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本編
別れ
しおりを挟む『でしたら私からのお願いは一つだけです。神月様の前から消えてください。』
彼女に言われた言葉が頭に響く。
「な、なんでもないよ。ちょっと怖い夢見ただけだから。」
私はあわてて上体を起こしてそう答える。
「本当に?」
「うん!」
「ならいいけど、本当はレミの見る夢なら毎回僕が出てレミがドロドロになるまで甘やかしていたいんだけどね。」
「蓮には現実で十分甘やかされてるよ。」
「それでもだよ。まだまだ足りない。」
「…蓮はいったいどこを目指してるの?」
「秘密だよ。」
ちゅっ
そう言って蓮は私のおでこにキスをおとす。
「いつもより少し遅いけど夕飯作るね。レミはゆっくりしててね。」
「でも…」
「いいんだよ。僕がレミのためにしたいんだもん。レミの泣き顔もかわいいけどやっぱり笑った顔の方が僕は好きだから。ね、今から僕がレミの好きなものたくさん作るからいつもの笑顔に戻って?」
「う、うん。」
蓮は私の頭を撫でて立ち上がりキッチンに向かう。部屋のドアが閉まる。
「私蓮と別れられるのかな…」
一人取り残された部屋に小さくつぶやいた私の言葉が大きく響いたように感じた。
蓮の手のひらは大きくてでもごつごつはしてない温かくていつも私に優しい。この心地いいぬくもりを手放したくない。そう心が叫ぶ。
「あ、なみだ…。せっかく蓮に拭ってもらったのに。」
次々と涙がこぼれてくる。
「うっうっ、蓮と、別れたくない…」
「いやだよ…」
____________________________________________________________
次の日
結局昨日は蓮が腕によりをかけて作ってくれた夕飯ものどを通らず、蓮に心配をかけてしまった。今朝も元気が出なくて蓮には大学を休むように言われた。
「レミ今日は大学休みな。内容は僕が記録しておくから。家でゆっくりしてて。ね?」
「…うん。」
「それじゃあ僕は行くから。ご飯は冷蔵庫に入ってるからそれを食べるんだよ?いってきます。いい子でまってるんだよ。」
ちゅっちゅっ
「んっ」
蓮はそう言って私の両頬に優しくキスをして玄関のドアを開けて出て行った。
ドアがゆっくり閉まる。完全に閉じられるまで私は見ていた。
「…弱くてごめんね蓮。」
昨日の夜ずっと考えていたことを実行する。
一緒に住むに当たり私の必需品を蓮の家に移した。といっても服や勉強道具ぐらいだけど。私はそれらを大きなカバンにしまいテーブルの上に蓮に宛てた手紙を書く。
『蓮へ
母が体調を崩したと連絡があって心配なので少しの間実家に帰ることにします。
いきなりでごめんね。蓮も体調には気を付けてね。
レミより』
「よしっ、書けた。じゃあね蓮。」
手紙にキスを落として。テーブルに置き荷物を持って蓮の家を出る。
「ふっ、ううっ…蓮大好きだよ。」
私は涙を拭いすっかり慣れてしまったマンションを出て。一人暮らししていた自分の家に戻る。
____________________________________________________________
短くてすみません(>人<;)
区切りがいいのでここまでにさせていただきます。
いつも読んでくださってありがとうございます⸜(* ॑ ॑* )⸝
番外編など書いて欲しい内容があれば教えて頂けると嬉しいです。忙しいですが頑張っていきたいです。
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