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魔法騎士大演習編 (ファンタジー系)
第32.5話 東堂裏話
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「東堂、嫌な事聞いてもいい?」
兵馬は遠慮しがちに尋ねた。最近はすっかり東堂も落ちついてきて、訓練にも精を出している。
「なんだ、兵馬」
「東堂のお父さんと親友の奥さんが不倫して東堂ができたんだろ」
「おぅ」
「向こうの旦那さん、赤ちゃんの立ち合いとかしてないの?」
言いたいことはわかる。
「なんでうちの親父が、俺を育ててるんだって聞きたいんだよな」
「うん……」
「俺早産で二ヶ月早く生まれてるんだけど、そのとき、おじさんは仕事で海外に行ってたんだって」
「うん…」
「生まれたけど、死んだことにして、夏場だから早く火葬した、ってことにしたらしい」
「でも、急に東堂のお父さんが赤ちゃん育てだしたら、おかしくない?」
「ちょうど、親父のお姉さんが双子の出産後体調が悪くて、ひとり預かる事になったっていったらしい。双子だから、小さくて、NICUに入ってるって。本当は早産で入ってたんだけどな」
「嘘がいっぱいだね」
「一度の嘘で、ホント、ずっと嘘の連続だぜ」
「嘘をホントにする、ってすごい難しいし、辻褄を合わすのが大変だよねー」
「後、本人が耐えられないらしい。親父から言っちまったみたいだ。墓まで持っていきゃ良かったのに」
「その、奥さんが好きだったんだねーー」
「うーん」
「何、違うの?」
「杉田のおじさん、すぐ離婚したんだよ」
「?」
「親父が奥さんが好きなら、その後再婚するはずだろ。けど、俺母親にあった事ないんだよ」
兵馬も首を傾げた。
「まさか、そんな事がって思うけどさ、親父もしかしたら、杉田のおじさんが好きだったのかもしれねぇ」
「ええっー!」
「俺自身、男同士なんてありえないって思ってたから、今まで思いもしてなかったんだが、身近で付き合ってる奴らを見ると、そんな遠い世界の話じゃないんだよな」
たしかに、見た目でわからなければ、そうとは思わないだろ。
「まっ、推測なんだけど。親父、わりと子持ちでも、もててたのに、独身貫いてたし」
東堂は少し悲しそうな顔をした。
「今となっちゃ、聞くことも出来ねえなー」
その溜め息は、いろんな感情がないまぜになっているように、兵馬は感じたーー。
兵馬は遠慮しがちに尋ねた。最近はすっかり東堂も落ちついてきて、訓練にも精を出している。
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「おぅ」
「向こうの旦那さん、赤ちゃんの立ち合いとかしてないの?」
言いたいことはわかる。
「なんでうちの親父が、俺を育ててるんだって聞きたいんだよな」
「うん……」
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「うん…」
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「うーん」
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「?」
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兵馬も首を傾げた。
「まさか、そんな事がって思うけどさ、親父もしかしたら、杉田のおじさんが好きだったのかもしれねぇ」
「ええっー!」
「俺自身、男同士なんてありえないって思ってたから、今まで思いもしてなかったんだが、身近で付き合ってる奴らを見ると、そんな遠い世界の話じゃないんだよな」
たしかに、見た目でわからなければ、そうとは思わないだろ。
「まっ、推測なんだけど。親父、わりと子持ちでも、もててたのに、独身貫いてたし」
東堂は少し悲しそうな顔をした。
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