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ルートとアレクセイ編
第73話 女神は突然ためされる
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「陛下。これ以上の治癒は、意味がありません」
治癒師の長である、ナイチンは宣告をした。
アレクセイが倒れてから一週間以上が過ぎた。
アダマスが崩れ落ちた。
「陛下!」
ラズベリーが寄り添う。
「なぜだ!なぜおまえが!なぜだ!」
氷のような空気が、部屋に充満した。誰もがそれ以降、何も言えなくなった。
重い空気の中、クリステイルは扉の向こうで、兵馬の声を聞いた。
「ーーそこを何とかお願いします!」
「ヒョウマ殿!」
「あっ、クリス殿下、お願いします!中に入れて下さい!」
兵馬がクリステイルに手を合わせた。
「本当にお願いします!」
必死に頼み込まれ、クリステイルは頷いた。
「ーーいいですよ。こちらに」
「王太子殿下!」
衛兵が勤めをまっとうする。
「兄上の先生ですよ。大丈夫です」
力強く、クリステイルは言った。
部屋に入ると、兵馬はアレクセイを見て、現実を受け入れられず、吐き戻しそうだった。
アレクセイの横に立ち、頭を下げる。
その枕元に、魔導録音機をセットする。
「失礼致します。アレクセイ殿下。聖女様からのメッセージでございます」
弾かれたようにアダマスが兵馬を見た。クリステイルは、目を輝かせた。
「えっ?」
王妃が、まぁ、と驚いた。
ピアノの音色が聞こえた。
一曲目、リスト、「愛の夢3番」
あちらでは知らない者がないぐらい有名なピアノ独奏曲。
表面的にロマンチックなだけではなく、大人の恋愛を匂わせる曲だ。
この曲は、右手にも伴奏がきたりメロディーがきたり、メロディーと伴奏が一緒になるややこしい部分も多いが、いかに歌わせて弾くかがポイントになる。
フレーズの盛り上がりが気持ちがいい。
弾き込まれた音が、甘く切なく、五感をくすぐっていく。
ラズベリーは、場も忘れてうっとりとしている。
さすがは琉生斗。皆が聴き入っている。
兵馬は、アレクセイを見た。
涙が出るのを、なんとか堪えた。
二曲目、リスト、「ラ・カンパネラ」
こちらも有名な曲だ。難曲の代名詞とも言われているが、リストの編曲の中では比較的弾きやすい曲である。
前奏は静かな鐘の音からはじまる。鐘の音にまじり、鍵盤を叩く音が聴こえる。
右手も左手もよく飛ぶので、鍵盤感覚が必須な曲だ。難しいけど、飛ぶ先が黒鍵だから、弾きやすい曲、とよく琉生斗が言っていた。
大げさ過ぎず、クールに締める。
彼の性格のようだ、と兵馬は思う。
この曲で、ピアノジュニアコンクールを優勝した。
指導者は姉の加賀琉亜るあ。ピアニストの卵だった。課題曲も見事だったが、自由曲に選んだこちらは、圧巻というよりなかった。
見たほうが、より凄さを感じる曲だ。指の動きが、飛んで、飛んで、とても動く。
兵馬も、聴き惚れ、見惚れた。
ーー殿下にも見せてあげればよかったのに。
後半は情熱的で躍動感に溢れる鐘の音。鐘が鳴り響く、嵐の中揺れるようにーー。
最後の一音が終わると、待ってましたとばかりに、ラズベリーが手を叩いた。
あっ、と手を引っ込める。
ーー不謹慎ですわね。
しばらくして、声が聞こえた。
『うすっ、アレク。元気か?ってそんな訳ないかー』
琉生斗の声だ。
アダマスが声の方をじっと見ている。
「ーー兵馬殿、聖女様は?」
クリステイルが尋ねた。
「今魔蝕の浄化に行ってるよーー」
兵馬が、溜め息をついた。
「ーーそうですか……」
クリステイルは、涙ぐんだ。
かくいう噂の聖女様は、来来国に来ていた。
「おいおい、セージ、バテるのが早いぜ」
結界を張ったが、保持できない。
ティンの加勢なしには無理だ、とセージは唇を噛んだ。
「まぁ、二度目にして、動けるなんてすごいよ」
「あぁ。護衛だからな」
「無理すんなってーー」
「いやーー」
セージは琉生斗の手を掴んだ。
「マジで好みだ。オレと結婚してくれ!」
おやおや、とティンが目を丸くした。
「あのさー。おまえら兄弟、おれにプロポーズするイベントでもあるのか?」
まったく、また男かー。
琉生斗はかなり、げんなりした。
ラーメンを食べたいけど、食べたくない。琉生斗はしょんぼりする。
「幸せにする」
セージはしつこかった。
「アレクがいないから、もうすでに不幸です」
「あいつなんか、オレが忘れさせてやる」
真剣な眼差し、強い瞳。
ーーもっと若い頃はこんなんだったのかな。
琉生斗は思った。
アレクーー。
これからの方が長いってつらいなーー。
と、落ち込みかけた琉生斗だが、疑問に思っていた事を少し整理できるぐらいには冷静になってきた。
なぜ時空竜の女神様は自分を攻撃してきたのか。
愛シ子ーー、とか言っといて。
最初から、アレクを狙ってた。アレクなら、必ずおれを庇うからだ。
時空竜の女神様はそこまでわかってて、アレクに何をしたんだーー。
おれの、側にいるには弱いって言われてたけどーー、じゃあ、どうしたんだ?邪魔だから殺した訳じゃーー。
試シターー。
「あっー」
そうか。
「聞いてるのか、ルート。今からデートしようぜ。もうすぐ国葬があるから、忙しくなるし」
「セージ殿下!」
軽口を叩き、セージはティンに叱られる。
「何を調子にのっている。いい加減な気持ちでは、聖女様が怪我をされる」
「オレは真剣だ!なぁ、ルート。あいつの事なんかオレが忘れさせてやる」
「いや、それは無理。おれは一生アレクが好きだ」
思いの外、はっきりと言う。
セージは、ちっ、と舌打ちをした。
「あんな、陰気なやつの何がいいんだか」
「おい、セージ!魔物だ!」
琉生斗は前方から、砂煙をあげて飛び出してきた魔物を指差した。ここで止めないと、後方の町へ向かってしまう。
「えっ?竜?」
それは、硬い鱗に覆われた恐竜が翼を持った姿をしていた。
「女神様なのか!」
「違います!ストームドラゴンです!」
「竜じゃん!」
「神格が違うのです!あれは、いわば神になれなかった神崩れ、強いですよ!」
砂煙をあげて、ドラゴンが息をはく。
強風に立っていられない。
ティンが結界を展開する。隙あらば、魔法を練って、撃とうとするが、ドラゴンの移動が速すぎた。
「あいつ、何?目的は!」
「弱らせて、食べます!」
うそん。生きたままかーー。
「セージ殿下、ドラゴンの気を引けますか!」
大技を撃ちたい為、ティンは足止めをセージに任せた。
「やってんだよ!」
ドラゴンの動きを止めようと、足を狙うが、硬すぎて剣が、通じない。
「魔剣にしないと!」
「できねえよ!」
二人は言い合う。
「なんでこんなところに!」
ティンがハッとなった。
まさかーー。
「琉生斗を狙ってーー」
「えっーー!」
「琉生斗、走って逃げなさい!私一人で何とかします!」
「ティン、おまえ!オレが役立たずだって言ってんのか!」
セージがきゃんきゃん吠えた。
「そうです!琉生斗、行きなさい!」
すまん、一番の役立たずは、おれだーー。
戦闘の邪魔にならないように、琉生斗は物陰にでも隠れる事にした。
町の直ぐ側に、風車小屋がある。
すぐにばれるかーー。
じゃあ、塀の向こうはーー。
いざ隠れようとしても、どこが適しているのかさっぱりわからない。
なんで、おれ結界の一つも使えないんだよーー。
強サハイラナイーー。
いるだろーー。
どうせなら、敵をバッサバッサ斬りたいものよー。
「琉生斗!」
「えっ?」
急に暗くなったーー。琉生斗は上を見る。
ストームドラゴンと目が合った。
目が血走っていて、牙がたくさんあってーー、とにかく、怖いですーー。
「琉生斗!」
ティンの叫びが、乾いた大地に響いた。
治癒師の長である、ナイチンは宣告をした。
アレクセイが倒れてから一週間以上が過ぎた。
アダマスが崩れ落ちた。
「陛下!」
ラズベリーが寄り添う。
「なぜだ!なぜおまえが!なぜだ!」
氷のような空気が、部屋に充満した。誰もがそれ以降、何も言えなくなった。
重い空気の中、クリステイルは扉の向こうで、兵馬の声を聞いた。
「ーーそこを何とかお願いします!」
「ヒョウマ殿!」
「あっ、クリス殿下、お願いします!中に入れて下さい!」
兵馬がクリステイルに手を合わせた。
「本当にお願いします!」
必死に頼み込まれ、クリステイルは頷いた。
「ーーいいですよ。こちらに」
「王太子殿下!」
衛兵が勤めをまっとうする。
「兄上の先生ですよ。大丈夫です」
力強く、クリステイルは言った。
部屋に入ると、兵馬はアレクセイを見て、現実を受け入れられず、吐き戻しそうだった。
アレクセイの横に立ち、頭を下げる。
その枕元に、魔導録音機をセットする。
「失礼致します。アレクセイ殿下。聖女様からのメッセージでございます」
弾かれたようにアダマスが兵馬を見た。クリステイルは、目を輝かせた。
「えっ?」
王妃が、まぁ、と驚いた。
ピアノの音色が聞こえた。
一曲目、リスト、「愛の夢3番」
あちらでは知らない者がないぐらい有名なピアノ独奏曲。
表面的にロマンチックなだけではなく、大人の恋愛を匂わせる曲だ。
この曲は、右手にも伴奏がきたりメロディーがきたり、メロディーと伴奏が一緒になるややこしい部分も多いが、いかに歌わせて弾くかがポイントになる。
フレーズの盛り上がりが気持ちがいい。
弾き込まれた音が、甘く切なく、五感をくすぐっていく。
ラズベリーは、場も忘れてうっとりとしている。
さすがは琉生斗。皆が聴き入っている。
兵馬は、アレクセイを見た。
涙が出るのを、なんとか堪えた。
二曲目、リスト、「ラ・カンパネラ」
こちらも有名な曲だ。難曲の代名詞とも言われているが、リストの編曲の中では比較的弾きやすい曲である。
前奏は静かな鐘の音からはじまる。鐘の音にまじり、鍵盤を叩く音が聴こえる。
右手も左手もよく飛ぶので、鍵盤感覚が必須な曲だ。難しいけど、飛ぶ先が黒鍵だから、弾きやすい曲、とよく琉生斗が言っていた。
大げさ過ぎず、クールに締める。
彼の性格のようだ、と兵馬は思う。
この曲で、ピアノジュニアコンクールを優勝した。
指導者は姉の加賀琉亜るあ。ピアニストの卵だった。課題曲も見事だったが、自由曲に選んだこちらは、圧巻というよりなかった。
見たほうが、より凄さを感じる曲だ。指の動きが、飛んで、飛んで、とても動く。
兵馬も、聴き惚れ、見惚れた。
ーー殿下にも見せてあげればよかったのに。
後半は情熱的で躍動感に溢れる鐘の音。鐘が鳴り響く、嵐の中揺れるようにーー。
最後の一音が終わると、待ってましたとばかりに、ラズベリーが手を叩いた。
あっ、と手を引っ込める。
ーー不謹慎ですわね。
しばらくして、声が聞こえた。
『うすっ、アレク。元気か?ってそんな訳ないかー』
琉生斗の声だ。
アダマスが声の方をじっと見ている。
「ーー兵馬殿、聖女様は?」
クリステイルが尋ねた。
「今魔蝕の浄化に行ってるよーー」
兵馬が、溜め息をついた。
「ーーそうですか……」
クリステイルは、涙ぐんだ。
かくいう噂の聖女様は、来来国に来ていた。
「おいおい、セージ、バテるのが早いぜ」
結界を張ったが、保持できない。
ティンの加勢なしには無理だ、とセージは唇を噛んだ。
「まぁ、二度目にして、動けるなんてすごいよ」
「あぁ。護衛だからな」
「無理すんなってーー」
「いやーー」
セージは琉生斗の手を掴んだ。
「マジで好みだ。オレと結婚してくれ!」
おやおや、とティンが目を丸くした。
「あのさー。おまえら兄弟、おれにプロポーズするイベントでもあるのか?」
まったく、また男かー。
琉生斗はかなり、げんなりした。
ラーメンを食べたいけど、食べたくない。琉生斗はしょんぼりする。
「幸せにする」
セージはしつこかった。
「アレクがいないから、もうすでに不幸です」
「あいつなんか、オレが忘れさせてやる」
真剣な眼差し、強い瞳。
ーーもっと若い頃はこんなんだったのかな。
琉生斗は思った。
アレクーー。
これからの方が長いってつらいなーー。
と、落ち込みかけた琉生斗だが、疑問に思っていた事を少し整理できるぐらいには冷静になってきた。
なぜ時空竜の女神様は自分を攻撃してきたのか。
愛シ子ーー、とか言っといて。
最初から、アレクを狙ってた。アレクなら、必ずおれを庇うからだ。
時空竜の女神様はそこまでわかってて、アレクに何をしたんだーー。
おれの、側にいるには弱いって言われてたけどーー、じゃあ、どうしたんだ?邪魔だから殺した訳じゃーー。
試シターー。
「あっー」
そうか。
「聞いてるのか、ルート。今からデートしようぜ。もうすぐ国葬があるから、忙しくなるし」
「セージ殿下!」
軽口を叩き、セージはティンに叱られる。
「何を調子にのっている。いい加減な気持ちでは、聖女様が怪我をされる」
「オレは真剣だ!なぁ、ルート。あいつの事なんかオレが忘れさせてやる」
「いや、それは無理。おれは一生アレクが好きだ」
思いの外、はっきりと言う。
セージは、ちっ、と舌打ちをした。
「あんな、陰気なやつの何がいいんだか」
「おい、セージ!魔物だ!」
琉生斗は前方から、砂煙をあげて飛び出してきた魔物を指差した。ここで止めないと、後方の町へ向かってしまう。
「えっ?竜?」
それは、硬い鱗に覆われた恐竜が翼を持った姿をしていた。
「女神様なのか!」
「違います!ストームドラゴンです!」
「竜じゃん!」
「神格が違うのです!あれは、いわば神になれなかった神崩れ、強いですよ!」
砂煙をあげて、ドラゴンが息をはく。
強風に立っていられない。
ティンが結界を展開する。隙あらば、魔法を練って、撃とうとするが、ドラゴンの移動が速すぎた。
「あいつ、何?目的は!」
「弱らせて、食べます!」
うそん。生きたままかーー。
「セージ殿下、ドラゴンの気を引けますか!」
大技を撃ちたい為、ティンは足止めをセージに任せた。
「やってんだよ!」
ドラゴンの動きを止めようと、足を狙うが、硬すぎて剣が、通じない。
「魔剣にしないと!」
「できねえよ!」
二人は言い合う。
「なんでこんなところに!」
ティンがハッとなった。
まさかーー。
「琉生斗を狙ってーー」
「えっーー!」
「琉生斗、走って逃げなさい!私一人で何とかします!」
「ティン、おまえ!オレが役立たずだって言ってんのか!」
セージがきゃんきゃん吠えた。
「そうです!琉生斗、行きなさい!」
すまん、一番の役立たずは、おれだーー。
戦闘の邪魔にならないように、琉生斗は物陰にでも隠れる事にした。
町の直ぐ側に、風車小屋がある。
すぐにばれるかーー。
じゃあ、塀の向こうはーー。
いざ隠れようとしても、どこが適しているのかさっぱりわからない。
なんで、おれ結界の一つも使えないんだよーー。
強サハイラナイーー。
いるだろーー。
どうせなら、敵をバッサバッサ斬りたいものよー。
「琉生斗!」
「えっ?」
急に暗くなったーー。琉生斗は上を見る。
ストームドラゴンと目が合った。
目が血走っていて、牙がたくさんあってーー、とにかく、怖いですーー。
「琉生斗!」
ティンの叫びが、乾いた大地に響いた。
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