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火蓋
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基礎訓練を終え、シャワーで汗を流し終えた二人は、連れ立って薄暗い廊下に出た。
室内運動場の施錠当番として最後に残っていたギガンと暖馬のほかに人影は見えない。
暖馬が隣に立つ巨体を横目で見上げれば、それはじろりと目玉を動かして答える。
正気なのか。
暖馬はギガンが“ディメンション・パトロールをやっつける”という提案を口にしたことが、未だに信じられないでいた。
正確に言えば、ディメンション・パトロール・レッドと第四超越・教団の長をまとめて撃破する必要があるそうだ。
暖馬とて今までのようにヒーローの祖を妄信することはできないし、本当にアンゴルモアをこの世に撒いたのかは問いただしたい。
だが、大企業の系列グループの末端平社員が本社の重役とコンタクトする術がないのと同様、暖馬はディメンション・パトロール・レッドへのアクセス権を持ち合わせていない。
ヒーロー隊員を含め、殆どの基地職員は彼らが雲の上から降りてくるのを待つことでしか、コンタクトを図れない。
もう一つ問題なのは、ギガンの話が正しいのであれば、ディメンション・パトロールと教団の帝王はとてつもないエネルギーと超科学技術力を備えた異星人であり、その恩恵を受けて変身できているようなニンゲンが太刀打ちできるような相手ではないということだ。
「何をどうしたら、勝てると思うんだ?」
まだ湿り気を帯びた短い髪を乾いたフェイスタオルで拭きながら、暖馬はギガンへ尋ねる。
渡り廊下の窓からは燃え上がるような西日が射しこみ、ギガンの顔に濃い陰影を作った。
「俺が言うのもなんだが、何も力だけで決着がつくわけじゃねえだろ」
ただ純粋にヒーロー隊員を武力排除するためだけに製造されたギガンは、忌々しげに声を潜めた。
出来るのなら、製造主ごと拳で身体中の骨という骨を砕いてやりたいが、いくら腕を振り上げたところで届く前にもがれることはギガンにとって火を見るよりも明らかだ。
「一体どういう……」
「どうもこうも、ディメンション・パトロールがニンゲンに崇められてる理由は一つだ」
「んん?」
「察しが悪い犬だな。ニンゲンはディメンション・パトロールが好きなんじゃねえ。正義の味方、いや、人類の庇護者だから尻尾振ってんだろ。違うか?」
「そう言われると、否定は出来ないけど」
「だからその化けの皮を剥がしてやるんだよ。あいつが俺に喋ったようなことを、世界中のニンゲンに見せてやれば、さすがの間抜け共も目が覚めるだろ」
「ちょっと話が大きいと言うか、ついていけないんだけど」
困惑して足を止める暖馬にギガンは額に青筋を立てながら距離を詰める。
「こんな所で一から十まで説明しろってか?」
いやそういうつもりじゃ、と暖馬が苦笑いを交えて反論しようとした、その時だった。
「その場当たり的で破綻した計画、私にも聞かせてくれないか」
いつの間に。
二人は弾かれたように背後を振り返る。
そこには青いジャケットを着た目鼻立ちが涼し気な若い男が、仏頂面で立っている。
暖馬とギガンを温度の無い眼差しで見つめていたのは、ディメンション・パトロール・ブルー、その人だった。
◆
──管理庁最上階・エネルギーコア管理室
宇宙空間を模した薄暗い部屋に浮かぶ正方形の物体は、組木パズルの如く黒い表面に僅かな直線の溝が走っている。
かつてそこからは紫色の光が漏れ出していたが、今はパトランプのような赤い光が点滅している。
「容量の限界が来ている」
レッドを除いたディメンション・パトロール四人分のエネルギーを閉じ込めておくのは、予想以上に難しいらしい。
ローブを纏った第四超越・教団の帝王は、巨大キューブを眺めながら同胞へ声をかけた。
「見ればわかる。調整のためにここに籠っているのも飽きたよ。成長したアンゴルモアに立ち向かうニンゲンと怪人、やられそうになるバディ、そこに駆けつけるのは、そう! 僕と君!」
ヒトの姿をとったディメンション・パトロール・レッドは、赤いジャケットの裾をまくって逞しい腕を出すと、力強く隣の化け物を指差した。
「戦い続けていた僕らが手を取り合う姿に皆が奮起する……いいよな、熱くなる!」
「眺めているだけでは足りぬのか」
「たまには外の空気も吸いたいじゃないか。しかしアンゴルモアも情けないな。繁殖力が弱すぎる。これじゃあ数年のうちにニンゲンに駆逐されてしまうぞ」
「成体を呼ぶと手に負えなくなると言ったのは貴様だ」
「いっそのことそっちの方が良かったかもしれないな。崩壊した都市で身を寄せ合う地球産生物かあ……」
自分の妄想に陶酔し始めている様子のレッドを見て、帝王は顔面を覆うフードの中で口をへの字に曲げていた。
帝王にとって、最初はけしかけた製造物が倒されていくのを見るのは愉快だった。
怪人を組み上げた後は興味が失せるので、処分にも丁度よかった。
気に入った何体かは使い回したが、その実彼らにはあまり敬われてはこなかった。
ややマンネリを感じていたところに、ディメンション・パトロール・レッドが寄越した既存のヒーローvs怪人の構図を打ち破らないかという連絡は渡りに船だった。
だが、今はどうだ。
レッドはあまり面白くない方向へ舵を切っている。
生き残った部下は全て譲り渡してしまった。
また一から作るべきか。
帝王がそう考え始めたとき、キューブ脇にホログラムのウィンドウが現れた。
〈新着メッセージ(1) 送信者:NT006SILVER 開きますか? Y/N〉
それまで惨めで庇護欲をそそる下等生物の図を夢想していたレッドも意外そうにメッセージウィンドウを眺める。
「北東京からだ。誰だろう。ここを知っているなんて」
「さあな」
帝王はまるきり興味がなさそうな声を出した。
彼には大方の予想はついていたが、それを口にする義理もないと思い始めている。
「開いてくれ」
レッドがウィンドウに向かって言葉を発すると、Nの文字が消え、Yの文字が二回明るく点滅した。
親愛なるディメンション・パトロール・レッド様、ならびに第四超越・教団の帝王ヴィグラム様。
アンゴルモアの赤い雨が降りしきる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
貴方がたの画一的で杜撰な洗脳処置のおかげで、我々は見事記憶を取り戻すことに成功いたしました。
この度、科学班の協力で、怪人ギガンが持つレッド様がアンゴルモアを呼び寄せた際の記憶データを映像として記録媒体への保存を行うことが出来ました。
それに伴い、国際ヒーロー基地東京支部北東京拠点公式発表として、全世界に発信したいと考えております。
貴方がたが地球生命体でままごとを行う幼稚で邪悪な者として広く知られることとなれば、貴方がたが人類の上に君臨する時代も終わるでしょう。
その際、大きな混乱がもたらされ、人間社会に大きな損害を与えることも予測されます。
我々の使命は社会の秩序と平穏を守ることであり、一般市民に恐怖と不安を与えるようなことは望んでおりません。
つきましては、情報の公開を賭け、我々と戦っては頂けないでしょうか。
二対二の、純粋な殺し合いをいたしましょう。
このメッセージは果たし状と思って頂いて結構です。
貴方がたを密かに葬ることが、混乱なくこのアンゴルモア厄災を鎮める最良の手と考えております。
我々は記憶データを持参いたします。
万が一我々が敗北した場合には消去していただいて構いません。
我々が敗北するということは、人間社会の敗北であり、貴方がたがこの星を支配するに足りうるということになるでしょう。
十月三十日、午後六時、T湾内海中第六基地研究棟地下実験・訓練場でお待ちしております。
当日、お会いできるのを楽しみにしております。
追伸 時刻までにお越し頂けない場合は、映像を公開させていただきます。
国際ヒーロー基地東京支部北東京拠点 アンゴルモア掃討第一部隊 鉛暖馬・ギガン
ああ煩い。
文章を一読したレッドが腹を抱えて笑っているのを尻目に、帝王は気だるげに肩を落とした。
記憶を取り戻した程度で何ができるのか。
打ち捨てたはずの怪人基地に主人を呼びつける駄犬共の身の程知らずさにも些か腹が立つ。
まさか本当に勝てると思っているのだろうか。
思っているのであれば、洗脳解除により脳に深刻なダメージを負っているに違いない。
そして、これはたった二人の狂った行動とも思えない。
馬鹿共の背中を押す黒幕が居るはずだ。
「おい。この下らん決闘を受けるのか?」
ひとしきり笑った後、眼の端に滲んだ分泌物を親指で拭うそぶりを見せるレッドへ帝王が尋ねる。
「こんなに必死になって脅しつけてきてるんだ、受けてあげなきゃ可哀想だよ」
「大方貴様の仲間が手を引いていることが分かっていてもか?」
「ああ。心配いらない。彼らは生命維持活動をする程度の力しか残していない。大したバックアップは出来ないよ」
「……そうか」
帝王は赤く点滅するキューブを見つめる。
四人の罵声が波形となって見えるようだ。
これを放置して留守にするのは不安が残る。
「心配性だな、君は」
「貴様がそれでよいのなら、もう何も言わん」
きっと行かないよりは行ったほうが面白いだろう。
「ずっと見守ってきた子たちの最後くらい、間近で見たいじゃないか」
そして牙を剥いた愛玩用下等生物に引導を渡すため、二人はしばらく使っていなかった武器を倉庫から取り寄せる算段を始めた。
つづく
室内運動場の施錠当番として最後に残っていたギガンと暖馬のほかに人影は見えない。
暖馬が隣に立つ巨体を横目で見上げれば、それはじろりと目玉を動かして答える。
正気なのか。
暖馬はギガンが“ディメンション・パトロールをやっつける”という提案を口にしたことが、未だに信じられないでいた。
正確に言えば、ディメンション・パトロール・レッドと第四超越・教団の長をまとめて撃破する必要があるそうだ。
暖馬とて今までのようにヒーローの祖を妄信することはできないし、本当にアンゴルモアをこの世に撒いたのかは問いただしたい。
だが、大企業の系列グループの末端平社員が本社の重役とコンタクトする術がないのと同様、暖馬はディメンション・パトロール・レッドへのアクセス権を持ち合わせていない。
ヒーロー隊員を含め、殆どの基地職員は彼らが雲の上から降りてくるのを待つことでしか、コンタクトを図れない。
もう一つ問題なのは、ギガンの話が正しいのであれば、ディメンション・パトロールと教団の帝王はとてつもないエネルギーと超科学技術力を備えた異星人であり、その恩恵を受けて変身できているようなニンゲンが太刀打ちできるような相手ではないということだ。
「何をどうしたら、勝てると思うんだ?」
まだ湿り気を帯びた短い髪を乾いたフェイスタオルで拭きながら、暖馬はギガンへ尋ねる。
渡り廊下の窓からは燃え上がるような西日が射しこみ、ギガンの顔に濃い陰影を作った。
「俺が言うのもなんだが、何も力だけで決着がつくわけじゃねえだろ」
ただ純粋にヒーロー隊員を武力排除するためだけに製造されたギガンは、忌々しげに声を潜めた。
出来るのなら、製造主ごと拳で身体中の骨という骨を砕いてやりたいが、いくら腕を振り上げたところで届く前にもがれることはギガンにとって火を見るよりも明らかだ。
「一体どういう……」
「どうもこうも、ディメンション・パトロールがニンゲンに崇められてる理由は一つだ」
「んん?」
「察しが悪い犬だな。ニンゲンはディメンション・パトロールが好きなんじゃねえ。正義の味方、いや、人類の庇護者だから尻尾振ってんだろ。違うか?」
「そう言われると、否定は出来ないけど」
「だからその化けの皮を剥がしてやるんだよ。あいつが俺に喋ったようなことを、世界中のニンゲンに見せてやれば、さすがの間抜け共も目が覚めるだろ」
「ちょっと話が大きいと言うか、ついていけないんだけど」
困惑して足を止める暖馬にギガンは額に青筋を立てながら距離を詰める。
「こんな所で一から十まで説明しろってか?」
いやそういうつもりじゃ、と暖馬が苦笑いを交えて反論しようとした、その時だった。
「その場当たり的で破綻した計画、私にも聞かせてくれないか」
いつの間に。
二人は弾かれたように背後を振り返る。
そこには青いジャケットを着た目鼻立ちが涼し気な若い男が、仏頂面で立っている。
暖馬とギガンを温度の無い眼差しで見つめていたのは、ディメンション・パトロール・ブルー、その人だった。
◆
──管理庁最上階・エネルギーコア管理室
宇宙空間を模した薄暗い部屋に浮かぶ正方形の物体は、組木パズルの如く黒い表面に僅かな直線の溝が走っている。
かつてそこからは紫色の光が漏れ出していたが、今はパトランプのような赤い光が点滅している。
「容量の限界が来ている」
レッドを除いたディメンション・パトロール四人分のエネルギーを閉じ込めておくのは、予想以上に難しいらしい。
ローブを纏った第四超越・教団の帝王は、巨大キューブを眺めながら同胞へ声をかけた。
「見ればわかる。調整のためにここに籠っているのも飽きたよ。成長したアンゴルモアに立ち向かうニンゲンと怪人、やられそうになるバディ、そこに駆けつけるのは、そう! 僕と君!」
ヒトの姿をとったディメンション・パトロール・レッドは、赤いジャケットの裾をまくって逞しい腕を出すと、力強く隣の化け物を指差した。
「戦い続けていた僕らが手を取り合う姿に皆が奮起する……いいよな、熱くなる!」
「眺めているだけでは足りぬのか」
「たまには外の空気も吸いたいじゃないか。しかしアンゴルモアも情けないな。繁殖力が弱すぎる。これじゃあ数年のうちにニンゲンに駆逐されてしまうぞ」
「成体を呼ぶと手に負えなくなると言ったのは貴様だ」
「いっそのことそっちの方が良かったかもしれないな。崩壊した都市で身を寄せ合う地球産生物かあ……」
自分の妄想に陶酔し始めている様子のレッドを見て、帝王は顔面を覆うフードの中で口をへの字に曲げていた。
帝王にとって、最初はけしかけた製造物が倒されていくのを見るのは愉快だった。
怪人を組み上げた後は興味が失せるので、処分にも丁度よかった。
気に入った何体かは使い回したが、その実彼らにはあまり敬われてはこなかった。
ややマンネリを感じていたところに、ディメンション・パトロール・レッドが寄越した既存のヒーローvs怪人の構図を打ち破らないかという連絡は渡りに船だった。
だが、今はどうだ。
レッドはあまり面白くない方向へ舵を切っている。
生き残った部下は全て譲り渡してしまった。
また一から作るべきか。
帝王がそう考え始めたとき、キューブ脇にホログラムのウィンドウが現れた。
〈新着メッセージ(1) 送信者:NT006SILVER 開きますか? Y/N〉
それまで惨めで庇護欲をそそる下等生物の図を夢想していたレッドも意外そうにメッセージウィンドウを眺める。
「北東京からだ。誰だろう。ここを知っているなんて」
「さあな」
帝王はまるきり興味がなさそうな声を出した。
彼には大方の予想はついていたが、それを口にする義理もないと思い始めている。
「開いてくれ」
レッドがウィンドウに向かって言葉を発すると、Nの文字が消え、Yの文字が二回明るく点滅した。
親愛なるディメンション・パトロール・レッド様、ならびに第四超越・教団の帝王ヴィグラム様。
アンゴルモアの赤い雨が降りしきる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
貴方がたの画一的で杜撰な洗脳処置のおかげで、我々は見事記憶を取り戻すことに成功いたしました。
この度、科学班の協力で、怪人ギガンが持つレッド様がアンゴルモアを呼び寄せた際の記憶データを映像として記録媒体への保存を行うことが出来ました。
それに伴い、国際ヒーロー基地東京支部北東京拠点公式発表として、全世界に発信したいと考えております。
貴方がたが地球生命体でままごとを行う幼稚で邪悪な者として広く知られることとなれば、貴方がたが人類の上に君臨する時代も終わるでしょう。
その際、大きな混乱がもたらされ、人間社会に大きな損害を与えることも予測されます。
我々の使命は社会の秩序と平穏を守ることであり、一般市民に恐怖と不安を与えるようなことは望んでおりません。
つきましては、情報の公開を賭け、我々と戦っては頂けないでしょうか。
二対二の、純粋な殺し合いをいたしましょう。
このメッセージは果たし状と思って頂いて結構です。
貴方がたを密かに葬ることが、混乱なくこのアンゴルモア厄災を鎮める最良の手と考えております。
我々は記憶データを持参いたします。
万が一我々が敗北した場合には消去していただいて構いません。
我々が敗北するということは、人間社会の敗北であり、貴方がたがこの星を支配するに足りうるということになるでしょう。
十月三十日、午後六時、T湾内海中第六基地研究棟地下実験・訓練場でお待ちしております。
当日、お会いできるのを楽しみにしております。
追伸 時刻までにお越し頂けない場合は、映像を公開させていただきます。
国際ヒーロー基地東京支部北東京拠点 アンゴルモア掃討第一部隊 鉛暖馬・ギガン
ああ煩い。
文章を一読したレッドが腹を抱えて笑っているのを尻目に、帝王は気だるげに肩を落とした。
記憶を取り戻した程度で何ができるのか。
打ち捨てたはずの怪人基地に主人を呼びつける駄犬共の身の程知らずさにも些か腹が立つ。
まさか本当に勝てると思っているのだろうか。
思っているのであれば、洗脳解除により脳に深刻なダメージを負っているに違いない。
そして、これはたった二人の狂った行動とも思えない。
馬鹿共の背中を押す黒幕が居るはずだ。
「おい。この下らん決闘を受けるのか?」
ひとしきり笑った後、眼の端に滲んだ分泌物を親指で拭うそぶりを見せるレッドへ帝王が尋ねる。
「こんなに必死になって脅しつけてきてるんだ、受けてあげなきゃ可哀想だよ」
「大方貴様の仲間が手を引いていることが分かっていてもか?」
「ああ。心配いらない。彼らは生命維持活動をする程度の力しか残していない。大したバックアップは出来ないよ」
「……そうか」
帝王は赤く点滅するキューブを見つめる。
四人の罵声が波形となって見えるようだ。
これを放置して留守にするのは不安が残る。
「心配性だな、君は」
「貴様がそれでよいのなら、もう何も言わん」
きっと行かないよりは行ったほうが面白いだろう。
「ずっと見守ってきた子たちの最後くらい、間近で見たいじゃないか」
そして牙を剥いた愛玩用下等生物に引導を渡すため、二人はしばらく使っていなかった武器を倉庫から取り寄せる算段を始めた。
つづく
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