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ギルバート騎士団長を探せ編
121 未来は変えられる
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オーウェンは私に優しく微笑んでくれた。
「砂漠での戦いの時、自らの命も顧みず、我々の援護をしてくれたのは、ギルバート騎士団長であります!それに皆、何を見て鍛錬に励んできたとお思いですか!?あなたの、宙を舞い、空気の軌道に大剣を流す、まるで芸術の様に凛然と戦う、そのお姿が、我々騎士の心を鼓舞していたのです!民も、あなたの優しい心を見抜いていたのです。だからこそ、我々はずっとギルバート様をお探ししていた。」
「ありがとうオーウェン」私は項垂れた。「……そう言ってくれて嬉しい。しかし、私が帝国から逃げたのは事実です。民の私への信頼や、兵の私への信頼、それが私の帝国での地位を、徐々に高くしていった。私はそれに気持ちが付いていけなかった。それにもう一人、その状況を懸念する人物が、近くに居た。」
ジェーンが聞いた。
「それは、ネビリスですね?」
皆がハッと私を見た。私が頷くと、ジェーンは私に聞いた。
「あなたの地位が高まることを気に入らない彼は……、あなたに一体何をしたのでしょう?」
「私に対して、彼は、こう言った。私が騎士団から去らなければ、騎士の家族を手にかけると。」
オーウェン達が騒ついた。私は続けた。
「幸い、その頃には、ギルバート騎士団長が闇属性だという嫌な噂が、流れていた。皆も知っている様にそれは事実だ。陛下は気にしない様だったが、帝都の民は、インジアビスの民を、少し怖がるところがある……。私がハーフということが知れ渡るのも、時間の問題だろう。だから闇属性を理由に、それ以上の理由は何も知られないで去るタイミングとしては、その時がいいと思った。ネビリスは、私が彼より帝国内で抜きんでることを恐れた。兵達の家族を手にかける、それは彼にとって簡単なことだ。罪をなすりつけて、死罪にする。以前から犯罪者に対して、彼の執行する刑罰は、少し重いものが多かった。私は……ごめんなさい、私は、騎士団を去る決意をした。バカな事に、私は、ネビリスが危険な人物だということは感じていた。でも、彼は全てが悪い人では無かった。彼と話していると、不思議と彼は、本当は優しい人なんじゃないかと思える時さえあった。帝国の為、それが口癖の様に、彼は真面目に仕事をしていた。ただ、欲深い所があるだけだと思っていた。私が居なくなっても、帝国にはネビリスや、強いヴァルガが居る。彼は騎士団長にピッタリだ。私が居なくなっても、兵も民も、陛下も、何も変わらず、過ごしていくものだと思っていた。」
「キリー……」
リンの心配そうな声が聞こえた。私は涙が止まらなくなって、両手で顔を抑えた。
「でも……でも!私が騎士団を去って後悔したのは、ルミネラ皇帝が崩御された時だ!ネビリスがやったに違いない、彼の欲深さは、それ程に酷いものだった。楽観視して、逃げるように騎士団から去った自分を憎んだ。私がそばにいれば、そうなることは防げたかもしれない、私は民の、太陽の様な希望を守れなかった。私は、自分の心を支えてくれていた、その希望をも、守れなかった……。あの危険な男を置いておいて、私は何を呑気に過ごしているんだろう、ふと、そう考える時があった。私は、酷い人間だ。私は、皆が思っている、ギルバート騎士団長ではない。」
ジェーンが背中をさすってくれた。その時に、あの大剣のことを思い出した。
「火山の戦いの時に、私はマグマに落ちそうになり、それでも大剣を手放すことが難しかった。そのせいで、ジェーンやクラースさんを危険な目に合わせてしまった、ごめんなさい……。あの大剣は、私が人生で初めてもらった誕生日プレゼントだった。それも、ルミネラ皇帝から頂いたものだった。陛下は家族のいない私を、いつも気にかけて下さった。私は、陛下の為なら、この命を捧げることが出来ると確信していた。騎士の使命と、兵士の家族と、それらを天秤にかけられた時に、私がどうして兵士達のことを気にかけたのか、覚えていない。ただ、城を去る時も陛下は、いつもの陽だまりの様な笑顔で、どこに行っても私のことを応援すると、言って下さった。反対もせずに、寧ろ新たな名前まで与えて、私を見送って下さった……。そんな、私に生きる希望を与えて下さった大切な、こうは失礼かもしれないが、私の本当の祖父の様な存在であった、あのお方を、私は救えなかった。これは許されるべきでは無いと、今でもいつも、思い続けている。」
「キルディア」ジェーンが私に話しかけた。皆はジェーンを見た。「それでも、それからあなたに救われた人間は、たくさんいます。私だって、その一人だ。」
「それは、」私は首を振った。「私がやったことではない。ジェーンが方法を考えてくれた、サウザンドリーフで村が危険な状況に陥って、我々が巻き込まれた時、私は葛藤した。ジェーンやあの村の人々は、私を求めてくれたが、私は皆を導くべき人間では無いと思っていた。でもその時は、いつの間にか皆を……でも、でも違う。私はそういう人間では無い。私は大きな過ちを犯した。逃げるという行為は、本当はとても覚悟のいる行為だった。」
『キリーが逃げずに皆を導いてくれたから、リーフのみんなは助かったんだよ?』
アリスの声がした。なぜ?と声の方を見ると、リンがウォッフォンを私に向けていた。そこからアリスの声がしたのだ。私はハッとして、手で口を覆った。
『そうよ、』今度はケイト先生の声が聞こえた。『グレン研究所の職員だって、ヴィノクール、タマラの皆だって、あなたに助けられた。私達が安心して住む場所を与えてくれたのは、他の誰でも無い、あなたよ。それに火山でドラゴンに遭遇した時、あなた体を張ってジェーンを守ったじゃないの。もう、自分を責めるのはやめなさい。』
私は何度も涙をツールアームの腕で拭いた。そして隣で立っているジェーンが私の背中をさすりながら言った。
「……過去から来た私が、何となくあなたを頼り、一緒に仕事をし、一緒に困難から乗り越えていく中で、私はあなたは素晴らしい人間だと思いました。事実、私のことを、文字通り守ってくれた。ドラゴンに襲われたあの時、あなたが居なければ、私は確実に命を落としていました。私は、とても感謝しております……。私が信頼を寄せているのはあなたです、ですから「じゃあさ、どうして任務ばかりこなしてた無感情のキリーが、研究所で変わったの?」
ジェーンの言葉を遮るし、リンの声が、思ったよりも涙でダミ声だったので、私はちょっと笑いを漏らしてしまった。そして、彼女の質問に答えた。
「……研究所に来て、最初は任務をこなすだけだったけど、優しい皆と一緒にいて、皆から初めて学ぶことが多かった。最初クラースさんは無愛想で冷たいと思ったけど、戦い方とか、ホームセンターとか教えてくれて、意外と日常の相談にも乗ってくれる、優しい人だと分かった。」
クラースさんが照れた様子で鼻の頭をかいた。それを見て、そこに居た皆が少し笑った。私は続けた。
「ケイト先生は怪我を癒すことだけじゃなくて、いつも私を心配してくれて、相談にも乗ってくれた。アリスはいつも賢いことを面白く話してくれて、勉強になった。リンは……日々生きていく中で見つける楽しいこと、それを教えてくれた。」
「じゃあキハシ君は?」
リンが鼻水を垂らしながらメモっている。全員の分を聞く気なのかな……私は困惑しながら答えた。
「キハシ君は……真面目だけど、ケイト先生と同じく電車が好きで、電車の為なら平気で有給取って、何かを一途に思うことを。タージュ博士はいつも優しくみんなを見守って、時には研究所の所長を追放する力強さのバランスを見せてくれた。ラブ博士はあまり話さないけれど、何だかんだ研究所に居てくれる。言葉にしなくても表せる気持ちを教えてくれた。ロケインは逆に、素直に何でも言葉で表す大事さを教えてくれた……そして。」
「そしてそして!」
リンが興奮し始めた。もうやだ。私は照れつつジェーンを見た。ジェーンは目を丸くした。
「ジェーンは……最初は何だこいつと思ったけれど、いつも私のそばで私のことを支えてくれて、心配してくれて、私のことをいつも考えてくれた。頭が良くて、たまに話題について行けない時もあるけど、その度に優しく説明してくれて。悲しいことに、いつか過去の世界に帰る日が絶対にくるけど、私はジェーンに幸せになってほしい。だから、ルミネラ皇帝がしてくれたように、私はジェーンを笑顔で見送りたい。」
「キルディア……!ですから「ああ!もう、涙が止まらない~!あああああっ!」
ジェーンの発言をまたもや遮ったリンが、テーブルに手をついて嗚咽を漏らし始めた。オーウェンの補佐官がタオルを彼女に渡した。それもそうだ、彼女の涙や鼻水が、地図にポタポタと垂れている。それを阻止したいもんね……。私は、皆に頭を下げた。
「ありがとう、皆さん。私に、人らしい生き方を教えてくれたのは、皆です。」
「ギルバート様、お顔をあげてください!」顔を上げると、オーウェンが涙目だった。「ほら、そういうところですよ、我々がギルバート様をお探ししていたのは!もう一度、我々を導いてくれることを、我らは望んでおります!」
「そうですとも!」「そうだそうだ!」と威勢のいい声が、テント内に響いた。私はぽかんとしてしまったが、一人の幹部が私にこう言った。
「我々レジスタンスはこれより、連合と協力し、共に帝国と戦います。よろしいですか?」
私はつい、隣のジェーンを見た。ジェーンは微笑んで頷いた。私は皆に向かって、何度も頷いた。
「はい……、はい!ここまで来てくれて、私を探してくれて、ありがとうございます!私は、もう逃げない。」
私の言葉に、皆が拍手をしてくれた。
「砂漠での戦いの時、自らの命も顧みず、我々の援護をしてくれたのは、ギルバート騎士団長であります!それに皆、何を見て鍛錬に励んできたとお思いですか!?あなたの、宙を舞い、空気の軌道に大剣を流す、まるで芸術の様に凛然と戦う、そのお姿が、我々騎士の心を鼓舞していたのです!民も、あなたの優しい心を見抜いていたのです。だからこそ、我々はずっとギルバート様をお探ししていた。」
「ありがとうオーウェン」私は項垂れた。「……そう言ってくれて嬉しい。しかし、私が帝国から逃げたのは事実です。民の私への信頼や、兵の私への信頼、それが私の帝国での地位を、徐々に高くしていった。私はそれに気持ちが付いていけなかった。それにもう一人、その状況を懸念する人物が、近くに居た。」
ジェーンが聞いた。
「それは、ネビリスですね?」
皆がハッと私を見た。私が頷くと、ジェーンは私に聞いた。
「あなたの地位が高まることを気に入らない彼は……、あなたに一体何をしたのでしょう?」
「私に対して、彼は、こう言った。私が騎士団から去らなければ、騎士の家族を手にかけると。」
オーウェン達が騒ついた。私は続けた。
「幸い、その頃には、ギルバート騎士団長が闇属性だという嫌な噂が、流れていた。皆も知っている様にそれは事実だ。陛下は気にしない様だったが、帝都の民は、インジアビスの民を、少し怖がるところがある……。私がハーフということが知れ渡るのも、時間の問題だろう。だから闇属性を理由に、それ以上の理由は何も知られないで去るタイミングとしては、その時がいいと思った。ネビリスは、私が彼より帝国内で抜きんでることを恐れた。兵達の家族を手にかける、それは彼にとって簡単なことだ。罪をなすりつけて、死罪にする。以前から犯罪者に対して、彼の執行する刑罰は、少し重いものが多かった。私は……ごめんなさい、私は、騎士団を去る決意をした。バカな事に、私は、ネビリスが危険な人物だということは感じていた。でも、彼は全てが悪い人では無かった。彼と話していると、不思議と彼は、本当は優しい人なんじゃないかと思える時さえあった。帝国の為、それが口癖の様に、彼は真面目に仕事をしていた。ただ、欲深い所があるだけだと思っていた。私が居なくなっても、帝国にはネビリスや、強いヴァルガが居る。彼は騎士団長にピッタリだ。私が居なくなっても、兵も民も、陛下も、何も変わらず、過ごしていくものだと思っていた。」
「キリー……」
リンの心配そうな声が聞こえた。私は涙が止まらなくなって、両手で顔を抑えた。
「でも……でも!私が騎士団を去って後悔したのは、ルミネラ皇帝が崩御された時だ!ネビリスがやったに違いない、彼の欲深さは、それ程に酷いものだった。楽観視して、逃げるように騎士団から去った自分を憎んだ。私がそばにいれば、そうなることは防げたかもしれない、私は民の、太陽の様な希望を守れなかった。私は、自分の心を支えてくれていた、その希望をも、守れなかった……。あの危険な男を置いておいて、私は何を呑気に過ごしているんだろう、ふと、そう考える時があった。私は、酷い人間だ。私は、皆が思っている、ギルバート騎士団長ではない。」
ジェーンが背中をさすってくれた。その時に、あの大剣のことを思い出した。
「火山の戦いの時に、私はマグマに落ちそうになり、それでも大剣を手放すことが難しかった。そのせいで、ジェーンやクラースさんを危険な目に合わせてしまった、ごめんなさい……。あの大剣は、私が人生で初めてもらった誕生日プレゼントだった。それも、ルミネラ皇帝から頂いたものだった。陛下は家族のいない私を、いつも気にかけて下さった。私は、陛下の為なら、この命を捧げることが出来ると確信していた。騎士の使命と、兵士の家族と、それらを天秤にかけられた時に、私がどうして兵士達のことを気にかけたのか、覚えていない。ただ、城を去る時も陛下は、いつもの陽だまりの様な笑顔で、どこに行っても私のことを応援すると、言って下さった。反対もせずに、寧ろ新たな名前まで与えて、私を見送って下さった……。そんな、私に生きる希望を与えて下さった大切な、こうは失礼かもしれないが、私の本当の祖父の様な存在であった、あのお方を、私は救えなかった。これは許されるべきでは無いと、今でもいつも、思い続けている。」
「キルディア」ジェーンが私に話しかけた。皆はジェーンを見た。「それでも、それからあなたに救われた人間は、たくさんいます。私だって、その一人だ。」
「それは、」私は首を振った。「私がやったことではない。ジェーンが方法を考えてくれた、サウザンドリーフで村が危険な状況に陥って、我々が巻き込まれた時、私は葛藤した。ジェーンやあの村の人々は、私を求めてくれたが、私は皆を導くべき人間では無いと思っていた。でもその時は、いつの間にか皆を……でも、でも違う。私はそういう人間では無い。私は大きな過ちを犯した。逃げるという行為は、本当はとても覚悟のいる行為だった。」
『キリーが逃げずに皆を導いてくれたから、リーフのみんなは助かったんだよ?』
アリスの声がした。なぜ?と声の方を見ると、リンがウォッフォンを私に向けていた。そこからアリスの声がしたのだ。私はハッとして、手で口を覆った。
『そうよ、』今度はケイト先生の声が聞こえた。『グレン研究所の職員だって、ヴィノクール、タマラの皆だって、あなたに助けられた。私達が安心して住む場所を与えてくれたのは、他の誰でも無い、あなたよ。それに火山でドラゴンに遭遇した時、あなた体を張ってジェーンを守ったじゃないの。もう、自分を責めるのはやめなさい。』
私は何度も涙をツールアームの腕で拭いた。そして隣で立っているジェーンが私の背中をさすりながら言った。
「……過去から来た私が、何となくあなたを頼り、一緒に仕事をし、一緒に困難から乗り越えていく中で、私はあなたは素晴らしい人間だと思いました。事実、私のことを、文字通り守ってくれた。ドラゴンに襲われたあの時、あなたが居なければ、私は確実に命を落としていました。私は、とても感謝しております……。私が信頼を寄せているのはあなたです、ですから「じゃあさ、どうして任務ばかりこなしてた無感情のキリーが、研究所で変わったの?」
ジェーンの言葉を遮るし、リンの声が、思ったよりも涙でダミ声だったので、私はちょっと笑いを漏らしてしまった。そして、彼女の質問に答えた。
「……研究所に来て、最初は任務をこなすだけだったけど、優しい皆と一緒にいて、皆から初めて学ぶことが多かった。最初クラースさんは無愛想で冷たいと思ったけど、戦い方とか、ホームセンターとか教えてくれて、意外と日常の相談にも乗ってくれる、優しい人だと分かった。」
クラースさんが照れた様子で鼻の頭をかいた。それを見て、そこに居た皆が少し笑った。私は続けた。
「ケイト先生は怪我を癒すことだけじゃなくて、いつも私を心配してくれて、相談にも乗ってくれた。アリスはいつも賢いことを面白く話してくれて、勉強になった。リンは……日々生きていく中で見つける楽しいこと、それを教えてくれた。」
「じゃあキハシ君は?」
リンが鼻水を垂らしながらメモっている。全員の分を聞く気なのかな……私は困惑しながら答えた。
「キハシ君は……真面目だけど、ケイト先生と同じく電車が好きで、電車の為なら平気で有給取って、何かを一途に思うことを。タージュ博士はいつも優しくみんなを見守って、時には研究所の所長を追放する力強さのバランスを見せてくれた。ラブ博士はあまり話さないけれど、何だかんだ研究所に居てくれる。言葉にしなくても表せる気持ちを教えてくれた。ロケインは逆に、素直に何でも言葉で表す大事さを教えてくれた……そして。」
「そしてそして!」
リンが興奮し始めた。もうやだ。私は照れつつジェーンを見た。ジェーンは目を丸くした。
「ジェーンは……最初は何だこいつと思ったけれど、いつも私のそばで私のことを支えてくれて、心配してくれて、私のことをいつも考えてくれた。頭が良くて、たまに話題について行けない時もあるけど、その度に優しく説明してくれて。悲しいことに、いつか過去の世界に帰る日が絶対にくるけど、私はジェーンに幸せになってほしい。だから、ルミネラ皇帝がしてくれたように、私はジェーンを笑顔で見送りたい。」
「キルディア……!ですから「ああ!もう、涙が止まらない~!あああああっ!」
ジェーンの発言をまたもや遮ったリンが、テーブルに手をついて嗚咽を漏らし始めた。オーウェンの補佐官がタオルを彼女に渡した。それもそうだ、彼女の涙や鼻水が、地図にポタポタと垂れている。それを阻止したいもんね……。私は、皆に頭を下げた。
「ありがとう、皆さん。私に、人らしい生き方を教えてくれたのは、皆です。」
「ギルバート様、お顔をあげてください!」顔を上げると、オーウェンが涙目だった。「ほら、そういうところですよ、我々がギルバート様をお探ししていたのは!もう一度、我々を導いてくれることを、我らは望んでおります!」
「そうですとも!」「そうだそうだ!」と威勢のいい声が、テント内に響いた。私はぽかんとしてしまったが、一人の幹部が私にこう言った。
「我々レジスタンスはこれより、連合と協力し、共に帝国と戦います。よろしいですか?」
私はつい、隣のジェーンを見た。ジェーンは微笑んで頷いた。私は皆に向かって、何度も頷いた。
「はい……、はい!ここまで来てくれて、私を探してくれて、ありがとうございます!私は、もう逃げない。」
私の言葉に、皆が拍手をしてくれた。
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