ロクイチ聖女 6分の1の確率で聖女になりました。(第一部、第二部、第三部)

濃子

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日常編4

第52話 王都日和9 ☆

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「あぁ、大丈夫でしたか、聖女様」
 クリステイルが出迎えに来てくれていた。
「殺しても死ななそうな人が、驚きましたよ」
 うるせー、と琉生斗は義弟を睨んだ。
「父上も心配してましたから、夕食を一緒に取りたいとーー」
「ごめん、また今度ー」
 琉生斗が俯いた。
「わかりました。伝えておきます」
 軽く頭を下げて、琉生斗とアレクセイは離宮へと歩き出す。

 よっぽどしんどいのかなー、とクリステイルは不安気に、妙に寄り添う兄と聖女の後ろ姿を見送った。



「なぁ、アレク。あの体位良かったよな?」
 離宮に帰るなり、琉生斗はアレクセイの服を脱がせにかかる。
「ああ。だが、体調は?」
 真面目な顔でアレクセイが聞く。
 妻の体調は気になるがやる気は満々なので、素早く腰の剣を机の上に置き、茶色の剣帯をはずした。
「明日は神殿は休みだから、午前中寝るよ」
 琉生斗は甘えるようにアレクセイの胸に顔をつけた。アレクセイが愛おしそうに、髪を何度も撫でる。
 そして、その手は琉生斗の頬に添えられ、自分の方に顔を向けさせーー、二人は見つめ合った。
「そうかー」
 溜め息とともにキスがはじまる。琉生斗は唇を開いてアレクセイの舌を招いた。

 二人の耳にはキスの音しか聞こえない。
「あっ、あん」
 琉生斗が甘く声をもらした。自分とアレクセイの熱量に脳がくらくらする。
「もうちょっと高い、腰枕欲しいかも」
「作ろう」 
 アレクセイの行動は早かった。


 いい高さの腰枕を腰にあてがい、琉生斗はアレクセイのモノを孔の中に受け入れた。
「あんっ!……アレクゥー、すごいよぉー」
 琉生斗が身体を震わせた。
「ーーそうか」
 アレクセイも気持ちよさそうに息をはいた。
「だ、だめ。……すぐいっちゃいそう」
 緩やかに動いているのに、いいところにあたるため、終わりが早いかもしれない。
 アレクセイの動きが早くなるにつれ、琉生斗の声に色香が混じる。
「あんっ!あっ……、アレク、だめ……」
 琉生斗は腰枕をはずした。アレクセイが残念そうな顔になる。
「これは、最後に使うよ……、感じすぎちゃうから」
「ルート……」
 アレクセイが琉生斗をきつく抱きしめた。


「好きだよぉ。……アレク」
「ーー私のほうがルートが好きだ」
「おれです。おれのほうがアレクのこと好きだもん」
「いや、私のことを何だと思っている?私はきみの奴隷だぞ」
「何言ってんだよ。頭おかしいのか?おれのほうがアレクを想う気持ちが強いんだって!」
「違う。私のルートへの想いの強さは世界一だ」
 しょうもない喧嘩がはじまる。
 二人にとってはこれが日常茶飯事なのか、そのうちまた愛の行為をキスからはじめる。離れてやらないとばかりに、何度も愛し合う。
 
 
 懲りない聖女様は、今日も一晩中、旦那様と愛を育まれるようなのですがーー、


「うっわ!アレク。魔蝕だよ!」
 体位を変えるときに琉生斗は気づいた。
「ーー本当か?」
「夜なんて少ないのになーー」

 はぁー、がっかり。
「行きますか」
「行くとしよう」

 聖女ルートはいついかなるときでも、魔蝕の浄化に行くのだ。
 愛しい、愛しの旦那様を連れてーー。
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