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まるでエンジェル火山測定装置編
74 火山を揺るがす叫び
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まさか、我々の援軍だった。青色ローブの人達は、ピシッと横一列に並ぶと、皆で力を合わせて水属性の魔術をチャージして、騎士団に向かって放ち始めた。
本来なら火山の中で、パワーも減るはずの水属性が、一丸となった民の心を表したかのように、彼らの頭上に集結し、巨大な塊となり、騎士団に向かって落下した。その一撃で、何十、何百人もの兵士達が一気に吹き飛んだ。この騒動を端から余裕そうに見ていただけの兵達も、慌てて武器を構え始めるが、強力な魔術の前になす術はなかった。
事態は好転した。
「よし、よし……まだ戦える人は、私と共に来て下さい!」
私は微笑んでしまった。すぐそこの地面に落ちていた槍を天に掲げると、クラースさんやリン、それにタマラの民達、グレン研究員達も勢いよく拳を掲げた。
「おおお!」
一気に士気が高まるのは、身が震える。私を先頭に、同じ気持ちで戦う仲間が、女騎士を中心とした集団に向かって走って行く。
「くそ、くそ!引け!一度引け!」
女騎士は叫び、後ずさった。慌てて退却して行く騎士達を、走って追いかけた。騎士達は通路からポロポロと逃げて行く。怪我をしている兵を背に乗せた騎士達が、私たちを気にしながら歩いて去って行くが、これ以上は追う必要はないので、彼らには何もしなかった。
歓声がふつふつと沸き上がっていき、遂にはライブ会場のように皆が叫んでいた。私も「よし!」と、独り言を呟いて、測定装置のある洞窟へと向かって走り始めた。
その時だった。目の前の洞窟が、いきなり爆発したのだ。歓声がすぐに止んだ。まさか……何で!?
「ジェーン!」
私は叫んで、砂煙が舞っている洞窟へと走った。ガスマスクを取って、煙に包まれるその中を進んでいると、洞窟からアマンダを抱っこしている、煤だらけのジェーンが現れた。
「アマンダ!」
一人の青ローブの男がジェーンに駆け寄り、アマンダを預かると、持って来ていた水を彼女の頭にかけて、それから飲ませた。彼は集団を率いていた男性だ。そばには女性も居る。
「お父さん……お母さん……お兄ちゃんに水を飲ませて、私、大丈夫だよ……。」
そういうアマンダは赤い顔で、ぐったりとしている。ヴィノクールの民の中から一人のおじいさんが駆け寄り、アマンダの具合を診始めた。彼は医者のようだ。私は煤だらけで真っ赤な顔をしたジェーンに、自分の水筒を渡した。
「ジェーン、遅れてごめんね。大丈夫?」
「私は大丈夫です……それよりもあなた、とても怪我を。口の端も、頬も……切れています。っ……!」
よろめいた彼を、私が抱き支えた。Tシャツがびしゃびしゃで、火照った身体だった。一度その場にしゃがんで、ジェーンを地面に座らせて、彼の頭を自分の膝に乗せた。目が虚ろな彼の口に、少しずつ水を注いだ。唇が乾いてシワシワだった。
こんなになるまで耐えたんだと思うと、少し涙が出そうだった。すぐにガスマスクを取ったリンとクラースさんが来てくれて、ジェーンの体に水筒の水をかけてくれた。ジェーンは何度か瞬きをして、口を開いた。
「皆様、ありがとうございます。少し、楽になりました。それよりもあなた、その痣や切り傷、さっきから騎士団と、かなり派手に……やり合っていたのでは?」
ジェーンが私の頬の傷に触れた。心配そうな目で、じっと傷を見ていた。
「他に、何をされました?どのような、傷を?」
「ジェーン、私は大丈夫。これくらいは慣れてる。私の心配よりも、自分の心配を「それは出来ません。やっと会えた。私の大切な存在ですから。他にどのような怪我を?どのような顔の兵士でしたか?私はその犯人を許す事は出来ない。住所を特定して……復讐を……」
ぐっ、そんなにも心配してくれるとは思わなくて、つい胸が変にきゅんとした……だが嫌な予感がして、恐る恐るリンの方を見ると、彼女はやはりモンスターのような狂ったにやけ顔をして、ウォッフォンでメモしていた。私は苦笑いして言った。
「ジェーン、弱っているから、そんな普段言わない事を言って。住所特定も復讐もいいの、私だってその分、誰かを傷付けた。……それに、ウォッフォンに通信してくれてたのに、気付くの遅くなってしまった。ごめんね。」
「いえ、最初の爆発で、私のウォッフォンの通信機能が故障しました。あなたのせいではありません。」
丁度、リンとクラースさんが今の出来事の武勇伝を語るタールの方を見ていた。ぐったりとしたジェーンは、心配そうな顔で、私の頬の傷を見ている。誰も見ていないことをいいことに、私はジェーンの頭を少し撫でた。彼の目が、驚きで見開かれた。
「ごめん、変なことをした。」
「……いえ、もう一度。」
え?もう一度撫でて欲しいの?意外な一言に、つい笑ってしまって、それを聞いたリンが「なになに?どうしたの?」って食いついてきてしまった。
私は何でもない、と答えた。「何でよ!教えてよ!」としつこいリンを、私は虫を払うように、片手をパタパタと動かして退けた。
煙の収まった洞窟前では、タールを始めとしたタマラ採掘隊のメンバーが岩の壊れ方に何やら関心を示していた。「何の爆弾だろう?」「さあ」と話し合っている声が聞こえた。その横をスコピオ博士とグレンの研究員達が、ゾロゾロ通り過ぎていき、奥へと消えて行った。
「うあああああああああああ!……あああああああ!」
「な、なに!?どうしたの!?」
スコピオ博士の悲鳴に、隣で立っていたクラースさんが、私たちを守るように戟を構えた。私の問いに対して、博士から返事が無い。民達がじっと見守る中、洞窟内からは、魂の抜け殻と化した、スコピオ博士がゾンビのように出てきた。博士だけでは無い、研究員も皆、ゾンビ化している。
ジェーンが体を起こそうとしたので、私は彼の背中を支えた。彼は博士に聞いた。
「あ、見つけました?」
「ジェーン、見つけたって何が?」
私の質問には、スコピオ博士が答えてくれた。
「そ、そ、そそそそっそそ測定装置が、測定装置ガァあ!ば、ば、ば、ばら、バラバラバラになってる……うあああああああああええんっ!」
たった今、人生で初めて、大人の男が大号泣をしているのを見てしまった。あんな劇的な泣きっぷりはミュージカルでも見たことがない。スポットライトが似合うくらいの、スコピオ博士の天を仰ぐ涙は、何故か皆の笑いを誘った。
「ああああ!ふぁあああ!」と何度もスコピオ博士が叫び、それが何度も火山にこだました。私は隣で立つジェーンを見た。ジェーンは気まずそうに私の背後に隠れて、補足説明を始めた。
「……アマンダのことも考えて、すぐに洞窟から脱出しなければならないと考えました。しかし私が所持していたのは、道具箱と、通信機能の無いウォッフォンと、水筒三本です。何か使えないものは他にないかと思っていたところに、偶然、火山測定装置が「目に入ったからそれをバラして爆弾にしたと言うのですねぇえっぇえぇ~あああああ!それも貴方様なら可能なんでしょうけどねぇぇぇ!もうちょっと待てばタールが爆破してくれたんですけどねぇぇぇ!ああああああっ!うえええん!ふぅあぅっはぁ~~んおオオオオ……オオオオオ……!」
スコピオ博士がボロボロと涙を流しながらも、狂気の眼でジェーンをじっと見つめている。これは怖い。でも私は笑いが止まらない。ジェーンはというと、とにかく博士と目を合わさないようにしていた。それは正解だろう。
アマンダのお父さんが、スコピオ博士の肩に手を置いて、諭してくれた。
「しかしスコピオ、それでアマンダは、より早く手当てを受けられたんだ。ずっとアマンダの側にいて支えてくれたジェーンさんに感謝しないと。」
「そ、そうだけど……フゥゥ……はっ、ぐっ、それはありがとう、ジェーンさん……フゥゥ……。」
嗚咽が止まらないらしい。悪いけど、私は結構笑ってしまった。ジェーンは博士と目を合わせないようにしながら言った。
「いえ、また新たに作る方法を考えましょう。」
「うん……考える……フゥゥ。」
フゥゥはどうにかならないのだろうか。それとスコピオ博士の子どものような純粋な返答に、また笑いを堪えている時だった。
どおおおおおん!と一際大きな爆発音が鳴り響いた。
本来なら火山の中で、パワーも減るはずの水属性が、一丸となった民の心を表したかのように、彼らの頭上に集結し、巨大な塊となり、騎士団に向かって落下した。その一撃で、何十、何百人もの兵士達が一気に吹き飛んだ。この騒動を端から余裕そうに見ていただけの兵達も、慌てて武器を構え始めるが、強力な魔術の前になす術はなかった。
事態は好転した。
「よし、よし……まだ戦える人は、私と共に来て下さい!」
私は微笑んでしまった。すぐそこの地面に落ちていた槍を天に掲げると、クラースさんやリン、それにタマラの民達、グレン研究員達も勢いよく拳を掲げた。
「おおお!」
一気に士気が高まるのは、身が震える。私を先頭に、同じ気持ちで戦う仲間が、女騎士を中心とした集団に向かって走って行く。
「くそ、くそ!引け!一度引け!」
女騎士は叫び、後ずさった。慌てて退却して行く騎士達を、走って追いかけた。騎士達は通路からポロポロと逃げて行く。怪我をしている兵を背に乗せた騎士達が、私たちを気にしながら歩いて去って行くが、これ以上は追う必要はないので、彼らには何もしなかった。
歓声がふつふつと沸き上がっていき、遂にはライブ会場のように皆が叫んでいた。私も「よし!」と、独り言を呟いて、測定装置のある洞窟へと向かって走り始めた。
その時だった。目の前の洞窟が、いきなり爆発したのだ。歓声がすぐに止んだ。まさか……何で!?
「ジェーン!」
私は叫んで、砂煙が舞っている洞窟へと走った。ガスマスクを取って、煙に包まれるその中を進んでいると、洞窟からアマンダを抱っこしている、煤だらけのジェーンが現れた。
「アマンダ!」
一人の青ローブの男がジェーンに駆け寄り、アマンダを預かると、持って来ていた水を彼女の頭にかけて、それから飲ませた。彼は集団を率いていた男性だ。そばには女性も居る。
「お父さん……お母さん……お兄ちゃんに水を飲ませて、私、大丈夫だよ……。」
そういうアマンダは赤い顔で、ぐったりとしている。ヴィノクールの民の中から一人のおじいさんが駆け寄り、アマンダの具合を診始めた。彼は医者のようだ。私は煤だらけで真っ赤な顔をしたジェーンに、自分の水筒を渡した。
「ジェーン、遅れてごめんね。大丈夫?」
「私は大丈夫です……それよりもあなた、とても怪我を。口の端も、頬も……切れています。っ……!」
よろめいた彼を、私が抱き支えた。Tシャツがびしゃびしゃで、火照った身体だった。一度その場にしゃがんで、ジェーンを地面に座らせて、彼の頭を自分の膝に乗せた。目が虚ろな彼の口に、少しずつ水を注いだ。唇が乾いてシワシワだった。
こんなになるまで耐えたんだと思うと、少し涙が出そうだった。すぐにガスマスクを取ったリンとクラースさんが来てくれて、ジェーンの体に水筒の水をかけてくれた。ジェーンは何度か瞬きをして、口を開いた。
「皆様、ありがとうございます。少し、楽になりました。それよりもあなた、その痣や切り傷、さっきから騎士団と、かなり派手に……やり合っていたのでは?」
ジェーンが私の頬の傷に触れた。心配そうな目で、じっと傷を見ていた。
「他に、何をされました?どのような、傷を?」
「ジェーン、私は大丈夫。これくらいは慣れてる。私の心配よりも、自分の心配を「それは出来ません。やっと会えた。私の大切な存在ですから。他にどのような怪我を?どのような顔の兵士でしたか?私はその犯人を許す事は出来ない。住所を特定して……復讐を……」
ぐっ、そんなにも心配してくれるとは思わなくて、つい胸が変にきゅんとした……だが嫌な予感がして、恐る恐るリンの方を見ると、彼女はやはりモンスターのような狂ったにやけ顔をして、ウォッフォンでメモしていた。私は苦笑いして言った。
「ジェーン、弱っているから、そんな普段言わない事を言って。住所特定も復讐もいいの、私だってその分、誰かを傷付けた。……それに、ウォッフォンに通信してくれてたのに、気付くの遅くなってしまった。ごめんね。」
「いえ、最初の爆発で、私のウォッフォンの通信機能が故障しました。あなたのせいではありません。」
丁度、リンとクラースさんが今の出来事の武勇伝を語るタールの方を見ていた。ぐったりとしたジェーンは、心配そうな顔で、私の頬の傷を見ている。誰も見ていないことをいいことに、私はジェーンの頭を少し撫でた。彼の目が、驚きで見開かれた。
「ごめん、変なことをした。」
「……いえ、もう一度。」
え?もう一度撫でて欲しいの?意外な一言に、つい笑ってしまって、それを聞いたリンが「なになに?どうしたの?」って食いついてきてしまった。
私は何でもない、と答えた。「何でよ!教えてよ!」としつこいリンを、私は虫を払うように、片手をパタパタと動かして退けた。
煙の収まった洞窟前では、タールを始めとしたタマラ採掘隊のメンバーが岩の壊れ方に何やら関心を示していた。「何の爆弾だろう?」「さあ」と話し合っている声が聞こえた。その横をスコピオ博士とグレンの研究員達が、ゾロゾロ通り過ぎていき、奥へと消えて行った。
「うあああああああああああ!……あああああああ!」
「な、なに!?どうしたの!?」
スコピオ博士の悲鳴に、隣で立っていたクラースさんが、私たちを守るように戟を構えた。私の問いに対して、博士から返事が無い。民達がじっと見守る中、洞窟内からは、魂の抜け殻と化した、スコピオ博士がゾンビのように出てきた。博士だけでは無い、研究員も皆、ゾンビ化している。
ジェーンが体を起こそうとしたので、私は彼の背中を支えた。彼は博士に聞いた。
「あ、見つけました?」
「ジェーン、見つけたって何が?」
私の質問には、スコピオ博士が答えてくれた。
「そ、そ、そそそそっそそ測定装置が、測定装置ガァあ!ば、ば、ば、ばら、バラバラバラになってる……うあああああああああええんっ!」
たった今、人生で初めて、大人の男が大号泣をしているのを見てしまった。あんな劇的な泣きっぷりはミュージカルでも見たことがない。スポットライトが似合うくらいの、スコピオ博士の天を仰ぐ涙は、何故か皆の笑いを誘った。
「ああああ!ふぁあああ!」と何度もスコピオ博士が叫び、それが何度も火山にこだました。私は隣で立つジェーンを見た。ジェーンは気まずそうに私の背後に隠れて、補足説明を始めた。
「……アマンダのことも考えて、すぐに洞窟から脱出しなければならないと考えました。しかし私が所持していたのは、道具箱と、通信機能の無いウォッフォンと、水筒三本です。何か使えないものは他にないかと思っていたところに、偶然、火山測定装置が「目に入ったからそれをバラして爆弾にしたと言うのですねぇえっぇえぇ~あああああ!それも貴方様なら可能なんでしょうけどねぇぇぇ!もうちょっと待てばタールが爆破してくれたんですけどねぇぇぇ!ああああああっ!うえええん!ふぅあぅっはぁ~~んおオオオオ……オオオオオ……!」
スコピオ博士がボロボロと涙を流しながらも、狂気の眼でジェーンをじっと見つめている。これは怖い。でも私は笑いが止まらない。ジェーンはというと、とにかく博士と目を合わさないようにしていた。それは正解だろう。
アマンダのお父さんが、スコピオ博士の肩に手を置いて、諭してくれた。
「しかしスコピオ、それでアマンダは、より早く手当てを受けられたんだ。ずっとアマンダの側にいて支えてくれたジェーンさんに感謝しないと。」
「そ、そうだけど……フゥゥ……はっ、ぐっ、それはありがとう、ジェーンさん……フゥゥ……。」
嗚咽が止まらないらしい。悪いけど、私は結構笑ってしまった。ジェーンは博士と目を合わせないようにしながら言った。
「いえ、また新たに作る方法を考えましょう。」
「うん……考える……フゥゥ。」
フゥゥはどうにかならないのだろうか。それとスコピオ博士の子どものような純粋な返答に、また笑いを堪えている時だった。
どおおおおおん!と一際大きな爆発音が鳴り響いた。
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