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8.捜索開始!
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「ひぇぇ…も、もう戻りませんか?」
静かな空間に情け無いサーシャの声が響き渡る。
「あのなぁ…まだ入って5分も経ってないぜ?」
歩きながら俺は溜息を吐いた。
ーー
あれから、とりあえず森の中に入りラータ達を町全体で探すという話になった。
どうやら森の中は危険らしいので、スキルを持つ人が任意で捜索するらしい。
町の人は気の良い人ばかりで、町の人口のちょうど半分くらいの人が参加してくれた。(しかし小さな町なので人数はそこまで多くない)
そして、サーシャが《炎》のスキル持ちだと知った為、動かないサーシャを俺が引っ張り森の中に入り今に至る。
え、俺は怖くないかって?
確かに怖いけど、いざとなれば《シールド》が何とかしてくれる…、と信じたい。
ラータはともかく、ハルもこの森の中で怖い思いをしているんだと思うとじっとしていられるものか!
ーー
「ほら、町の人たちに置いてかれるぞ?」
俺たちは町の人達と5、6人程度でチームを組み、捜索をしている。
サーシャがなかなか動かない為俺たちは最後尾にいた。
「ひぃ…あの、コレ、任意ですよね?ぼ、ボクが行く必要は無いと思うんですよ。ね?」
「………」
もう呆れて声も出ない。
町の人たちもクスクス笑っている。
俺はそんなにお人好しじゃない。
よってもうこの猫耳男を置いて行くことにした。
「あっそ、じゃあ好きにしたらどうですか?じゃ、俺は先に行くんで」
そう言いスタスタ歩き出すと、なんと後ろから腕を掴まれる。
「ま、待ってください!!行きますから!!置いてかないで下さいよぅ…」
なんなんだよコイツは!!
「…あ、そう。てか、この森ってどういう風に危険なんだ?やっぱ魔物が出るのか?」
腕を振り払い話題を変えると、何事もなかったかのようにサーシャは答えた。
「あ、ハイ。ここでは主に動物系とキノコ系の魔物が夜に活動するので危険区域なんです。」
「へー。」
「ただ、もっと危険なのは吸血鬼です。夜に活動し迷い込んだ者を攫い血を吸うんです!!」
この世界の吸血鬼はとても凶暴らしかった。
「この森に拠点があるのは分かっているのですが、一度も討伐隊が戻ってきたことがなくて…」
今回の捜索もとりあえず拠点までは踏み込まないように、と念を押されているらしい。
あ、そんな話してたような気もしなくはないな。(ちゃんと聞いてなかった)
「…それって、かなりヤバイやつじゃ…」
「勇者様なら討伐できたりしませんかね?」
いや、無理だろ。
攻撃スキルは持ってないみたいだし。
…なんて話していたら前方が騒がしいことに気がついた。
「出たぞっ!魔物だっ!」
巨大なキノコに手足の生えたような姿の魔物を三人の獣人が囲むように立っている。
因みに三人のは俺たちと一緒のチームになった人達だ。
「キノコ系は火が有効だ!誰か火魔法を使える人はいないか?!」
三人の中の一人、イヌの獣人が叫んだ。
「お、サーシャさん出番みたいだぜ?」
俺がサーシャを見やると、猫耳男はブンブンと首を振った。
「む、む、無理ですっ!」
静かな空間に情け無いサーシャの声が響き渡る。
「あのなぁ…まだ入って5分も経ってないぜ?」
歩きながら俺は溜息を吐いた。
ーー
あれから、とりあえず森の中に入りラータ達を町全体で探すという話になった。
どうやら森の中は危険らしいので、スキルを持つ人が任意で捜索するらしい。
町の人は気の良い人ばかりで、町の人口のちょうど半分くらいの人が参加してくれた。(しかし小さな町なので人数はそこまで多くない)
そして、サーシャが《炎》のスキル持ちだと知った為、動かないサーシャを俺が引っ張り森の中に入り今に至る。
え、俺は怖くないかって?
確かに怖いけど、いざとなれば《シールド》が何とかしてくれる…、と信じたい。
ラータはともかく、ハルもこの森の中で怖い思いをしているんだと思うとじっとしていられるものか!
ーー
「ほら、町の人たちに置いてかれるぞ?」
俺たちは町の人達と5、6人程度でチームを組み、捜索をしている。
サーシャがなかなか動かない為俺たちは最後尾にいた。
「ひぃ…あの、コレ、任意ですよね?ぼ、ボクが行く必要は無いと思うんですよ。ね?」
「………」
もう呆れて声も出ない。
町の人たちもクスクス笑っている。
俺はそんなにお人好しじゃない。
よってもうこの猫耳男を置いて行くことにした。
「あっそ、じゃあ好きにしたらどうですか?じゃ、俺は先に行くんで」
そう言いスタスタ歩き出すと、なんと後ろから腕を掴まれる。
「ま、待ってください!!行きますから!!置いてかないで下さいよぅ…」
なんなんだよコイツは!!
「…あ、そう。てか、この森ってどういう風に危険なんだ?やっぱ魔物が出るのか?」
腕を振り払い話題を変えると、何事もなかったかのようにサーシャは答えた。
「あ、ハイ。ここでは主に動物系とキノコ系の魔物が夜に活動するので危険区域なんです。」
「へー。」
「ただ、もっと危険なのは吸血鬼です。夜に活動し迷い込んだ者を攫い血を吸うんです!!」
この世界の吸血鬼はとても凶暴らしかった。
「この森に拠点があるのは分かっているのですが、一度も討伐隊が戻ってきたことがなくて…」
今回の捜索もとりあえず拠点までは踏み込まないように、と念を押されているらしい。
あ、そんな話してたような気もしなくはないな。(ちゃんと聞いてなかった)
「…それって、かなりヤバイやつじゃ…」
「勇者様なら討伐できたりしませんかね?」
いや、無理だろ。
攻撃スキルは持ってないみたいだし。
…なんて話していたら前方が騒がしいことに気がついた。
「出たぞっ!魔物だっ!」
巨大なキノコに手足の生えたような姿の魔物を三人の獣人が囲むように立っている。
因みに三人のは俺たちと一緒のチームになった人達だ。
「キノコ系は火が有効だ!誰か火魔法を使える人はいないか?!」
三人の中の一人、イヌの獣人が叫んだ。
「お、サーシャさん出番みたいだぜ?」
俺がサーシャを見やると、猫耳男はブンブンと首を振った。
「む、む、無理ですっ!」
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