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聖女の国の王族達編
第87話 聖女の国の王族達 10 ー父と娘達は同じベッドでー
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「こ、これはいつの間にーーー」
アダマスは湯浴みを終え自身の寝室に入ると、その光景に目を見開いた。ベッドがいつもの倍の大きさに変わっている。
「どういう事だ?」
不思議そうな顔でベッドの上の琉生斗と花蓮を見る。二人はお揃いの寝衣を着て寝転がっている。
「すごいだろ。ラズベリー様が用意してくれたんだー。三人でも全然余裕だな」
「ルートはどんなプレイを望んでいるんだ?」
笑いながらベッドに近づく。
「私は別のところで寝るのか?」
「いやいや、真ん中へどうぞ」
「ここよ、お義父様」
それを聞き、うきうきでアダマスはベッドの真ん中に座った。
「で、何かしてくれるのか?」
「陛下、アホなのか?」
「お肩を叩きましょうね」
花蓮が歌を歌いながらアダマスの肩を叩いた。
「タントンタントンタントンタン♫」
「そんな歳じゃないのだがー」
「いいじゃねえか。息子はそんな事してくれねーだろ?」
「はははっ、そうだな……」
寝ながら本を読む嫁の色っぽい腰に、アダマスは顔を赤らめた。
これはアレクセイが心配でしょうがないのもわかるなーー。なんだ、この自然に抱いてしまいたくなる色気はー。
アダマスは『息子の嫁』を念じ続けた。
「陛下ー、さっき引き出し漁ったらヤバいもんが出てきたぜー」
「ん?何かあったか?」
琉生斗はアダマスに小さい袋をぶつけた。
「あっ」
アダマスはバツが悪そうな顔をする。
「なあに、お義父様」
「カレンは知らなくていい」
「ラズベリー様には使わないよなー?誰に使うんでしょうねー」
意地悪く琉生斗はコンドームをゴミ箱に投げる。
「それは気に入ってるやつなんだがー」
「最低ー」
溜め息をついて睨まれる。
「アレクもこんなんになるのかーー」
こんなんてーー、アダマスは苦笑した。
「ーールートは、父親が、好きか?」
「いや、全然、まったく、自分でも最低だと思うぐらい拒否だ」
だろうなー。答えを予測して質問したアダマスも、苦笑いだ。
「まあ、陛下は中の下ぐらいの父親だよ。おれの親父なんか下の下の下だけどよ」
本をめくる。
「何!前立腺は、肛門から5センチほど指を挿入し、おへそに向かって指の腹を向けることで見つける!ーーアレクにもやってみようかな」
無理だろうな、とアダマスは思った。
「ーー何を読んでいるんだ……」
「色々と研究してんだよ」
おまえは聖女なのにーー、アダマスは項垂れる。
「バッカイアの書物か」
「うん。兵馬がラルジュナさんにもらったんだって」
「なぜ?」
アダマスの問いに琉生斗も首を捻る。
「何でかな?」
ーーそういう仲だ、わからんのかなー、アダマスは嫁の察しの悪さに嘆息した。
本を置いて琉生斗はアダマスを見た。
「どうよ。陛下、娘と寝れるのは」
「ふふっ、最高だな。ときどきは来てほしいぐらいだ」
琉生斗は笑う。
「ルート」
「何だよ」
「おまえの父は私だぞ」
琉生斗は動きをとめた。
「ーー戸籍上はな……」
「いいや、おまえの父親は教皇と私だ」
アダマスは琉生斗の左側の頭を優しく撫でた。
「なんだよ、変なこと言うなよ……」
琉生斗の目から涙がこぼれた。琉生斗は慌ててそれを袖で拭う。
「ルートくん。悲しいの?大丈夫ー?」
花蓮の心配そうな声を聞きながら琉生斗は泣いた。その間アダマスは、琉生斗の頭をずっと撫でていた。
「さすがにそろそろ話して欲しいのだがーー」
気絶した東堂を抱えたヤヘルに、アレクセイは尋ねる。外は暗い。いい加減帰らないとルートの晩御飯の用意ができないーー、アレクセイの心配はそこにあった。
「では、将軍室に……」
ヤヘルはにやりと笑った。
転移魔法で魔法騎士団の将軍室に戻ると、アンダーソニー達は頭を下げてアレクセイを出迎えた。
「兄上!待っていました!」
クリステイルが立ちあがる。
「どうした?」
「一大事ですよ!この人達ぐるです!」
クリステイルがアンダーソニー達に怒りの目を向けた。
「王太子殿下、落ちついて下さい」
アンダーソニーが頭に血がのぼったクリステイルを宥める。
「何があった?」
眉根を寄せ、アレクセイが問う。
「どうもこうも、カレンと聖女様が、現在父上の寝室にいます!」
クリステイルの言葉に、アレクセイは固まった。
「兄上!しっかりしてください!」
「いくら陛下でも、嫁に手は出しませんよーー」
アンダーソニーが呆れた声をだした。
「ル、ルートが、父、父上とー?」
呆然と目を見張りアレクセイは呟いた。
「そんなわけないでしょうー。殿下しっかりしてください」
ヤヘルが溜め息をついた。
「パボン殿が通して欲しければ兄上を連れてこいと言うので、行きますよ!兄上!」
「ああ……」
「殿下!しっかりなさいませ」
ルッタマイヤに叱責され、アレクセイは父親の元に向かった。
アダマスは湯浴みを終え自身の寝室に入ると、その光景に目を見開いた。ベッドがいつもの倍の大きさに変わっている。
「どういう事だ?」
不思議そうな顔でベッドの上の琉生斗と花蓮を見る。二人はお揃いの寝衣を着て寝転がっている。
「すごいだろ。ラズベリー様が用意してくれたんだー。三人でも全然余裕だな」
「ルートはどんなプレイを望んでいるんだ?」
笑いながらベッドに近づく。
「私は別のところで寝るのか?」
「いやいや、真ん中へどうぞ」
「ここよ、お義父様」
それを聞き、うきうきでアダマスはベッドの真ん中に座った。
「で、何かしてくれるのか?」
「陛下、アホなのか?」
「お肩を叩きましょうね」
花蓮が歌を歌いながらアダマスの肩を叩いた。
「タントンタントンタントンタン♫」
「そんな歳じゃないのだがー」
「いいじゃねえか。息子はそんな事してくれねーだろ?」
「はははっ、そうだな……」
寝ながら本を読む嫁の色っぽい腰に、アダマスは顔を赤らめた。
これはアレクセイが心配でしょうがないのもわかるなーー。なんだ、この自然に抱いてしまいたくなる色気はー。
アダマスは『息子の嫁』を念じ続けた。
「陛下ー、さっき引き出し漁ったらヤバいもんが出てきたぜー」
「ん?何かあったか?」
琉生斗はアダマスに小さい袋をぶつけた。
「あっ」
アダマスはバツが悪そうな顔をする。
「なあに、お義父様」
「カレンは知らなくていい」
「ラズベリー様には使わないよなー?誰に使うんでしょうねー」
意地悪く琉生斗はコンドームをゴミ箱に投げる。
「それは気に入ってるやつなんだがー」
「最低ー」
溜め息をついて睨まれる。
「アレクもこんなんになるのかーー」
こんなんてーー、アダマスは苦笑した。
「ーールートは、父親が、好きか?」
「いや、全然、まったく、自分でも最低だと思うぐらい拒否だ」
だろうなー。答えを予測して質問したアダマスも、苦笑いだ。
「まあ、陛下は中の下ぐらいの父親だよ。おれの親父なんか下の下の下だけどよ」
本をめくる。
「何!前立腺は、肛門から5センチほど指を挿入し、おへそに向かって指の腹を向けることで見つける!ーーアレクにもやってみようかな」
無理だろうな、とアダマスは思った。
「ーー何を読んでいるんだ……」
「色々と研究してんだよ」
おまえは聖女なのにーー、アダマスは項垂れる。
「バッカイアの書物か」
「うん。兵馬がラルジュナさんにもらったんだって」
「なぜ?」
アダマスの問いに琉生斗も首を捻る。
「何でかな?」
ーーそういう仲だ、わからんのかなー、アダマスは嫁の察しの悪さに嘆息した。
本を置いて琉生斗はアダマスを見た。
「どうよ。陛下、娘と寝れるのは」
「ふふっ、最高だな。ときどきは来てほしいぐらいだ」
琉生斗は笑う。
「ルート」
「何だよ」
「おまえの父は私だぞ」
琉生斗は動きをとめた。
「ーー戸籍上はな……」
「いいや、おまえの父親は教皇と私だ」
アダマスは琉生斗の左側の頭を優しく撫でた。
「なんだよ、変なこと言うなよ……」
琉生斗の目から涙がこぼれた。琉生斗は慌ててそれを袖で拭う。
「ルートくん。悲しいの?大丈夫ー?」
花蓮の心配そうな声を聞きながら琉生斗は泣いた。その間アダマスは、琉生斗の頭をずっと撫でていた。
「さすがにそろそろ話して欲しいのだがーー」
気絶した東堂を抱えたヤヘルに、アレクセイは尋ねる。外は暗い。いい加減帰らないとルートの晩御飯の用意ができないーー、アレクセイの心配はそこにあった。
「では、将軍室に……」
ヤヘルはにやりと笑った。
転移魔法で魔法騎士団の将軍室に戻ると、アンダーソニー達は頭を下げてアレクセイを出迎えた。
「兄上!待っていました!」
クリステイルが立ちあがる。
「どうした?」
「一大事ですよ!この人達ぐるです!」
クリステイルがアンダーソニー達に怒りの目を向けた。
「王太子殿下、落ちついて下さい」
アンダーソニーが頭に血がのぼったクリステイルを宥める。
「何があった?」
眉根を寄せ、アレクセイが問う。
「どうもこうも、カレンと聖女様が、現在父上の寝室にいます!」
クリステイルの言葉に、アレクセイは固まった。
「兄上!しっかりしてください!」
「いくら陛下でも、嫁に手は出しませんよーー」
アンダーソニーが呆れた声をだした。
「ル、ルートが、父、父上とー?」
呆然と目を見張りアレクセイは呟いた。
「そんなわけないでしょうー。殿下しっかりしてください」
ヤヘルが溜め息をついた。
「パボン殿が通して欲しければ兄上を連れてこいと言うので、行きますよ!兄上!」
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