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第一章

寝室での取引

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 ブロンテスの寝所は、その巨体に見合うだけの広さを備えていた。
 岩をくり抜いた空洞のような室内には、壁に幾つも棚が掘られ、様々な輝きを放つ鉱石や、色鮮やかな液体の詰まった硝子瓶が並べられている。
 部屋の中央にはムラトが三人手を広げて寝転がっても余りそうなほどの寝台があり、真っ白な敷布が雪原のように広がっていた。
 ブロンテスはそこへ雑にムラトを放る。
 顔面から敷布に着地したムラトだが、ふかふかとした寝具が衝撃を吸収した。
 ムラトが顔を上げると、ぎしっ、と寝台が軋み、ブロンテスの巨体がそこに沈み込む。
 寝台へ仰向けになったブロンテスは、頭の後ろで両手を組んで枕代わりにした。
「このまま昼寝もいいが、お前が来る前、少し仕事をしていてな。汗をかいたやもしれん。拭ってくれるか」
「はいただいま。あ、ええと、布は」
 ムラトがきょろきょろと室内を見渡すと、大きな右手がその顎へと伸ばされた。
「わっ!」
 下から突き上げられるように親指と人差し指で顔を挟まれる。
「わざわざ取りに行かずとも、お前にはこれがあるだろう?」
「んぐっ!?」
 太い親指がムラトの口内へとねじ込まれた。
 そして指の腹で、ムラトと舌を軽く押してくる。
 ──舐めろってことかよ!
 ムラトは驚嘆しつつも、増していく息苦しさに耐えられず、こくこくと首を振る。
 それを見たブロンテスは、ゆっくりと親指を引き抜いた。

「では、失礼します」
 居住まいを正し、ブロンテスの脇に両ひざを付いたムラトは、巨躯の腰回りを締める帯を解こうと手を伸ばす。
 だが、ブロンテスはそれを言葉で制した。
「俺より、まずお前がその暑苦しいものを脱ぐのが先だろう」
「えっ」
 ブロンテスは寝転がりながら、くいくいとムラトのベストを摘まんで引っ張る。
 加減はしているのだろうが、人間にとっては結構な力で引っ張られ、ムラトの身体は斜めに傾く。
「わ、わかりました」
 ムラトは慌ててベストごとシャツとズボンを脱ぎ捨てた。
 短い丈の下着一枚になったムラトの肢体は、中々に引き締まっている。
 稀に村内へ侵入する魔獣の相手や、高額武器を実際振るって見せて買わせるために、ムラトは僅かばかりの研鑽を積んでいる。薄く割れた腹筋に、胸板も広くがっちりとしている。
 だが、目の前の巨人を見ると、ムラトには巨木と小枝ほども差があるように思えてならなかった。
「まだ余計なものがあるぞ」
「はい……」
 大きな単眼が己の下肢に視線を向けていることを、ムラトはしっかりと感じ取っていた。
 気づかないフリをしていたが、やはり許されなかったようだ。
 ムラトは意を決して、自分の下着をズリ下ろした。
 膨らんだ布地から、煉瓦色の陰毛に覆われた男根がぼろりと外にまろびでる。
 足から下着を引き抜くと、ムラトはそれを雑に畳んで寝台の端に衣服とともに一纏めにした。
 身を守るものを全て取り払い、陰部までを全て曝け出したまま、ムラトはブロンテスの横へと侍る。
「では、その」
 ムラトは羞恥に顔を赤らめながら、ムラトは口ごもる。
 そして固く結ばれたブロンテスの帯を、両腕に力を込めながら解いていく。
 帯を解き、頭貫衣の前をはだけさせると、そこには筋肉の山々があった。
 むっちりと盛り上がった二つの大胸筋があり、その谷間には槍の柄が楽々挟めてしまいそうなくらいの落差がある。
 岩場のようにごつごつとした腹筋に、脇腹の下から脚の付け根までも筋が浮き上がるような、雄々しい逆三角形の上半身をしている。
 薄くぴったりとした下着は、こんもりと巨根が窮屈そうに収まっていた。
 そこから伸びる脚も、筋肉に覆われた棍棒のように太く逞しい。
 一体何をどうしたらいいのか。
 ムラトが逡巡していると、しびれを切らしたようにブロンテスの手がムラトの背を押してきた。
「おわっ!?」
 体勢を崩したムラトは、ブロンテスへ覆いかぶさるようにしてうつ伏せに倒れる。
 そのまま厚い胸板へと顔面が押し付けられる。
 予想以上に柔らかく、弾力のある大胸筋にムラトの顔が埋もれた。
「さあ、早くしろ」
 言葉とは裏腹に、大きな手がムラトの後頭部から首筋までをゆっくりとと撫で下ろす。
 その感覚に思わずムラトはびくりと身体を震わせた。
 ムラトは命じられるがまま、おずおずと舌を出し、大胸筋の内側をそろそろと舐めだした。
 ──これも食ってくためなんだ……。
 ムラトは何とか自分を盛り上げるため、ぐっと目を瞑る。
 女淫魔でも思い浮かべたら、少しは楽しく思えるかもしれない。
 だが、視覚を遮ったムラトの身体は、別の部分が敏感に働きだす。
 ──なんだ、この匂い。
 ブロンテスの汗なのだろうか、ムラトの鼻腔は、独特の匂いを感じ取り始める。
 饐えた不快な匂いではない。どこか炒った胡桃のような、甘さを含んだ香ばしい匂いがした。
 それは鼻から脳髄までに浸透していくようで、その匂いを嗅いでいると、ムラトは段々と頭がぼーっとしてゆくような感覚に陥り始めていた。
 一角獣の血や妖精の鱗粉など、人ならざるものの体液や分泌物は強い作用をもたらすものが多い。
 強大な力を持つ旧き巨人も、その例に漏れなかったようだ。
 汗の残り程度でも、人間を惑わすには十分であった。
 勿論ブロンテスはそれを承知の上だ。
 しばらくぶりに出来たお気に入りを、骨の髄まで堪能するための下拵えだった。
 とろんとした目つきのまま、皿に注がれた牛乳でも舐め取る犬のように、ムラトは巨体の鳩尾の上へ一心不乱に舌を這わせていく。
 ブロンテスは生ぬるくもこそばゆい感覚を楽しみながら、ムラトの頭を軽く押した。
 ムラトはその意図を瞬時に悟る。
 もっと下へ。
 巨躰の上をにじるように動きながら、ムラトは胸板から腹筋を舐めてゆく。
 割れた腹筋の溝を擦り取るように舌を捩じ込むと、ブロンテスはもぞりと身じろぎをした。
 いかに逞しくとも、無防備な腹は敏感らしい。
 そして、再度ムラトの頭に巨人の手が伸びる。
 ──もっと、下、へ。
 薄い布に覆われた、巨根と陰囊が鎮座した股間にムラトの鼻先が当たる。
 ブロンテスは何も言わず、僅かに腰を浮かせた。
 ムラトはその意を汲んで、ブロンテスの下着に手をかけた。
 両手で布地をずり下ろすと、ぶるん、と勢いよく極太巨人肉棒がまろびでる。
 肌と同じ薄灰青の巨根は拳のように立派な青黒い亀頭があり、ムラトの片手で握っても余るくらいには太かった。
「すげぇ……」
 何度かコレに尻穴を犯されたことは、何となく記憶している。
 しかし、大抵半しこたま酒を飲まされた後で、覚えていることの方が少ない。
 逆に言えば酒でも飲んでいなかったなら、色々と正気でいられなかっただろう。
 ブロンテスの歪んだ労りの結果だった。
 初めてしっかりと極太肉棒を目にしたムラトは、その規格外の大きさにたじろいだ。
 だが、ムラトに頭を冷やすだけの時間は与えられない。
 ブロンテスはムラトの後頭部を軽く掴むと、自慢の巨根をムラトの顔面へと押し付けた。
「うぉっ!?」
 まだ柔らかな萎えた男根が、むにゅりとムラトの鼻下へと触れる。
「う゛……」
 先程嗅いでいたものを何倍も凝縮したようなものに、僅かにツンとした刺激臭と、悪くなったイカのような発酵臭が混じった雄の匂いが、ムラトの鼻孔から脳髄までもを満たしていく。
「お前はこれが好きだろう?」
 ぐいぐい、と巨大な亀頭で頰を擦られる。
 まさかいいえとも言えず、ムラトは肯定の言葉を吐くしかない。
「はい……好きです」
 言葉にすると、ムラトには段々とそれが本心であるかのように思えてきた。
「きちんと言え。何が好きなんだ?」
「……ちんぽです」
「誰の」
「ブロンテス様の、ちんぽが、好きです……」
 ──やめろ、何言ってるんだ。
 ムラトの舌先は既にブロンテスに支配されているようだ。
 なけなしの理性だけが、頼りない警鐘を鳴らす。
「これが欲しいか」
「はい……」
「そうか。どこに欲しいんだ?」
「え……と……」
 どこに、と問われた途端、ムラトの尻穴がむずむずと疼き出す。
 記憶は不確かでも、既に身体はブロンテスの肉棒の味を覚えてしまっている。
 本来であれば出すだけの器官が、ひくっひくっと物欲しげに蠢動を始めた。
 ──何だよこれ……俺は、別に……。
 己の変化に戸惑うムラトだが、その身体は貪欲にそれを欲しているようだ。
「し、尻です」
「尻の、何だ」
「尻の穴に、その……」
「穴? 小さくてよく見えんな。見せてみろ」
 口元を歪めたブロンテスがそう嘯く。
 すると、ムラトの身体はのそりと起き上がり後ろを向くと、巨体をがに股で跨いだ。
 ──やめろ、やめろやめろォッ!
 それをしたら、もう戻れなくなる。そう本能的に感じ取っていたムラトは、己の脳内で咆える。
 だが、もう遅い。
 惰性で人ならざるものに身を委ね続けた結果が、今ここに発揮されようとしていた。
 ムラトの身体は中腰になって、尻を突き出す姿勢をとった。
 そして己の両手で尻肉を割り、ひくつく雄穴をブロンテスへと見せつけた。
「ここです……ここに、ブロンテス様のちんぽを、ぶち込んでくださいっ……!」
 ムラトが淫らな嘆願を口にすると、その身体にびりっと静電気が奔った。
「うぅ……っ!」
 反射的にムラトは身体を震わせる。その脳内では、バチバチと細かな火花が散っている。
 そしてブロンテスの低くくぐもった笑い声が、そこに染み入ってくる。
 もう、ムラトの恥態を止めるものは何も無かった。
「お願いします、ブロンテス様っ」
 フリフリとみっともなく左右に尻を振り、露骨に媚を売り始めたムラトの姿に、思わずブロンテスは吹き出した。
「どうしようもない奴め。恥ずかしいとは思わないのか」
 わざと呆れた口調でムラトを諌めるブロンテスに、ムラトは悲しげな表情を浮かべてみせた。
「申し訳ありません……でも、どうしても、奥までちんぽをはめて欲しくて……いっぱい締めますからっ! ちんぽをお恵みくださいっ!」
 ムラトは後ろ向きのままブロンテスの股間の上へと跨った。そして尻肉で極太肉棒を挟むと、へこへこと腰を前後に動かして肉棒を擦り上げ始める。
「ぁ……早くっ……」
 カリが肛門の皺を引っ掻くように擦れるたび、ムラトはむず痒い快楽電流を仄かに感じ取り、身体を熱くさせ始める。
「何を独りで盛っているのだ。これ程情けないニンゲンは、お前の他におらんだろうな」
「はい……私はちんぽが我慢できない雑魚人間です。どうか、この逞しいちんぽで罰してくださいっ!」
「それでは罰にならんだろうが、まったく」
 必死に尻を動かす無様な人間を見て、ブロンテスはほくそ笑みながらため息を吐きだした。

 ブロンテスは予定通り、ムラトの懇願を聞き入れることに決めた。
 ムラトに壁の棚から硝子瓶を抱えて持ってこさせると、次には四つん這いになるよう命じた。
 ムラトは悦んで白い敷布の上に伏せ、恥ずかしげもなく尻を高く上げた。
「これ無しでは、お前の穴は忽ち血まみれだろうからな。それとも、痛いのが好きか?」
 ブロンテスはガラス瓶の中から黄色く透明な油を己の陰経と右の人差し指に塗りたくる。
 共に地下世界へと落とされた、堕ちた精霊インキュバスが生成した魔の油は、特に人間と遊ぶために精製された特別製だ。
「痛いのは嫌です。気持ちいいのがいいです」
 雄犬と化した男は、いかにも哀れっぽい声を出す。
「そうか。ならそうしてやる。俺も脆弱なニンゲン如きをいたぶって悦ぶ趣味は無いからな」
「ありがとうございます……」
 ムラトは歓喜で声を震わせる。
 それはただ単にブロンテスの心遣いに感動したからではない。
 飼い主が苦痛ではなく快楽をくれると、約束してくれたことに胸と股間を熱くしていた。
「大好きなちんぽをハメる準備だ、嬉しいか?」
 そうして、ぬらぬらと油をまとったごつい巨人の指が、ひくつく人間の肉穴へと押しあてられる。
「はいっ、うれじい゛ですぅう゛っっっぁあ゛っっんおぉぉっっっ!!」
 熱くぬらついた指の先端を感じたかと思うと、ムラトの雄穴へ、一気に指が潜り込んだ。
 その指も人間雄の男根ほどの太さであるのに、油の力か難なく尻穴を拡げて中に挿入される。
 節くれ立った骨太の指が、ずぷずぷと肉穴に捩じこまれていく。
「お゛っっ……!」
 待ち望んでいた刺激に、ムラトはびくびくと歓喜に身体を打ち震わせる。
「この程度で声を上げるとは。もうちんぽは無くてもいいな?」
 片手をムラトの尻穴へ突き挿れ、もう片方の手で己の肉槍を扱きあげながら、ブロンテスは子供を叱りつけるように言い放った。
「い゛っ……いやですっ、ちんぽください゛ぃっっ! あ゛ぁっっ!! ぁぁあぁっ!!」
 ブロンテスがずっぽずっぽと激しく指を抜き差しすると、ムラトは敷布を両手で掴んで身悶えた。
 その掌にはじっとりと汗が滲み始めている。
「これでは足りないのか」 
 くいくいと指の腹で、肉壁越しにぷっくりと膨れた鳴き所を刺激する。
「たりな゛っっんひぃいぃいぃっっ!! そごぉおぉっっ!! もっどぉおぉっっ!!」
 ブロンテスの指を食い千切らんばかりに、きゅっと肉穴が窄まる。
 ムラトは頭が真っ白になりそうなくらいの快楽を打ち込まれながらも、貪欲に巨人肉棒を欲した。
「ここまで肉欲に抗えないとは思わなかったぞ。だらしない穴を塞いでやるからな、感謝しろ」
 ずぼっと、勢いよくブロンテスの指が抜かれる。
「ぉっ……ありがとう、ございますっ……」
 全身を火照らせ、淫欲の波に溺れつつも、ムラトは何とか感謝の意を口にした。

 ブロンテスに促され、ムラトは仰向けになって、獣の格好よりさらに恥ずかしい大股開きの格好をとった。
 自らの腕を膝裏に入れ、潤滑油と腸液でてらてらと濡れた雄穴と我慢汁で亀頭を湿らせた肉棒を曝け出す。
 肉欲を募らせ、蕩けた表情でブロンテスを見上げるムラトは、人間として、ましてや一人の雄としての矜持はとっくに失っていた。
 ただ、太く猛ったものによがり狂わされたいと、それだけを願っている。
 いつも笑顔の裏に緊張を漲らせた表情ばかり見てきたブロンテスにとって、すっかり骨抜きとなったムラトを見るのは愉快でたまらなかった。
 ムラトの痴態と己の手淫で天を突くほどに勃ち上がった極太巨人肉棒は、稲妻のように血管が浮き上がっている。血液が興奮とともに集まり、硬くなったそれは、もはや凶器と呼べるほどだ。
 そして、はしたなくひくつく淫穴へ、人間の握りこぶし程もある膨らんだ亀頭を押し込む。
 ぐじゅっ、と潤滑油同士が厭らしい水音を立てる。
 そして難なく肉穴は拡がり、ぬぷっ、くぷっ、とむしゃぶりつく音をさせながら、その巨大な肉棒の先端を咥えだした。
「あ゛ぁっ……」
 怒張した肉棒の質量を穴の淵で感じ、ムラトの身体にはぞくぞくとするほどの快楽のさざ波が立つ。
 そんなムラトに、ブロンテスはこう問いかけた。
「俺に身も心も捧げるのなら、これを挿れてやる」
「さ、捧げます」
「一生鎖に繋がれることになるが……。断ってもよいのだぞ?」
 獰猛な笑みを浮かべた旧き鍛冶神は、哀れな生贄へ、選べもしない選択肢を提示する。
「どうにでもしてください……ブロンテス様のモノになりますからっ、だからっ」
「だから?」
「ちんぽいっぱいズボスボくださいっ……!!」
 まともな言葉すら失いつつある人間に、ブロンテスは劣情を昂らせた。
「いいだろう……望みのものだ、しっかり受け止めろよ」
 ブロンテスはムラトの両腕を持つと、敷布の上へと縫い止めるように押し付けた。
 押しつぶすかのように、その巨躰で覆いかぶさると、ムラトの下肢も持ち上がり、がに股のまま天井へ足裏を向けることになる。
 そして、ブロンテスは角度をつけて、一気に怒張した極太巨人肉棒を突き挿れた。
「んほぉぉお゛ぉおぉ゛おおぉおぉおおぉおおぉおぉおぉぉおぉっっっ!?」
 ずぷぷぷぷっと勢いよく肉壁が巨根によって押し開かれていく。
 暴力的なまでの挿入に、ムラトは犬のように舌を突き出しながら頭を仰け反らして喉仏を晒した。
 体中からどっと汗が吹き出し、頭には強烈な電流が流され、意識が飛びそうになった。
 ぴくぴくと足先までを震わせ、肉棒がもたらす責めの余波が全身を駆け巡る。
 だが、それでは終わらない。
 ブロンテスは腰を引き、ずるると肉棒を引き抜くと、再度深くその剛直を沈み込ませる。
「んぉおおぉおおぉっっ! あぁぁぁあっっっっ!」
 ぼこっ、と腹が膨らむくらいの巨大肉棒が、みちみちとムラトのなかを蹂躪してゆく。
 通常であれば身を引き裂かれるほどの激痛が走るに違いない。
 だが、人間には作り出せない体液と淫薬が、ムラトをブロンテス専用の快楽肉人形へと作り変えている。
 ムラトの尻穴は排泄器官ではなく、巨人肉棒を受け入れるための性器と化した。
 腸の奥の奥まで突き刺さったそれを、生温かくぬらつく柔らかな肉壺がずっぽりと咥えこんで離さない。
 ブロンテスから見れば小さな造りの人間穴は、恐ろしくまでに締まりが良い。
 熱く蕩けるようで、それでいて肉棒をきつく吸い上げる雄穴は、ブロンテスの性欲をさらに増幅させた。
 ブロンテスは巌のような身体でムラトを覆い隠すと、玉のような汗が浮かぶムラトの身体へ、自分の身体を密着させる。
 そして欲望のまま、激しい腰使いで人間雄穴を穿ち始めた。
「あぁぁっ! あっあっぁぁっ! ぁっあぁっ! ああ゛っっ!」
 ぐっぽぐっぽぐっぽぐっぽと淫汁まみれの穴から卑猥な水音が、ムラトの喘ぎ声と共に響き渡る。
 ピストンの度にムラトの尻肉とブロンテスの太腿が触れ合い、ぱんぱんと乾いた音を立てる。
 互いに規格外である雄交尾は、どちらの身体をも熱く火照らせ、じっとりと汗まみれにした。
「おほぉおぉおぉぉっ! イクイクイぐうっっっ!」
 ごりゅごりゅと膨らんだ亀頭が前立腺を内側から力強く押し上げるたび、ムラトは連続して雌絶頂を味わうことになった。
 快感の波が引ききる前に、新たな波がやってくる。
 絶頂の度にがくがくと腰を揺らし、巨体を挟み込んだ下肢はびくびくと痙攣する。
 ブロンテスがムラトの両腕から手を離すと、ムラトはすかさず縋り付くように広い背中にしがみついた。
 救いを求めるように、無我夢中で抱きついてくる人間は、ブロンテスの眼に愛玩すべき生き物として映った。
 ムラトの頭の脇に逞しい腕を置き、腰を遣りながら、己の下で喘ぐその顔を見る。目の焦点はどこか遠く、頬を上気させて淫蕩にふける無様な表情は、ブロンテスの肉棒をさらに硬くさせる。
「随分、いい顔だな」
「んひぃいぃぃいっっ!」
 そして、ブロンテスはがむしゃらな激しい攻めの代わりに、一撃を重くすることにした。
 穴から亀頭が出るぎりぎりまで引き抜くと、勢いをつけて腰を繰り出す。
「ひぎいぃいぃいぃいぃっっっ!」
 そして奥の奥まで突き挿れたところで、ぐりぐりと焼印を押すように、巨根をねじ込んだ。
「んぉおぉおぉおっっそれだめぇええぇえぇえぇえぇっっっ!」
 ムラトは舌を出して仰け反った。
「嘘を付くな。本当の事を、言えっ!」
 再度ブロンテスは腰を引き、さらに力強く肉棒を押し込み、ぐりぐりと執拗に中を蹂躪した。
 潤滑油と腸液と先走り液が混じり合ったものが、穴の淵で肉棒と触れ合ってぶぽぽぽぽっと聞くに堪えない音を響かせる。
「あぁあぁぁぁぁあっっっ! イクぅぅっっいっっぐっっっっっっっっっ!」
 遂に尻穴の刺激で雄絶頂を迎えたムラトは、がくがくと全身を震わせ、竿の先から粘つく精液を発射した。
「俺より先に果てるな……このっ……」
「おほぉおおぉっっごべんなじゃいぃっっっ!」
 休む暇もなく、ムラトの穴へ容赦なく極太肉槍が突き立てられた。
 ブロンテスもまた、陰嚢の奥の奥からマグマのように精液が迫り上がってくるのを感じていた。
 ブロンテスは身体を起こすと、ムラトの腰を掴んで激しい腰使いで体ごと揺さぶった。
 ムラトの情けない嬌声を聞きながら、ブロンテスもぶるっと腰を震わせる。
 単眼が僅かに顰められた。
「あぁ……くっ……!」
 ブロンテスの喉から低く掠れた声が漏れる。
 そして、最大限に膨れた極太巨人肉棒から、どぷどぷっと精液が発射される。
 それは人間の射精とは比べ物にならないくらい、長く大量だった。
 まるで小便でもしているかのように、精液の水流が腸壁を打つ。
 それはムラトの下っ腹をぽっこりと膨らませる程の量であった。
「ふう……」
「ぉ゛っ……」
 射精を終え、体の熱が引くのを感じながら、ブロンテスは巨根を引き抜いた。
 ぴくぴくと手足の指先を震わせるムラトを、寝台の上へうつ伏せにして寝かせた。
 すると、ぽっかりと拡がった尻穴からは、ぶぽっと大量の精液が溢れ出す。
 汗と精液まみれの、犯され尽くしたあられもないムラトの姿に、ブロンテスは心底満足した。
 そして無様に突っ伏す当の本人は、完全に意識を飛ばしていた。

つづく
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