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魔法騎士大演習 亡霊城編(ファンタジー系 長編)
第68話 亡霊城攻略 4 ーゲロ甘飴玉をどうぞー
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さっきより多いし、強くない?
美花は魔法を連発させながらそう感じている。中隊長になったレノラの指揮の下、皆が攻撃をし、美花が大技で始末するという戦法を繰り返しているのだがーー。
「つ、強い!」
マッジが息を切らしながら言う。体力自慢の彼女が言うのだから、よっぽどなのだろう。
「ミハナ、大丈夫?」
同じ組になったモロフが気遣ってくれる。こう見えてモロフは、ハーベスター公爵夫人の実家、エピュレ公爵家の三男坊だ。
こんな無害な優しい人が公爵家の人間だなんて、人は見かけではわからないものねーー。
絶賛、貴族社会を勉強中の美花である。
「がんばります!」
天上の炎の連発は、魔力よりも身体に堪える。もっと体力がないと、身体が持たない。自分の小さな身体に、限界も感じてしまう。
それでも、がんばろう。
負けるときまで、戦うんだ。
増えていく亡霊達に魔法を放つ。
「聖なる雷!神聖な火炎!」
雷に続き、聖なる炎を放出する。
皆が感嘆した。
「魔導師の方があってんじゃない?」
マッジは相変わらずだ。
「少し、休憩しましょう。結界の中に入って」
ちっとも安全ではないが、結界を張ってそこでひと休みする。
「まだ一日目だよ。何日かかると思う?」
モロフに尋ねられ、美花は首を傾げた。
「亡霊王を退治するまでなのよね」
「そこまではオレ達がいけるわけないよー」
モロフは笑った。
「でもモロフー」
美花は真面目な顔をした。モロフは息を呑む。
「な、何?」
「あたし達の隣の入口からファウラ様の組がスタートしたわ」
モロフは黙った。
「合流できたら、勝機はあがるわよ!」
「会いたいだけだろ~!」
真面目な顔で何を言ってんだかー。
「そのもう一つ向こうが東堂の組だったわよ」
「そことは早く合流したいなぁ」
モロフは根っからの東堂推しだ。
朝を迎えても亡霊は活発に動きを見せる。どこからでも湧くし、止まる事が出来ずに、力尽きて身体を乗っ取られる者も増えていく。
回収も大変だ。
人と亡霊を切り離して、人だけを連れて行く。町子も箒で飛び回っている。
「こんなに亡霊って湧くのね~」
感心したように、呟いた。
亡霊に乗っ取られた魔法騎士が、仲間を攻撃しようとする。町子はその頭に札を貼り、ペリッと亡霊を剥がした。亡霊は札が消えるまでは動けない。ティンお手製の魔導符だ。
「では~」
気絶した魔法騎士を連れて、町子は転移した。
仲間が減っていき、敵は強さを増すーー。
ますます戦いは厳しくなる。
一撃で倒せない敵が増えていく。
「と、トードォ、休憩しようー」
「あ、ああ。結界よろしくー」
ジップも息も絶え絶えだ。他の魔法騎士の中、若い騎士の消耗が激しい。
「皆さん、駄目ですね」
クリステイルは少し笑った。
「ヒョロ太子、すげぇーじゃん」
「私貴方より強いですよ」
「えっ!?」
「なんで驚くんですかー。私、兄上と半分同じ血が流れてるんですよ」
「えらそうにいうことじゃねーだろ。てことは、おまえの親父が強いのか?」
クリステイルは眉をしかめた。
「父上は、パボンとヤヘルと剣術仲間だったそうですが、どうでしょうね。あの二人には敵わないと思いますが……」
「やっぱ、師匠は強えんだ。殿下も弟子なんだろ?」
俺、殿下の弟弟子かーー、東堂はにやけた。
「うーん。そう言いますけど、ほぼ何も教わってないですねー」
「ほーん」
まあ、いい加減だからなー、師匠は。どちらかといえば、自分もトルイストの方が面倒を見てくれる。
「兄上はどちらかと言えば、コランダム大叔父上ですね」
「あぁ、前の聖女さんの」
「はい」
「おまえの親父の叔父さんかー」
「そうなんですよー」
クリステイルと普通に会話をする姿に、ジップ達は呆れている。
「そうだ。おまえら良い物があるぞ!」
東堂は鞄から飴玉を出した。
「あ、ありがとうー」
皆、一つずつ取り、口に入れた。
「ブヘッ」
「うっ!」
各々すごい形相になる。
「な、何だー、トードォ!このゲロが出そうになるほど甘い飴玉は!」
「あぁ、ゲロ甘飴玉、ヤバい味だが、回復は早いだろ?」
東堂が言うと皆は顔を見合わせ、たしかに、と呟いた。
「ありがたくいただけよー。殿下にもらってきたんだから」
「兄上がこんなん食べますかぁ?」
クリステイルは水をもらう。
「ルートのために作ってんだよ」
「ええ?糖尿病一直線ですねー」
「あいつの神力の回復は、食料や神様の気が強いとこなんだと」
「へぇ!」
「これぐらいカロリーが高いと、回復が早いらしいわ」
なるほど、とクリステイルは頷いた。そういえば前に、吐きそうなぐらいチョコレートを食べてたな。
「俺ももらったときは、二度と食うかって思ったんだけどよ、身体の回復がはえーって後で気づいたのよ」
その言葉を聞いた兵馬は、商品化を検討したという。
「トードォ、これすごいよ。たしかに回復が早い!」
魔法騎士のバラストが言った。東堂よりは歳上だ。
「食事なんかできないと思ったが、食べる気力も湧いてくる」
同じく魔法騎士のリツトンが驚いている。こちらは大ベテランで、王弟の近衛兵も兼任している。歳が上になってくると、他組織と兼任する魔法騎士も増えてくる。給金の問題もあるからだろう。
「だろ?」
大事に食べないとなーー。
今日もがんばらねえと。
美花は魔法を連発させながらそう感じている。中隊長になったレノラの指揮の下、皆が攻撃をし、美花が大技で始末するという戦法を繰り返しているのだがーー。
「つ、強い!」
マッジが息を切らしながら言う。体力自慢の彼女が言うのだから、よっぽどなのだろう。
「ミハナ、大丈夫?」
同じ組になったモロフが気遣ってくれる。こう見えてモロフは、ハーベスター公爵夫人の実家、エピュレ公爵家の三男坊だ。
こんな無害な優しい人が公爵家の人間だなんて、人は見かけではわからないものねーー。
絶賛、貴族社会を勉強中の美花である。
「がんばります!」
天上の炎の連発は、魔力よりも身体に堪える。もっと体力がないと、身体が持たない。自分の小さな身体に、限界も感じてしまう。
それでも、がんばろう。
負けるときまで、戦うんだ。
増えていく亡霊達に魔法を放つ。
「聖なる雷!神聖な火炎!」
雷に続き、聖なる炎を放出する。
皆が感嘆した。
「魔導師の方があってんじゃない?」
マッジは相変わらずだ。
「少し、休憩しましょう。結界の中に入って」
ちっとも安全ではないが、結界を張ってそこでひと休みする。
「まだ一日目だよ。何日かかると思う?」
モロフに尋ねられ、美花は首を傾げた。
「亡霊王を退治するまでなのよね」
「そこまではオレ達がいけるわけないよー」
モロフは笑った。
「でもモロフー」
美花は真面目な顔をした。モロフは息を呑む。
「な、何?」
「あたし達の隣の入口からファウラ様の組がスタートしたわ」
モロフは黙った。
「合流できたら、勝機はあがるわよ!」
「会いたいだけだろ~!」
真面目な顔で何を言ってんだかー。
「そのもう一つ向こうが東堂の組だったわよ」
「そことは早く合流したいなぁ」
モロフは根っからの東堂推しだ。
朝を迎えても亡霊は活発に動きを見せる。どこからでも湧くし、止まる事が出来ずに、力尽きて身体を乗っ取られる者も増えていく。
回収も大変だ。
人と亡霊を切り離して、人だけを連れて行く。町子も箒で飛び回っている。
「こんなに亡霊って湧くのね~」
感心したように、呟いた。
亡霊に乗っ取られた魔法騎士が、仲間を攻撃しようとする。町子はその頭に札を貼り、ペリッと亡霊を剥がした。亡霊は札が消えるまでは動けない。ティンお手製の魔導符だ。
「では~」
気絶した魔法騎士を連れて、町子は転移した。
仲間が減っていき、敵は強さを増すーー。
ますます戦いは厳しくなる。
一撃で倒せない敵が増えていく。
「と、トードォ、休憩しようー」
「あ、ああ。結界よろしくー」
ジップも息も絶え絶えだ。他の魔法騎士の中、若い騎士の消耗が激しい。
「皆さん、駄目ですね」
クリステイルは少し笑った。
「ヒョロ太子、すげぇーじゃん」
「私貴方より強いですよ」
「えっ!?」
「なんで驚くんですかー。私、兄上と半分同じ血が流れてるんですよ」
「えらそうにいうことじゃねーだろ。てことは、おまえの親父が強いのか?」
クリステイルは眉をしかめた。
「父上は、パボンとヤヘルと剣術仲間だったそうですが、どうでしょうね。あの二人には敵わないと思いますが……」
「やっぱ、師匠は強えんだ。殿下も弟子なんだろ?」
俺、殿下の弟弟子かーー、東堂はにやけた。
「うーん。そう言いますけど、ほぼ何も教わってないですねー」
「ほーん」
まあ、いい加減だからなー、師匠は。どちらかといえば、自分もトルイストの方が面倒を見てくれる。
「兄上はどちらかと言えば、コランダム大叔父上ですね」
「あぁ、前の聖女さんの」
「はい」
「おまえの親父の叔父さんかー」
「そうなんですよー」
クリステイルと普通に会話をする姿に、ジップ達は呆れている。
「そうだ。おまえら良い物があるぞ!」
東堂は鞄から飴玉を出した。
「あ、ありがとうー」
皆、一つずつ取り、口に入れた。
「ブヘッ」
「うっ!」
各々すごい形相になる。
「な、何だー、トードォ!このゲロが出そうになるほど甘い飴玉は!」
「あぁ、ゲロ甘飴玉、ヤバい味だが、回復は早いだろ?」
東堂が言うと皆は顔を見合わせ、たしかに、と呟いた。
「ありがたくいただけよー。殿下にもらってきたんだから」
「兄上がこんなん食べますかぁ?」
クリステイルは水をもらう。
「ルートのために作ってんだよ」
「ええ?糖尿病一直線ですねー」
「あいつの神力の回復は、食料や神様の気が強いとこなんだと」
「へぇ!」
「これぐらいカロリーが高いと、回復が早いらしいわ」
なるほど、とクリステイルは頷いた。そういえば前に、吐きそうなぐらいチョコレートを食べてたな。
「俺ももらったときは、二度と食うかって思ったんだけどよ、身体の回復がはえーって後で気づいたのよ」
その言葉を聞いた兵馬は、商品化を検討したという。
「トードォ、これすごいよ。たしかに回復が早い!」
魔法騎士のバラストが言った。東堂よりは歳上だ。
「食事なんかできないと思ったが、食べる気力も湧いてくる」
同じく魔法騎士のリツトンが驚いている。こちらは大ベテランで、王弟の近衛兵も兼任している。歳が上になってくると、他組織と兼任する魔法騎士も増えてくる。給金の問題もあるからだろう。
「だろ?」
大事に食べないとなーー。
今日もがんばらねえと。
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