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初めましてシードロヴァ博士編
11 詰まるこんにゃく
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「確かに、色々とお互いのことを話しておいた方が、もっと仲良くなれるかもね。」
「そうです。親友ですから。」
彼が親友と言われるたびに、「うっ」と胸を射られたような心地がしてしまう。それ程に照れてしまうので、隠すために顔を逸らした。これで隠せているかは不明だけど。落ち着いた頃に、また彼の方へと視線を戻すと、彼はお茶を飲んだ後に、フォークを一旦お皿に置いて、私に質問してきた。
「確か、ソーライ研究所に来て、二年でしたね?」
「そうですね。調査部から所長になった。前の所長は優秀だったけど、とんでもなく人情に欠けていた。皆から嫌われてしまってね、研究開発部の罠にハマって、あの研究所を去って行ったよ。」
「ふふ、タージュ博士はともかく、アリスやラブ博士なら、やりかねませんか。彼らは私の予想以上に優秀です。違います、そうではない、あなたの話です。なぜギルドを?士官学校卒業した者は、大体が騎士団へと就くそうですが。」
「うん、大体の人は騎士団へと進むけど、ギルドに行く人だって居る。現に私も……なんていうか人と戦うよりも、もっとこう、モンスターを相手に戦いたかった。その方が力を発揮できる気がした。人が相手だとどうしても、これは教官にも言われたことだけど、私は優しいから手を抜くところがあると。だから凶暴なモンスター相手だと、いいかなって。それでギルドに。」
ギルドは対モンスターを専門とした駆除機関だ。この世界には人口自然のバグで発生したモンスターがポツポツと存在しているが、ギルドのおかげで今は割と平和だ。
「なるほど、確かにあなたは優しいですからね。それで士官学校へはどうして?」
「父の遺言です。母は私が生まれてすぐに亡くなり、父も私が小学院の頃に亡くなった。彼が亡くなる前に、後の貯金は全て、剣術道場や士官学校へ行くために使って欲しいと言い残した。だからそれを順守したまでです。」
「そうでしたか……お辛い過去です。」
「いいえ。じゃあ私からも質問していい?ちょっと気になってたんだけど、日払いの仕事って何してたの?土木?」
「ギルドです。」
「は!え?うっ!」
煮物のこんにゃくを丸ごと飲み込んでしまった私は、立ち上がって苦しんだ。するとジェーンが急いで立ち上がって、ハイムリック的な感じで、私の背中をベシベシと叩いてくれた。おかげでこんにゃくが喉から取れて、折角なので私はそれをまた咀嚼した。だって、驚きだ。彼は私と同じ、あのギルドにいて日雇いをしていたの言うのだから。この世界に、ギルドは帝都のあそこしかない。
「すみません、驚かせるつもりはありませんでした。私は魔法がほんの少しですが使用出来ますから、この世界について間もない頃、私はあなたと同じギルドで働きながら大学院に通いました。」
「だ、大丈夫だけど……同じギルドで?そうだったんだ、見かけなったけどなあ、どこかにいたんだろうね。すれ違いもしなかったけど。」
席に座ってティッシュで口を拭いた。彼も席に座り、またフォークを持って食事を再開した。里芋を口に入れた後に、私に言った。
「実はその時から、あなたを知っていました。」
「え?」
「そうです。親友ですから。」
彼が親友と言われるたびに、「うっ」と胸を射られたような心地がしてしまう。それ程に照れてしまうので、隠すために顔を逸らした。これで隠せているかは不明だけど。落ち着いた頃に、また彼の方へと視線を戻すと、彼はお茶を飲んだ後に、フォークを一旦お皿に置いて、私に質問してきた。
「確か、ソーライ研究所に来て、二年でしたね?」
「そうですね。調査部から所長になった。前の所長は優秀だったけど、とんでもなく人情に欠けていた。皆から嫌われてしまってね、研究開発部の罠にハマって、あの研究所を去って行ったよ。」
「ふふ、タージュ博士はともかく、アリスやラブ博士なら、やりかねませんか。彼らは私の予想以上に優秀です。違います、そうではない、あなたの話です。なぜギルドを?士官学校卒業した者は、大体が騎士団へと就くそうですが。」
「うん、大体の人は騎士団へと進むけど、ギルドに行く人だって居る。現に私も……なんていうか人と戦うよりも、もっとこう、モンスターを相手に戦いたかった。その方が力を発揮できる気がした。人が相手だとどうしても、これは教官にも言われたことだけど、私は優しいから手を抜くところがあると。だから凶暴なモンスター相手だと、いいかなって。それでギルドに。」
ギルドは対モンスターを専門とした駆除機関だ。この世界には人口自然のバグで発生したモンスターがポツポツと存在しているが、ギルドのおかげで今は割と平和だ。
「なるほど、確かにあなたは優しいですからね。それで士官学校へはどうして?」
「父の遺言です。母は私が生まれてすぐに亡くなり、父も私が小学院の頃に亡くなった。彼が亡くなる前に、後の貯金は全て、剣術道場や士官学校へ行くために使って欲しいと言い残した。だからそれを順守したまでです。」
「そうでしたか……お辛い過去です。」
「いいえ。じゃあ私からも質問していい?ちょっと気になってたんだけど、日払いの仕事って何してたの?土木?」
「ギルドです。」
「は!え?うっ!」
煮物のこんにゃくを丸ごと飲み込んでしまった私は、立ち上がって苦しんだ。するとジェーンが急いで立ち上がって、ハイムリック的な感じで、私の背中をベシベシと叩いてくれた。おかげでこんにゃくが喉から取れて、折角なので私はそれをまた咀嚼した。だって、驚きだ。彼は私と同じ、あのギルドにいて日雇いをしていたの言うのだから。この世界に、ギルドは帝都のあそこしかない。
「すみません、驚かせるつもりはありませんでした。私は魔法がほんの少しですが使用出来ますから、この世界について間もない頃、私はあなたと同じギルドで働きながら大学院に通いました。」
「だ、大丈夫だけど……同じギルドで?そうだったんだ、見かけなったけどなあ、どこかにいたんだろうね。すれ違いもしなかったけど。」
席に座ってティッシュで口を拭いた。彼も席に座り、またフォークを持って食事を再開した。里芋を口に入れた後に、私に言った。
「実はその時から、あなたを知っていました。」
「え?」
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