13 / 13
秋呼び草
自称魔王、後
しおりを挟む
前回のあらすじ
裏庭にての戦闘訓練中、無礼なエルフが現れる
「ユアンの方が優雅だ」って言ったらキレた
〇
「この真祖エルフたるわたくしを、下賤の犬女と比べようなどとは……無礼にもほどがあります」
ルデラは怒っている。
しかし俺には、未だにこいつが何なのかわからない。
せめて、敵、味方、クソ客のどれかに分類できるような情報が欲しい。
ノインが襲い掛かって吹き飛ばされたのに、ガラシアは何も言わなかった。味方だと思っているならノインを咎める。心配するそぶりすら見せないという事は……、そんな余裕はないという事だ。
敵か?
ガラシアはゆっくりと歩いて俺の隣に立つ。
手には何本か、剣を持っていた。
「ユリフラテス様。今日は、お一人で来たのですか? 供の者も連れずに……」
「必要ありませんから。それに、エルフたる私の移動速度に、ついてこれる者などいません」
「何の用があって?」
「ただの見物ですよ。根本的な差があったとは言え、元ライバルでしたからね」
エルフってそんな凄い生き物なのか?
パメラはそこまで強そうじゃないし、体から光る粒子をまき散らしたりもしない。
何か違うのかな?
ガラシアはルデラと会話しながら、視線を動かすことなく、俺の方に手を差し出す。握られているのはユアンから貰った方の木刀。俺は無言で受け取る。
ここで、戦う気なのか? そして手伝えと?
「一つ聞いておきたいのですが、あなたは目指すのですか? 魔王の座を」
「もちろんです」
「ちょっと待って? どういう事なんだ? おまえは魔王……の候補か何かなのか?」
俺は会話に混ざる。正直、状況が全然わからない。誰も説明してくれないし。
ルデラは笑う。
「ふふふ。勇者を身内に飼っておきながら、何も教えていないとは……。もしかして、下剋上に備えた秘密兵器だったのかしら?」
「……」
ガラシアは無言で、持っていた剣をバラバラと地面に落とした。
いや、一本だけは握ったままだ。訓練用の木刀ではない、金属の真剣だ。
「お覚悟を!」
叫ぶなり、飛び掛かる。
空中で抜刀しながら、一瞬で斬撃を放ったガラシアを……
「何その動き? お遊戯かしら?」
ルデラは、あざ笑う。
おそらく人間なら一撃で切り捨てられていたような速度と重さの斬撃を、剣の腹を親指と人差し指でつかむだけで止めていた。
だが、ガラシアも、既に剣を手放している。
「エレメンタル・リロード」
何かの魔術的スキル。
俺の目には、景色が一瞬ぼやけたようにしか見えなかった。
ルデラは剣を投げ捨て、後方へ飛び跳ねて下がる。
「趣味の悪い技を使うわね」
「堕天使ですので」
ガラシアは武器を失ったが、それでも前に出る。
チョップ、正拳突き、回し蹴り、アッパー、足払い、胴打ち。
ルデラはその全てを、左手を動かすだけで弾き続け、下段攻撃だけはジャンプで避ける。本気を出せば一瞬で状況をひっくり返せそうに見える。
ガラシアもそれを知っているのか、スキルの類は使わず、効果がないとわかっている格闘に徹している。
時間稼ぎか?
弾き飛ばされたままのノインを見る。地面に倒れて丸くなっている。重傷を負ったわけではないようだが、戦意も失せているように見えた。
俺はジッキンの所まで後退。
「おい、結局、あいつなんなんだ」
「あれは……なんというか、わしの一存では説明できないな」
ジッキンも歯切れが悪い。
そもそもエルフとドワーフって仲が悪いんだっけ?
悪いなら悪いで、好きなだけ悪口を言えばいいのに。
そうしないのは……ジッキンは他人の基準で判断しているのだろうか?
「あいつ、エルフって言ってるけど、攻撃していいのか?」
「いや……、なんで、わしにそんな事を聞く?」
「誰も事情を教えてくれないからだろ。パメラもエルフだけど、連れてきたら、交渉の余地があるかな?」
パメラは店のカウンターにいる。呼べば来る。と言うか、この騒ぎは聞こえていて、自分で来てもおかしくない。
そんな俺の考えを恐れるかのように、ジッキンは目を逸らす。
「いや、それは……」
「ダメなのか?」
「絶対にやめてくれ。下手をすると、優先で攻撃対象になるかも知れん」
「そうか」
未だに状況がよくわからない。だが俺の心は決まった。
この前のダンジョンで、ケガをしたサノテを救ってくれたのはパメラだ。
パメラを殺されるわけにはいかない。
なら、ルデラは敵。今はそれで十分だ。
俺は木刀を構えると、前に出る。
ルデラが、こちらを見てニヤリと笑う。
「アクア・ウォール」
出現する水の壁。巻き込まれそうになったガラシアが後退する。
俺はルデラから目を離さないまま、ガラシアに聞く。
「どうすれば、いいと思います?」
「何事もなかったかのように、お帰りいただくのが一番なのですが……」
「殺すのは?」
「さすがにマズいですね。報復が怖いです」
「わかりました」
あとは、ルデラがどの程度頑丈かによる。試しに何発か打ち込んでみればいいか。
「俺が一人でやります」
「大丈夫ですか?」
「手加減は得意ですよ」
俺は大ウソをついてさらに前に出た。
ルデラは、わざわざ水の壁を消してから、俺に言う。
「手加減なんていらないわ。仮にあなたが全力を出しても、どうにか死なずに済む程度でしょう」
「……」
安い挑発だった。
そう言っておけば、俺が防御に徹するとでも思ったのだろう。
だが俺は木刀をルデラの腹めがけて突き出す。
人は、正中線への攻撃を受けると判断に迷う。右に避けるか、左に避けるか、どちらが正解か考える必要があるからだ。
ルデラも一瞬反応が遅れた。そして、左腕で防御しようとした。
無意味。
「崩塞突(ほうさいとつ)」
ゴワギン!
ダメージはなかったのかもしれない。
それでも、ルデラは成す術もなく後方に吹き飛び、風系の魔術で体勢を立て直して着地した。
「驚きましたね。さすが勇者、珍しい戦い方をします」
いや、驚いたのは俺の方だ。城壁を崩すような一撃を食らって、骨折した気配すらない。
こいつ、完全に人型に見えるのに、体内に骨が存在しないのか?
皮膚にも傷がついていない。
「無敵?」
「そんなわけありませんよ。もちろん、今のは手加減したのですよね? 全力を出して構いませんわ」
「……」
ごめんなさい、めっちゃ全力でした。
本当に殺していいなら、使えそうな技はいくつかある。例えば、頭部に貫徹破岩衝 (かんてつはがんしょう)を叩き込むとか。これが直撃しても死ななかったら、幻術を疑う。
今回は、それを試すわけにはいかない。だとすると……もうアレしかない。
「わかった。次は全力を出す。覚悟しろ」
「何を見せてくれるのかしら」
「楽しみにしていろ。見せるのはおまえの方だがな」
ルデラは、自分がダメージを受けるとは思っていないようだ。
俺はルデラに向けて駆ける。
「竜炎剛破斬 (りゅうえんごうはざん)」
木刀を振る。
ルデラは跳んで避けるようなそぶりを見せた。
俺はさらに一歩踏み込む。返す刀がルデラの胴を捉えた。
ジュバッ、グォォォン!
剣術にも、魔力を消費する技がある。
魔術師が呪文を唱えて炎の球を飛ばすように、剣に炎をまとう技がある。
あくまで剣に炎をまとうだけで、遠距離攻撃はできないが……このエルフ、なんか植物っぽいし、燃やすにはこの技で十分だ。
だが、俺の見込み通り、ルデラの皮膚には傷一つつかなかった。
「ふふふ。それがあなたの全力かしら? よく当てた、と褒めてあげるわ。でも、私の体には傷一つつけられなかった、みたい……だけど?」
その通りだ。体には傷一つつけていない。体には。
その代わり、葉っぱその物のような服の一部が、ぺらりとめくれて、剥がれ落ちた。
右の脇腹の辺りで、すっぱりと切れていた。
植物は炎に弱い。学のない田舎者でも知っている。
ルデラは慌てて露出した脇腹を抑える。
「なっ……なんてことをっ」
「今回は俺の勝ちと言う事にさせてもらおう」
「くっ……」
俺は、ルデラに先んじて勝利宣言をした。
反論はなかった。これまで見せた余裕の態度が、逆にルデラの勝利を遠ざけてしまっている。
「剣聖って凄いんだにゃ……刀を当てるのは当然で、その後の効果を……にゃるほど……」
ノインが倒れたまま言う。
いや、横目でそっちを見れば、さっきと体勢が変わっていて、もう地面にうつ伏せになってくつろいでいるようにしか見えない。
頼むからまじめに参加してくれ!
「ふん。いいわ。今回は負けを認めてあげましょう。けど覚えていなさい。本当に命のやり取りをすれば、おまえたちには一部の勝ち目もないわよ!」
言うなり、ルデラは杖をシャランと鳴らす。
景色がレンズを通したように歪んで、ルデラの姿が消えた。
まるで最初から誰もいなかったように。
地面に落ちている緑色の布のような葉っぱだけが、今の出来事が夢でないと証明していた。
ガラシアが、安堵のため息をついた。
とりあえず脅威は去ったようだ。
でも、これは後できちんと話を聞いておく必要があるな。パメラに。
裏庭にての戦闘訓練中、無礼なエルフが現れる
「ユアンの方が優雅だ」って言ったらキレた
〇
「この真祖エルフたるわたくしを、下賤の犬女と比べようなどとは……無礼にもほどがあります」
ルデラは怒っている。
しかし俺には、未だにこいつが何なのかわからない。
せめて、敵、味方、クソ客のどれかに分類できるような情報が欲しい。
ノインが襲い掛かって吹き飛ばされたのに、ガラシアは何も言わなかった。味方だと思っているならノインを咎める。心配するそぶりすら見せないという事は……、そんな余裕はないという事だ。
敵か?
ガラシアはゆっくりと歩いて俺の隣に立つ。
手には何本か、剣を持っていた。
「ユリフラテス様。今日は、お一人で来たのですか? 供の者も連れずに……」
「必要ありませんから。それに、エルフたる私の移動速度に、ついてこれる者などいません」
「何の用があって?」
「ただの見物ですよ。根本的な差があったとは言え、元ライバルでしたからね」
エルフってそんな凄い生き物なのか?
パメラはそこまで強そうじゃないし、体から光る粒子をまき散らしたりもしない。
何か違うのかな?
ガラシアはルデラと会話しながら、視線を動かすことなく、俺の方に手を差し出す。握られているのはユアンから貰った方の木刀。俺は無言で受け取る。
ここで、戦う気なのか? そして手伝えと?
「一つ聞いておきたいのですが、あなたは目指すのですか? 魔王の座を」
「もちろんです」
「ちょっと待って? どういう事なんだ? おまえは魔王……の候補か何かなのか?」
俺は会話に混ざる。正直、状況が全然わからない。誰も説明してくれないし。
ルデラは笑う。
「ふふふ。勇者を身内に飼っておきながら、何も教えていないとは……。もしかして、下剋上に備えた秘密兵器だったのかしら?」
「……」
ガラシアは無言で、持っていた剣をバラバラと地面に落とした。
いや、一本だけは握ったままだ。訓練用の木刀ではない、金属の真剣だ。
「お覚悟を!」
叫ぶなり、飛び掛かる。
空中で抜刀しながら、一瞬で斬撃を放ったガラシアを……
「何その動き? お遊戯かしら?」
ルデラは、あざ笑う。
おそらく人間なら一撃で切り捨てられていたような速度と重さの斬撃を、剣の腹を親指と人差し指でつかむだけで止めていた。
だが、ガラシアも、既に剣を手放している。
「エレメンタル・リロード」
何かの魔術的スキル。
俺の目には、景色が一瞬ぼやけたようにしか見えなかった。
ルデラは剣を投げ捨て、後方へ飛び跳ねて下がる。
「趣味の悪い技を使うわね」
「堕天使ですので」
ガラシアは武器を失ったが、それでも前に出る。
チョップ、正拳突き、回し蹴り、アッパー、足払い、胴打ち。
ルデラはその全てを、左手を動かすだけで弾き続け、下段攻撃だけはジャンプで避ける。本気を出せば一瞬で状況をひっくり返せそうに見える。
ガラシアもそれを知っているのか、スキルの類は使わず、効果がないとわかっている格闘に徹している。
時間稼ぎか?
弾き飛ばされたままのノインを見る。地面に倒れて丸くなっている。重傷を負ったわけではないようだが、戦意も失せているように見えた。
俺はジッキンの所まで後退。
「おい、結局、あいつなんなんだ」
「あれは……なんというか、わしの一存では説明できないな」
ジッキンも歯切れが悪い。
そもそもエルフとドワーフって仲が悪いんだっけ?
悪いなら悪いで、好きなだけ悪口を言えばいいのに。
そうしないのは……ジッキンは他人の基準で判断しているのだろうか?
「あいつ、エルフって言ってるけど、攻撃していいのか?」
「いや……、なんで、わしにそんな事を聞く?」
「誰も事情を教えてくれないからだろ。パメラもエルフだけど、連れてきたら、交渉の余地があるかな?」
パメラは店のカウンターにいる。呼べば来る。と言うか、この騒ぎは聞こえていて、自分で来てもおかしくない。
そんな俺の考えを恐れるかのように、ジッキンは目を逸らす。
「いや、それは……」
「ダメなのか?」
「絶対にやめてくれ。下手をすると、優先で攻撃対象になるかも知れん」
「そうか」
未だに状況がよくわからない。だが俺の心は決まった。
この前のダンジョンで、ケガをしたサノテを救ってくれたのはパメラだ。
パメラを殺されるわけにはいかない。
なら、ルデラは敵。今はそれで十分だ。
俺は木刀を構えると、前に出る。
ルデラが、こちらを見てニヤリと笑う。
「アクア・ウォール」
出現する水の壁。巻き込まれそうになったガラシアが後退する。
俺はルデラから目を離さないまま、ガラシアに聞く。
「どうすれば、いいと思います?」
「何事もなかったかのように、お帰りいただくのが一番なのですが……」
「殺すのは?」
「さすがにマズいですね。報復が怖いです」
「わかりました」
あとは、ルデラがどの程度頑丈かによる。試しに何発か打ち込んでみればいいか。
「俺が一人でやります」
「大丈夫ですか?」
「手加減は得意ですよ」
俺は大ウソをついてさらに前に出た。
ルデラは、わざわざ水の壁を消してから、俺に言う。
「手加減なんていらないわ。仮にあなたが全力を出しても、どうにか死なずに済む程度でしょう」
「……」
安い挑発だった。
そう言っておけば、俺が防御に徹するとでも思ったのだろう。
だが俺は木刀をルデラの腹めがけて突き出す。
人は、正中線への攻撃を受けると判断に迷う。右に避けるか、左に避けるか、どちらが正解か考える必要があるからだ。
ルデラも一瞬反応が遅れた。そして、左腕で防御しようとした。
無意味。
「崩塞突(ほうさいとつ)」
ゴワギン!
ダメージはなかったのかもしれない。
それでも、ルデラは成す術もなく後方に吹き飛び、風系の魔術で体勢を立て直して着地した。
「驚きましたね。さすが勇者、珍しい戦い方をします」
いや、驚いたのは俺の方だ。城壁を崩すような一撃を食らって、骨折した気配すらない。
こいつ、完全に人型に見えるのに、体内に骨が存在しないのか?
皮膚にも傷がついていない。
「無敵?」
「そんなわけありませんよ。もちろん、今のは手加減したのですよね? 全力を出して構いませんわ」
「……」
ごめんなさい、めっちゃ全力でした。
本当に殺していいなら、使えそうな技はいくつかある。例えば、頭部に貫徹破岩衝 (かんてつはがんしょう)を叩き込むとか。これが直撃しても死ななかったら、幻術を疑う。
今回は、それを試すわけにはいかない。だとすると……もうアレしかない。
「わかった。次は全力を出す。覚悟しろ」
「何を見せてくれるのかしら」
「楽しみにしていろ。見せるのはおまえの方だがな」
ルデラは、自分がダメージを受けるとは思っていないようだ。
俺はルデラに向けて駆ける。
「竜炎剛破斬 (りゅうえんごうはざん)」
木刀を振る。
ルデラは跳んで避けるようなそぶりを見せた。
俺はさらに一歩踏み込む。返す刀がルデラの胴を捉えた。
ジュバッ、グォォォン!
剣術にも、魔力を消費する技がある。
魔術師が呪文を唱えて炎の球を飛ばすように、剣に炎をまとう技がある。
あくまで剣に炎をまとうだけで、遠距離攻撃はできないが……このエルフ、なんか植物っぽいし、燃やすにはこの技で十分だ。
だが、俺の見込み通り、ルデラの皮膚には傷一つつかなかった。
「ふふふ。それがあなたの全力かしら? よく当てた、と褒めてあげるわ。でも、私の体には傷一つつけられなかった、みたい……だけど?」
その通りだ。体には傷一つつけていない。体には。
その代わり、葉っぱその物のような服の一部が、ぺらりとめくれて、剥がれ落ちた。
右の脇腹の辺りで、すっぱりと切れていた。
植物は炎に弱い。学のない田舎者でも知っている。
ルデラは慌てて露出した脇腹を抑える。
「なっ……なんてことをっ」
「今回は俺の勝ちと言う事にさせてもらおう」
「くっ……」
俺は、ルデラに先んじて勝利宣言をした。
反論はなかった。これまで見せた余裕の態度が、逆にルデラの勝利を遠ざけてしまっている。
「剣聖って凄いんだにゃ……刀を当てるのは当然で、その後の効果を……にゃるほど……」
ノインが倒れたまま言う。
いや、横目でそっちを見れば、さっきと体勢が変わっていて、もう地面にうつ伏せになってくつろいでいるようにしか見えない。
頼むからまじめに参加してくれ!
「ふん。いいわ。今回は負けを認めてあげましょう。けど覚えていなさい。本当に命のやり取りをすれば、おまえたちには一部の勝ち目もないわよ!」
言うなり、ルデラは杖をシャランと鳴らす。
景色がレンズを通したように歪んで、ルデラの姿が消えた。
まるで最初から誰もいなかったように。
地面に落ちている緑色の布のような葉っぱだけが、今の出来事が夢でないと証明していた。
ガラシアが、安堵のため息をついた。
とりあえず脅威は去ったようだ。
でも、これは後できちんと話を聞いておく必要があるな。パメラに。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました
言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。
貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。
「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」
それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。
だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。
それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。
それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。
気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。
「これは……一体どういうことだ?」
「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」
いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。
――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる