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75 ジェーンのお願い ☆

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 寝室のベッドに押し倒された。キスをする度に体が熱くなる。彼もまたそうなのか、肩も首も熱くなっていた。


 紅潮するジェーンの頬が興奮してることを表してる。私だって、顔がとても熱かった。でも少し久々で、どうしたらいいのか思い出せなかった。


「ジェーン、私、どうしたらいいかな。」


 彼は私の耳を舐めてから、囁いた。


「一度別れて、再び愛し合えるのです。更に今、我々は婚約しています。あなたは私の婚約者。これほどの幸せは無く、もう我が身を制御することは出来ません。」


「そうだね、私もそう。ずっとこうしたかった。」


「キルディア……!」


 暫く私達は見つめ合った。以前とは少し違う彼の少し疲れたような瞳が気になった。


「ジェーン、私が振り回してしまった。だからごめんね。」


 彼は私の首にキスをしながら答えた。


「いえ、私の方がいつもあなたを振り回していました。」


「あっ自覚あったんだ。「何か?」いや……何でもない。」


 ジェーンがムッとした顔を私に向けた。そんな彼の鼻に私は軽く唇をつけた。一変して照れた表情になった彼が、私に聞いた。


「離れている間、別の方とデートしませんでしたか?」


「えっ。」


「……。」


「……してないしてない、してないよ本当に。」


 一変して無になった彼の表情が怖い。いや、本当に誰ともデートなんてしてないんだけど、急にそんなことを聞かれるから返事に困ったのだ。


 でも彼は誤解をしているっぽい。そんなため息を彼がついてしまった。


「本当にしてないよ。騎士の仕事でそれどころじゃなかったもん。デートする暇があったら家でゆっくり過ごしたいくらいだったし。」


「返答に時間がかかりました。言葉が詰まる時は、何か言えないことを隠した時です。そうではありませんか?」


「その説が正しい時もあるけど、私は本当に誰ともデートしてない。職場だって……私は結構騎士の時は厳しい性格をしてるから誰も近寄ってこないよ。陛下以外は。」


「チェイスはあなたを諦めていません。そして彼は以前の私のように、毎日あなたのそばにいる。私はこの場所で新たな目標を得られましたが、以前のようにオフィスにあなたはいません。何故リンなのです。どうして彼女が私のそばに居るのです。」


「お、落ち着いてよ……!リンだって、仕事は出来るからきっとジェーンを助けてくれるよ。それに、チェイスはもう私との関係を諦めざるを得ない。騎士団長と皇帝は一緒になれないと法律で決まっ「ふっ、ふはははははは……!」


 ……。


 ジェーンは今、見たことないくらいに悪どい笑みを浮かべて肩を震わせている。そして彼がこっちを見た。


「なるほど、ヴァルガの意味する全てが丸く収まるの意味はそれだったのですね。ふふっ……何とも哀れな男よと言いたいところですが、それを言っては私が意地悪みたいですからね、慎みます。」


「慎んでるようで慎んでないからね、それ……。」


 楽しげなジェーンの微笑みと目が合っている。そのうちに彼の方から優しく近づいてきて、キスをしてくれた。ベッドで何度もキスしていると、とろけそうな気分になった。


「キルディア、お願いがあります。」


「な、なに?」


「……私のお尻を舐めてください。」


「ぶっ」


 期間が空いたから初々しさが戻ったと思っていたら実はそうでもなかった。でも彼のお願いを聞いて、私は言われた通りにした。


 舐めている間、彼はずっと甘い声を漏らしていた。途中から彼の手を繋いでいると、段々と彼が私の手を握る力が強くなっていった。


 この邸宅には防音機能が備わっているのか気になった。メリンダ達が盗み聞き出来てる分、そうでもなさそうだ。


 でも彼は私が舌でなぞる度に上体を反らせて嬌声をあげた。


「ジェーン……もう少し声のボリュームを……!」


「あっ、はい……んっ、無理です!」


「え」


「久しぶりの感覚です……とても強く感じてしまいます。」


 そんな潤んだ瞳と目が合った。私の脳裏に男の部分付きのベルトが思い浮かんだ。でもあれはユークの自宅に置きっぱなしだ。


「ジェーン、あのベルト置いてきちゃったね。」


「ああ、そうでしたね……後ほどクラースに頼んで郵送してもらいましょう。」


「いやそれはちょっと。」


「次は私の番です。……。」


 場所を交代して、今度は私の上に来たジェーンが、どういう訳か何か言おうとしては言葉を飲み込んでいる。しかも照れた顔をして。


「どうしたのジェーン。」


「もう一つ、お願いがあります。」


「なに?」


 彼は私の耳に顔を近づけて、小声で囁いた。


「今夜、あなたに種付けをしたい。」


「えっえ?「私のをたっぷりと、あなたに注ぎたいのです。」


 どこで覚えたんだろうか、そのセリフ。そしてすごい食い気味。いやちょっと待ってよ、それって……!


「それって、それってこと?」


「ふふっ、キルディアは相変わらず面白いですね。はい、私はあなたとの子どもが欲しいです。いけませんか?」


「何その強気。」


 迷った。婚約してるし、将来的には欲しいけど、仕事があるし……。


「ジェーン、まだ早い気がするよ。」


「……それは、私を不安にさせたのが悪いのです。それに、キルディアと私、勇猛果敢なあなたと聡明な私、ふたつを掛け合わせれば素敵な赤ちゃん「素敵な赤ちゃんとかいいから!はっはっは……!」


 二人で笑ってしまった。見つめ合って、一度キスすると、ジェーンが鼻と鼻をくっつけたまま私に言った。


「もしあなたが受け入れてくれたのなら、私はとても幸せです。」


「……何だか、そう言われると、抗えない。ジェーンと婚約しているし、確かに私だっていつかはと思っていたから。それが今……今なのね。」


「はい、今です。」


 まだ迷っている段階なのに、彼が急に私の中に入ってしまった。動くかと思ったら、その状態のまま彼は私にキスをして、耳を優しくなぞるように舐めた。ゾクっとした。


「う、動かないの?」


「はい。あなたの準備が整うまで、このままでいたい。あなたと長く繋がっていたい。」


「う……。」


 彼は感触を味わうかのように私の胸を触っていた。それが終わると今度はぎゅっと抱きしめて、絡むキスをした。


 お腹の奥に、彼のがある。段々と大きくなっていって、それが少し苦しい。でも、もっと感じたくなった。


「ジェーン、動いて欲しい。」


「よろしいですか?……もっと、時間をかけずとも。」


「はい。早く。」


「ふふ、承知致しました。……っぐ、……ぁ。」


 あまりの快感に、私はシーツを掴んだ。彼が私をぎゅうときつく抱きしめている。彼の激しい吐息が耳にかかってくる。


 私はジェーンの背中を掴んだ。とても火照っていて、湿っていた。彼と目が合った。眉が歪んで、欲望的な視線を私に向けていた。彼の前髪が少し濡れて束になっている。


「キルディア、ごめんなさい、手加減出来ません……!」


「いいよ、ジェーン、……たくさん、きて。」


「あっ、可愛いです……私の、キルディア……っ!」


 体をピッタリとくっつかせたまま、熱い感覚に私は意識を飛ばした。彼も私のおでこに一度キスをして、それから私に熱いものを注いだ。


 それで終わるかと思ったら、ぐったりしている私の腕を引っ張ってきて、場所をチェンジすることになった。


 今度は私が責める番になってしまった。お手手でゆっくりと彼の中に入って、彼の快感に歪む表情を見て、私も止まらなくなってしまった。


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