7 / 38
本編
約束の日
しおりを挟む気がついたら、約束の土曜日になってしまっていた。
大学でも、バイト先でも上の空になってしまい、友達、特に恵美には何回怒られたことか、思い出しただけでも、恐い。雛と、バイト先の先輩にはとても心配された。
要注意人物の蓮は、大学では今まで通りすぎて何度か実は全てが夢だったのではと思ったものの、自分の携帯の連絡先には神月の連絡先が、しっかりと画面に映っていて、私は現実に引き戻されたことか。
さぁ、今の時間は約束の十時の五分前。場所は約束されたカフェluceの扉の前。あとは、入るだけだ。luceは大通りを少し中に入った所にあり人通りも少ない所で落ち着いた雰囲気のお店だった。
カランカラン
扉を開けると、ベルの音が鳴る。
店内は外からの雰囲気と違わず、落ち着いており、アンティーク調のお店だった。個室もあり、他のお客さんは学生ではなく社会人が多かった。
「いらっしゃいませ」
挨拶をしてくれた店員さんはカフェの制服を着た、四十代ぐらいの男性だった。
一言言いたい、かっこいい!正に理想の大人の男性だった。黒髪碧眼のダンディな方だった。
「すみません、知り合いと待ち合わせをしているんですが」
「ああ、もしかしてお客様のお名前は黒崎様でしょうか?」
「あ、そうです」
「お連れ様がお待ちです。ご案内します」
そう言って、個室がある方に向かった。
「どうぞ、神月様がお待ちです」
「ありがとうございました」
店員さんに神月のいる個室に案内してもらい、個室に入った。
中には既に蓮がおり、椅子に腰掛けていた。
神月はコーヒーを先に頼んでいたようで、テーブルにはコーヒーが置いてあった。
「早かったね」
蓮は本を閉じテーブルに置き、こちらに振り向いた。
相変わらず、神々しいオーラを纏っており、できれば近すぎたくない感じだ。私も、イケメンは嫌いじゃないが他の女子に殺されたくはない。命は大事だ。イケメンは遠くから鑑賞に限る。
「待たせちゃった?」
そう言って私も蓮の向かいの席に座った。
「大丈夫だよ、僕も今来たところだから」
さらりと、そう言った。
「ここのメニューはどれも美味しいから、良かったら試してみてね。きっと気に入ってくれると思うから」
そう言って、蓮はメニューを差し出して来た。
メニュー表には、ランチメニューとデザートなどがたくさん書かれていた。実に迷う。
クスクス
笑い声が聞こえて、顔を上げた。
「な、なに?」
変なことをしてしまっただろうか?
「いや、君がとても迷っていてついね。よく大学の食堂でも悩んでるよね?それを思い出してあんまりにも可愛いから」
…貴方は本当に純日本人ですか?
なんで、そんなに恥ずかしげもなく言えるんですか。
と言うか、私そんなに顔に出てましたか!?
口からそう出そうになって、我慢した。
顔が熱い、気のせいだ、外が暑かったから。まだ暑いんだ。そうに決まっている。
というかなんで私が食堂で悩んでるのを知っているんだ。気になるが聞く勇気は私にはなかった。
「いきなり、変なこと言わないで」
「ごめんね」
フワリと笑って謝ってきた。もっと文句言いたいのにそんな顔されたら言えないじゃん!
なんて、返せばいいのこういう時。誰か、恵美、雛、私に教えてよ。私はこういう場面は始めてなんです。
どうせ私は付き合ってない歴=年齢ですよ!
「顔赤いよ?可愛いねぇ」
「…もう、勘弁してください」
彼と話すのはとても心に悪い。
行儀が悪いけど私はテーブルに顔を伏せてしまった。
0
お気に入りに追加
579
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる