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魔法騎士大演習 亡霊城編(ファンタジー系 長編)
第74話 亡霊城攻略 10 ー美花自信喪失すー
しおりを挟む「え!町子がですか!」
東堂はトルイストの言葉に目を見開いた。美花も、うっわー、と青くなる。
この疲労感が限界な状態に、町子の能力を持った亡霊が来たらー。
「終わんな、これ」
素直に東堂が言う。それでなくても三階からなかなか奥へ進めなくなっている。
「大隊長、じゃなかった、師団長、町子がなんで?」
「他の魔導師を庇って、取り込まれてしまった。その魔導師も意識がないー」
「もう、外に行きましたか?」
「気付いていないのか?」
「え?」
「ミハナ、転移魔法が使えません。強力な結界が城のまわりに張られています」
ファウラが教えてくれる。
「そうだ、魔導師室長もこちらに来れん」
あれ?
「これってもしかしてーー」
「限りなく全滅に近い状況だー」
どうすんだーー、おいー。
東堂は状況を整理した。
「亡霊に乗っ取られた魔法騎士はどうなりますか?」
「魔導師はまだいるから、それは大丈夫だ。転移ができないから、安全に確保すると言っていた」
「呪いは神官がいるから大丈夫なのかーー。じゃあ、おれたちは亡霊を倒すだけっすね!」
明るく言ったが、皆顔色が悪い。
疲れに疲れて、モロフなど床に倒れている。ゲロ甘飴玉ももうない。
中でも美花の消耗がひどい。言うと怒るだろうが、一気に老けた感じになっている。魔力の使い過ぎだ。
「来たぞ」
トルイストの組も、残りの人数は僅かになっていた。豪傑で知られる小隊長ガーズもいない。
亡霊と亡霊剣士に加え、魔導師のローブを被った亡霊までいる。
「結界は任せて下さい!」
ファウラが強力な結界を張る。その上で、攻撃魔法も放つ。さすがは魔法力では魔法騎士一の実力者である。ここまで追い込まれても、なお技は冴えわたる。
「はっ!」
トルイストが飛ぶように駆け抜けながら、一太刀は横から、二の太刀は下段から振り上げる。亡霊達は魔法を唱える間もなく消されていく。
「やっぱすげぇーな」
東堂は目をキラキラさせながら唸った。
美花も気力で両腕を構える。
負けるまでは、立ってないとーー。
「へブンーー」
美花の目の前で、結界が消し飛んだ。ローブの亡霊が放った黒い矢が、美花目掛けて飛んできた。
あまりの疾さに逃げる事もできない。
「あっ…」
「ミハナ!」
ファウラの声が遠くで聞こえた。
「ああっ!」
美花はレノラに庇われた。美花を敵に晒さないように、レノラは庇ってくれた。
「中隊長!」
背中に矢が刺さり、徐々に騎士服が黒くなっていった。
「ミハナ……治癒はいいからー。魔力は大事にしなさい…」
「向こうに神官がいる!おい、来てくれ!」
東堂が叫ぶと、司祭のイワンとドミトリーが走ってきた。
「治癒は任せて下さい」
神官達は治癒をはじめたが、レノラの復帰は難しいだろう。
「ーー行きなさいよ、ミハナ……」
「すみま…せん…。あたしーー」
「何言ってるのーー」
その間に、ファウラとトルイストの猛攻により、道が開けてくる。
「行って!」
「ーーふあい!」
泣きながら美花は走った。モロフを引きずりながら東堂も駆ける。聖剣が光り輝く。亡霊剣士と斬り合いになる。二本の剣を受けて、足で残りの剣を蹴った。
「おりゃ!」
斬り続けて、腕が勝手に動く。いいんだか悪いんだかーー。
「大広間ですよ!」
ファウラが言った。
大広間には亡霊達がすし詰め状態だった。
「もう、無理かもー」
東堂は、しょげた。今が朝か夜か、何日なのかもよくわからない。
ただ、ひとつ言える事はーー。
布団に入って寝てえー。である。
「少々疲れるが、精霊を喚ぶかー」
トルイストが胸の前で剣を構えた。その彼をファウラが結界で守る。
「光の大精霊ブライト!」
トルイストの剣から光が溢れていく。
それは、大広間の亡霊達を一掃するように輝く。
「ひゃあ!精霊の召喚だ!」
はじめて見たよ!とモロフは大感激だ。
精霊自体は光っている為、どんな姿なのかはわからなかったが、光の強さが違う。美花は目を見開いていた。
ただ、この強さでも琉生斗の浄化の光と比べると、比較にもならないほど弱く感じる。
あいつホントにすごいのねーー。
トルイストは息をついた。
「ファウラ、休憩だ」
「おや、バテましたか」
「バテているのはおまえの婚約者だろー」
ファウラは結界を張った。
「ミハナ、座りなさい」
言われて糸が切れるようにへたり込む。
もう、このまま立てそうにない、どうしようー。
モロフはともかく、ファウラ、トルイスト、東堂、こんなレベルにこれ以上、自分はついていけそうにない。
どうしよう、誰か気付いてくれないかなー、と考えてしまう。
「あー、もう飴玉ない」
東堂ががっかりしながら干し肉を噛じる。
「大隊長、干し肉ありますか?」
「ああ、大丈夫だー」
ファウラも干し肉とお茶を出して口に運ぶ。食べ方が上品だ。
「ここが大広間だとすると、謁見の間は近いなー」
地図を確認しながらトルイストは言った。
「他の組がどれだけ残っているかだがー」
この人数では、一瞬で全滅だろう。
「転移はまだ使えそうにないですね」
ファウラが上を見ながら言う。
「結界の解析に時間がかかっているのでしょうね」
町子の結界がこれほど強力だとはー。美花も驚くより他はない。
自分ではーー、自信を失くし俯いた美花を見て、東堂はかける言葉を考える。
よくやったー!いや、終わるみたいだな。
もうちょいだ!違うだろーー。
帰ったら寝れるぞーー、今寝たいわ。
東堂はトルイストの言葉に目を見開いた。美花も、うっわー、と青くなる。
この疲労感が限界な状態に、町子の能力を持った亡霊が来たらー。
「終わんな、これ」
素直に東堂が言う。それでなくても三階からなかなか奥へ進めなくなっている。
「大隊長、じゃなかった、師団長、町子がなんで?」
「他の魔導師を庇って、取り込まれてしまった。その魔導師も意識がないー」
「もう、外に行きましたか?」
「気付いていないのか?」
「え?」
「ミハナ、転移魔法が使えません。強力な結界が城のまわりに張られています」
ファウラが教えてくれる。
「そうだ、魔導師室長もこちらに来れん」
あれ?
「これってもしかしてーー」
「限りなく全滅に近い状況だー」
どうすんだーー、おいー。
東堂は状況を整理した。
「亡霊に乗っ取られた魔法騎士はどうなりますか?」
「魔導師はまだいるから、それは大丈夫だ。転移ができないから、安全に確保すると言っていた」
「呪いは神官がいるから大丈夫なのかーー。じゃあ、おれたちは亡霊を倒すだけっすね!」
明るく言ったが、皆顔色が悪い。
疲れに疲れて、モロフなど床に倒れている。ゲロ甘飴玉ももうない。
中でも美花の消耗がひどい。言うと怒るだろうが、一気に老けた感じになっている。魔力の使い過ぎだ。
「来たぞ」
トルイストの組も、残りの人数は僅かになっていた。豪傑で知られる小隊長ガーズもいない。
亡霊と亡霊剣士に加え、魔導師のローブを被った亡霊までいる。
「結界は任せて下さい!」
ファウラが強力な結界を張る。その上で、攻撃魔法も放つ。さすがは魔法力では魔法騎士一の実力者である。ここまで追い込まれても、なお技は冴えわたる。
「はっ!」
トルイストが飛ぶように駆け抜けながら、一太刀は横から、二の太刀は下段から振り上げる。亡霊達は魔法を唱える間もなく消されていく。
「やっぱすげぇーな」
東堂は目をキラキラさせながら唸った。
美花も気力で両腕を構える。
負けるまでは、立ってないとーー。
「へブンーー」
美花の目の前で、結界が消し飛んだ。ローブの亡霊が放った黒い矢が、美花目掛けて飛んできた。
あまりの疾さに逃げる事もできない。
「あっ…」
「ミハナ!」
ファウラの声が遠くで聞こえた。
「ああっ!」
美花はレノラに庇われた。美花を敵に晒さないように、レノラは庇ってくれた。
「中隊長!」
背中に矢が刺さり、徐々に騎士服が黒くなっていった。
「ミハナ……治癒はいいからー。魔力は大事にしなさい…」
「向こうに神官がいる!おい、来てくれ!」
東堂が叫ぶと、司祭のイワンとドミトリーが走ってきた。
「治癒は任せて下さい」
神官達は治癒をはじめたが、レノラの復帰は難しいだろう。
「ーー行きなさいよ、ミハナ……」
「すみま…せん…。あたしーー」
「何言ってるのーー」
その間に、ファウラとトルイストの猛攻により、道が開けてくる。
「行って!」
「ーーふあい!」
泣きながら美花は走った。モロフを引きずりながら東堂も駆ける。聖剣が光り輝く。亡霊剣士と斬り合いになる。二本の剣を受けて、足で残りの剣を蹴った。
「おりゃ!」
斬り続けて、腕が勝手に動く。いいんだか悪いんだかーー。
「大広間ですよ!」
ファウラが言った。
大広間には亡霊達がすし詰め状態だった。
「もう、無理かもー」
東堂は、しょげた。今が朝か夜か、何日なのかもよくわからない。
ただ、ひとつ言える事はーー。
布団に入って寝てえー。である。
「少々疲れるが、精霊を喚ぶかー」
トルイストが胸の前で剣を構えた。その彼をファウラが結界で守る。
「光の大精霊ブライト!」
トルイストの剣から光が溢れていく。
それは、大広間の亡霊達を一掃するように輝く。
「ひゃあ!精霊の召喚だ!」
はじめて見たよ!とモロフは大感激だ。
精霊自体は光っている為、どんな姿なのかはわからなかったが、光の強さが違う。美花は目を見開いていた。
ただ、この強さでも琉生斗の浄化の光と比べると、比較にもならないほど弱く感じる。
あいつホントにすごいのねーー。
トルイストは息をついた。
「ファウラ、休憩だ」
「おや、バテましたか」
「バテているのはおまえの婚約者だろー」
ファウラは結界を張った。
「ミハナ、座りなさい」
言われて糸が切れるようにへたり込む。
もう、このまま立てそうにない、どうしようー。
モロフはともかく、ファウラ、トルイスト、東堂、こんなレベルにこれ以上、自分はついていけそうにない。
どうしよう、誰か気付いてくれないかなー、と考えてしまう。
「あー、もう飴玉ない」
東堂ががっかりしながら干し肉を噛じる。
「大隊長、干し肉ありますか?」
「ああ、大丈夫だー」
ファウラも干し肉とお茶を出して口に運ぶ。食べ方が上品だ。
「ここが大広間だとすると、謁見の間は近いなー」
地図を確認しながらトルイストは言った。
「他の組がどれだけ残っているかだがー」
この人数では、一瞬で全滅だろう。
「転移はまだ使えそうにないですね」
ファウラが上を見ながら言う。
「結界の解析に時間がかかっているのでしょうね」
町子の結界がこれほど強力だとはー。美花も驚くより他はない。
自分ではーー、自信を失くし俯いた美花を見て、東堂はかける言葉を考える。
よくやったー!いや、終わるみたいだな。
もうちょいだ!違うだろーー。
帰ったら寝れるぞーー、今寝たいわ。
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