ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航

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第49話 “頂上種”コンビネーション

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 「この弱そうな奴ら、どうなってもいいのか?」

 男達が捕らえたのは、ラフィとフレイ。
 後方で見張り役をしていた二匹のペットだ。

 しかし、エアル達は一切表情を変えない。
 それどころか、逆に男達に忠告をした。

「あの、やめておいた方がいいよ?」
「あ?」

 そんなエアルの言葉に応えるように、二匹はうめき声を上げ始める。

「わふぅぅぅ……」
「ぼぉぉぉぉ……」

 これは“威嚇いかく”する時の声。
 すなわち、ラフィとフレイが臨戦態勢に入った合図だ。

「わふうううう!」
「ぼぉおおおお!」

 ラフィとフレイは一気に声を上げ、その存在感を発揮させる。

「うおっ!?」

 二匹を捕らえていた男はこらえきれず、思わず二匹を手放してしまう。
 こうなれば、誰も止めることはできない。

「わふ!」
「はえ? ──ぐおあっ!」

 一人は認識する間もなくラフィにぶっとばされ、

「ぼぉ!」
「あち! あちゃちゃちゃちゃ!」

 もう一人はフレイに髪を燃やされた。
 
 フェンリルのラフィに、フェニックスのフレイ。
 二匹の“頂上種”を本気にさせてしまった瞬間であった。
 その後も、ラフィとフレイは次々に相手を撃退げきたいしていく。

「ぐあああっ!」
「なんて速さだ!」
「燃える、俺の髪が燃えるうう!」

 二匹の姿に、ガレアは目を真ん丸にして驚いている。
 そして自然と言葉がこぼれた。

「あ、あの二匹は一体……?」
「ごめんなさい、ガレアさん」

 それにはリザが両手を合わせながら答えた。
 
「隠してたけどあの二匹、“頂上種”なのよ」
「なにいいいいいい!?」

 ひっくり返りそうなガレアを横目に、ラフィとフレイは最後の仕上げにかかる。

「わふ!」
「ぼぉ!」

 ラフィの合図に答え、フレイが背中に飛び乗った。
 そのままフレイが炎の翼を広げたのだ。
 仲良し二匹コンビネーション技である。

「わふううううう!」
「ぼぉおおおおお!」

 移動は“神速”のラフィ、攻撃は“炎の化身”のフレイ。
 分身にすら思えるじゅうおうじんなラフィに、まるで炎の翼が付いたようだ。
 それはまさに、相手を燃やす回避不可能な攻撃。

「「「ぐわあああああああっ!」」」

 はたから見れば、炎のビームが四方八方から発射されたような形だ。
 男達も対処のしようがなかった。

「わふっ」
「ぼぉっ」

 そうして、スタっと着地した二匹の前には、全員横たわっていた。

「これが、“頂上種”だというのか……」
「ええ。でもまだ子どもよ。それに──」
「?」

 リザはそう答えながら、チラリと視線を向ける。
 そこには、二匹をよしよしするエアルがいた。

「彼はあんなものじゃないわ」
「……! はは、俺はとんでもない者たちと一緒にいたのだな」

 もはや乾いた笑いを上げるしかないゴレアには、リザもうなずいた。
 彼女も日々エアル達のすごさを実感しているからだろう。

 そうして、ゴレアはとある男の前に立つ。

「……」
「ゴレア、さん……」

 その男は、この中で最もゴレアと長くいた者だ。
 もはや戦う意思は折られている。

「どうしてこんなことをしたんだ」
「……とある話を聞いて、目がくらんじまったんだ」
「とある話だと?」

 男は気まずそうにしながらも、ゴレアに答えた。
 
「この『クラウディア雲上』のについて」

 その話は、ガレアの過去、そしてエアル達の目的にもつながることだったのだ──。
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