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第35話 ギルドの見解
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ナナミとエリカが料理対決をしていた頃。
ホシと同じ街のギルドにて。
「ふぅ……」
机に肘をつきながら、ため息をついたのは責野局長だ。
お隣さんとしてホシの隣の家に引っ越してきた女性である。
だが今は、ギルドにて仕事に勤しんでいる。
「やはりなのね」
「そのようです、局長」
彼女が職員と一緒に繰り返し確認していたのは、先日の「日向ヒカリ」の配信。
ホシが助けに入った時の映像だ。
あの時は、ついホシの活躍に目が行ってしまったが、ギルド職員共々、何度もこの映像を見ることであることに気づいていたのだ。
「この【死霊剣士・スケルトンキング】、魔核を持っているわね」
ヒカリが戦っていた魔物が、途中から急に強さを増した。
その後の明らかにSランクに収まらない強さから、「魔核持ち」であることを確信したのだ。
「つまり、本来ならば日向ヒカリは勝っていたということでしょうか?」
「おそらくね」
責野局長は同意するように頷く。
魔核については最近判明したばかりで、分かっていないことも多いが、また一つ新たに情報を得られたみたいだ。
「魔核持ちの魔物は、最初から強いのではない。魔核の力を解放することで明確に強くなるのね」
責野局長の言葉に、職員が付け足す。
「では、もし彦根ホシが魔核を持っているなら、何らかのトリガーによって魔核の力を解放して、ダンジョンの外で人外の移動をしたと」
「そうなるわね。彼自身は、魔核の力を自覚していないでしょうけど」
この考察は当たっている。
事実、あの時のホシは無意識に魔核の力を解放していたのだ。
それによって、ダンジョン外でヒカリのダンジョンまで移動したのである。
「ではどうして、彼は力を解放できたのでしょうか」
「分からないわ。……いえ、まさか!」
責野局長の頭の中に「ハンバーグ」が浮かぶ。
ホシが怒っていた理由のあの食べ物だ。
「いやいや、そんなアホな話あるわけがない」
しかし、その可能性を切り捨てる。
ホシが無意識に魔核の力を解放した理由、それがまさか「ハンバーグの罪に対する怒り」だとは考えられないようだ。
「ふぅ……」
責野局長はもう一度ため息をつき、上を見上げた。
今までになかったことが次々にこの街で起こっている、そのことに何かを察知したみたいだ。
「何か嫌な予感がするわね」
それは、ダンジョンについて研究を続けてきた責野ならではの直観。
そしてその予想は、近い将来的中してしまうこととなる──。
ホシと同じ街のギルドにて。
「ふぅ……」
机に肘をつきながら、ため息をついたのは責野局長だ。
お隣さんとしてホシの隣の家に引っ越してきた女性である。
だが今は、ギルドにて仕事に勤しんでいる。
「やはりなのね」
「そのようです、局長」
彼女が職員と一緒に繰り返し確認していたのは、先日の「日向ヒカリ」の配信。
ホシが助けに入った時の映像だ。
あの時は、ついホシの活躍に目が行ってしまったが、ギルド職員共々、何度もこの映像を見ることであることに気づいていたのだ。
「この【死霊剣士・スケルトンキング】、魔核を持っているわね」
ヒカリが戦っていた魔物が、途中から急に強さを増した。
その後の明らかにSランクに収まらない強さから、「魔核持ち」であることを確信したのだ。
「つまり、本来ならば日向ヒカリは勝っていたということでしょうか?」
「おそらくね」
責野局長は同意するように頷く。
魔核については最近判明したばかりで、分かっていないことも多いが、また一つ新たに情報を得られたみたいだ。
「魔核持ちの魔物は、最初から強いのではない。魔核の力を解放することで明確に強くなるのね」
責野局長の言葉に、職員が付け足す。
「では、もし彦根ホシが魔核を持っているなら、何らかのトリガーによって魔核の力を解放して、ダンジョンの外で人外の移動をしたと」
「そうなるわね。彼自身は、魔核の力を自覚していないでしょうけど」
この考察は当たっている。
事実、あの時のホシは無意識に魔核の力を解放していたのだ。
それによって、ダンジョン外でヒカリのダンジョンまで移動したのである。
「ではどうして、彼は力を解放できたのでしょうか」
「分からないわ。……いえ、まさか!」
責野局長の頭の中に「ハンバーグ」が浮かぶ。
ホシが怒っていた理由のあの食べ物だ。
「いやいや、そんなアホな話あるわけがない」
しかし、その可能性を切り捨てる。
ホシが無意識に魔核の力を解放した理由、それがまさか「ハンバーグの罪に対する怒り」だとは考えられないようだ。
「ふぅ……」
責野局長はもう一度ため息をつき、上を見上げた。
今までになかったことが次々にこの街で起こっている、そのことに何かを察知したみたいだ。
「何か嫌な予感がするわね」
それは、ダンジョンについて研究を続けてきた責野ならではの直観。
そしてその予想は、近い将来的中してしまうこととなる──。
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