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本編
別れてください
しおりを挟む今なんて…
「私は神月様のファンクラブに加入していています。あの方は今まで誰とも付き合うことはありませんでした。ファンクラブには他の学校の人たちもいます。ですのでこの情報はかなり信憑性が高いです。私たちファンクラブではあの方に関しては不可侵がルールです。ですがここ最近おかしな写真が私のもとに届きました。それがこちらです。」
そう言って彼女はテーブルに写真を数枚置く。その写真には大学でこっそり蓮に会っている時の物や外でデートしている時の物など様々だった。
頭の血が下がる。
「こ、これ…」
「誰が入れたかわかりませんが私の家のポストにありました。まだファンクラブにはこのことは教えてはいません。これが他のファンにばれたらどれだけ大変なことになるか黒崎さんならご理解いただけますよね?中にはかなり狂信的な方もいるので気を付けてくださいね?」
「お、お願いします。秘密にしてください。な、なでもします、だから。」
「黒崎さんでも私が神月様のことが大好きなことくらいご存知ですよね?」
「は、はい。」
「でしたら私からのお願いは一つだけです。神月様の前から消えてください。」
「そ、それは…」」
「お願いしますね?守っていただけなければこの写真をファンクラブにもながします。身の振り方ぐらいわかりますよね?」
そう言い終えて彼女は席を立った。
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『まっすぐここに帰って来てねレミ。』
その後私は気が付いたら蓮の家に帰ってきていた。
蓮から離れるように言われたのに。
今となっては慣れたように電子キーのドアを開いて中に入る。家の中は暗くまだ蓮は帰ってきていなかった。今日みたいに嫌なことがあった日はなぜかいつも私よりも先に帰ってきていて私の好きなものを作って、私の大好きな笑顔で『おかえり』って言ってくれるのに家は電気がついていなくて暗くまるで今の私の心のようで余計に嫌になった。
私は部屋の明かりはつけないでベッドに横になった。
蓮の匂いがする…
「蓮と別れる…」
私には蓮はもったいないからいつか蓮に捨てられると考えていたし、蓮のファンクラブにこのことがばれたらやばいことになるのも理解していた。なのにいつのまにか蓮に甘えるようになっていた。それが心地よくて楽で嫌なこともすべて忘れられて気が付かないうちに依存していた。
いつからだろう、蓮といて落ち着くようになったのは。いつからだろう、彼のことを心の底から好きになっていたのは。
私は小学生低学年の頃にいじめを受けたことがある。まだ恵美と知り合う前のことだ。あの頃の私は知らない子と話すのが苦手で友達がいなかった。今思えばとてもくだらない事だった、陰口や無視それぐらいだった。ただその時のことが忘れなくていまだに誰も信用ができなくてよく話す子でも心の底では信用も心の底から落ち着くことは一度もなかった。
家族にもその頃のことを相談できなくてなんだかそのころから距離ができてしっまた。そして、それからはできるだけ周囲になじむように空気を読むようにして、本音を隠すように自分に嘘をついて生きてきた。
なのに今更誰かの目に着くなんて…恐い。
ガチャッ
パチッ
部屋のドアが開き、明かりがつく。
いつのまにかかなりの時間が経っていたようだ。あたりは暗くなっていて。部屋にある時計は午後6時を過ぎていた。
「レミいるの?」
私の大好きな声が私の名を呼ぶ。あと何回その声で呼んでもらえるんだろう。
「レミ泣いてるの?」
蓮が私が寝ているベッドに近づいてきてしゃがむ。私がくるまっていた掛布団を優しくとる。
「顔見せて。」
そう言って私の頬に手をあて涙を拭う。蓮の手が大きくてあったかくて落ち着く。
「ねぇ、どうして泣いてるのレミ?僕に教えて?」
そう彼は尋ねてきた。
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