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25 冷たいオムレツ
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「ただいまジェーン。」
「……。」
彼は何も答えずにソファに座って一点を見つめていた。読書もウォッフォンもいじらずに何もしないでいるなんて珍しい。
微妙な緊張感を持ちつつ、私は玄関のドアを閉めた。それから紙袋を床に置いた。
この大きな紙袋に突っ込んでくるかと思ったが、そうもしない。いつもなら何か買えば、「それは何です?」とか「どこで買いました?」と話しかけてくるのに、それもない。
彼はただ、じっとどこかを見つめていた。テーブルには、大きなお皿の上に乗ったオムレツが、手付かずの状態で置かれていて、二人分のフォークとスプーンも置いてあった。
「どうしたのジェーン。何かあったの?私が遅れたから?ごめん……実は買い物をしてた。でも、いいものが買えたんだ!」
「楽しげですね。私は、楽しくありませんが。」
なんか、今までで一番やばいくらいに怒ってる……?
私は変な汗を感じながらテーブルの近くの床に座った。彼は目を合わせようとしない。どこかを見つめて、瞬きもあまりしなかった。
「どうしたの?何かあったの?教えてよ……。」
「私は、酷い人間ですか?キルディア。」
「え?」
「そういうのはあまり好きではない?私がアブノーマル?私は存じ上げております、あなたが昨夜、私の作業を見てしまったことを。リンのメッセージの履歴を拝見しました。おかげで、私はあの行為をリンに見られずに済んだ。その件に関しては感謝を述べます。しかし、それをチェイスに話しますか。やれやれ、それほどの仲とは恐れ入る。今までも、彼とは度々通話をしていたのでしょうか?」
「ああ、さっきのを盗聴してたんだね……。」
でも別に変なことは言ってない気がするけど。ってリンめ、メッセージを見せるなって言ったのに。まあ仕方ないか。私はジェーンに言った。
「確かにジェーンのを、見つけてしまった。夜中にトイレに行きたくなって、起きて、ジェーンが地質学の本を見てたから……それで分かった。ずっとジェーンのことを覗いていたんじゃなくて、寝室でトイレに行くかどうか迷ってたら、リンからメッセージが来て、そうなった。」
「私が知りたいのはそこではない!」
……と、怒鳴りながら、ジェーンがこっちを見てくれた。のはいいが、まるで親の仇を目の前にしているかの様な、睨みつけでこちらを見ていたのだった。
「私は酷い人間、そしてチェイスは優しい人間ですか?あなたは何故、私と共にいる?」
「ジェーン、聞いて。私はジェーンのことを、酷い人間だと一度も言っていない。チェイスが言ったんだ。」
「言い訳など。ああ、とあなたは納得していたというのに。」
「それは、お昼にもチェイスがジェーンのことを酷い人間だと言っていたからだよ。その件ね、っていう意味のああ、だって。私はジェーンのこと酷い人間だと思ってないよ。アブノーマルのあれは少し、驚いたけど。」
ジェーンがため息と共にソファに深く座って、髪をかき上げた。私は正座が痺れてきたので、少し座り直してからジェーンに言った。
「冷たくしてごめん。私もさ、ジェーンが地質学の本を見てたときは別になんとも思わなかったんだけど、ジェーンがその……他の女性のことを見ながらしていたから、ちょっと怒った。」
「……。」
ジェーンが少しムッとした顔のままで私を見た。そしてすぐに目を逸らした。
「信じて頂けないとは思いますが、あれが初めてです。動画を見ながら、行ったのは。」
「それってさ!」
私がテーブルをバシンと叩くと、ジェーンが一瞬目を丸くした。
「だから私にセクシーさが足りなかったからでしょ?本当はもっと、私が綺麗で受け身だったら、あの動画だって見なくて済んだんだ。やはりショックだったよ。ジェーンが他の女性の体を見てそういうことするって……ショックだ。」
「私からすれば、見たことをチェイスに話し、更にはチェイスのことを優しい人間だと称し、チェイスにこれからもたまに話を聞く様に願ったあなたの方が、浮気者だ!」
ばん!と、ジェーンがテーブルを叩いた。彼が私を睨んでいる。私は一気にお腹が痛くなった。
何も言えない。それを浮気だと思われたのなら、私はもう、どうしようもない。
ジェーンがまだ私を睨んでいる。私はそっと立ち上がった。
「確かにチェイスは優しい。ジェーンのそういうセクシーな問題で私が悩んでいるとき、誰にも相談出来なくて、だってクラースさんだったら、ジェーンの職場の同僚でしょ?そういうのを考えるから。たまたまチェイスが電話をしてきて、だから、男の人がそういう動画を見ることはよくあることなのか、確かめたかった。恋人がいても、他の女性の動画を普通の人は見るものなのか、確かめたかった。チェイスは違くて、彼の場合は妄想だったけど、でも話せたから気持ちが落ち着いて、それで、私がジェーンに……合わせたいって、思えるようになった。だから買い物だってして……。浮気だと思ってくれていい。それでも私がジェーンのことを愛しているのは、私の中では変わらない事実だ。悲しませて、ごめん。こんなに待たせて、美味しそうなオムレツ、冷めちゃったね、本当にごめん。」
私は小走りで寝室へと入り、ドアをしっかりと閉めた。
はあああああああああぁぁぁ……!
「はぁぁぁ……。」
人生とは、うまくいかないものだ。星屑の一つになりたい。なんて、烏滸がましいよね。私なんか、夜空にぽつんと置かれても、キラキラ輝けないよ。
お腹が痛いのう……。お腹をさすって、ベッドフレームに寄り掛かった。隣にはジェーンの枕がある。
あーあ、喧嘩してしまった。ジェーンは許してくれるのかな?って私が完全に酷いことしたわけでもない気はするけど。
はあああぁぁ、ため息ばかりが出る。もう今日は寝るしかないな。まだ二十一時にもなってないけど、寝るしかないよ。
私は枕を重ねて、私服のまま布団の上で寝転んだ。腹減った……でも食べる気力がない。あーあ。
トントンとドアがノックされた。どきっとした。私は敢えて反応しなかった。するとドアが開いた。
「……キルディア、私です。」
「でしょうね。……いいよ、無理して話しかけなくても。」
「二つ、理解出来ない事象があります。」
「え?」
私は身体を起こして、ベッドに座りジェーンを見た。彼は戸惑った表情をしつつ、私の紙袋を持っていた。
「……この袋の中を拝見しました。一つ目に理解出来ないのは、どうしてこんな派手な私服を選んだのか、です。もう一つは……この袋の中身です。縄と鞭、それは私の動画を見ての購入だったのだとは理解しましたが、レザーの服装に、このゴム製のスーツ、更に異様なプラスチックの部品、それから……兎に角、あなたにしては異質の購入物品です。訳を聞かせてください。それと先程は申し訳ございませんでした。チェイスに嫉妬し、あなたを非難した。私は盗聴していたというのに、私は、おかしな動画を見ていたというのに。私の方が、異常です。客観的に見れば。」
彼が悲しそうに視線を落とした。私は慌てた。
「異常じゃないよ、多分……!と、兎に角、大丈夫……おいで、ジェーン。仲直り、しよ?」
するとジェーンが紙袋をその場に落として、私に突撃してきた。ホッと安心しすぎて胸が苦しいまま、ベッドの上でジェーンの抱擁を受けて、私は微笑んで彼の背中をさすった。
恋とは難しいものだ。お互い初めてだから、分からないことだらけ。私も彼のことを抱きしめ返した。とてもきついハグで、ちょっと苦しい。
「ジェーン、少し、きつい」
彼は力を緩めてくれた。それでもハグが続いている。それ程に、怖くて不安だったに違いない。私はその体勢のまま、彼に聞いた。
「ジェーンはさ、本当は、とても攻めたいんでしょ?」
ふっと彼が私から離れて、真剣な瞳で見つめてきた。そして彼は首を傾げた。
「どうしてそうなりますか?」
「え?」
私は目を丸くした。
「だって鞭で叩かれた女性を見て興奮してたし……縄で縛られて好き勝手されてる女性を見て、さらに興奮してた。」
どう言う訳か、ジェーンが片手で頭を抱えた。私は続けた。
「だからお昼の通話でチェイスにそのことを話したの。ジェーンがそう言うジャンルを見てる、それに興奮してるって、相談した。そしたら彼が、ジェーンはそう言う願望があるけど、私が大切だから私にはそんなことが出来ないから、隠してるんじゃないかって言ってた。さらには、隠れてコソコソ動画を見るなら、そのうち私を大事にする為という名目で、実際に行動に移すかもって……人間は思ったよりも、性癖には忠実だよって、教えてくれたから、ジェーンもそうなのかなって。だからジェーンに合わせるために、ピンクのお店でいろいろ買ったけど、キャンディっていう店員さんに相談したら、私はブルーホライズンだったし尋問の訓練もしてるから責める方が向いてるって、色々グッズも勧めてくれて……。でもそれは、使わなくてもいいからね?ジェーンが攻めたいだろうから、ピンクの鞭入ってたでしょ?それで私のこと叩いていいから!」
「お、お待ちください、キルディア。そんな、私はあなたのことを叩けません。それに、何です?チェイスが、私が他の女性に手を出す可能性があると、そう申したと?」
「そうだけど……。」
今ジェーンは、眉間に深々としたシワを寄せている。もしかしたらジェーン、チェイスに怒ってるのかな?私は話題を逸らすことにした。
「そ、それで!ジェーンはどうして、初めてあの動画を見てみたの?地質学だと物足りなかったの?」
「……いえ、」彼が一転、照れた顔をした。「昨日、あなたが私に光の大剣を求めました。」
「うん。」
「私はその代わりに、別のを差し上げようかと提案しました。」
「うん……。」
「それで……実は火がついておりました。夜になって、チェイスとの合同のプログラミングを中断してから、やはり身体が火照っていて、私は我慢できませんでした。寝ているあなたを起こすのは可哀想だ。ならばと一人で実行した。私は、どちらかというと、攻めるタイプではない。」
私は首を振った。
「ええ?じゃあなんで、鞭で叩いてる動画を……?」
「……。」
彼は何も答えずにソファに座って一点を見つめていた。読書もウォッフォンもいじらずに何もしないでいるなんて珍しい。
微妙な緊張感を持ちつつ、私は玄関のドアを閉めた。それから紙袋を床に置いた。
この大きな紙袋に突っ込んでくるかと思ったが、そうもしない。いつもなら何か買えば、「それは何です?」とか「どこで買いました?」と話しかけてくるのに、それもない。
彼はただ、じっとどこかを見つめていた。テーブルには、大きなお皿の上に乗ったオムレツが、手付かずの状態で置かれていて、二人分のフォークとスプーンも置いてあった。
「どうしたのジェーン。何かあったの?私が遅れたから?ごめん……実は買い物をしてた。でも、いいものが買えたんだ!」
「楽しげですね。私は、楽しくありませんが。」
なんか、今までで一番やばいくらいに怒ってる……?
私は変な汗を感じながらテーブルの近くの床に座った。彼は目を合わせようとしない。どこかを見つめて、瞬きもあまりしなかった。
「どうしたの?何かあったの?教えてよ……。」
「私は、酷い人間ですか?キルディア。」
「え?」
「そういうのはあまり好きではない?私がアブノーマル?私は存じ上げております、あなたが昨夜、私の作業を見てしまったことを。リンのメッセージの履歴を拝見しました。おかげで、私はあの行為をリンに見られずに済んだ。その件に関しては感謝を述べます。しかし、それをチェイスに話しますか。やれやれ、それほどの仲とは恐れ入る。今までも、彼とは度々通話をしていたのでしょうか?」
「ああ、さっきのを盗聴してたんだね……。」
でも別に変なことは言ってない気がするけど。ってリンめ、メッセージを見せるなって言ったのに。まあ仕方ないか。私はジェーンに言った。
「確かにジェーンのを、見つけてしまった。夜中にトイレに行きたくなって、起きて、ジェーンが地質学の本を見てたから……それで分かった。ずっとジェーンのことを覗いていたんじゃなくて、寝室でトイレに行くかどうか迷ってたら、リンからメッセージが来て、そうなった。」
「私が知りたいのはそこではない!」
……と、怒鳴りながら、ジェーンがこっちを見てくれた。のはいいが、まるで親の仇を目の前にしているかの様な、睨みつけでこちらを見ていたのだった。
「私は酷い人間、そしてチェイスは優しい人間ですか?あなたは何故、私と共にいる?」
「ジェーン、聞いて。私はジェーンのことを、酷い人間だと一度も言っていない。チェイスが言ったんだ。」
「言い訳など。ああ、とあなたは納得していたというのに。」
「それは、お昼にもチェイスがジェーンのことを酷い人間だと言っていたからだよ。その件ね、っていう意味のああ、だって。私はジェーンのこと酷い人間だと思ってないよ。アブノーマルのあれは少し、驚いたけど。」
ジェーンがため息と共にソファに深く座って、髪をかき上げた。私は正座が痺れてきたので、少し座り直してからジェーンに言った。
「冷たくしてごめん。私もさ、ジェーンが地質学の本を見てたときは別になんとも思わなかったんだけど、ジェーンがその……他の女性のことを見ながらしていたから、ちょっと怒った。」
「……。」
ジェーンが少しムッとした顔のままで私を見た。そしてすぐに目を逸らした。
「信じて頂けないとは思いますが、あれが初めてです。動画を見ながら、行ったのは。」
「それってさ!」
私がテーブルをバシンと叩くと、ジェーンが一瞬目を丸くした。
「だから私にセクシーさが足りなかったからでしょ?本当はもっと、私が綺麗で受け身だったら、あの動画だって見なくて済んだんだ。やはりショックだったよ。ジェーンが他の女性の体を見てそういうことするって……ショックだ。」
「私からすれば、見たことをチェイスに話し、更にはチェイスのことを優しい人間だと称し、チェイスにこれからもたまに話を聞く様に願ったあなたの方が、浮気者だ!」
ばん!と、ジェーンがテーブルを叩いた。彼が私を睨んでいる。私は一気にお腹が痛くなった。
何も言えない。それを浮気だと思われたのなら、私はもう、どうしようもない。
ジェーンがまだ私を睨んでいる。私はそっと立ち上がった。
「確かにチェイスは優しい。ジェーンのそういうセクシーな問題で私が悩んでいるとき、誰にも相談出来なくて、だってクラースさんだったら、ジェーンの職場の同僚でしょ?そういうのを考えるから。たまたまチェイスが電話をしてきて、だから、男の人がそういう動画を見ることはよくあることなのか、確かめたかった。恋人がいても、他の女性の動画を普通の人は見るものなのか、確かめたかった。チェイスは違くて、彼の場合は妄想だったけど、でも話せたから気持ちが落ち着いて、それで、私がジェーンに……合わせたいって、思えるようになった。だから買い物だってして……。浮気だと思ってくれていい。それでも私がジェーンのことを愛しているのは、私の中では変わらない事実だ。悲しませて、ごめん。こんなに待たせて、美味しそうなオムレツ、冷めちゃったね、本当にごめん。」
私は小走りで寝室へと入り、ドアをしっかりと閉めた。
はあああああああああぁぁぁ……!
「はぁぁぁ……。」
人生とは、うまくいかないものだ。星屑の一つになりたい。なんて、烏滸がましいよね。私なんか、夜空にぽつんと置かれても、キラキラ輝けないよ。
お腹が痛いのう……。お腹をさすって、ベッドフレームに寄り掛かった。隣にはジェーンの枕がある。
あーあ、喧嘩してしまった。ジェーンは許してくれるのかな?って私が完全に酷いことしたわけでもない気はするけど。
はあああぁぁ、ため息ばかりが出る。もう今日は寝るしかないな。まだ二十一時にもなってないけど、寝るしかないよ。
私は枕を重ねて、私服のまま布団の上で寝転んだ。腹減った……でも食べる気力がない。あーあ。
トントンとドアがノックされた。どきっとした。私は敢えて反応しなかった。するとドアが開いた。
「……キルディア、私です。」
「でしょうね。……いいよ、無理して話しかけなくても。」
「二つ、理解出来ない事象があります。」
「え?」
私は身体を起こして、ベッドに座りジェーンを見た。彼は戸惑った表情をしつつ、私の紙袋を持っていた。
「……この袋の中を拝見しました。一つ目に理解出来ないのは、どうしてこんな派手な私服を選んだのか、です。もう一つは……この袋の中身です。縄と鞭、それは私の動画を見ての購入だったのだとは理解しましたが、レザーの服装に、このゴム製のスーツ、更に異様なプラスチックの部品、それから……兎に角、あなたにしては異質の購入物品です。訳を聞かせてください。それと先程は申し訳ございませんでした。チェイスに嫉妬し、あなたを非難した。私は盗聴していたというのに、私は、おかしな動画を見ていたというのに。私の方が、異常です。客観的に見れば。」
彼が悲しそうに視線を落とした。私は慌てた。
「異常じゃないよ、多分……!と、兎に角、大丈夫……おいで、ジェーン。仲直り、しよ?」
するとジェーンが紙袋をその場に落として、私に突撃してきた。ホッと安心しすぎて胸が苦しいまま、ベッドの上でジェーンの抱擁を受けて、私は微笑んで彼の背中をさすった。
恋とは難しいものだ。お互い初めてだから、分からないことだらけ。私も彼のことを抱きしめ返した。とてもきついハグで、ちょっと苦しい。
「ジェーン、少し、きつい」
彼は力を緩めてくれた。それでもハグが続いている。それ程に、怖くて不安だったに違いない。私はその体勢のまま、彼に聞いた。
「ジェーンはさ、本当は、とても攻めたいんでしょ?」
ふっと彼が私から離れて、真剣な瞳で見つめてきた。そして彼は首を傾げた。
「どうしてそうなりますか?」
「え?」
私は目を丸くした。
「だって鞭で叩かれた女性を見て興奮してたし……縄で縛られて好き勝手されてる女性を見て、さらに興奮してた。」
どう言う訳か、ジェーンが片手で頭を抱えた。私は続けた。
「だからお昼の通話でチェイスにそのことを話したの。ジェーンがそう言うジャンルを見てる、それに興奮してるって、相談した。そしたら彼が、ジェーンはそう言う願望があるけど、私が大切だから私にはそんなことが出来ないから、隠してるんじゃないかって言ってた。さらには、隠れてコソコソ動画を見るなら、そのうち私を大事にする為という名目で、実際に行動に移すかもって……人間は思ったよりも、性癖には忠実だよって、教えてくれたから、ジェーンもそうなのかなって。だからジェーンに合わせるために、ピンクのお店でいろいろ買ったけど、キャンディっていう店員さんに相談したら、私はブルーホライズンだったし尋問の訓練もしてるから責める方が向いてるって、色々グッズも勧めてくれて……。でもそれは、使わなくてもいいからね?ジェーンが攻めたいだろうから、ピンクの鞭入ってたでしょ?それで私のこと叩いていいから!」
「お、お待ちください、キルディア。そんな、私はあなたのことを叩けません。それに、何です?チェイスが、私が他の女性に手を出す可能性があると、そう申したと?」
「そうだけど……。」
今ジェーンは、眉間に深々としたシワを寄せている。もしかしたらジェーン、チェイスに怒ってるのかな?私は話題を逸らすことにした。
「そ、それで!ジェーンはどうして、初めてあの動画を見てみたの?地質学だと物足りなかったの?」
「……いえ、」彼が一転、照れた顔をした。「昨日、あなたが私に光の大剣を求めました。」
「うん。」
「私はその代わりに、別のを差し上げようかと提案しました。」
「うん……。」
「それで……実は火がついておりました。夜になって、チェイスとの合同のプログラミングを中断してから、やはり身体が火照っていて、私は我慢できませんでした。寝ているあなたを起こすのは可哀想だ。ならばと一人で実行した。私は、どちらかというと、攻めるタイプではない。」
私は首を振った。
「ええ?じゃあなんで、鞭で叩いてる動画を……?」
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