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本編
夢じゃない
しおりを挟むチュッ
「んっ」
チュッチュッ
「くすぐったい。」
覚めたくないなぁ、ずっと夢の中にいたいなぁ。暖かくて心がふわふわする。もっと近づきたいなぁ。
「ミ、レミ。」
「だれ?」
名前が呼ばれる。
「レミ起きて。」
あ、この声私の大好きな声だ。
「れ、ん」
「レミ起きた?」
目を開けると蓮が目の前にいた。まだ、夢の中なのかな?そうだったなら嬉しいな。夢の中だよね、だって私蓮から逃げちゃったもん。蓮は優しいなこんな私の夢に出てくれるなんて。
「蓮だぁ、大好き!」
「っ、うん。僕もレミのこと愛してるよ。それから、あんまり可愛いこと言ってると僕も男子大学生なんだから我慢できないよ?」
ゾクッ
背筋に寒気が走る。目が覚める。
「れ、蓮。本物?」
「僕の偽物がいるのかは知らないけど、僕は確かに蓮だよレミ?」
「あれ、ここ蓮の家……」
目が覚めて辺りを見回すとそこはつい最近まで住んでいた蓮の家だった。
なんで、私は確かに自分の家にいたのに……
「僕はレミがいなくちゃ生きていきないんだよ。だからレミを迎えに行ったんだ。」
「私ちゃんと家の鍵閉めてあったはずだけど……?」
「しっかり閉めてあって偉かったね。僕以外の誰が入っていたら大変だったから。」
「蓮はどうやって入ったの?合鍵は渡してなかったよね。それに手紙には実家に戻るって…」
「まぁそこは気にしなくていいよ。」
「いやいやだめでしょ。」
「僕は今更レミを手放すつもりはないから。逃げちゃいけないって言ったでしょ?」
顔は笑っているのに目が笑ってない。怖いよ!
はっ、じゃなくて……
「蓮私と別れて。」
「いや。さっきから手放すつもりはないって言ってるでしょ?レミが急に僕と別れるなんて言い出した原因はこれでしょ?」
そう言って蓮は私の前に箱を持って来た。
「それ……」
「中には沢山レミが写っている写真が入っていたね。」
蓮が持って来た箱は私が家の郵便受けに入っていた写真を入れた箱だった。
蓮は箱を開けて中身の写真を何枚か手に取る。
「怖かったねレミ。」
そう言って蓮は私を抱き寄せて頭を撫でる。
蓮の大きくて温かい手が優しく撫でてくれてだんだんと落ち着いてきて、昨日の恐怖を思い出す。
「っふ、うぅっ、こ、怖かった。相談したかったけど自分で勝手に離れたのに、蓮になんて言って相談すればいいかわかんなくて、一人が恐くて。うっ、うっで、でも本当は蓮にすぐに会いに行きたかった。私が蓮と付き合ってるって他の人達が知ったらどうなるのか恐くて、小さなときみたいにいじめられるかもって考えたら恐くて蓮とずっと一緒にいられる勇気なんて持って無くて……」
「うん、それで?」
ポンポンと背中を優しく叩いてくれる。
「でも、でもそれでも蓮といたいって思って蓮が近くにいないのが恐くて一人がいやだった。今までは一人の方が楽だったのにいつの間にか蓮が近くにいないのが怖くなってた…」
「レミは僕とずっと一緒にいたいの?」
「うんっ、うん。」
私は一生懸命首を縦に振る。
「私から離れて行かないで蓮。私は弱いけど、いじめも怖いけど、それよりも蓮とずっと一緒にいたいっ」
「ありがとうレミその言葉忘れないでね。僕も一生レミを手放す気はないから。逃げちゃいけないよ?レミを害するモノは僕が消してあげるからね。」
最後の方が小さな声で聞き取れなかったけどなんて言ったんだろう。
「?」
「なんでもないよ。疲れちゃったねレミ目元もはれちゃったな。今冷たいタオル持って来るから待っててね。」
「いや、離れたくない。」
そう言って私は蓮の服の裾を握る。
「はぁ、本当に可愛いなレミは。ついてくる?」
「うん。」
そう言って私も蓮にくっつきながらベッドから立ち上がった。
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いつも読んでくださってありがとうございます。
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