211 / 253
誰も止められない愛情狂編
211 ゴーストの弱点
しおりを挟む
「ああ、じゃあ私もウォッフォンを確認するよ。あそこに座ろうか。」
私は近くのベンチに座った。すぐにウォッフォンを確認したが、クラースからのメールはまだ届いていなかった。おばか、幾ら何でも遅すぎます!やることを無くした私は、キルディアの方を向いた。するとキルディアは、私に背を向けて、どうやらメールを返している様子だった。
「キルディア、誰ですか?」
「リンだよ……なんか変なこと言ってる。あと適当に、今日の写真送ってる。」
「私の写真ですか?」
「パインちゃんの写真。パインちゃん好きらしいから送ってるよ。二人の写真は送ってない。それは私だけの写真だから。」
その回答に、私は大変満足した。返事を終えたキルディアが、私に聞いた。
「ジェーンはどこに行きたい?付き合わせてばかりな気がしたから、今度はジェーンの行きたいところに行こう。」
「ふむ、そうですね……でしたら、」お化け屋敷はクライマックスだ。「ゴンドラに乗りましょう。あの湖に浮かぶ、ボートです。ゆっくりとした時間を、あなたと過ごしたい。」
「ああ、いいね。行こう!」
我々は次に、ボートに乗り、このテーマパークを一周することとなった。大きめなボート、普段は十人ほどで乗るようだが、その時は空いていたので、私とキルディア、それからボート漕ぎの三人だった。
「それでは進みます。」
オーケストラの音楽が流れている。このテーマパークの音楽を、楽団がアレンジした曲だった。月明かりの湖面を、我々がゆっくりと進んでいる。パークのイルミネーションもあり、時間が止まったような、気持ちになった。
「キルディア、綺麗ですね。」
「うん、そうだね。」
「クラースの船とも、海賊船のボートとも、また違います。」
「うん、今までで一番、綺麗だよ。隣にジェーンが居るからかな。今日がとても楽しかったからかな。でも、大変なこともあったけど。」
「……私はもうあれを気にしていません。おかげで、あなたと一緒にトイレをすることが出来ました。これから何度でも、一緒にトイレに行けます。」
うっ、と先頭に立ってオールを動かしている男が、笑いを堪えた気がした。まさか私の発言に笑ったのか?それでよく、スタッフが出来るというものだ。
「ジェ、ジェーン……トイレはさあ、もう一人でもいいでしょう?普段は私、男性用トイレに入れないよ。」
「ああ大丈夫です。多目的トイレがあるでしょう?外出時は、まだ恐怖心がこの胸に残っていますから、そちらで共に。」
「分かったよ……出来る限りね。もう。」
私が手を繋ごうとした時、彼女から繋がれた。不意な出来事に、私の心は一気に熱くなった。小さい手、なのに、彼女は強い。そのギャップも堪らない。もし彼女が今後、衰えたとしても、私はずっとそばにいる。今度は私が守る。戦にだって、勝利する。
「キルディア、絶対に……。」と言ったところで、ネビリスに勝ちましょう、と言えば彼女は騎士のモードに入ると考えた。今は違う。デートをしているのだ。キルディアは私を見つめている。なので、続きの言葉を放った。
「帰ったら、キスします。」
「……。」キルディアは無言で顔を逸らした。そんな反応をしてしまって。ふふ。
ゴンドラを降りた先は、テーマパークの入り口に近かった。するとアナウンスが流れ、あと五分で閉園するとのことだった。しまった!
「もう出ようか、楽しかったね!」
「行っていないところがあります!ついてきなさい!」
私はキルディアの手を引いて走った。幸にもそれは、入り口の近くにあった。私はその勢いのまま、そのアトラクション内に入った。キルディアが叫んだ。
「このタイミングでお化け屋敷はまずいよ!」
「いえ、いきます!私が守るのです!」
「馬鹿あああああ!」
そのお化け屋敷は、廃ホテルがモチーフだった。入り口のスタッフに「急いでください」と、言われたこともあり私は足を早めた。所々に、ゾンビだの、幽霊だの、ロボットによるギミックが存在している。
ロボットなのに、キルディアは一々驚き、私の腕を抱いた。
「ジェーン、歩くの早いよ。それにあの部屋の前、絶対何かある!私の勘がそう言ってる!さっきから、足音だってするし……ああ、もう早く出たい!」
「でしたら早く歩くべきです。あの部屋の前ですか。どれ、私が行って確かめましょう……」
私はボロボロドアの前に立った。しかし何も無い。
「ほらキルディア、何もありません。」
「ちょっと離れないでよ!待って、一緒に進もう。守りの陣だ。そうだ、そうそう。」
そう言って彼女は、私にぴったりとくっついて歩いている。私は彼女の肩に腕を回した。やっと、私が守ることが出来た。そのドアの前を通り過ぎ、あとは階段を降りて行けば、ゴールのはず。
だが、背後で気配がしたのか、キルディアが振り返った。すると、先程のドアから、髪の長い、白い服の女性が、こちらを覗いていたのだ。更にその女性はドアから出て、ヒタヒタという足音と共に、私達のことを追跡し始めたのだ。機械はいいが、人は良くない。
私はキルディアを置いて、階段に向かって走った。キルディアが叫びながらついて来た。
「ジェーンンンンン!ふざけるな!待てコラああああ!」
「申し訳ない!人はいけません!あなたの背後に人が居ます!」
「知ってるんじゃああああ!うああああああああ!」
私は階段を急いで駆け下りた。キルディアも追って来ている。そして階段を降っている時に、女が階段上で笑っている声が聞こえた。それにまた、恐怖心を煽られた私は、転びそうな程に全力疾走し、階段を降りた先にある廊下の壁に、血塗られた矢印があるのを見て、その方向に曲がった。そこには大きな扉があった。
ドンと、私の背中に何かがぶつかった。私は叫んだ。
「ああああああ!」
「私だ落ち着け!」
べしんと肩を叩かれた。キルディアだった。すごく睨んでいる。
「……まじでジェーン、置いていくとか、やってくれるよね!」
「私はいつでもやる男です。今夜もやりますよ。」
「なんのこと言ってるのか知らないけど、兎に角、このエリアを抜ければ終わるはずだ。一気に行こう。」
「ええ、そうしましょう。互いのことは考えず、我の命だけを優先していきましょう。」
「うん……。」
私はドアノブを回転させて、ゆっくりとドアを開けた。真っ暗な部屋で、何も見えない。ウォッフォンの光で照らすが、インジアビスのように、深い闇だった。すると突然、パッと一瞬だけ、蛍光灯がついた。
その一瞬に、信じられない光景を見た。先程の白い女が多数、壁沿いにびっしりと立っていたのだ。更にパッと光り、白い女はこちらを指さした。
「キルディア、いけない!」
「わ、分かってる!脱出はどこだ!?あそこだ!」
キルディアが扉を発見して、その方へ走った。だが近づくたびに、パッ、パッ、と光る頻度が増し、白い服の女たちが、私達を追いかけているのが、分かる。
「だ、だめだ!開かないよ、ジェーン!?」
キルディアがガチャガチャとドアノブを回転させているが、開かない。こんな意地悪をして、いいと思っているのか。私は背後を振り返った。白い服の女が整列をして、こちらを指さしていた。卒倒しそうだった。
「キルディア、その扉が開かないのなら、光の大剣を出すしかありません!」
「だ、だって、壊しちゃうでしょ!」
「でも見てください、背後!」
キルディアは振り返って絶句して、腰を抜かしたのだった。私は彼女の腕を支えた。
「ご、ごめん、私もう立てない……。」
「EXITと書いてありますし、このドアで間違いないはずです。しかし開きませんね、どうすればいいのか。鍵穴もなければ、原因は何なのでしょうか。」
その間も電気は、点滅を繰り返し、女たちは私達を指差して止まっている。キルディアがドアに手を突きながら、どうにか立ち上がり、私の胸に飛び込んできた。
「もうダメだ、もう私は死んだ。きっとこの状態、テーマパークも予想してない状態なんだよ。だからね、この出来事は、作り物じゃなくて本物だってこと!だからこの扉が開かないの!ジェーン、あとは家まで送ってくれ。一旦、気絶しますね。」
「いえいえ、待ってくださいキルディア。どうにか……。」
すると指を指して止まっていた女の中から、一人だけが、我々に向かって歩いて来たのだった。点滅する度に、私の元へと近づいている。キルディアが叫んだ。
「あああ!来てる!そうだ、ジェーン!今思い出したよ、士官学校でカールが言っていたんだ!」
「カールですか?誰です?」
「クラスメートだったカール!今はどこかの師団の槍兵だと思うけど。それで、幽霊はエロが苦手らしいよ!もう私は手段を選ばない!すまない、ジェーン!」
「んぶっ!」
頭をがっしり掴まれて、キルディアにキスをされた。圧が凄い。唇が、真っ平らになりそうなほどに、強いキスだった。どんな形であれ、嬉しかったので、私はそのまま彼女をドアに押して、さらに激しくキスをした。
幽霊に見せつけたいのか、彼女も情熱的に応じてくれる。これはいい手段を得た。それに、身体が熱くなるものだった。革靴の中が、熱い。心臓の鼓動が、加速している。できれば、舌を絡ませたい。
「キルディア、すごく、熱い。」
「うん、今だけ、だから。」
唇と唇が絡み合う音が耳に響く、この横にベッドがあったなら、どれだけ良かったことか。いやしかし、まだクラースからの返事が無いので、詳細が不明だ……クラース、あの機械音痴め!
「あの、すみません。」
「わああああ!」
私の耳元で、キルディアが叫んだ。私は耳を押さえた。白い女性が、話しかけて来たのだった。
「閉園時間過ぎちゃって、ロックされちゃったみたいです……それで、解除するので、どいてください。」
「あ、ああ、そうでしたか。キルディア、こちらに。」
「……。」
キルディアは唇を噛んで、悔しそうな顔で私の背後にきた。とうとう、彼女を守ることが出来た。このアトラクション、私はとても満足した。
施設から出ることの出来た我々は、パークを離れて、路面電車でサンセット通りまで向かい、そこからまっすぐに歩いて、家へ向かった。
私は近くのベンチに座った。すぐにウォッフォンを確認したが、クラースからのメールはまだ届いていなかった。おばか、幾ら何でも遅すぎます!やることを無くした私は、キルディアの方を向いた。するとキルディアは、私に背を向けて、どうやらメールを返している様子だった。
「キルディア、誰ですか?」
「リンだよ……なんか変なこと言ってる。あと適当に、今日の写真送ってる。」
「私の写真ですか?」
「パインちゃんの写真。パインちゃん好きらしいから送ってるよ。二人の写真は送ってない。それは私だけの写真だから。」
その回答に、私は大変満足した。返事を終えたキルディアが、私に聞いた。
「ジェーンはどこに行きたい?付き合わせてばかりな気がしたから、今度はジェーンの行きたいところに行こう。」
「ふむ、そうですね……でしたら、」お化け屋敷はクライマックスだ。「ゴンドラに乗りましょう。あの湖に浮かぶ、ボートです。ゆっくりとした時間を、あなたと過ごしたい。」
「ああ、いいね。行こう!」
我々は次に、ボートに乗り、このテーマパークを一周することとなった。大きめなボート、普段は十人ほどで乗るようだが、その時は空いていたので、私とキルディア、それからボート漕ぎの三人だった。
「それでは進みます。」
オーケストラの音楽が流れている。このテーマパークの音楽を、楽団がアレンジした曲だった。月明かりの湖面を、我々がゆっくりと進んでいる。パークのイルミネーションもあり、時間が止まったような、気持ちになった。
「キルディア、綺麗ですね。」
「うん、そうだね。」
「クラースの船とも、海賊船のボートとも、また違います。」
「うん、今までで一番、綺麗だよ。隣にジェーンが居るからかな。今日がとても楽しかったからかな。でも、大変なこともあったけど。」
「……私はもうあれを気にしていません。おかげで、あなたと一緒にトイレをすることが出来ました。これから何度でも、一緒にトイレに行けます。」
うっ、と先頭に立ってオールを動かしている男が、笑いを堪えた気がした。まさか私の発言に笑ったのか?それでよく、スタッフが出来るというものだ。
「ジェ、ジェーン……トイレはさあ、もう一人でもいいでしょう?普段は私、男性用トイレに入れないよ。」
「ああ大丈夫です。多目的トイレがあるでしょう?外出時は、まだ恐怖心がこの胸に残っていますから、そちらで共に。」
「分かったよ……出来る限りね。もう。」
私が手を繋ごうとした時、彼女から繋がれた。不意な出来事に、私の心は一気に熱くなった。小さい手、なのに、彼女は強い。そのギャップも堪らない。もし彼女が今後、衰えたとしても、私はずっとそばにいる。今度は私が守る。戦にだって、勝利する。
「キルディア、絶対に……。」と言ったところで、ネビリスに勝ちましょう、と言えば彼女は騎士のモードに入ると考えた。今は違う。デートをしているのだ。キルディアは私を見つめている。なので、続きの言葉を放った。
「帰ったら、キスします。」
「……。」キルディアは無言で顔を逸らした。そんな反応をしてしまって。ふふ。
ゴンドラを降りた先は、テーマパークの入り口に近かった。するとアナウンスが流れ、あと五分で閉園するとのことだった。しまった!
「もう出ようか、楽しかったね!」
「行っていないところがあります!ついてきなさい!」
私はキルディアの手を引いて走った。幸にもそれは、入り口の近くにあった。私はその勢いのまま、そのアトラクション内に入った。キルディアが叫んだ。
「このタイミングでお化け屋敷はまずいよ!」
「いえ、いきます!私が守るのです!」
「馬鹿あああああ!」
そのお化け屋敷は、廃ホテルがモチーフだった。入り口のスタッフに「急いでください」と、言われたこともあり私は足を早めた。所々に、ゾンビだの、幽霊だの、ロボットによるギミックが存在している。
ロボットなのに、キルディアは一々驚き、私の腕を抱いた。
「ジェーン、歩くの早いよ。それにあの部屋の前、絶対何かある!私の勘がそう言ってる!さっきから、足音だってするし……ああ、もう早く出たい!」
「でしたら早く歩くべきです。あの部屋の前ですか。どれ、私が行って確かめましょう……」
私はボロボロドアの前に立った。しかし何も無い。
「ほらキルディア、何もありません。」
「ちょっと離れないでよ!待って、一緒に進もう。守りの陣だ。そうだ、そうそう。」
そう言って彼女は、私にぴったりとくっついて歩いている。私は彼女の肩に腕を回した。やっと、私が守ることが出来た。そのドアの前を通り過ぎ、あとは階段を降りて行けば、ゴールのはず。
だが、背後で気配がしたのか、キルディアが振り返った。すると、先程のドアから、髪の長い、白い服の女性が、こちらを覗いていたのだ。更にその女性はドアから出て、ヒタヒタという足音と共に、私達のことを追跡し始めたのだ。機械はいいが、人は良くない。
私はキルディアを置いて、階段に向かって走った。キルディアが叫びながらついて来た。
「ジェーンンンンン!ふざけるな!待てコラああああ!」
「申し訳ない!人はいけません!あなたの背後に人が居ます!」
「知ってるんじゃああああ!うああああああああ!」
私は階段を急いで駆け下りた。キルディアも追って来ている。そして階段を降っている時に、女が階段上で笑っている声が聞こえた。それにまた、恐怖心を煽られた私は、転びそうな程に全力疾走し、階段を降りた先にある廊下の壁に、血塗られた矢印があるのを見て、その方向に曲がった。そこには大きな扉があった。
ドンと、私の背中に何かがぶつかった。私は叫んだ。
「ああああああ!」
「私だ落ち着け!」
べしんと肩を叩かれた。キルディアだった。すごく睨んでいる。
「……まじでジェーン、置いていくとか、やってくれるよね!」
「私はいつでもやる男です。今夜もやりますよ。」
「なんのこと言ってるのか知らないけど、兎に角、このエリアを抜ければ終わるはずだ。一気に行こう。」
「ええ、そうしましょう。互いのことは考えず、我の命だけを優先していきましょう。」
「うん……。」
私はドアノブを回転させて、ゆっくりとドアを開けた。真っ暗な部屋で、何も見えない。ウォッフォンの光で照らすが、インジアビスのように、深い闇だった。すると突然、パッと一瞬だけ、蛍光灯がついた。
その一瞬に、信じられない光景を見た。先程の白い女が多数、壁沿いにびっしりと立っていたのだ。更にパッと光り、白い女はこちらを指さした。
「キルディア、いけない!」
「わ、分かってる!脱出はどこだ!?あそこだ!」
キルディアが扉を発見して、その方へ走った。だが近づくたびに、パッ、パッ、と光る頻度が増し、白い服の女たちが、私達を追いかけているのが、分かる。
「だ、だめだ!開かないよ、ジェーン!?」
キルディアがガチャガチャとドアノブを回転させているが、開かない。こんな意地悪をして、いいと思っているのか。私は背後を振り返った。白い服の女が整列をして、こちらを指さしていた。卒倒しそうだった。
「キルディア、その扉が開かないのなら、光の大剣を出すしかありません!」
「だ、だって、壊しちゃうでしょ!」
「でも見てください、背後!」
キルディアは振り返って絶句して、腰を抜かしたのだった。私は彼女の腕を支えた。
「ご、ごめん、私もう立てない……。」
「EXITと書いてありますし、このドアで間違いないはずです。しかし開きませんね、どうすればいいのか。鍵穴もなければ、原因は何なのでしょうか。」
その間も電気は、点滅を繰り返し、女たちは私達を指差して止まっている。キルディアがドアに手を突きながら、どうにか立ち上がり、私の胸に飛び込んできた。
「もうダメだ、もう私は死んだ。きっとこの状態、テーマパークも予想してない状態なんだよ。だからね、この出来事は、作り物じゃなくて本物だってこと!だからこの扉が開かないの!ジェーン、あとは家まで送ってくれ。一旦、気絶しますね。」
「いえいえ、待ってくださいキルディア。どうにか……。」
すると指を指して止まっていた女の中から、一人だけが、我々に向かって歩いて来たのだった。点滅する度に、私の元へと近づいている。キルディアが叫んだ。
「あああ!来てる!そうだ、ジェーン!今思い出したよ、士官学校でカールが言っていたんだ!」
「カールですか?誰です?」
「クラスメートだったカール!今はどこかの師団の槍兵だと思うけど。それで、幽霊はエロが苦手らしいよ!もう私は手段を選ばない!すまない、ジェーン!」
「んぶっ!」
頭をがっしり掴まれて、キルディアにキスをされた。圧が凄い。唇が、真っ平らになりそうなほどに、強いキスだった。どんな形であれ、嬉しかったので、私はそのまま彼女をドアに押して、さらに激しくキスをした。
幽霊に見せつけたいのか、彼女も情熱的に応じてくれる。これはいい手段を得た。それに、身体が熱くなるものだった。革靴の中が、熱い。心臓の鼓動が、加速している。できれば、舌を絡ませたい。
「キルディア、すごく、熱い。」
「うん、今だけ、だから。」
唇と唇が絡み合う音が耳に響く、この横にベッドがあったなら、どれだけ良かったことか。いやしかし、まだクラースからの返事が無いので、詳細が不明だ……クラース、あの機械音痴め!
「あの、すみません。」
「わああああ!」
私の耳元で、キルディアが叫んだ。私は耳を押さえた。白い女性が、話しかけて来たのだった。
「閉園時間過ぎちゃって、ロックされちゃったみたいです……それで、解除するので、どいてください。」
「あ、ああ、そうでしたか。キルディア、こちらに。」
「……。」
キルディアは唇を噛んで、悔しそうな顔で私の背後にきた。とうとう、彼女を守ることが出来た。このアトラクション、私はとても満足した。
施設から出ることの出来た我々は、パークを離れて、路面電車でサンセット通りまで向かい、そこからまっすぐに歩いて、家へ向かった。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】「幼馴染が皇子様になって迎えに来てくれた」
まほりろ
恋愛
腹違いの妹を長年に渡りいじめていた罪に問われた私は、第一王子に婚約破棄され、侯爵令嬢の身分を剥奪され、塔の最上階に閉じ込められていた。
私が腹違いの妹のマダリンをいじめたという事実はない。
私が断罪され兵士に取り押さえられたときマダリンは、第一王子のワルデマー殿下に抱きしめられにやにやと笑っていた。
私は妹にはめられたのだ。
牢屋の中で絶望していた私の前に現れたのは、幼い頃私に使えていた執事見習いのレイだった。
「迎えに来ましたよ、メリセントお嬢様」
そう言って、彼はニッコリとほほ笑んだ
※他のサイトにも投稿してます。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる