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魔法騎士大演習 亡霊城編(ファンタジー系 長編)
第69.5話 兵馬とラルジュナ2
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「すごい設計図ですねー」
バッカイア国が誇る職人ペダンは目を見張った。
「そうかなー」
兵馬は照れながら鼻をかいた。
しかし、この部屋すごいな。いろんな国のおもちゃがあちこちに飾られていて、やかましい部屋だなーー。
色とりどりの遊具や玩具がゴチャゴチャ飾られている。どれも原色ばかりで、兵馬は目がチカチカした。
「これを、あなたが!」
「いやいや、向こうの世界のトレースだよ。覚えててよかったぁ」
「て、いうかー、いままであっちの世界ってどんなのかわからなかったけど、ヒョウマ達が来てからはよくわかるようになったねー」
ラルジュナがきらきらした瞳を輝かせた。
「そりゃそうだよ。いつも年端もいかない女の子を召喚してるんだから」
鉄道模型をいじりながら兵馬は言った。
「あー、そうかー。学問かー」
「そうそう。先代のスズさんぐらいまでは女の子に学問なんて、って時代だったから知らなくて当然なんだよ。こういうものがあるのは知ってても、内部構造に興味がないとね」
「はーん。ヒョウマはすごいねー!」
「えー、そんなに誉めないでよ」
兵馬は純粋に嬉しかったのでにやにやした。
「もう、結婚しようよー」
「お断り」
「なんでー?ひどいよー!」
「逆になんでいけると思ったのさ?」
「えっ?アレクセイはこんな感じでプロポーズしたんでしょ?」
「ああ、ひとめぼれ攻撃ね。見事にルートに刺さったやつね」
「ルート、落ちたんだー」
まあ、アレクセイに告白されて断るひとはいないよねー、とラルジュナが言うと、兵馬は口をへの字にした。
親友がどうしてアレクセイのプロポーズにオッケーしたのかは、兵馬も知らない。ただ、兵馬が気づいたときには、親友はアレクセイに恋をしていた。本当に意外だった。
「ねえ、ヒョウマ、アレクセイにさわったことある?」
「え?」
突然の質問に兵馬は耳を疑った。
「布越しとかじゃなくて、皮膚にー」
「いや、さわる機会がないよ」
この人は何の心配してるんだろう?、と兵馬は首を傾げた。
「なら、肌は?」
「ん?もしかして傷のこと?僕の前でも上半身は裸のときもあるよー」
ロングシャツだけだったりも。
「なんでー?」
ラルジュナの声が尖った。
「いや、書類に殿下の判が必要だから。離宮じゃあの二人常にやってるから、もう気にしてたら仕事にならないんだよ」
兵馬の言葉にラルジュナは吹き出した。
「あ、アレクセイがーー、あっははははははっ!」
「ルートの体力を考えると、もうちょっと抑えてもらいたいけどね」
ラルジュナは笑い転げている。
「ふふふっ、幸せそうで何よりだよー」
「何?殿下にさわるとなんなの?」
「あー、単なる焼きもちだよー」
「嘘でしょ?」
兵馬にまっすぐに見据えられて、ラルジュナは口笛を吹いた。
「知りたいー?」
「教えてくれるの?」
目を丸くして兵馬は尋ねた。
「うんー、とりあえず休憩してからねー」
「ーーいいよ。その代わり絶対に教えてよ」
睨むように兵馬は視線を走らせた。
「えー、なんでー?そんなにアレクセイのことが気になるのー?」
「自分が言い出したんでしょ?」
すねるラルジュナに正論をかまし、兵馬は溜め息をついた。
「別に殿下が気になるとかじゃないよ、純粋な知識欲かな」
「好奇心は身を滅ぼすよー」
「かもね」
「大丈夫、ボクの側室なら何があってもボクが守るからねー」
「ありがたい話だね。ねえ、それって殿下が神殺しなのと関係があるの?」
「それ、知ってるんだー」
驚いたようにラルジュナがまばたきをした。
「ルートが言ってた。けど、詳細は聞いてないって」
「ほぼ正解だよー。後は機会があれば教えるねー」
ノリで生きてそうなこの人が、気を使いながら話している。そういうときラルジュナはまばたきの回数が増える。いつしか兵馬は、それに気づくようになった。
「まあ、それはおいといて、パジャマパーティーするー?」
「パジャマパーティー?」
「うん!ベッドの上でお菓子広げながら本読んだりするんだー」
それが、パーティーなの?
「楽しいからおいでよー」
「うーん。ちょっとだけだよ」
演習中だしー。
兵馬とラルジュナが部屋から出て行くと、職人ペダンはその姿を見送り小さく呟いた。
「あのひとーー。王太子の寝室に入るって、意味わかってるのかなー?」
兵馬はこの後、バッカイア国のお菓子と、広げられたエロ本の数々に言葉を失った。早々に帰る、と言った兵馬を、ラルジュナは何とか引き止めたというーー。
バッカイア国が誇る職人ペダンは目を見張った。
「そうかなー」
兵馬は照れながら鼻をかいた。
しかし、この部屋すごいな。いろんな国のおもちゃがあちこちに飾られていて、やかましい部屋だなーー。
色とりどりの遊具や玩具がゴチャゴチャ飾られている。どれも原色ばかりで、兵馬は目がチカチカした。
「これを、あなたが!」
「いやいや、向こうの世界のトレースだよ。覚えててよかったぁ」
「て、いうかー、いままであっちの世界ってどんなのかわからなかったけど、ヒョウマ達が来てからはよくわかるようになったねー」
ラルジュナがきらきらした瞳を輝かせた。
「そりゃそうだよ。いつも年端もいかない女の子を召喚してるんだから」
鉄道模型をいじりながら兵馬は言った。
「あー、そうかー。学問かー」
「そうそう。先代のスズさんぐらいまでは女の子に学問なんて、って時代だったから知らなくて当然なんだよ。こういうものがあるのは知ってても、内部構造に興味がないとね」
「はーん。ヒョウマはすごいねー!」
「えー、そんなに誉めないでよ」
兵馬は純粋に嬉しかったのでにやにやした。
「もう、結婚しようよー」
「お断り」
「なんでー?ひどいよー!」
「逆になんでいけると思ったのさ?」
「えっ?アレクセイはこんな感じでプロポーズしたんでしょ?」
「ああ、ひとめぼれ攻撃ね。見事にルートに刺さったやつね」
「ルート、落ちたんだー」
まあ、アレクセイに告白されて断るひとはいないよねー、とラルジュナが言うと、兵馬は口をへの字にした。
親友がどうしてアレクセイのプロポーズにオッケーしたのかは、兵馬も知らない。ただ、兵馬が気づいたときには、親友はアレクセイに恋をしていた。本当に意外だった。
「ねえ、ヒョウマ、アレクセイにさわったことある?」
「え?」
突然の質問に兵馬は耳を疑った。
「布越しとかじゃなくて、皮膚にー」
「いや、さわる機会がないよ」
この人は何の心配してるんだろう?、と兵馬は首を傾げた。
「なら、肌は?」
「ん?もしかして傷のこと?僕の前でも上半身は裸のときもあるよー」
ロングシャツだけだったりも。
「なんでー?」
ラルジュナの声が尖った。
「いや、書類に殿下の判が必要だから。離宮じゃあの二人常にやってるから、もう気にしてたら仕事にならないんだよ」
兵馬の言葉にラルジュナは吹き出した。
「あ、アレクセイがーー、あっははははははっ!」
「ルートの体力を考えると、もうちょっと抑えてもらいたいけどね」
ラルジュナは笑い転げている。
「ふふふっ、幸せそうで何よりだよー」
「何?殿下にさわるとなんなの?」
「あー、単なる焼きもちだよー」
「嘘でしょ?」
兵馬にまっすぐに見据えられて、ラルジュナは口笛を吹いた。
「知りたいー?」
「教えてくれるの?」
目を丸くして兵馬は尋ねた。
「うんー、とりあえず休憩してからねー」
「ーーいいよ。その代わり絶対に教えてよ」
睨むように兵馬は視線を走らせた。
「えー、なんでー?そんなにアレクセイのことが気になるのー?」
「自分が言い出したんでしょ?」
すねるラルジュナに正論をかまし、兵馬は溜め息をついた。
「別に殿下が気になるとかじゃないよ、純粋な知識欲かな」
「好奇心は身を滅ぼすよー」
「かもね」
「大丈夫、ボクの側室なら何があってもボクが守るからねー」
「ありがたい話だね。ねえ、それって殿下が神殺しなのと関係があるの?」
「それ、知ってるんだー」
驚いたようにラルジュナがまばたきをした。
「ルートが言ってた。けど、詳細は聞いてないって」
「ほぼ正解だよー。後は機会があれば教えるねー」
ノリで生きてそうなこの人が、気を使いながら話している。そういうときラルジュナはまばたきの回数が増える。いつしか兵馬は、それに気づくようになった。
「まあ、それはおいといて、パジャマパーティーするー?」
「パジャマパーティー?」
「うん!ベッドの上でお菓子広げながら本読んだりするんだー」
それが、パーティーなの?
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「うーん。ちょっとだけだよ」
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兵馬とラルジュナが部屋から出て行くと、職人ペダンはその姿を見送り小さく呟いた。
「あのひとーー。王太子の寝室に入るって、意味わかってるのかなー?」
兵馬はこの後、バッカイア国のお菓子と、広げられたエロ本の数々に言葉を失った。早々に帰る、と言った兵馬を、ラルジュナは何とか引き止めたというーー。
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