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第43話 活気あふれる場所
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「とうっ!」
遠くの方から、ふいにぴょーんと跳ねてきた男。
何をするかと思えば、そのまま一行の中心にズボっと突き刺さった。
「「「……!?」」」
突然の奇行に目を見開く一行だが、男はすぐに顔を上げる。
雲に包まれてダメージが無かったようだ。
雲の扱いに慣れていそうな動きである。
「俺は『ガレア』だ! よろしく!」
いかにも体育会系の声と表情に、ぐっと親指を立てた男性。
名はガレアというようだ。
ひげが少し生えており、年は三十辺りに見える。
装備はゴツく重苦しくも見えるため、いわゆる“重戦士”的な探索者なのかもしれない。
だがそれとは裏腹に、動きはかなり軽快なものだった。
「君達は新顔だな!」
「……ええ」
そんなガレアには、リザが躍り出て答えた。
探索者の怖さを知り、頭もキレるリザはこんな時に頼りになる。
彼女はいきなり、今の言葉の違和感を突く。
「その口ぶりだと、このダンジョンに来る人は全員把握しているように思えるわね」
だが、じろりと見つめたリザに対しても、ガレアは爽やかな笑顔を見せた。
「ああ、そうだ!」
「!」
「なんたって俺は、ここに来る探索者を片っ端から協力を仰いでいるからな!」
「何のために?」
重ねられる質問にも、ガレアは親指を立てて答える。
「俺は近くに新たな探索者街を作ろうとしているんだ!」
「……!」
それにはリザも目を見開いた。
彼女は知っていたのだ。
このほとんど最前線とも言えるダンジョン付近には、探索者街がないことを。
その上で、簡易キャンプなど様々な準備をしてきていた。
だが、もし新たな探索者街ができれば話は変わってくる。
「それはどの辺に?」
「もう少し行った先だ! 協力はどちらでも構わないが、よければ案内しよう!」
「……」
嬉しい提案だが、リザはまだ探りを入れる。
「ちなみに、この子たちは連れて行ってもいいの? 魔物なのだけど」
「ほう!」
リザが指したのは、ラフィとフレイ。
この質問の真意は、「“頂上種”を知っているかどうかを見極める」こと。
“頂上種”を知っていれば、ガレアもボロが出るだろうと考えたのだ。
だが、ガレアは──
「すごく懐いているな! それなら大丈夫だ!」
「……!」
「暴れる魔物はお断りかもしれないが、この子達はおとなしそうだな! はっはっは!」
一切態度を変えず。
隣で聞いていたエアルも、うんうんとうなずく。
「ガレアさん、一つも嘘はついていないよ」
「おお、分かってくれるのか!」
「なんとなくね!」
メリットのある提案に、嘘もついていないときた。
リザはもう一人の頭脳役レリアに視線を向けるが、互いに軽くうなずく。
「ではお願いしようかしら」
「本当か!」
「ええ」
両者ともメリットの方が大きいと考えたようだ。
探索者街は、やはり休息には一番の場所。
もし罠だったとしても、エアルとレリア、二匹の“頂上種”がいて負ける方が少ないだろう。
ならばまずは、この目で確かめた方が有意義だ。
「では、こちらだ!」
こうして、唐突に出会ったガレアに案内を受ける一行であった。
「おお~!」
ガレアに案内された場所に付き、エアルは早速声を上げた。
そこにあったのは、まさに今から造られようとしている街だ。
「おーい、それ持って来てくれ~」
「おらよ!」
「こっちには宿を建てましょう!」
あるのは、まだいくつかの建物のみ。
だが、“街を造る”という大きな目標に向かって人が動いており、活気にあふれた場所だった。
そんな街に、エアルは目を輝かせた。
「すごいね、ガレアさん!」
「はっはっは、そうだろう! 彼らはみな、俺に協力してくれたんだ!」
「それにみんな強そう!」
「ほう、それに気づくとは!」
エアルの感想に、ガレアは付け加えた。
「ここはかなりの難易度のダンジョンになる。つまり、みな揃いも揃って“攻略組”というわけだ!」
「……!」
よく考えればその通りなのだが、言われると改めてすごさに気づく。
ここにいるのは、ラビリンスの中でも猛者ばかりなのだ。
そうして、ガレアは再びリザへ向き直る。
何かたずねたいことがあるようだ。
「そういえばもう一つ、君達の他に探しているものがあるんだ」
「何かって?」
「遠目にではあるが、さっき炎のようなものが空から降って来たように見えたのだが」
「……っ」
しかし、その質問にリザは口を閉ざす。
この空は果てしなく遠く、何も無いと考えるのが普通だ。
だが、もし上に何かあると分かれば、フェニックスの里などの存在もバレる可能性がある。
それはリザとしても避けたかった。
「何か知っていないか?」
「……さ、さあ?」
隣でふよふよと浮いているフレイからは目を逸らし、リザはそう答えた。
遠くの方から、ふいにぴょーんと跳ねてきた男。
何をするかと思えば、そのまま一行の中心にズボっと突き刺さった。
「「「……!?」」」
突然の奇行に目を見開く一行だが、男はすぐに顔を上げる。
雲に包まれてダメージが無かったようだ。
雲の扱いに慣れていそうな動きである。
「俺は『ガレア』だ! よろしく!」
いかにも体育会系の声と表情に、ぐっと親指を立てた男性。
名はガレアというようだ。
ひげが少し生えており、年は三十辺りに見える。
装備はゴツく重苦しくも見えるため、いわゆる“重戦士”的な探索者なのかもしれない。
だがそれとは裏腹に、動きはかなり軽快なものだった。
「君達は新顔だな!」
「……ええ」
そんなガレアには、リザが躍り出て答えた。
探索者の怖さを知り、頭もキレるリザはこんな時に頼りになる。
彼女はいきなり、今の言葉の違和感を突く。
「その口ぶりだと、このダンジョンに来る人は全員把握しているように思えるわね」
だが、じろりと見つめたリザに対しても、ガレアは爽やかな笑顔を見せた。
「ああ、そうだ!」
「!」
「なんたって俺は、ここに来る探索者を片っ端から協力を仰いでいるからな!」
「何のために?」
重ねられる質問にも、ガレアは親指を立てて答える。
「俺は近くに新たな探索者街を作ろうとしているんだ!」
「……!」
それにはリザも目を見開いた。
彼女は知っていたのだ。
このほとんど最前線とも言えるダンジョン付近には、探索者街がないことを。
その上で、簡易キャンプなど様々な準備をしてきていた。
だが、もし新たな探索者街ができれば話は変わってくる。
「それはどの辺に?」
「もう少し行った先だ! 協力はどちらでも構わないが、よければ案内しよう!」
「……」
嬉しい提案だが、リザはまだ探りを入れる。
「ちなみに、この子たちは連れて行ってもいいの? 魔物なのだけど」
「ほう!」
リザが指したのは、ラフィとフレイ。
この質問の真意は、「“頂上種”を知っているかどうかを見極める」こと。
“頂上種”を知っていれば、ガレアもボロが出るだろうと考えたのだ。
だが、ガレアは──
「すごく懐いているな! それなら大丈夫だ!」
「……!」
「暴れる魔物はお断りかもしれないが、この子達はおとなしそうだな! はっはっは!」
一切態度を変えず。
隣で聞いていたエアルも、うんうんとうなずく。
「ガレアさん、一つも嘘はついていないよ」
「おお、分かってくれるのか!」
「なんとなくね!」
メリットのある提案に、嘘もついていないときた。
リザはもう一人の頭脳役レリアに視線を向けるが、互いに軽くうなずく。
「ではお願いしようかしら」
「本当か!」
「ええ」
両者ともメリットの方が大きいと考えたようだ。
探索者街は、やはり休息には一番の場所。
もし罠だったとしても、エアルとレリア、二匹の“頂上種”がいて負ける方が少ないだろう。
ならばまずは、この目で確かめた方が有意義だ。
「では、こちらだ!」
こうして、唐突に出会ったガレアに案内を受ける一行であった。
「おお~!」
ガレアに案内された場所に付き、エアルは早速声を上げた。
そこにあったのは、まさに今から造られようとしている街だ。
「おーい、それ持って来てくれ~」
「おらよ!」
「こっちには宿を建てましょう!」
あるのは、まだいくつかの建物のみ。
だが、“街を造る”という大きな目標に向かって人が動いており、活気にあふれた場所だった。
そんな街に、エアルは目を輝かせた。
「すごいね、ガレアさん!」
「はっはっは、そうだろう! 彼らはみな、俺に協力してくれたんだ!」
「それにみんな強そう!」
「ほう、それに気づくとは!」
エアルの感想に、ガレアは付け加えた。
「ここはかなりの難易度のダンジョンになる。つまり、みな揃いも揃って“攻略組”というわけだ!」
「……!」
よく考えればその通りなのだが、言われると改めてすごさに気づく。
ここにいるのは、ラビリンスの中でも猛者ばかりなのだ。
そうして、ガレアは再びリザへ向き直る。
何かたずねたいことがあるようだ。
「そういえばもう一つ、君達の他に探しているものがあるんだ」
「何かって?」
「遠目にではあるが、さっき炎のようなものが空から降って来たように見えたのだが」
「……っ」
しかし、その質問にリザは口を閉ざす。
この空は果てしなく遠く、何も無いと考えるのが普通だ。
だが、もし上に何かあると分かれば、フェニックスの里などの存在もバレる可能性がある。
それはリザとしても避けたかった。
「何か知っていないか?」
「……さ、さあ?」
隣でふよふよと浮いているフレイからは目を逸らし、リザはそう答えた。
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