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第2章 躍進編
第57話 発覚
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どうしてこうなった。
どこから漏れた。
作戦は完璧だったはず。なのに……。
どうしておれたちは今、校長室でこの人たちと向き合っているんだ。
―――
「みんな、帰ろう」
【水精霊王・ウンディーネ】を倒し、麗の呪いを解くためのアイテム“水精霊王の結晶”を手にした翔たち。疲れこそあるが、今は達成感からパーティー全員が明るい表情をしている。
「疲れたー。終盤はもうヘロヘロになっちゃってさ。助かったよ」
凪風が後ろで手を組んで歩きながら言葉を漏らす。
「いや、凪風がいなかったら【地の鎮守・アースガルド】にも勝てていないよ。こちらこそ本当に助かった。ありがとう」
「……なんかそう言われると照れるな」
翔に真っ直ぐ褒められて照れる凪風。
「はっはっは! その通りだぞ翼。自信を持て、自信を」
「どっかの自信バカさんとは違うんだよ」
いつもの様子で話す凪風と豪月。中学の時はバチバチであまり話さなかった、という事実を翔は未だに信じ切れていない。
「とにかく、良かったよね! すっごく長かった気もするけど、達成感で溢れてるっていうかさ!」
「うん。みんな、本当にお疲れ様だよ」
夢里と華歩も達成感に浸っているようだ。
「全員、今日はぐっすりだな」
話に花を咲かせながら、翔が第21層の扉に手を掛ける。
「よし、これで――」
「武器を置け」
「!?」
翔が扉を開いた瞬間、そこには複数の探索者と思われる人たちが待ち構えていた。それぞれ胸辺りに“JAPAN PUBLIC SERCHER”と刻まれた装備を身に付けている。
その内一人は、“仕込み”を行った時に翔たちに話しかけてきた三十代程の人物。また検問の時、転移する翔たちを腕を組んでじっと見ていた髭面の人物もいる。
「言いたいことはわかるか?」
あまりの一方的な圧に翔たちは手を上げるしかない。一人を除いては。
「おい! オレたちは――」
「騒ぐな」
反抗の態度を見せた豪月に躊躇なく拳銃を向けたのは、検問で翔たちをじっと見ていた髭面の男。
だが、これには翔も黙ってはいない。
「それは人に向けていいものじゃない」
「――!」
翔が仲間内には見せた事のない目つきで男を睨みつける。それには隣に立つ華歩・夢里でさえも目を見開き驚いてしまう。
「その通りだ。それは一旦下ろせ」
「……本当に撃つわけじゃねえよ」
仕込みの時に会った三十代程の男性が、髭面の男の銃を下ろさせる。
「君達、こんなことをしてすまない。脅すつもりはないんだ。ただ、話を聞きたい。こちらも仕事なんでね」
髭面の男とは違い、三十代程の男性は物腰柔らかのようだ。
「何をすれば良いんですか?」
「そうだな。とりあえず転移装置で戻ってもらおうか」
それから翔たちは二人を含めた“JPS”の人たちに連れられ、専用道路を使って学校へと赴く。作戦遂行からの発覚、帰りの道で翔たちの会話は無かった。
―――
「まず何から話そうか」
三十代程の男が始めに口を開く。おれたちは五人揃って横に並び、正面に“JPS”の人たち、校長室の奥側に校長という並びで座らせてもらっている。
「こいつらだろ、侵入したの。目的からはっきりさせようや」
髭面の男は相変わらず威圧的な態度だ。
「目的はあるアイテムです」
ここはおれが答える。他の四人には絶対に迷惑をかけられない。いざとなればおれが全て罪を被る覚悟で――
「そのアイテムを取りに行こうと僕が提案しました」
「凪風! お前――!」
凪風はこちらをちらっと見てくる。
待て、それはダメだ。お前はここで一番を目指すんだろ!
「ああ? くだらねえ友情ごっこはいらねえんだよ。何がアイテムだ。本当の目的を言え、本当の目的を」
本当の目的?
この発言にはこちらは首を傾げるしかない。
「アイテムが目的なのは本当です!」
夢里が強い言葉を発する。
「……嬢ちゃん。それはすぐに行かなければならない急ぎの用だったのかい? 別にそうじゃ――」
「急ぎの用です!」
夢里が髭面の男の威圧的な質問にも臆することなく、自分の意見を述べる。夢里が今回一番気持ちを入れていたんだ。誤解があるなら言っておかなければならない。
「……」
髭面の男は検問の時のようにおれたちをじっとみる。
「その話は本当です」
「「「!」」」
麗さん!?
校長室の扉を開け、話に割って入って来たのは麗さんだ。
「皆さん、そして校長、私が入る事をお許しください。この者たちには事情があるのです」
麗さんが“JPS”、校長に深々と頭を下げる。
「ぜひ話を聞かせてください」
「いいでしょう」
どちら側も麗さんを受け入れるようだ。
どこから漏れた。
作戦は完璧だったはず。なのに……。
どうしておれたちは今、校長室でこの人たちと向き合っているんだ。
―――
「みんな、帰ろう」
【水精霊王・ウンディーネ】を倒し、麗の呪いを解くためのアイテム“水精霊王の結晶”を手にした翔たち。疲れこそあるが、今は達成感からパーティー全員が明るい表情をしている。
「疲れたー。終盤はもうヘロヘロになっちゃってさ。助かったよ」
凪風が後ろで手を組んで歩きながら言葉を漏らす。
「いや、凪風がいなかったら【地の鎮守・アースガルド】にも勝てていないよ。こちらこそ本当に助かった。ありがとう」
「……なんかそう言われると照れるな」
翔に真っ直ぐ褒められて照れる凪風。
「はっはっは! その通りだぞ翼。自信を持て、自信を」
「どっかの自信バカさんとは違うんだよ」
いつもの様子で話す凪風と豪月。中学の時はバチバチであまり話さなかった、という事実を翔は未だに信じ切れていない。
「とにかく、良かったよね! すっごく長かった気もするけど、達成感で溢れてるっていうかさ!」
「うん。みんな、本当にお疲れ様だよ」
夢里と華歩も達成感に浸っているようだ。
「全員、今日はぐっすりだな」
話に花を咲かせながら、翔が第21層の扉に手を掛ける。
「よし、これで――」
「武器を置け」
「!?」
翔が扉を開いた瞬間、そこには複数の探索者と思われる人たちが待ち構えていた。それぞれ胸辺りに“JAPAN PUBLIC SERCHER”と刻まれた装備を身に付けている。
その内一人は、“仕込み”を行った時に翔たちに話しかけてきた三十代程の人物。また検問の時、転移する翔たちを腕を組んでじっと見ていた髭面の人物もいる。
「言いたいことはわかるか?」
あまりの一方的な圧に翔たちは手を上げるしかない。一人を除いては。
「おい! オレたちは――」
「騒ぐな」
反抗の態度を見せた豪月に躊躇なく拳銃を向けたのは、検問で翔たちをじっと見ていた髭面の男。
だが、これには翔も黙ってはいない。
「それは人に向けていいものじゃない」
「――!」
翔が仲間内には見せた事のない目つきで男を睨みつける。それには隣に立つ華歩・夢里でさえも目を見開き驚いてしまう。
「その通りだ。それは一旦下ろせ」
「……本当に撃つわけじゃねえよ」
仕込みの時に会った三十代程の男性が、髭面の男の銃を下ろさせる。
「君達、こんなことをしてすまない。脅すつもりはないんだ。ただ、話を聞きたい。こちらも仕事なんでね」
髭面の男とは違い、三十代程の男性は物腰柔らかのようだ。
「何をすれば良いんですか?」
「そうだな。とりあえず転移装置で戻ってもらおうか」
それから翔たちは二人を含めた“JPS”の人たちに連れられ、専用道路を使って学校へと赴く。作戦遂行からの発覚、帰りの道で翔たちの会話は無かった。
―――
「まず何から話そうか」
三十代程の男が始めに口を開く。おれたちは五人揃って横に並び、正面に“JPS”の人たち、校長室の奥側に校長という並びで座らせてもらっている。
「こいつらだろ、侵入したの。目的からはっきりさせようや」
髭面の男は相変わらず威圧的な態度だ。
「目的はあるアイテムです」
ここはおれが答える。他の四人には絶対に迷惑をかけられない。いざとなればおれが全て罪を被る覚悟で――
「そのアイテムを取りに行こうと僕が提案しました」
「凪風! お前――!」
凪風はこちらをちらっと見てくる。
待て、それはダメだ。お前はここで一番を目指すんだろ!
「ああ? くだらねえ友情ごっこはいらねえんだよ。何がアイテムだ。本当の目的を言え、本当の目的を」
本当の目的?
この発言にはこちらは首を傾げるしかない。
「アイテムが目的なのは本当です!」
夢里が強い言葉を発する。
「……嬢ちゃん。それはすぐに行かなければならない急ぎの用だったのかい? 別にそうじゃ――」
「急ぎの用です!」
夢里が髭面の男の威圧的な質問にも臆することなく、自分の意見を述べる。夢里が今回一番気持ちを入れていたんだ。誤解があるなら言っておかなければならない。
「……」
髭面の男は検問の時のようにおれたちをじっとみる。
「その話は本当です」
「「「!」」」
麗さん!?
校長室の扉を開け、話に割って入って来たのは麗さんだ。
「皆さん、そして校長、私が入る事をお許しください。この者たちには事情があるのです」
麗さんが“JPS”、校長に深々と頭を下げる。
「ぜひ話を聞かせてください」
「いいでしょう」
どちら側も麗さんを受け入れるようだ。
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