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本編
約束
しおりを挟む「ねぇ、レミ今度の土曜日は確か休みだよね。もし暇ならデートしない?もちろん良いよね?態々大学では公表しないであげてるんだから。僕としては皆に公表して大学内でもレミとずっと一緒に居たいの我慢してるんだしこれぐらいは良いよね?もし、駄目なら今から公表して来るけど」
「え?」
プチトマトが箸から落ちる。あぁ、落ちたのがお弁当の上でよかった。勿体ないものね。
じゃなくてっ、
「……ど、土曜日?」
「うん、大丈夫だよね?あ、別れてくださいって言った場合は皆にレミに振られたって言うだけだから安心してね?」
笑顔が恐い。いや、表情はいつもの爽やかスマイルなんだけど目が笑ってない。そして、言動と表情が一致してません。
私の退路は何処なんだ。
「も、もちろん大丈夫だよ。当たり前じゃん」
退路は1つもなかった。
笑顔が引きっってるのが自分でもわかる。
そして、蓮はその綺麗な顔で微笑みながら聞いてきた。
「じゃあ、土曜日の9時にレミの家に迎えに行くから。レミが今一人暮らししている家の場所教えてくれる?」
これって、蓮に教えて大丈夫なんですかね……
「レミの家に迎えに行くから、住所を教えてくれる?」
「大丈夫だよ。迎えに来なくても、待ち合わせして出掛けない?」
此処で蓮に家の場所がバレるのは拙そう。だって此処でバレたら私の安全な逃げ場が無くなる!
「大丈夫だよ。ばれないようにするから。ただそうするとレミも気が付かない可能性があるんだよね。だから迎えに行った方が楽なんだよね」
蓮は反論を許さないように返してきた。大学周辺には私と同様に通いやすくするために住んでいる学生がたくさんいる。
つまり、その周辺にある交通機関をその人たちの多くが同じ様に利用しているのだ。ばれないはずがない!
かといって、デートを断る術もない。
仕方ないか…
「わかった。住所は家に帰ったら送っておくね」
「うん、それじゃあ当日が楽しみだね。」
「ところで、何処に行く予定なの?」
「行く場所はもう決めたよ。あぁ、でもレミが行きたい所があったら教えてね。今回は無理だけど次回一緒にいこう。」
あの、肝心の行く場所とこなんですか…
「蓮本当に何処に行くつもりなの?」
「秘密。当日の楽しみって言うことでね?」
そう彼は片目を閉じウインクをして人探し指を口の前に持ってきた。様になっているところが凄いなと感心する。
「あぁ、服はなんでも大丈夫だよ」
「え、なんでもって一番困るんだけど」
「そうだね」
え、そんな笑顔で言われても困るだけなんですけど。
「じゃあ、ジャージでも良いの?(冗談だけど…)」
「うん。なんでも大丈夫だよ」
「じ、冗談です」
いやいや、確かに冗談で言ったけどさぁ!
ジャージだよ?ジャージ。初めてのデート(?)にジャージでいいの?
確かに動き安くて楽だけど!
「気にしなくて大丈夫だからね?レミならなんでも似合うから。あぁ、でも一つ言うならあんまり肌が見えない方が僕は安心かな?あんまり露出度が高いと僕が周囲の男共に嫉妬しちゃうから。」
「わ、わかりました?」
いやいや、何か後半の声のトーンが低かったんですけど。
怖いよ!
「レミが肌見せても良いのは僕だけだからね?」
目が目が笑ってない!何か後ろに見えるんですけど!
私の肌なんて皆見ないよ!どちらかと言うと皆蓮を見てるに決まってるし。女の私より蓮の方が肌白くて滑らかで綺麗だし!
あれ?なんか自分で考えてて悲しくなってくる。あ、目から塩水が……
「レミ、自分の事なんて皆見てないとか思ってるでしょ?レミはもう少し自分に自信を持った方がいいよ?」
あれ?私口に出して無いのに何かフォローされてる?
「レミのそう言う鈍いところも好きだけど、少しは自覚を持って警戒してくれると安心できるんだけとね」
「え、私鈍くないよ?前に恵美の事好きな人が恵美に告白するより早く気が付いたし?」
「知ってるよ。レミは自分の事に鈍いんだよね」
「え、いや、だから私鈍くないよ」
「そうだね」
え、私って鈍いの?初めて言われたんですが…
「取り敢えず、当日レミは着替えて待って居てくれたら良いからね。お財布もいらないから」
「え?お財布も?」
「うん。いらないよ」
有無を言わせない微笑みで蓮はそう言った。
取り敢えず今は恐くて断れないけど一応持って行こう。
そう、私は考えたのだ。
「当日が楽しみだね。レミ?」
そう言って、彼は微笑んだ。
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