫に尽くせ、と」
「はい、その通り!帰って殿下に謝りなさい!」
「なんでおれがーー」
琉生斗は泣きながら神殿を後にした。
「東堂!頼むよ、ちょっと今日泊めてくれよ!」
訓練中の東堂は琉生斗を見て、きょとんとしている。
「嫌だ」
はっきりと断られる。
「なんでだよ!」
「俺は自分の生命がかわいい」
その場にいた魔法騎士達は、東堂の言葉に深く頷いた。
「まあ、そう言うなよ。ほら、お好み焼き焼いてやるから」
琉生斗は胃袋を懐柔することにした。
「うっそ!まじまじ!食べさせてくれんのかよ!」
「おうよ。厨房借りるぜ。キャベツ切ってくれ」
琉生斗は男子宿舎の厨房を借りてお好み焼きを作り出した。
「モロフ、豚肉薄切りで」
「はい!」
「トルさん、粉混ぜて」
「ーーはいはい」
巻き込まれたトルイストは、心底嫌そうな顔をしている。
「なかなか、大変だよな!」
東堂はひたすらキャベツを切る。
「こんなにキャベツ使うのか?」
「使うんだよー」
海水浴で使った鉄板を用意して、琉生斗はお好み焼きを焼きはじめた。
「卵を割って~♪いれましょう~♫」
陽気に歌を歌いながら、大量に作っている。
「おっ、いい焼き色だな。東堂、ソースとマヨネーズ」
アレクセイが屋台用に熟成してくれたソースを、無断で使用する。
「えー!すげぇーな!まじ売りもんみてー!」
「西にはじいちゃんとよく行ったんだよ」
「ほおん。旅行でか?」
「そうだな。金曜日の夜に飛行機乗ってホテルで寝て、次の日は一日遊んでた。んで、夜に帰って日曜日は一日習い事ざんまいよ」
「じいさんとは仲良かったのか?」
「んー、荷物持ちや、買い物係だな。まあ家にいると親父と遭遇する確率があがるから、おれ基本家にいなかったしな」
なんというか過去の闇が深いのに、ケロッとしてるよなーー、と東堂は不思議でしょうがない。
「すっごい!美味しいですよ!」
モロフや若い魔法騎士達が大喜びで食べている。
「東堂!キャベツが足りねえぞ!」
「まだ、切るのかよ!」
「ソニーさん達にも持っていかなきゃ」
兵馬いわく、こういうところが聖女なんだよーー、と東堂も同じ思いだ。
海水浴から帰った後、足腰が立たない琉生斗は、アレクセイに身体を洗ってもらい、ベッドに横たえてもらったのだがーー。
その間、琉生斗は終始むすっとしていた。しかし、旦那様にはその攻撃は効かなかったらしい。
ベッドの中でシルクブランケットでガードしているにもかかわらず、それをはいでキスしてくるのだからー。
「嫌だ」
きっぱりと断るも、アレクセイは不思議そうな顔をした。
「キスは話が別だ。これは儀式のようなものだ」
「ふんだ。今日は何を言われてもいやだ!」
と、勢いよくそっぽ向いた。
「ーーそうか……」
アレクセイは寂しげな声色で、布団の中に入った。その声を聞いて、琉生斗は慌てた。
「いや、だけども、き、キスはしなきゃなー、そうだよなー。うん」
「いいのか?」
下手に出られると、どうしていいかわからない。
「う、うん。キスして……」
アレクセイの深い海の藍色の瞳が潤むのを見て、琉生斗は断ることに罪悪感にも似た気持ちを抱いてしまった。
「ルート…」
見惚れるほど形の良い唇が、琉生斗の唇と重なり、つながりはじめるー。
「あっ……」
喘いでしまったのは自分だ。アレクセイのキスが優しく、気持ちよすぎてーー。
「信じらんねー」
琉生斗はボヤく。
何やってんだ自分。
イケメンほどスカした顔して絶倫て、町子が言ってたのは本当なのかー。
力強い日が差し込んでくる。
「昼に近いなーー」
布団から起きあがる。腰がだるすぎて仕方がない。ただ、孔の中のお掃除はすまされている。本当に色々腹ただしい。
「ーールート、起きたか?」
気配に気づいたのか、涼しい顔のアレクセイが、琉生斗の着替えを持って寝室に入ってきた。
「あぁ」
キスをされる。そのまま押し倒される。
「違う!違う!何なんだよ!」
必死に押し返すが、怖いぐらいびくともしない。おれいちお男なんで、わりと力はあるんだけどー。
「わかっている」
優しく髪の毛を撫でられる。
本当にアレクは、このテンションでいつまでいく気なんだろーー。自分が二十歳過ぎたら落ち着くかなー。
急に落ち着かれても悲しいのだが、ここまで愛されるのもどうかと思う。
「愛している」
「おれも愛しているよ」
力では勝てないので、押してダメなら引いてみろ、とキスに応じる……。
「ーーだから、もう何でこうなんだよ!」
完全に琉生斗はキレた。
「すんなり入ってしまったから……」
「そりゃ、昨日からフルスロットルだからな!」
もう、一緒にいるのが駄目なんだ。いまの時期、幸いにも魔蝕が少ない。
もう、家出してやる!
琉生斗は荷物をまとめ、とりあえず、というか、やはりここに行った。
「じいちゃん、もう今日は匿ってよ~」
メソメソと鳴き真似をし、教皇ミハエルを泣き落とそうとする。
「絶対に泊まるんだから!追い出されてもテント張るんだからーー」
「はいはい、落ちついて。そんなにただれきってるのに何が不満なんです?」
「ただれきってることがだ!」
ほぉ、とミハエルは目を丸くした。
「ようやく心を入れ替えて、真っ当な聖女になる決意をなされたわけですな」
「ーーおれは真っ当な聖女じゃなかったのか」
ミハエルの言葉に、琉生斗は脱力した。
「そうですねー。来年にはカレンがいなくなりますしねー」
ミハエルは涙ぐんだ。後ろで控えていたイワンとドミトリーは声をあげて泣き出した。
「ほ、本当に寂しいことですーー……」
ミハエルはイワンから受け取ったハンカチで涙を拭う。イワンとドミトリーはお互いを励ましあっている。
何だこりゃーー?
「じいちゃん、おれにはそんな態度とらないのに」
琉生斗がぶーたれると、ミハエルは咳払いした。
「結婚を決めたのは聖女様ですよ。私はなんと言いましたか?」
「ーー不貞を働かず夫に尽くせ、と」
「はい、その通り!帰って殿下に謝りなさい!」
「なんでおれがーー」
琉生斗は泣きながら神殿を後にした。
「東堂!頼むよ、ちょっと今日泊めてくれよ!」
訓練中の東堂は琉生斗を見て、きょとんとしている。
「嫌だ」
はっきりと断られる。
「なんでだよ!」
「俺は自分の生命がかわいい」
その場にいた魔法騎士達は、東堂の言葉に深く頷いた。
「まあ、そう言うなよ。ほら、お好み焼き焼いてやるから」
琉生斗は胃袋を懐柔することにした。
「うっそ!まじまじ!食べさせてくれんのかよ!」
「おうよ。厨房借りるぜ。キャベツ切ってくれ」
琉生斗は男子宿舎の厨房を借りてお好み焼きを作り出した。
「モロフ、豚肉薄切りで」
「はい!」
「トルさん、粉混ぜて」
「ーーはいはい」
巻き込まれたトルイストは、心底嫌そうな顔をしている。
「なかなか、大変だよな!」
東堂はひたすらキャベツを切る。
「こんなにキャベツ使うのか?」
「使うんだよー」
海水浴で使った鉄板を用意して、琉生斗はお好み焼きを焼きはじめた。
「卵を割って~♪いれましょう~♫」
陽気に歌を歌いながら、大量に作っている。
「おっ、いい焼き色だな。東堂、ソースとマヨネーズ」
アレクセイが屋台用に熟成してくれたソースを、無断で使用する。
「えー!すげぇーな!まじ売りもんみてー!」
「西にはじいちゃんとよく行ったんだよ」
「ほおん。旅行でか?」
「そうだな。金曜日の夜に飛行機乗ってホテルで寝て、次の日は一日遊んでた。んで、夜に帰って日曜日は一日習い事ざんまいよ」
「じいさんとは仲良かったのか?」
「んー、荷物持ちや、買い物係だな。まあ家にいると親父と遭遇する確率があがるから、おれ基本家にいなかったしな」
なんというか過去の闇が深いのに、ケロッとしてるよなーー、と東堂は不思議でしょうがない。
「すっごい!美味しいですよ!」
モロフや若い魔法騎士達が大喜びで食べている。
「東堂!キャベツが足りねえぞ!」
「まだ、切るのかよ!」
「ソニーさん達にも持っていかなきゃ」
兵馬いわく、こういうところが聖女なんだよーー、と東堂も同じ思いだ。
2
お気に入りに追加
255
あなたにおすすめの小説
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。


せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。

一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい
司真 緋水銀
ファンタジー
【あらすじ】
一級の警備資格を持つ不思議系マイペース主人公、石原鳴月維(いしはらなつい)は仕事中トラックに轢かれ死亡する。
目を覚ました先は勇者と魔王の争う異世界。
『職業』の『天職』『適職』などにより『資格(センス)』や『技術(スキル)』が決まる世界。
勇者の力になるべく喚ばれた石原の職業は……【天職の警備兵】
周囲に笑いとばされ勇者達にもつま弾きにされた石原だったが…彼はあくまでマイペースに徐々に力を発揮し、周囲を驚嘆させながら自由に生き抜いていく。
--------------------------------------------------------
※基本主人公視点ですが別の人視点も入ります。
改修した改訂版でセリフや分かりにくい部分など変更しました。
小説家になろうさんで先行配信していますのでこちらも応援していただくと嬉しいですっ!
https://ncode.syosetu.com/n7300fi/
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!
ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる