常夜綺譚

【陽ノ章】

此岸(人の世)にて、人として生まれ死後、実家の神社にて、主祭神に仕える人霊、明美。晴れて正式な神使となった彼女の元に一通の封筒が届く。

差出神の名は篝夜陽皇大神、此岸(この世)と彼岸(あの世)の境界に存在する隠世の京、夜天領府に御座す、最高位の神様からだった。

封筒の中には「丑ノ刻　篝ノ國行き　汽車」とだけ書かれた手紙と切符を手に主祭神と他の神使達に見送られ、時刻表に存在しないはずの丑ノ刻の汽車に。

うたた寝してしまった綾乃は車内アナウンスで目を覚ます。

「次は~三途~三途~」

胸を躍らせつつも綾乃が降り立ったのは………廃れた無人駅だった!?


そして数多のトラブルがあったものの夜天領府へと辿りついた明美は篝夜陽皇大神様の計らいで社会勉強として高級温泉旅館「霜月」の仲居神兼、篝夜陽神宮の最下級神使となる。

明美は個性的な先輩仲居神たちと日常を過ごす中で彼女らの優しさや厳しさに触れ、また「霜月」を訪れる様々な神様や怪異、人々が織りなす摩訶不思議な非日常のできごとを体験していく。



【陰ノ章】

　気付けば満点の星空が見下ろす参道に立っていたあなた。
　
　あなたはそこで綾乃と名乗る若い神様と出会う。

　彼女に導かれ、足を踏み入れたのは隠世の京、夜天領府の郊外だった。

　数多の魑魅魍魎が跳梁跋扈する夜天領府にて、穢れとされる生きた人間であるあなたが、無事現世に帰る方法はたった一つ。

　それは広大な夜天領府の中心に存在する篝夜陽神宮に辿り着くこと。

　夜天領府と陰街を舞台に、あなたは綾乃と共に常夜の世界を駆ける。