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第44話 ギルドにて

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<三人称視点>

 ホシの配信が終わり、とある掲示板が加速する中、同時刻のギルド内。
 
「ふぅ……」

 会議室にて、一人の女性がため息をついた。
 ギルド局長の責野だ。

「……」

 ホシが終わってから数十分。
 責野はひたすらに配信を見返している。
 そんな彼女に、周りの職員も心配そうに声を掛ける。

「きょ、局長……」
「大丈夫ですか」
「顔がしんどそうですよ」

 周りの職員も、責野がホシ関連のことで胃を痛めていることを知っていたからだ。
 
「……」

 しかし、今の責野のしんどさ・・・・はこの前とは少し違う。
 配信を見返しながら責野は思っていた。

(か、かわいい……!)

 今回の配信で登場した、いちごとブルーハワイ。
 その中でも特に、もふもふのフェニックス──いちごに興味を持っていた。

(この子も仲良くしてくれるのかな)
 
 すでに接近した時のことまで考えている責野。
 今の彼女は、むしろそう考えていることが周りにバレない為、あくまで毅然きぜんとした態度を取ることに「しんどさ」を感じているのだ。

(局長がナメられたらおしまいだもの。監視目的で見ている様に振る舞わなきゃ)

 責野は、ホシのペット達(特にもふもふ)のファンになりかけていた。
 それを隠そうと必死なのだ。

「局長。そろそろ時間です」
「え! あ、ああ、そうね」

 そうして予定していた時間になり、責野は名残惜しそうにスマホをしまった。
 この切り替えの速さは仕事ができる人のそれである。

 責野は会議室入口付近の職員に尋ねた。

「彼女は到着しているかしら」
「はい。待機してもらっています」
「ありがとう。すぐに呼んでちょうだい」

 責野が声を掛け、ギルドに呼んでいた者が会議室に入ってくる。

「失礼します」
「来てくれてありがとう」
「いえ、私もお世話になっていますので」

 席についた彼女が顔を上げ、責野から口を開いた。

「久しぶりね。日向さん」
「こちらこそです。責野さん」

 呼んでいたのは──日向ヒカリ。
 ホシが深層にて駆けつけた、高校生唯一のSランク探索者だ。

「早速だけど、データは確認してもらえた?」
「はい。バッチリです」
「それで了承は……」
「任せてください」
「!」

 責野がヒカリの様子をうかがう様に尋ねたところ、ヒカリは即答する。
 どうやら用件をのんでもらえたようだ。

「そう言ってもらえると助かるわ。これは数少ないSランクのあなたにしか頼めないもの」
「私に務まるかは分かりませんが、やってみます」
「ありがとう。本当は、まだ協力してもらいたい子もいるのだけど……」
「ふふっ。誰かはあえてツッコみませんよ」

 二人の頭の中には「ホ」と「シ」が付く者が浮かんでいるだろう。
 それでも、規則などの何らかの事情があるようだ。

「じゃあ改めて──」

 そうして、責野はヒカリに頼んだ用件を口にした。

「ダンジョンに『魔核』が発生している可能性について、調査をお願いします」
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