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第2話 大都会セントラル
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<エアル視点>
「なんだ、この田舎くせえガキは!」
「うわっ!」
どんっと押され、大きな人に店を締め出される。
「あっち行きやがれ、ガキ!」
「……あ」
またこれだ。
締め出されたのは、今ので三件目。
また「田舎くさい」と追い出されてしまった。
「きびしいなあ」
村から馬車で一週間。
今日、僕はようやくこの目的地──『セントラル』に到着した。
ここはまさに大都会!
世界中から人が集まる場所だそうだ。
建物もたくさんあって、村とは大違い。
「でも、都会は難しい……」
僕はここへ立派な探索者になりたくて来た。
だけど、僕はここでの生き方を知らない。
あるのはおじいちゃんの話だけだ。
乗ってきた馬車はいつの間にか行ってしまったし、建物が多すぎて何が何だか分からない。
だから勇気を持ってその辺で話を聞いてみても、何度も締め出されてしまった。
「これが噂の『都会の洗礼』かあ……」
予想以上だ。
村のダンジョンの魔物なんて目じゃないと思う。
いやいや、でも頑張るぞ。
僕は立派な探索者になりたいんだ。
おじいちゃんも追いかけるんだ。
なんて思っていると、視界に差し伸ばされた手が映る。
「大丈夫ですか?」
「あ」
見上げた先にいたのは、とても綺麗なお姉さん。
サラっとした長い金髪。
小さな顔なのに大きな瞳。
軽装だからか、スラリした体型だと分かる。
村では見たこともない美人さんだ。
声も透き通っていてすごく聞きやすい。
「だ、大丈夫です!」
「そう。強いのね」
お姉さんはふふっと笑いながら、立ち上がった僕の手を引いてくれる。
見た目通り優しいお姉さんだ。
「君、名前は?」
「エアル・クオーレです。エアルって呼ばれてました」
「じゃあエアル君ね。私は『リザ』よ」
リザさんの歩きにはまるで迷いがない。
セントラルに慣れているみたいだ。
「それと、君は探索者になりたいの?」
「あ、そうなんです!」
「ごめんね。盗み聞きするつもりはなかったんだけど」
締め出された時を見られていたのかも。
ちょっと恥ずかしいな。
でも、そんな気持ちは次の言葉ですぐに消え去った。
「良かったら、私が色々と教えてあげましょうか」
「え、本当ですか!」
「ええ。まずはその辺のカフェに入りましょう」
「ありがとうございます!」
こうして、リザさんとおしゃれな『かふぇ』に入った。
ここで僕は、セントラルがいかにすごいものなのかと知ることとなる──。
「なんだ、この田舎くせえガキは!」
「うわっ!」
どんっと押され、大きな人に店を締め出される。
「あっち行きやがれ、ガキ!」
「……あ」
またこれだ。
締め出されたのは、今ので三件目。
また「田舎くさい」と追い出されてしまった。
「きびしいなあ」
村から馬車で一週間。
今日、僕はようやくこの目的地──『セントラル』に到着した。
ここはまさに大都会!
世界中から人が集まる場所だそうだ。
建物もたくさんあって、村とは大違い。
「でも、都会は難しい……」
僕はここへ立派な探索者になりたくて来た。
だけど、僕はここでの生き方を知らない。
あるのはおじいちゃんの話だけだ。
乗ってきた馬車はいつの間にか行ってしまったし、建物が多すぎて何が何だか分からない。
だから勇気を持ってその辺で話を聞いてみても、何度も締め出されてしまった。
「これが噂の『都会の洗礼』かあ……」
予想以上だ。
村のダンジョンの魔物なんて目じゃないと思う。
いやいや、でも頑張るぞ。
僕は立派な探索者になりたいんだ。
おじいちゃんも追いかけるんだ。
なんて思っていると、視界に差し伸ばされた手が映る。
「大丈夫ですか?」
「あ」
見上げた先にいたのは、とても綺麗なお姉さん。
サラっとした長い金髪。
小さな顔なのに大きな瞳。
軽装だからか、スラリした体型だと分かる。
村では見たこともない美人さんだ。
声も透き通っていてすごく聞きやすい。
「だ、大丈夫です!」
「そう。強いのね」
お姉さんはふふっと笑いながら、立ち上がった僕の手を引いてくれる。
見た目通り優しいお姉さんだ。
「君、名前は?」
「エアル・クオーレです。エアルって呼ばれてました」
「じゃあエアル君ね。私は『リザ』よ」
リザさんの歩きにはまるで迷いがない。
セントラルに慣れているみたいだ。
「それと、君は探索者になりたいの?」
「あ、そうなんです!」
「ごめんね。盗み聞きするつもりはなかったんだけど」
締め出された時を見られていたのかも。
ちょっと恥ずかしいな。
でも、そんな気持ちは次の言葉ですぐに消え去った。
「良かったら、私が色々と教えてあげましょうか」
「え、本当ですか!」
「ええ。まずはその辺のカフェに入りましょう」
「ありがとうございます!」
こうして、リザさんとおしゃれな『かふぇ』に入った。
ここで僕は、セントラルがいかにすごいものなのかと知ることとなる──。
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