25 / 410
魔法騎士大演習編 (ファンタジー系)
第24話 故郷の味 1
しおりを挟む
「ここは地形が悪く、戦闘が長引けばお互いに不利です。ただ、上から槍を投げれば、足止めは可能かと」
軍法会議と言うのか、主だったものが円になって話している。
東堂のような新人は、円の外側、隅っこの方で聞いているしかない。
自分のチームの上官は、三十歳の渋メン、トルイスト大隊長である。人数は百人と変わらないが、常預かる隊の騎士ではないので、少なからず緊張しているようにも見える。
二ヶ月後に控えた魔法騎士大演習の作戦を、地図を見ながら皆の意見を出し合っている。
「下見に行ったときに決まったが、我々のチームは右からスタートする事になった。裏手から師団長のチーム、反対の左側はファウラ大隊長のチームだ。最初は湿地帯だ。靴の替えは必ず用意しろ」
「はい!」
これから二ヶ月かけて、通常訓練の合間に演習訓練も入る。身体を酷使できそうでめっちゃ楽しみだ、と東堂は笑う。
千人は入る演習場で、肩をつき合い話し合う騎士達。もっとも、剣と魔法のエキスパートの魔法騎士は、全体の兵士の数%しかいないらしく、この場にいる三百五人の兵士達は、王族に謁見可能なスーパーエリートなのだそうだ。
ーーそんなのになっちゃうとはな。
自分達を見る兵士達の好奇の目。騎士や歩兵達があからさまに嫌味を言う姿。
『聖女様の仲間だからだろーー』
流石に魔法騎士達の中で嫌味を言う奴は少ないが、いないでもない。
だが、それは言われても仕方ないから、せいぜい先輩の足を引っ張らないようにしよう、と東堂は思う。
「アレクセイ殿下がご一緒されるなんてな」
この前すごかったよな、と相部屋仲間のモロフが興奮気味に言った。そばかすがかわいい男だ。
まわりもうるさく、大隊長の話も聞こえるか聞こえないかなので、後ろの者はひそひそ話をする。
「トードォは話した事あるのか?」
東堂は皆にトードォと呼ばれている。遙という名前を知られ、危うくそう呼ばれそうになったが、頼み込んでトードゥにしてもらった。
もっとも、言いにくいのか、みんなトードォと呼ぶのだが。
「ねえよ」
笑い転げてて話はしなかったなーー。
「聖女様はどんな方なんだ?」
と、聞かれたときも、どういうヤツかと言われれば、普通に変なヤツだったと思う。
元々琉生斗とは高校に入ってからの仲だ。入学式で、やたらキレイな顔した男がいると、噂になっていた。
同じクラスになり、目つきの悪い高慢ちきそうなヤツだと思っていたが、実際は明るくてまわりへの配慮を欠かさないヤツだとわかり、つるむようになった。
何せ学校や地域のボランティア清掃なんかを、自ら言い出し、話をまとめて実行にうつす。
兵馬によると、祖母と姉が同時期に亡くなってから、しばらくは荒れていたらしいが、受験前には落ち着いたらしい。
同中の奴らが、『セフレがいる』『百人斬り』『彼女日替わり』等という話をしていたが、それを聞いた兵馬は「あいつら、ルートに振られた奴らだよ」と呆れていた。
確かに、ガセだな、と東堂は感じていた。
どちらかと言えば、女子が苦手な雰囲気。かといってゲイでもなさそうなー。
スマホのデータには、おっぱいの画像が腐るほど保存されていたし、理想のおっぱいに対する話題には食い付きがひどかった。
ーーもしかして、おっぱいだけか?
画像は、女の子の顔が切れていた。思い返せば、すべてそうだったのではないだろうか。
たまに人間がいると思えば、琉生斗に似たすげぇーキレイなばあちゃんと姉ちゃんだし。
おっぱい画像に挟まれるばあちゃんと姉ちゃん。フォルダ分けしとけよ、と笑ったものだ
昼休憩になって、皆が食堂へ足を運び出す。
わいわいがやがやーー。
魔法騎士、と肩書きは堅苦しいが、皆気さくな人達ばかりでとても居心地がいいーー。
「東堂」
東堂は背中を叩かれた。誰かはわかる。
「何だよ、美花」
同郷の友である。
「別のチームになったわね。トルイスト大隊長でしょ。東堂人気があったから、うちの大隊長も欲しかったみたいよ」
まあな、当然だろ、と東堂は鼻高々だ。
「美花はお師匠様のところだろ」
「そう、ファウラ様。魔法練習がきつくてしょうがない」
「魔法ありなら、おまえ出しゃ、たいがい勝てるな」
最終兵器だ。
「唱えてる間があればね」
のんびり魔力を練り上げないと、とてもじゃないが発動しない。
「前衛がいなけりゃ、魔法だけ強くてもな。けど、殿下、詠唱時間ほぼなかったろ。一瞬で魔力を練ったみたいな」
「将軍クラスにならないと、あれは無理だって、ファウラ様が言ってたわ」
「まだ若いんだろ?」
「十九歳だって」
「俺らとそう変わんねえし、似たような歳の奴らいっぱいいんのに、誰もあんなに強くないのはなんでなんだ?」
「うーん。素質?」
「素質なんか、魔法騎士になるぐらいなんだから、みんな持ってるだろ。特別なトレーニングか、あるいはドーピングか」
「そうねー。死んでる暇はない、って言ってたもんね」
卑怯な事はしていて欲しくはないがーー。
「いや、そりゃそうだろ」
「えっ?」
「大将が取られりゃ、戦は負けだろ。後がないんだから。よく、漫画でもあるじゃん。生き残って力をつけて、次は勝ちに行くやつ」
「あー。そうね。王子様とか王女様は生き残って、がんばんなきゃいけないやつ」
「そういう機会がありゃいいけど、あの殿下さんは、ルートを他所に取られないためにも、踏ん張らなきゃ駄目なんだろー」
「ルートを?」
「考えてもみろよ。この国ルート取られりゃどうなんよ。聖女が呼べるのが五十年後だぜ。それまでまわりの諸国がほっといてくれりゃいいけど、まわりから囲んでヤッちまえば、生かさず殺さす植民地にされるぜ」
「なんでよ」
「まわりの国からしたら、聖女がいるからへいこらしてるだけで、内心そんなシステムうぜーって思ってるって」
俺ならそう思うわー。東堂の言葉を、美花は呆然と聞いていた。
ーー男の人ってみんな、他国に攻める事ばっかり考えてるのかしら。
平和が一番なのにーー。
そのとき、噂の聖女様は農国ナルディアにいた。
今回の魔蝕は、大きな町で起きた。
こんなところで?、と思ったが家の一つ一つが高くひしめき合っているため、影が多いのだ。
高い建物の間から、魔蝕は湧いたらしい。
町民の避難は終わっており、ナルディアの結界術士達が、その場にいた。
「おいで頂きありがとうございます。結界術士のソーウです」
「デースです」
笑ってはいけない。琉生斗は顔を引き締めた。
王宮縫製室の気合の入った法衣をまとい、琉生斗は結界の中の魔蝕を見る。
あぁ、若いなーー。
これは、生まれたての闇だーー。
琉生斗召喚前に結界に閉じ込めた魔蝕と、今発生する魔蝕では、感じが違う。悪魔に付くのは特例だろうがーー。このまま放っといたら、魔蝕も歳を取って、変化を遂げるのだろうか。
琉生斗は片膝をついて、祈った。
光に魔蝕が洗われていくーー。
「町中に家がいっぱいあるけど、離れると畑ばっかりだな」
「そうだな、農国というだけあって、農作物の輸出は群を抜いている」
「ふーん」
似たような国土なのに、違うものなんかなー。何を輸入してるのかーー。
と、学生らしい事も気にしてみる。
「なぁ、聞いたかもしれないんだけどさー」
琉生斗は、アレクセイの手に自分の手を絡ませた。
「何をだ?」
少し、やらしい握り方でアレクセイはそれに答える。
「スズさん、いつ亡くなったの?」
アレクセイは黙った。
「聞いちゃまずいの?」
「そうではないー。ルートの来る一週間前ぐらいだ」
「その後、アレクはワーツの村に一人で行ってああなったんだよな」
「そうだ」
「スズさん、お葬式とかしてないの?」
「……」
やっぱりみんな黙ってたんだな、と琉生斗は思った。
「聖女は、葬儀は行わない……」
アレクセイが、静かに告げた。
「国民が不安になるからか」
「ーー気づいていたか……」
「葬儀が最近あったにしろ、偉大な人が亡くなったなら、何かしら話題に出たりするだろ?そんなん、なかったしーー。こりゃ、黙っとくんだな、って思うよ」
「すまない。王族だけで追悼式は行った」
言いにくそうに、アレクセイは語る。
「別におれの死後、何で葬儀しねえの?なんて言わねえよ」
「……」
あまりのアレクセイの落ち込み方に、聞くべきじゃなかったと後悔する。
「まぁ。それはついでに聞いただけで、スズさんは亡くなる前まで、魔蝕の浄化をしてたんだよな」
「そうだな。二日前だった」
となると、十日ぐらいか、おれが見た中で最長はーー。
「何を考えている?」
「あぁ、魔蝕の色」
「色?」
アレクセイが驚いた声を出した。
「最近出るやつは若いから、神力がちょっとでいいんだよ。前のやつは出力を上げたけどさ」
「色で判断しているのか?」
「あー。アレクぐらい強い結界だとまた別だわ。成長を抑えれるのか、はじめのやつ、そこまで今のと変わらなかった」
「神力を抑えたりできるのかーー」
「そりゃ、ちょっとのやつに火力上げてどうするよ。そこは、使い方勉強すんだろ」
そういえば魔蝕の浄化後なのに、腹ペコー、と言っていない。
「そうかーー」
魔蝕の事は聖女の領域である為、アレクセイも知らない事の方が多い。
ましてや、アレクセイも直に見続ける事などできないのだ。
ーー精神修行が足らない。
「あーー!」
琉生斗は大声を上げた。
何事だ、とアレクセイは剣を持ち上げた。
琉生斗は、すごい速さで走り出す。
「ルート!」
アレクセイは、慌てて後を追った。
反射神経も、もっと鍛えなくてはーー。
軍法会議と言うのか、主だったものが円になって話している。
東堂のような新人は、円の外側、隅っこの方で聞いているしかない。
自分のチームの上官は、三十歳の渋メン、トルイスト大隊長である。人数は百人と変わらないが、常預かる隊の騎士ではないので、少なからず緊張しているようにも見える。
二ヶ月後に控えた魔法騎士大演習の作戦を、地図を見ながら皆の意見を出し合っている。
「下見に行ったときに決まったが、我々のチームは右からスタートする事になった。裏手から師団長のチーム、反対の左側はファウラ大隊長のチームだ。最初は湿地帯だ。靴の替えは必ず用意しろ」
「はい!」
これから二ヶ月かけて、通常訓練の合間に演習訓練も入る。身体を酷使できそうでめっちゃ楽しみだ、と東堂は笑う。
千人は入る演習場で、肩をつき合い話し合う騎士達。もっとも、剣と魔法のエキスパートの魔法騎士は、全体の兵士の数%しかいないらしく、この場にいる三百五人の兵士達は、王族に謁見可能なスーパーエリートなのだそうだ。
ーーそんなのになっちゃうとはな。
自分達を見る兵士達の好奇の目。騎士や歩兵達があからさまに嫌味を言う姿。
『聖女様の仲間だからだろーー』
流石に魔法騎士達の中で嫌味を言う奴は少ないが、いないでもない。
だが、それは言われても仕方ないから、せいぜい先輩の足を引っ張らないようにしよう、と東堂は思う。
「アレクセイ殿下がご一緒されるなんてな」
この前すごかったよな、と相部屋仲間のモロフが興奮気味に言った。そばかすがかわいい男だ。
まわりもうるさく、大隊長の話も聞こえるか聞こえないかなので、後ろの者はひそひそ話をする。
「トードォは話した事あるのか?」
東堂は皆にトードォと呼ばれている。遙という名前を知られ、危うくそう呼ばれそうになったが、頼み込んでトードゥにしてもらった。
もっとも、言いにくいのか、みんなトードォと呼ぶのだが。
「ねえよ」
笑い転げてて話はしなかったなーー。
「聖女様はどんな方なんだ?」
と、聞かれたときも、どういうヤツかと言われれば、普通に変なヤツだったと思う。
元々琉生斗とは高校に入ってからの仲だ。入学式で、やたらキレイな顔した男がいると、噂になっていた。
同じクラスになり、目つきの悪い高慢ちきそうなヤツだと思っていたが、実際は明るくてまわりへの配慮を欠かさないヤツだとわかり、つるむようになった。
何せ学校や地域のボランティア清掃なんかを、自ら言い出し、話をまとめて実行にうつす。
兵馬によると、祖母と姉が同時期に亡くなってから、しばらくは荒れていたらしいが、受験前には落ち着いたらしい。
同中の奴らが、『セフレがいる』『百人斬り』『彼女日替わり』等という話をしていたが、それを聞いた兵馬は「あいつら、ルートに振られた奴らだよ」と呆れていた。
確かに、ガセだな、と東堂は感じていた。
どちらかと言えば、女子が苦手な雰囲気。かといってゲイでもなさそうなー。
スマホのデータには、おっぱいの画像が腐るほど保存されていたし、理想のおっぱいに対する話題には食い付きがひどかった。
ーーもしかして、おっぱいだけか?
画像は、女の子の顔が切れていた。思い返せば、すべてそうだったのではないだろうか。
たまに人間がいると思えば、琉生斗に似たすげぇーキレイなばあちゃんと姉ちゃんだし。
おっぱい画像に挟まれるばあちゃんと姉ちゃん。フォルダ分けしとけよ、と笑ったものだ
昼休憩になって、皆が食堂へ足を運び出す。
わいわいがやがやーー。
魔法騎士、と肩書きは堅苦しいが、皆気さくな人達ばかりでとても居心地がいいーー。
「東堂」
東堂は背中を叩かれた。誰かはわかる。
「何だよ、美花」
同郷の友である。
「別のチームになったわね。トルイスト大隊長でしょ。東堂人気があったから、うちの大隊長も欲しかったみたいよ」
まあな、当然だろ、と東堂は鼻高々だ。
「美花はお師匠様のところだろ」
「そう、ファウラ様。魔法練習がきつくてしょうがない」
「魔法ありなら、おまえ出しゃ、たいがい勝てるな」
最終兵器だ。
「唱えてる間があればね」
のんびり魔力を練り上げないと、とてもじゃないが発動しない。
「前衛がいなけりゃ、魔法だけ強くてもな。けど、殿下、詠唱時間ほぼなかったろ。一瞬で魔力を練ったみたいな」
「将軍クラスにならないと、あれは無理だって、ファウラ様が言ってたわ」
「まだ若いんだろ?」
「十九歳だって」
「俺らとそう変わんねえし、似たような歳の奴らいっぱいいんのに、誰もあんなに強くないのはなんでなんだ?」
「うーん。素質?」
「素質なんか、魔法騎士になるぐらいなんだから、みんな持ってるだろ。特別なトレーニングか、あるいはドーピングか」
「そうねー。死んでる暇はない、って言ってたもんね」
卑怯な事はしていて欲しくはないがーー。
「いや、そりゃそうだろ」
「えっ?」
「大将が取られりゃ、戦は負けだろ。後がないんだから。よく、漫画でもあるじゃん。生き残って力をつけて、次は勝ちに行くやつ」
「あー。そうね。王子様とか王女様は生き残って、がんばんなきゃいけないやつ」
「そういう機会がありゃいいけど、あの殿下さんは、ルートを他所に取られないためにも、踏ん張らなきゃ駄目なんだろー」
「ルートを?」
「考えてもみろよ。この国ルート取られりゃどうなんよ。聖女が呼べるのが五十年後だぜ。それまでまわりの諸国がほっといてくれりゃいいけど、まわりから囲んでヤッちまえば、生かさず殺さす植民地にされるぜ」
「なんでよ」
「まわりの国からしたら、聖女がいるからへいこらしてるだけで、内心そんなシステムうぜーって思ってるって」
俺ならそう思うわー。東堂の言葉を、美花は呆然と聞いていた。
ーー男の人ってみんな、他国に攻める事ばっかり考えてるのかしら。
平和が一番なのにーー。
そのとき、噂の聖女様は農国ナルディアにいた。
今回の魔蝕は、大きな町で起きた。
こんなところで?、と思ったが家の一つ一つが高くひしめき合っているため、影が多いのだ。
高い建物の間から、魔蝕は湧いたらしい。
町民の避難は終わっており、ナルディアの結界術士達が、その場にいた。
「おいで頂きありがとうございます。結界術士のソーウです」
「デースです」
笑ってはいけない。琉生斗は顔を引き締めた。
王宮縫製室の気合の入った法衣をまとい、琉生斗は結界の中の魔蝕を見る。
あぁ、若いなーー。
これは、生まれたての闇だーー。
琉生斗召喚前に結界に閉じ込めた魔蝕と、今発生する魔蝕では、感じが違う。悪魔に付くのは特例だろうがーー。このまま放っといたら、魔蝕も歳を取って、変化を遂げるのだろうか。
琉生斗は片膝をついて、祈った。
光に魔蝕が洗われていくーー。
「町中に家がいっぱいあるけど、離れると畑ばっかりだな」
「そうだな、農国というだけあって、農作物の輸出は群を抜いている」
「ふーん」
似たような国土なのに、違うものなんかなー。何を輸入してるのかーー。
と、学生らしい事も気にしてみる。
「なぁ、聞いたかもしれないんだけどさー」
琉生斗は、アレクセイの手に自分の手を絡ませた。
「何をだ?」
少し、やらしい握り方でアレクセイはそれに答える。
「スズさん、いつ亡くなったの?」
アレクセイは黙った。
「聞いちゃまずいの?」
「そうではないー。ルートの来る一週間前ぐらいだ」
「その後、アレクはワーツの村に一人で行ってああなったんだよな」
「そうだ」
「スズさん、お葬式とかしてないの?」
「……」
やっぱりみんな黙ってたんだな、と琉生斗は思った。
「聖女は、葬儀は行わない……」
アレクセイが、静かに告げた。
「国民が不安になるからか」
「ーー気づいていたか……」
「葬儀が最近あったにしろ、偉大な人が亡くなったなら、何かしら話題に出たりするだろ?そんなん、なかったしーー。こりゃ、黙っとくんだな、って思うよ」
「すまない。王族だけで追悼式は行った」
言いにくそうに、アレクセイは語る。
「別におれの死後、何で葬儀しねえの?なんて言わねえよ」
「……」
あまりのアレクセイの落ち込み方に、聞くべきじゃなかったと後悔する。
「まぁ。それはついでに聞いただけで、スズさんは亡くなる前まで、魔蝕の浄化をしてたんだよな」
「そうだな。二日前だった」
となると、十日ぐらいか、おれが見た中で最長はーー。
「何を考えている?」
「あぁ、魔蝕の色」
「色?」
アレクセイが驚いた声を出した。
「最近出るやつは若いから、神力がちょっとでいいんだよ。前のやつは出力を上げたけどさ」
「色で判断しているのか?」
「あー。アレクぐらい強い結界だとまた別だわ。成長を抑えれるのか、はじめのやつ、そこまで今のと変わらなかった」
「神力を抑えたりできるのかーー」
「そりゃ、ちょっとのやつに火力上げてどうするよ。そこは、使い方勉強すんだろ」
そういえば魔蝕の浄化後なのに、腹ペコー、と言っていない。
「そうかーー」
魔蝕の事は聖女の領域である為、アレクセイも知らない事の方が多い。
ましてや、アレクセイも直に見続ける事などできないのだ。
ーー精神修行が足らない。
「あーー!」
琉生斗は大声を上げた。
何事だ、とアレクセイは剣を持ち上げた。
琉生斗は、すごい速さで走り出す。
「ルート!」
アレクセイは、慌てて後を追った。
反射神経も、もっと鍛えなくてはーー。
150
お気に入りに追加
255
あなたにおすすめの小説
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。


一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい
司真 緋水銀
ファンタジー
【あらすじ】
一級の警備資格を持つ不思議系マイペース主人公、石原鳴月維(いしはらなつい)は仕事中トラックに轢かれ死亡する。
目を覚ました先は勇者と魔王の争う異世界。
『職業』の『天職』『適職』などにより『資格(センス)』や『技術(スキル)』が決まる世界。
勇者の力になるべく喚ばれた石原の職業は……【天職の警備兵】
周囲に笑いとばされ勇者達にもつま弾きにされた石原だったが…彼はあくまでマイペースに徐々に力を発揮し、周囲を驚嘆させながら自由に生き抜いていく。
--------------------------------------------------------
※基本主人公視点ですが別の人視点も入ります。
改修した改訂版でセリフや分かりにくい部分など変更しました。
小説家になろうさんで先行配信していますのでこちらも応援していただくと嬉しいですっ!
https://ncode.syosetu.com/n7300fi/
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる