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魔法騎士大演習 亡霊城編(ファンタジー系 長編)
第76話 亡霊城攻略 12 ー魔法騎士達の戦いー
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ローブを被った亡霊に、マリアとエリヤフも苦しめられていた。
ようやく、謁見の間まで来た。魔法騎士達も、残り僅かだ。彼らも疲労を越えて、もはや顔色がおかしい。
「来るわ!」
亡霊から最高位の魔法が放たれる。
炎の渦に、結界を展開する。
「くっ!」
なんて威力!
マリアの結界が破壊されていく。
破壊された瞬間に、こちらも魔法を撃つ。
「天空の槍!」
タイミングがよかったのか、亡霊は結界を出す間もなく魔法が直撃した。
息を整える。
子供達は元気かしらー。パボンがヒョウマ殿からもらったおもちゃ、全員で取り合っていないかしらーー。
心を落ち着かせて、マリアは剣を構え向かって行く。軽い魔法なら剣で弾き、亡霊を斬り裂く。
まだまだ!
エリヤフも剣を振り続ける。とまれば乗っ取られるのはわかっている。苦しかろうが、意識が飛ぼうが、身体を動かさなければーー。
『デスビーストーー』
亡霊が声を発した。そのおぞましさにエリヤフは身を竦めた。亡霊から魔物より高位な存在、魔獣が放たれた。
「エリヤフ!」
マリアの叫ぶを遠くに聞いた。エリヤフは真っ赤な、虎が腐ったような魔獣に噛み付かれ、意識を完全に失った。魔獣はそのまま、他の魔法騎士までも噛み砕いていくーー。
魔導師ゼノスが箒で飛んできて、エリヤフや、重症の魔法騎士を連れて行った。
ひとりかーー。まさか自分がここまで残るとはー。
トルイストやファウラと違い、天才でも魔力が高い訳でもない自分がー。同じ女性魔法騎士だが、ルッタマイヤとは天と地ほどに強さに差がある自分がー。
残った魔力で結界を張り、魔獣を防ぐ。
鋭い爪が、結界を斬り裂いていく。
結界にヒビが入った。
ここまでか!
「天空の雷!」
女の子の声が響いた。。
もしかして!
「マリア大隊長!大丈夫ですか!」
東堂が叫んだ。
マリアを庇うように、魔獣と対峙する。
あいつ急に張り切りだしたな、とトルイスト達は感じた。
「トードォ」
トルイストが冷静に言う。
「なんすか!」
牙と爪を弾き、東堂は立ち向かう。
「人妻はやめておけ!」
「夢見させて下さいよぉ!」
魔獣に剣を突き刺す。突きの威力に、魔獣は吹っ飛び、消える。
「あのグロさは町子の魔法だな」
「うん。町子っぽいわ」
町子のイメージってーー。
『デスビースト』
他の亡霊までもが魔獣を出す。
赤黒い獅子の魔獣が唸る。
「容赦ないのも町子みたい」
美花ががっくりとする。
そして、美花は今回の演習ではじめて剣を抜いた。両手で剣を構え、剣を天に捧げるようにあげる。
「光の王!」
自分がいま放てる、最高位の光魔法だ。
町子、あたしあんたには負けない!あんたもあたしに負けんじゃないわよ。早く、起きなさいよ!
美花の光の魔法が、謁見の間の亡霊を消し去る。きらきらと、輝き、謁見の間は光に満ちた。
これで、終わっても大丈夫。よくやったわよ、あたしーー。
美花は気を失った。
「ミハナ!」
ファウラが支える。
安全な場所などないー。どうする?魔導師を呼ぶしかないかー。
それは、突然だった。
ファウラは恐怖した。背後から湧き上がっていく恐ろしい闇に。トルイストも動きをとめた。東堂の手から聖剣が落ちる。
からーん。
音が響いた。
静かに、亡霊王は現れた。
ようやく、謁見の間まで来た。魔法騎士達も、残り僅かだ。彼らも疲労を越えて、もはや顔色がおかしい。
「来るわ!」
亡霊から最高位の魔法が放たれる。
炎の渦に、結界を展開する。
「くっ!」
なんて威力!
マリアの結界が破壊されていく。
破壊された瞬間に、こちらも魔法を撃つ。
「天空の槍!」
タイミングがよかったのか、亡霊は結界を出す間もなく魔法が直撃した。
息を整える。
子供達は元気かしらー。パボンがヒョウマ殿からもらったおもちゃ、全員で取り合っていないかしらーー。
心を落ち着かせて、マリアは剣を構え向かって行く。軽い魔法なら剣で弾き、亡霊を斬り裂く。
まだまだ!
エリヤフも剣を振り続ける。とまれば乗っ取られるのはわかっている。苦しかろうが、意識が飛ぼうが、身体を動かさなければーー。
『デスビーストーー』
亡霊が声を発した。そのおぞましさにエリヤフは身を竦めた。亡霊から魔物より高位な存在、魔獣が放たれた。
「エリヤフ!」
マリアの叫ぶを遠くに聞いた。エリヤフは真っ赤な、虎が腐ったような魔獣に噛み付かれ、意識を完全に失った。魔獣はそのまま、他の魔法騎士までも噛み砕いていくーー。
魔導師ゼノスが箒で飛んできて、エリヤフや、重症の魔法騎士を連れて行った。
ひとりかーー。まさか自分がここまで残るとはー。
トルイストやファウラと違い、天才でも魔力が高い訳でもない自分がー。同じ女性魔法騎士だが、ルッタマイヤとは天と地ほどに強さに差がある自分がー。
残った魔力で結界を張り、魔獣を防ぐ。
鋭い爪が、結界を斬り裂いていく。
結界にヒビが入った。
ここまでか!
「天空の雷!」
女の子の声が響いた。。
もしかして!
「マリア大隊長!大丈夫ですか!」
東堂が叫んだ。
マリアを庇うように、魔獣と対峙する。
あいつ急に張り切りだしたな、とトルイスト達は感じた。
「トードォ」
トルイストが冷静に言う。
「なんすか!」
牙と爪を弾き、東堂は立ち向かう。
「人妻はやめておけ!」
「夢見させて下さいよぉ!」
魔獣に剣を突き刺す。突きの威力に、魔獣は吹っ飛び、消える。
「あのグロさは町子の魔法だな」
「うん。町子っぽいわ」
町子のイメージってーー。
『デスビースト』
他の亡霊までもが魔獣を出す。
赤黒い獅子の魔獣が唸る。
「容赦ないのも町子みたい」
美花ががっくりとする。
そして、美花は今回の演習ではじめて剣を抜いた。両手で剣を構え、剣を天に捧げるようにあげる。
「光の王!」
自分がいま放てる、最高位の光魔法だ。
町子、あたしあんたには負けない!あんたもあたしに負けんじゃないわよ。早く、起きなさいよ!
美花の光の魔法が、謁見の間の亡霊を消し去る。きらきらと、輝き、謁見の間は光に満ちた。
これで、終わっても大丈夫。よくやったわよ、あたしーー。
美花は気を失った。
「ミハナ!」
ファウラが支える。
安全な場所などないー。どうする?魔導師を呼ぶしかないかー。
それは、突然だった。
ファウラは恐怖した。背後から湧き上がっていく恐ろしい闇に。トルイストも動きをとめた。東堂の手から聖剣が落ちる。
からーん。
音が響いた。
静かに、亡霊王は現れた。
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