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交差する、最後の戦い編
237 人類の願い
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彼は床に置いたランチボックスのような箱を開いた。中身は、ケーブルと身体に取り付けるパッチのようなパーツ、これは除細動器のようだった。箱の蓋の裏には、動かし方のイラストが描かれていて、それを見たクラースさんは、私にチェイスを下ろすように指で合図をした。
「それってAEDでしょ!?こ、この状態で効くの!?」
「効くかどうか分からないが、やる価値は大いにあるだろう。これはな、ただのAEDではない。超AED~人類の願い~だ!貯金を全額はたいて買ったんだ、効いてくれなきゃ困る!」
「えっ!?貯金を全額!?それって、ケイト先生は知ってるの?」
「知らないだろう。すまないが、俺はこの作業に集中する為に、ウォッフォンと兜の通信を切る。さ!やるぞ!やるしかないんだ!」
と、とにかく手伝おう。何もしないより、まだこんな手段があるなら、やり切りたい。チェイスをそっと床に下ろし、クラースさんの超AED人類の願いの箱を見ると、そこにはホームセンタービャッコのロゴが入っていた。
やっぱりね……この前カーネルさんが言っていた新商品っていうのは、これだったんだ。私自身チェイスの血で濡れたまま、クラースさんの手伝いをして、パッチをイラストを参考にしながら、該当する箇所に貼り付けた。
クラースさんが電源ボタンを押すと、AEDから心地のいい女性の声のアナウンスが流れ始めた。
『こんにちは、私は超AED~人類の願い~です。今から蘇生活動を行います。』
クラースさんと目が合った。この緊迫した状況で、いきなり自己紹介なんて始めて、本当に大丈夫なんだろうな、と言わんばかりの不安げな瞳だった。私だって同感である。しかしアナウンスは続く。
『Aパッチを作動しています。』
Aパッチはチェイスの胸部分にあるパッチだ。それがピコピコと点滅している。
『測定中……心配が停止しています。』
「それは分かっているだろうが!」
「クラースさん、落ち着いて。」
彼の気持ちは分かる。ちょっと呑気に、ことを進みすぎなんじゃないかって、私でさえイライラしているが、もうここまでくると、人類の願いに全てを託すしかないのだ。
『蘇生を開始します。Bパーツを両手に持ってください。合図したらAパーツにつけてください。』
「お、お前がやれ。俺はチェイスの身体を押さえる。」
「分かった。」
私は箱に入っている、取手付きのBパーツを両手に持った。クラースさんがチェイスの身体を抑えた姿勢をとった、その時だった。数名の足音が聞こえて来たのだ。光の大剣をいつでも構えられるようにと気を張っていると、謁見の間の通路から現れたのは、新光騎士団の兵士達だった。
しかし彼らは、チェイスの姿を見て、また、蘇生しようとしている我々の姿を見て、武器を捨てて、こちらに駆けつけてくれた。一応、私は彼らに言った。
「私じゃないよ?ネビリスがやったんだ。」
「陛下が!?ああ、なんて事だ!」
「ああそうだ。」クラースさんが騎士に釘さした。「俺たちはお前らの軍師さんの回復作業をしているんだ。邪魔するなよ。」
騎士達が頷いてくれたところで、AEDが合図をした。
『一、二、三、ハイッ』
よし、今だ。私はAパッチ目掛けてBパーツを押し当てた。すると、青白い光がBパーツの先端からブワッと出て、チェイスの身体全体を包み、チェイスの身体は陸にあげられた魚の如く、ビクンと跳ねた。それを見たクラースさんが、笑いを堪えているのが分かった私は、彼に怒った。
「そんな場合じゃないでしょ!」
「すまん……もう一回、もう一回だ!」
『一、二、三、ハイッ』
もう一度同じ動作をした。チェイスの身体が青白い光に包まれて、ビクンと波打った。もっと他に合図の方法は無いのだろうか。それに、チェイスはまだ息をしていない。
「どうしよう。やっぱり、もう駄目なのかな。出血が酷いし。」
クラースさんが胸の撃たれた部分の血を、手で撫でるようにどかして、傷口を確認した。
「キュアクリームで、傷口を塞ごう。あれはキリーの命だって救ったんだ。もっと、もっと塗るぞ!おいお前ら、そこで突っ立ってないで、塗ってくれ!」
我々をじっと見守っていた騎士達を、クラースさんが手招くと、彼らは兜を床に放り投げて、近くまで来てくれた。そしてクラースさんがベルトポーチから何本もキュアクリームを取り出して、彼らに渡すと、騎士達はチェイスの胸にクリームをつけてくれた。これぞ人類。
「もう一度だ、まだ終っちゃいないんだ!必ず、戻ってくる!」
「はい!」
「そうしないと……全財産……!」と、クラースさんが小声で付け加えたのが、聞こえた。もしかして彼は、元を取ろうと思って、頑張っているのだろうか。ま、まあ、目的のベクトルが同じ方向なら、何も言う事はない。
『一、二、三、ハイッ』
「うわっ!」
急に合図が来たので、私は慌ててパーツを胸につけたが、少しタイミングがずれてしまった。チェイスはビクンと波打った。今のは大丈夫だったかな……不安な様子でチェイスを見つめていると、今まで静かだったAEDがピコンピコンと言い始めたのだ。我々は一気に慌てた。
「な、何!?今度は……」
「わ、分からん……何だ!?」
慌てふためく我々を諭すように、AEDが説明を開始した。
『蘇生完了しました。心電図の計測に移ります。呼吸安定。』
……!?私は驚いて、チェイスの鼻に手を当てた。確かに、そよそよと温かい風が流れている。胸だって、上下に揺れている。
「確かに、息をしている!わあ、呼吸してるよ!」
クラースさんも彼の首に手を当てて、脈があることを確認すると、ぱっと笑顔になった。騎士達も、手を叩き合って喜んでいる。
「う、うあああああああっ!」
突然、チェイスが叫びながら目を開けた。ああ、戻って来た、戻って来てくれた!チェイスは何が何だか分からない様子で、私を見た。
「……あ、あれ?あれ?僕……え?」
そして何故か、クラースさんが手で覆うように優しく、チェイスの目を閉じさせてしまった。せっかく開けたのに。
「お前はよく頑張った。何も言うな。よし、誰か急いで、新光騎士団でもLOZでもいいから、衛生兵を呼んで来てくれ!」
それを聞いた騎士達が、白旗を上げて城の外へと走って行った。白旗は、衛生兵求むの合図だ。ああ、本当によかった。いつもいつも、クラースさんの道具には助けられている。
「良かった……クラースさん、貯金はたいた甲斐があったね!」
と、振り向いたが、そこに彼はいなかった。彼は少し離れた場所に立っていて、ウォッフォンで誰かと通話しながら青白い顔をしていた。……相手は想像出来た。すると、私のウォッフォンからジェーンの声が聞こえた。
『まさか、それで蘇生するとは。』
「私もびっくりしたよ!でも良かった……本当に良かった。ね、チェイス。」
床に倒れたまま、チェイスは答えた。
「う、うん……あまり記憶が無いけれど、僕は何か、大きなものに守られたのかな。あと、傷の痛みよりも気になるのは、胸からすごくハーブ系の香りがして、それがとてもくさいんだ。これは、何かな?」
「キュアクリームっていう軟膏だよ。私もこれで、何度も助かったの。」
「そ、そうなんだ……とてもくさい。」
「ふふ、そうだね、くさいね。」
私は、駆けつけてくれた新光騎士団の衛生兵にチェイスのことを任せると、お取り込み中のクラースさんをその場に置いて、ネビリスを追いかける為に、階段を駆け上がった。
時間は経ってしまったが、彼はこの城の外へは逃げていないはず。久しぶりの城内を懐かしむ暇などなく、彼の姿を一部屋、一部屋、扉を開けて探した。しかし二階のどこにも、彼の姿は無かった。
更に奥の階段を上がり、最上階に来たが、騎士の一人だっていやしなかった。
『ここまで誰もいませんか、外へ逃亡した可能性がありますね。』
「うん。それか……更に上かな。」
『上?それは城の屋根のことでしょうか?』
「そう。入れない事はないから、もしかしたらそこかも。」
私は皇室の前に来たので、一応ドアを開けて、人がいないことを確認した。そこを通り過ぎ、最奥部まで行くと、屋上への梯子を見つけた。この梯子、普段は畳まれているはずだ。これが降りているという事は、誰かがこれを使った証。
屋根の上にネビリス皇帝がいる。私は意を決して、梯子を登った。
「それってAEDでしょ!?こ、この状態で効くの!?」
「効くかどうか分からないが、やる価値は大いにあるだろう。これはな、ただのAEDではない。超AED~人類の願い~だ!貯金を全額はたいて買ったんだ、効いてくれなきゃ困る!」
「えっ!?貯金を全額!?それって、ケイト先生は知ってるの?」
「知らないだろう。すまないが、俺はこの作業に集中する為に、ウォッフォンと兜の通信を切る。さ!やるぞ!やるしかないんだ!」
と、とにかく手伝おう。何もしないより、まだこんな手段があるなら、やり切りたい。チェイスをそっと床に下ろし、クラースさんの超AED人類の願いの箱を見ると、そこにはホームセンタービャッコのロゴが入っていた。
やっぱりね……この前カーネルさんが言っていた新商品っていうのは、これだったんだ。私自身チェイスの血で濡れたまま、クラースさんの手伝いをして、パッチをイラストを参考にしながら、該当する箇所に貼り付けた。
クラースさんが電源ボタンを押すと、AEDから心地のいい女性の声のアナウンスが流れ始めた。
『こんにちは、私は超AED~人類の願い~です。今から蘇生活動を行います。』
クラースさんと目が合った。この緊迫した状況で、いきなり自己紹介なんて始めて、本当に大丈夫なんだろうな、と言わんばかりの不安げな瞳だった。私だって同感である。しかしアナウンスは続く。
『Aパッチを作動しています。』
Aパッチはチェイスの胸部分にあるパッチだ。それがピコピコと点滅している。
『測定中……心配が停止しています。』
「それは分かっているだろうが!」
「クラースさん、落ち着いて。」
彼の気持ちは分かる。ちょっと呑気に、ことを進みすぎなんじゃないかって、私でさえイライラしているが、もうここまでくると、人類の願いに全てを託すしかないのだ。
『蘇生を開始します。Bパーツを両手に持ってください。合図したらAパーツにつけてください。』
「お、お前がやれ。俺はチェイスの身体を押さえる。」
「分かった。」
私は箱に入っている、取手付きのBパーツを両手に持った。クラースさんがチェイスの身体を抑えた姿勢をとった、その時だった。数名の足音が聞こえて来たのだ。光の大剣をいつでも構えられるようにと気を張っていると、謁見の間の通路から現れたのは、新光騎士団の兵士達だった。
しかし彼らは、チェイスの姿を見て、また、蘇生しようとしている我々の姿を見て、武器を捨てて、こちらに駆けつけてくれた。一応、私は彼らに言った。
「私じゃないよ?ネビリスがやったんだ。」
「陛下が!?ああ、なんて事だ!」
「ああそうだ。」クラースさんが騎士に釘さした。「俺たちはお前らの軍師さんの回復作業をしているんだ。邪魔するなよ。」
騎士達が頷いてくれたところで、AEDが合図をした。
『一、二、三、ハイッ』
よし、今だ。私はAパッチ目掛けてBパーツを押し当てた。すると、青白い光がBパーツの先端からブワッと出て、チェイスの身体全体を包み、チェイスの身体は陸にあげられた魚の如く、ビクンと跳ねた。それを見たクラースさんが、笑いを堪えているのが分かった私は、彼に怒った。
「そんな場合じゃないでしょ!」
「すまん……もう一回、もう一回だ!」
『一、二、三、ハイッ』
もう一度同じ動作をした。チェイスの身体が青白い光に包まれて、ビクンと波打った。もっと他に合図の方法は無いのだろうか。それに、チェイスはまだ息をしていない。
「どうしよう。やっぱり、もう駄目なのかな。出血が酷いし。」
クラースさんが胸の撃たれた部分の血を、手で撫でるようにどかして、傷口を確認した。
「キュアクリームで、傷口を塞ごう。あれはキリーの命だって救ったんだ。もっと、もっと塗るぞ!おいお前ら、そこで突っ立ってないで、塗ってくれ!」
我々をじっと見守っていた騎士達を、クラースさんが手招くと、彼らは兜を床に放り投げて、近くまで来てくれた。そしてクラースさんがベルトポーチから何本もキュアクリームを取り出して、彼らに渡すと、騎士達はチェイスの胸にクリームをつけてくれた。これぞ人類。
「もう一度だ、まだ終っちゃいないんだ!必ず、戻ってくる!」
「はい!」
「そうしないと……全財産……!」と、クラースさんが小声で付け加えたのが、聞こえた。もしかして彼は、元を取ろうと思って、頑張っているのだろうか。ま、まあ、目的のベクトルが同じ方向なら、何も言う事はない。
『一、二、三、ハイッ』
「うわっ!」
急に合図が来たので、私は慌ててパーツを胸につけたが、少しタイミングがずれてしまった。チェイスはビクンと波打った。今のは大丈夫だったかな……不安な様子でチェイスを見つめていると、今まで静かだったAEDがピコンピコンと言い始めたのだ。我々は一気に慌てた。
「な、何!?今度は……」
「わ、分からん……何だ!?」
慌てふためく我々を諭すように、AEDが説明を開始した。
『蘇生完了しました。心電図の計測に移ります。呼吸安定。』
……!?私は驚いて、チェイスの鼻に手を当てた。確かに、そよそよと温かい風が流れている。胸だって、上下に揺れている。
「確かに、息をしている!わあ、呼吸してるよ!」
クラースさんも彼の首に手を当てて、脈があることを確認すると、ぱっと笑顔になった。騎士達も、手を叩き合って喜んでいる。
「う、うあああああああっ!」
突然、チェイスが叫びながら目を開けた。ああ、戻って来た、戻って来てくれた!チェイスは何が何だか分からない様子で、私を見た。
「……あ、あれ?あれ?僕……え?」
そして何故か、クラースさんが手で覆うように優しく、チェイスの目を閉じさせてしまった。せっかく開けたのに。
「お前はよく頑張った。何も言うな。よし、誰か急いで、新光騎士団でもLOZでもいいから、衛生兵を呼んで来てくれ!」
それを聞いた騎士達が、白旗を上げて城の外へと走って行った。白旗は、衛生兵求むの合図だ。ああ、本当によかった。いつもいつも、クラースさんの道具には助けられている。
「良かった……クラースさん、貯金はたいた甲斐があったね!」
と、振り向いたが、そこに彼はいなかった。彼は少し離れた場所に立っていて、ウォッフォンで誰かと通話しながら青白い顔をしていた。……相手は想像出来た。すると、私のウォッフォンからジェーンの声が聞こえた。
『まさか、それで蘇生するとは。』
「私もびっくりしたよ!でも良かった……本当に良かった。ね、チェイス。」
床に倒れたまま、チェイスは答えた。
「う、うん……あまり記憶が無いけれど、僕は何か、大きなものに守られたのかな。あと、傷の痛みよりも気になるのは、胸からすごくハーブ系の香りがして、それがとてもくさいんだ。これは、何かな?」
「キュアクリームっていう軟膏だよ。私もこれで、何度も助かったの。」
「そ、そうなんだ……とてもくさい。」
「ふふ、そうだね、くさいね。」
私は、駆けつけてくれた新光騎士団の衛生兵にチェイスのことを任せると、お取り込み中のクラースさんをその場に置いて、ネビリスを追いかける為に、階段を駆け上がった。
時間は経ってしまったが、彼はこの城の外へは逃げていないはず。久しぶりの城内を懐かしむ暇などなく、彼の姿を一部屋、一部屋、扉を開けて探した。しかし二階のどこにも、彼の姿は無かった。
更に奥の階段を上がり、最上階に来たが、騎士の一人だっていやしなかった。
『ここまで誰もいませんか、外へ逃亡した可能性がありますね。』
「うん。それか……更に上かな。」
『上?それは城の屋根のことでしょうか?』
「そう。入れない事はないから、もしかしたらそこかも。」
私は皇室の前に来たので、一応ドアを開けて、人がいないことを確認した。そこを通り過ぎ、最奥部まで行くと、屋上への梯子を見つけた。この梯子、普段は畳まれているはずだ。これが降りているという事は、誰かがこれを使った証。
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