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命は一つ!想いは無限編
220 難しい判断
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ジェーンが彼女に聞いた。
「すみません、一つ気になる点があります。帝都からはどのようにして、出られたのでしょうか?情報によれば、今は門を閉ざしているとか。」
シルビアさんは思い出しながら答えた。
「商店街の皆に、私がLOZに助けを願いに行きたいと頼みました。夫と頭を下げて、あまり、了承してくれないかも、と思っていましたが、近所の皆は、私達に力を貸してくれました。それ程に、城下はもう、希望が無い。人がいなければ売り上げだってありません。兎に角、それで私は一人でユークに行くことを決めました。夫と近所の旦那さん達が集団で騒ぎを起こして、囮になってくれました。混乱状態で隙が生まれて、私は地下水路から外へ出ました。幸いにも、自警システム?って言うのは、作動しなかった。」
「……はあ。」
どう言う意味なのか、ジェーンが、そう相槌を打った。
「地下通路を抜けて、何とか、ルミネラ平原の途中まで、高速道路沿いに歩いていきました。すると途中のパーキングエリアに、車が何台も停車していました。よく見ると、彼らはカメラで城下を遠くから撮影していました。リゾート服だったので、ユークの人だと思いました。彼らに駆け寄って、頭を下げて頼んで、彼らの車で、ユークアイランドまで連れて来てもらいました。話に聞いていた通り、ここまで来れば、あとは順調に私一人で、この研究所まで来れました。」
「そうだったのですね、」私は頷いた。「その、囮になったご主人様達は?」
「きっと、皆、囚われたと思います。ウォッフォンではもう連絡がつきません。」
「何と。」
シルビアさんが、ポロポロと涙を流している。私はジェーンのベストのポケットからハンカチを出して、シルビアさんに渡した。彼女は涙を拭いてから、私に訴えた。
「私は、商いの広場代表ではありません。城下を代表して、ここまで来たのです。皆は、ネビリス皇帝の無理矢理な政策や、欲望に巻き込まれています。陛下に聞こえないように皆が口を揃えるのは、ユークやヴィノクールが羨ましいと言うことでした。そこはLOZの管轄内ですから。」
「しかし」ジェーンがシルビアさんに聞いた。「政策を作ったのは、チェイス元帥の筈では?ネビリス皇帝は、彼の策に巻き込まれたと申して……。」
「違います!」シルビアさんが首を振った。「あんなの、チェイス元帥が作ったんじゃ無いんです!元帥はとても心の優しい方です!ちょっと変わった性格かもしれないけど、いつも私達城下民の心配をしてくださってね、シルヴァ大臣なんかよりも、頼りになる。この前バーガー屋さんで、うちの夫がチェイス元帥にたまたま会ったからって、経営のアドバイスまで頂いたんです!うちだけじゃ無い、他のお店のご主人だって、同じこと言っています!息子の友人なんか、折り入った人生相談なんかしたみたいですけど、彼はよく聞いて、親身に答えてくれたそうです。あのようなお方がね、税率上げたり、お年寄りや子どもを含めた徴兵制を取り入れるなんて、そんなこと考えるとは思えないと皆言っています!」
やはり、チェイスは優しい人なのか……?
「それに比べてネビリス皇帝は、誰も彼を逮捕出来ないままだけど、ルミネラ皇帝を手にかけた張本人に決まってる!ルミネラ皇帝が亡くなった時、彼とシルヴァだけが喜んでいた!みんな知っているんです!彼が、チェイス元帥に濡れ衣着せてるんだって、知ってます!LOZの皆さんからしたら、チェイス元帥は敵の軍師でしょう?彼にやられたこととか、そう言うの考えたら、彼を疑うのは無理もないかもしれない。でも、元帥はとてもいい人です。あれは、演技なんかじゃ無い。こっちは何十年も客商売続けて来たんです。人を見る目はある。商いの広場にいる、そういった人間が何人も何人も、チェイス元帥は思いやりのある人だと言ってる。優しさとか、そう言うのって人は、隠せないんですよ。隠したくても、滲み出ちゃうんです。だから元帥は……きっと、皇帝に命じられて戦って来ただけなのです。本気で、あなたたちを傷つけたいんじゃ無かったと思う。それは私達が、保証します。」
私とジェーンは目を合わせた。彼は、ゆっくりと一回、頷いた。私も頷いた。どうやら、酷い政策をしたのはチェイスでは無いようだ。ふと、アクロスブルーの戦いの前にくれたメールを思い出した。
『恩に着るよ、キルディア。どうか僕を迎えに来てくれ。そしたら、本当にあの時の、続きをしたいと、切実に願っている。でもこれは、二度目だ。 チェイス・R・C』
あの二度目という言葉は、キスが二度目ということではなくて、きっと助けを求めることに対して、二度目と言っていたのだ。
チェイスは、もし新光騎士団が窮地に陥った時、こちらに来たいと願っていたのかもしれない。アクロスブルーでは普通に敵対したが、その先、こういう時が来た時に、彼は自分を助けて欲しいと願っていたのかもしれない。
それに彼は、民にこんなにも、信頼されていた。シルビアさんの話を聞いて、私は少し涙が出そうになった。彼女の話は信じる。その先だ。その先、どうやってチェイスを、チャーリーを、帝都を救出するか。
「分かりました。」私が答えると、シルビアさんがハッと私を見た。「チェイス元帥のことも、お話頂いて、ありがとうございます。彼がどれだけ、帝都の人達に優しく接して来たのか、それも聞けてよかった。チェイス元帥のこと、私たちも信じたい。」
「……!」
シルビアさんが口に手を当てて、涙を流している。
「それから、皆のことも助けたい。チャーリーのことも。」
「チャーリーもですか?」
そう言ったのは、ジェーンだった。どこかを見つめたまま、私の答えを待っている。
「ど、どう言うこと?ジェーン。皆を助けるのでしょう?」
「……チャーリーは難しいかと。」
それを聞いたシルビアさんは、声を出して泣き崩れてしまった。私は慌てて彼女の隣へ行き、肩を抱いた。ポタポタと、私の太ももに、シルビアさんの涙が落ちた。
「ジェーン、どうして?」私は彼に聞いた。「チャーリーは勿論助けないと、そうでしょう?」
「正直に答えます。あと四日以内に救出することは不可能です。出来れば、あと一週間は、設計するのに時間を頂きたい。超強力兵器の、設計です。それさえあれば、あの外壁を破壊出来る。そしてそれを形にするのに、さらに一週間。」
「それではチャーリーが!」私は立ち上がった。「外壁がダメなら、地下から行けばいい!」
「地下ですか。」ジェーンの低く、敵意のある声色だった。「シルビアがそこを通って来たことは、もう騎士に伝わっています。自警システムは狭い場所で真価を発揮する。一般市民を逃したこともあり、地下はもう、厳重化して地獄ですよ。行くなら、地上からしかない。そして、門が閉ざされている以上、門もしくは、外壁を破壊する必要がある。北門も南門も、有事の際は、あれで一つの兵器です。厳戒態勢時に近付けば、命は無い。よって、門は選択肢には含みません。侵攻するには外壁の一部を破壊する必要があるのです……ですから、時間が必要だと言いました。チャーリーの救出、私は賛成しかねます。彼一人の為に急ぎ、外壁の自警システムを壊すのに、LOZの先鋒隊を、特攻させるおつもりですか?」
「そうは言ってないけど……。」
私は言葉が見つからなかった。ジェーンの言っている意味だって分かる。この問題はあれに似ている。ブレーキの効かない電車問題だ。作業員の命を優先させるか、乗客の命を優先させるか。ジェーンは、乗客の命を優先させようとしているのだ。命を数で考えれば、それは正しいのかもしれない。
しかし、私の隣で、声を詰まらせて泣いているのは、殺されかけている人の母親である。クラースさんの船の上でとった私の決断は、両方とも助ける、だった。その時ジェーンは、だから私についていくと言ってくれた。
「……どうしたのジェーン。」私はわざと笑った。彼は目を見開いて私を見た。「助けないの?私は、チャーリーもLOZの皆も守りたい。私が決めたら、ジェーンは、何をするんだっけ?」
「……導くしかありません。が、」ジェーンがため息をついて項垂れた。「今回の戦いは特に、一筋縄ではいきません。どう考えても、どの方法を選んでも、危険が伴います。どのように……考えても……。時間が足りない。」
「方法はあるさ、私とヴァルガが居る。大丈夫だよ、だから、やろう。」
私がジェーンの隣に行って、彼の肩を叩くと、少ししてから彼が頷いてくれた。シルビアさんは声を上げて泣いてしまい、彼女にティッシュ箱を渡すと、テーブル越しに、力強くハグされてしまった。パン屋さんは力が強いのね、潰れそうだった。
ありがとう、ありがとう、と何度も、シルビアさんは繰り返していた。必ず方法はあるはずだ、私は絶対に、諦めたく無かった。
「すみません、一つ気になる点があります。帝都からはどのようにして、出られたのでしょうか?情報によれば、今は門を閉ざしているとか。」
シルビアさんは思い出しながら答えた。
「商店街の皆に、私がLOZに助けを願いに行きたいと頼みました。夫と頭を下げて、あまり、了承してくれないかも、と思っていましたが、近所の皆は、私達に力を貸してくれました。それ程に、城下はもう、希望が無い。人がいなければ売り上げだってありません。兎に角、それで私は一人でユークに行くことを決めました。夫と近所の旦那さん達が集団で騒ぎを起こして、囮になってくれました。混乱状態で隙が生まれて、私は地下水路から外へ出ました。幸いにも、自警システム?って言うのは、作動しなかった。」
「……はあ。」
どう言う意味なのか、ジェーンが、そう相槌を打った。
「地下通路を抜けて、何とか、ルミネラ平原の途中まで、高速道路沿いに歩いていきました。すると途中のパーキングエリアに、車が何台も停車していました。よく見ると、彼らはカメラで城下を遠くから撮影していました。リゾート服だったので、ユークの人だと思いました。彼らに駆け寄って、頭を下げて頼んで、彼らの車で、ユークアイランドまで連れて来てもらいました。話に聞いていた通り、ここまで来れば、あとは順調に私一人で、この研究所まで来れました。」
「そうだったのですね、」私は頷いた。「その、囮になったご主人様達は?」
「きっと、皆、囚われたと思います。ウォッフォンではもう連絡がつきません。」
「何と。」
シルビアさんが、ポロポロと涙を流している。私はジェーンのベストのポケットからハンカチを出して、シルビアさんに渡した。彼女は涙を拭いてから、私に訴えた。
「私は、商いの広場代表ではありません。城下を代表して、ここまで来たのです。皆は、ネビリス皇帝の無理矢理な政策や、欲望に巻き込まれています。陛下に聞こえないように皆が口を揃えるのは、ユークやヴィノクールが羨ましいと言うことでした。そこはLOZの管轄内ですから。」
「しかし」ジェーンがシルビアさんに聞いた。「政策を作ったのは、チェイス元帥の筈では?ネビリス皇帝は、彼の策に巻き込まれたと申して……。」
「違います!」シルビアさんが首を振った。「あんなの、チェイス元帥が作ったんじゃ無いんです!元帥はとても心の優しい方です!ちょっと変わった性格かもしれないけど、いつも私達城下民の心配をしてくださってね、シルヴァ大臣なんかよりも、頼りになる。この前バーガー屋さんで、うちの夫がチェイス元帥にたまたま会ったからって、経営のアドバイスまで頂いたんです!うちだけじゃ無い、他のお店のご主人だって、同じこと言っています!息子の友人なんか、折り入った人生相談なんかしたみたいですけど、彼はよく聞いて、親身に答えてくれたそうです。あのようなお方がね、税率上げたり、お年寄りや子どもを含めた徴兵制を取り入れるなんて、そんなこと考えるとは思えないと皆言っています!」
やはり、チェイスは優しい人なのか……?
「それに比べてネビリス皇帝は、誰も彼を逮捕出来ないままだけど、ルミネラ皇帝を手にかけた張本人に決まってる!ルミネラ皇帝が亡くなった時、彼とシルヴァだけが喜んでいた!みんな知っているんです!彼が、チェイス元帥に濡れ衣着せてるんだって、知ってます!LOZの皆さんからしたら、チェイス元帥は敵の軍師でしょう?彼にやられたこととか、そう言うの考えたら、彼を疑うのは無理もないかもしれない。でも、元帥はとてもいい人です。あれは、演技なんかじゃ無い。こっちは何十年も客商売続けて来たんです。人を見る目はある。商いの広場にいる、そういった人間が何人も何人も、チェイス元帥は思いやりのある人だと言ってる。優しさとか、そう言うのって人は、隠せないんですよ。隠したくても、滲み出ちゃうんです。だから元帥は……きっと、皇帝に命じられて戦って来ただけなのです。本気で、あなたたちを傷つけたいんじゃ無かったと思う。それは私達が、保証します。」
私とジェーンは目を合わせた。彼は、ゆっくりと一回、頷いた。私も頷いた。どうやら、酷い政策をしたのはチェイスでは無いようだ。ふと、アクロスブルーの戦いの前にくれたメールを思い出した。
『恩に着るよ、キルディア。どうか僕を迎えに来てくれ。そしたら、本当にあの時の、続きをしたいと、切実に願っている。でもこれは、二度目だ。 チェイス・R・C』
あの二度目という言葉は、キスが二度目ということではなくて、きっと助けを求めることに対して、二度目と言っていたのだ。
チェイスは、もし新光騎士団が窮地に陥った時、こちらに来たいと願っていたのかもしれない。アクロスブルーでは普通に敵対したが、その先、こういう時が来た時に、彼は自分を助けて欲しいと願っていたのかもしれない。
それに彼は、民にこんなにも、信頼されていた。シルビアさんの話を聞いて、私は少し涙が出そうになった。彼女の話は信じる。その先だ。その先、どうやってチェイスを、チャーリーを、帝都を救出するか。
「分かりました。」私が答えると、シルビアさんがハッと私を見た。「チェイス元帥のことも、お話頂いて、ありがとうございます。彼がどれだけ、帝都の人達に優しく接して来たのか、それも聞けてよかった。チェイス元帥のこと、私たちも信じたい。」
「……!」
シルビアさんが口に手を当てて、涙を流している。
「それから、皆のことも助けたい。チャーリーのことも。」
「チャーリーもですか?」
そう言ったのは、ジェーンだった。どこかを見つめたまま、私の答えを待っている。
「ど、どう言うこと?ジェーン。皆を助けるのでしょう?」
「……チャーリーは難しいかと。」
それを聞いたシルビアさんは、声を出して泣き崩れてしまった。私は慌てて彼女の隣へ行き、肩を抱いた。ポタポタと、私の太ももに、シルビアさんの涙が落ちた。
「ジェーン、どうして?」私は彼に聞いた。「チャーリーは勿論助けないと、そうでしょう?」
「正直に答えます。あと四日以内に救出することは不可能です。出来れば、あと一週間は、設計するのに時間を頂きたい。超強力兵器の、設計です。それさえあれば、あの外壁を破壊出来る。そしてそれを形にするのに、さらに一週間。」
「それではチャーリーが!」私は立ち上がった。「外壁がダメなら、地下から行けばいい!」
「地下ですか。」ジェーンの低く、敵意のある声色だった。「シルビアがそこを通って来たことは、もう騎士に伝わっています。自警システムは狭い場所で真価を発揮する。一般市民を逃したこともあり、地下はもう、厳重化して地獄ですよ。行くなら、地上からしかない。そして、門が閉ざされている以上、門もしくは、外壁を破壊する必要がある。北門も南門も、有事の際は、あれで一つの兵器です。厳戒態勢時に近付けば、命は無い。よって、門は選択肢には含みません。侵攻するには外壁の一部を破壊する必要があるのです……ですから、時間が必要だと言いました。チャーリーの救出、私は賛成しかねます。彼一人の為に急ぎ、外壁の自警システムを壊すのに、LOZの先鋒隊を、特攻させるおつもりですか?」
「そうは言ってないけど……。」
私は言葉が見つからなかった。ジェーンの言っている意味だって分かる。この問題はあれに似ている。ブレーキの効かない電車問題だ。作業員の命を優先させるか、乗客の命を優先させるか。ジェーンは、乗客の命を優先させようとしているのだ。命を数で考えれば、それは正しいのかもしれない。
しかし、私の隣で、声を詰まらせて泣いているのは、殺されかけている人の母親である。クラースさんの船の上でとった私の決断は、両方とも助ける、だった。その時ジェーンは、だから私についていくと言ってくれた。
「……どうしたのジェーン。」私はわざと笑った。彼は目を見開いて私を見た。「助けないの?私は、チャーリーもLOZの皆も守りたい。私が決めたら、ジェーンは、何をするんだっけ?」
「……導くしかありません。が、」ジェーンがため息をついて項垂れた。「今回の戦いは特に、一筋縄ではいきません。どう考えても、どの方法を選んでも、危険が伴います。どのように……考えても……。時間が足りない。」
「方法はあるさ、私とヴァルガが居る。大丈夫だよ、だから、やろう。」
私がジェーンの隣に行って、彼の肩を叩くと、少ししてから彼が頷いてくれた。シルビアさんは声を上げて泣いてしまい、彼女にティッシュ箱を渡すと、テーブル越しに、力強くハグされてしまった。パン屋さんは力が強いのね、潰れそうだった。
ありがとう、ありがとう、と何度も、シルビアさんは繰り返していた。必ず方法はあるはずだ、私は絶対に、諦めたく無かった。
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