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第51話 これまでとこれからと
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「どこかなあ」
『クラウディア雲上』を散歩しながら、エアルがつぶやいた。
後ろには仲間達の姿も見える。
「下に続きそうな場所は」
彼らは、とある場所を探しているようだ。
ガレアの一件で情報を手にし、エアル達は『クラウディア雲上』の下を目指すことにした。
だが一概に下とは言っても、闇雲に進むのは良くない。
ならばまずは、“堀り進めるべき場所”を探すことから始めたのだ。
そんな中で、ふとエアルが口にした。
「そういえば、魔物はどこから来るのかな」
「「「……」」」
ただなんとなく発しただけだが、誰からの回答もない。
リザ達も改めて考えてみると「たしかに」と疑問に感じたようだ。
それから、共に考察を進める。
「少なくとも、雲から生まれてくるわけではないものね」
「だよね」
うーんと頭を悩ませた結果、リザがまさかと思ったことを話した。
「下から上がってきてる……?」
「「「……!」」」
その答えに、一行も納得の顔を浮かばせた。
“『クラウディア雲上』に下があるかもしれない”、と知ったからこその思い付きである。
「じゃあ、魔物がたくさんいる場所に行ってみる?」
「それがいいわね」
魔物はとある場所から上がってくる。
そう考えれば、自然とその辺りの魔物の数は多くなるだろう。
「そんな場所ある? ガレアさん」
「……うむ、たしかにあるな」
対して、ガレアもそういえばと思い出すように答えた。
ここまで話せば、もう答えは出たも同じ。
だが──
「そこはかなり危険だぞ」
「「「……!」」」
ガレアはそう忠告する。
それでも、エアル達がNOと言うはずもなかった。
「大丈夫だよ! 僕はそこに行きたい」
「フッ、さすがだな」
そうして目標を定めたエアル達は、一度引き返すことにする。
あと一人、仲間を待つために。
「レリアにも伝えなきゃね」
★
一方その頃、『クラウディア雲上』の入口付近。
「この辺でいいよ」
そう口にしたチェリーが足を止めた。
彼女が振り返った先にいるのは──レリア。
レリアはチェリーの安全を考え、護衛兼見送り役として付き添っていたようだ。
「あら、探索者街はダンジョンはもう一つ越えた先でしょう」
「うん。でも、ここからは抜け道を知ってるから。そうでもしないと、私なんかが一人でこんな場所来れないでしょ」
「それもそうね」
「それに……」
(これ以上レリアといると、邪魔をしてしまう)
そう言いかけるも、とっさに口から出ていくのを抑えた。
「それに、なにかしら」
「ううん。やっぱなんでもない!」
手を左右に振り、チェリーは心の中にしまうのだった。
これ以上、レリアに迷惑をかけたくないと思っているのかもしれない。
すると、ふぅと一息ついたレリアがたずねる。
「で、あなたはこれからどうするつもりなの?」
「私は……少し考えてみる」
空を見上げたチェリーは、次にチラリとレリアに視線を向けた。
「レリアみたいに必死になっていたら、私にも仲間できるかな」
「……さあね。あなた性格悪いから」
「レリアには言われたくないしー!」
「フフフッ」
そんな軽いやり取りを終え、チェリーはレリアに背を向けた。
いつまでも彼女の時間を奪いたくないのだろう。
「じゃあねレリア。もう会わないかもしれないけど」
「そうかしら。あなた、しぶとそうだから」
「だといいね。じゃ」
「ええ」
そうして、二人は真反対に歩き出す。
だが、チェリーは名残惜しそうに後ろを振り返った。
「……」
チェリーはレリアに憧れていた。
自分以外のことは一切考えない、そんな姿の彼女に。
(でも、違ったみたい)
“不敵のレリア”と呼ばれる彼女だが、他者には迷惑をかけたことはない。
だからこそ探索も基本単独で行い、“カモ”とは言いながらも危害を加えることは特に無かった。
(私はレリアの真っ直ぐさに憧れてたみたい)
本当に目的しか見えていない。
そんな“真っ直ぐさ”に惹かれていたのだと、チェリーは気づいた。
そんなレリアは今、心から信頼できる仲間を見つけた。
共に歩む者ができただけで、昔から変わっていない。
対して、チェリーは真っ直ぐではなかった。
時には人を邪魔して、道を逸らし続けていた。
真っ直ぐ突き進み続けたレリア、道を逸らし続けたチェリー。
似た者同士にも見えた両者の差は、“仲間”という点で現れてしまった。
だからこそ、チェリーは今度こそ真っ直ぐ生きてみようと誓う。
「私も仲間見つかるかな」
そう言うと、チェリーはふっと姿を消した。
『クラウディア雲上』を散歩しながら、エアルがつぶやいた。
後ろには仲間達の姿も見える。
「下に続きそうな場所は」
彼らは、とある場所を探しているようだ。
ガレアの一件で情報を手にし、エアル達は『クラウディア雲上』の下を目指すことにした。
だが一概に下とは言っても、闇雲に進むのは良くない。
ならばまずは、“堀り進めるべき場所”を探すことから始めたのだ。
そんな中で、ふとエアルが口にした。
「そういえば、魔物はどこから来るのかな」
「「「……」」」
ただなんとなく発しただけだが、誰からの回答もない。
リザ達も改めて考えてみると「たしかに」と疑問に感じたようだ。
それから、共に考察を進める。
「少なくとも、雲から生まれてくるわけではないものね」
「だよね」
うーんと頭を悩ませた結果、リザがまさかと思ったことを話した。
「下から上がってきてる……?」
「「「……!」」」
その答えに、一行も納得の顔を浮かばせた。
“『クラウディア雲上』に下があるかもしれない”、と知ったからこその思い付きである。
「じゃあ、魔物がたくさんいる場所に行ってみる?」
「それがいいわね」
魔物はとある場所から上がってくる。
そう考えれば、自然とその辺りの魔物の数は多くなるだろう。
「そんな場所ある? ガレアさん」
「……うむ、たしかにあるな」
対して、ガレアもそういえばと思い出すように答えた。
ここまで話せば、もう答えは出たも同じ。
だが──
「そこはかなり危険だぞ」
「「「……!」」」
ガレアはそう忠告する。
それでも、エアル達がNOと言うはずもなかった。
「大丈夫だよ! 僕はそこに行きたい」
「フッ、さすがだな」
そうして目標を定めたエアル達は、一度引き返すことにする。
あと一人、仲間を待つために。
「レリアにも伝えなきゃね」
★
一方その頃、『クラウディア雲上』の入口付近。
「この辺でいいよ」
そう口にしたチェリーが足を止めた。
彼女が振り返った先にいるのは──レリア。
レリアはチェリーの安全を考え、護衛兼見送り役として付き添っていたようだ。
「あら、探索者街はダンジョンはもう一つ越えた先でしょう」
「うん。でも、ここからは抜け道を知ってるから。そうでもしないと、私なんかが一人でこんな場所来れないでしょ」
「それもそうね」
「それに……」
(これ以上レリアといると、邪魔をしてしまう)
そう言いかけるも、とっさに口から出ていくのを抑えた。
「それに、なにかしら」
「ううん。やっぱなんでもない!」
手を左右に振り、チェリーは心の中にしまうのだった。
これ以上、レリアに迷惑をかけたくないと思っているのかもしれない。
すると、ふぅと一息ついたレリアがたずねる。
「で、あなたはこれからどうするつもりなの?」
「私は……少し考えてみる」
空を見上げたチェリーは、次にチラリとレリアに視線を向けた。
「レリアみたいに必死になっていたら、私にも仲間できるかな」
「……さあね。あなた性格悪いから」
「レリアには言われたくないしー!」
「フフフッ」
そんな軽いやり取りを終え、チェリーはレリアに背を向けた。
いつまでも彼女の時間を奪いたくないのだろう。
「じゃあねレリア。もう会わないかもしれないけど」
「そうかしら。あなた、しぶとそうだから」
「だといいね。じゃ」
「ええ」
そうして、二人は真反対に歩き出す。
だが、チェリーは名残惜しそうに後ろを振り返った。
「……」
チェリーはレリアに憧れていた。
自分以外のことは一切考えない、そんな姿の彼女に。
(でも、違ったみたい)
“不敵のレリア”と呼ばれる彼女だが、他者には迷惑をかけたことはない。
だからこそ探索も基本単独で行い、“カモ”とは言いながらも危害を加えることは特に無かった。
(私はレリアの真っ直ぐさに憧れてたみたい)
本当に目的しか見えていない。
そんな“真っ直ぐさ”に惹かれていたのだと、チェリーは気づいた。
そんなレリアは今、心から信頼できる仲間を見つけた。
共に歩む者ができただけで、昔から変わっていない。
対して、チェリーは真っ直ぐではなかった。
時には人を邪魔して、道を逸らし続けていた。
真っ直ぐ突き進み続けたレリア、道を逸らし続けたチェリー。
似た者同士にも見えた両者の差は、“仲間”という点で現れてしまった。
だからこそ、チェリーは今度こそ真っ直ぐ生きてみようと誓う。
「私も仲間見つかるかな」
そう言うと、チェリーはふっと姿を消した。
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